栄養学雑誌
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74 巻, 3 号
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原著
  • 門脇 真也, 蕪木 智子
    2016 年 74 巻 3 号 p. 51-59
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/12
    ジャーナル フリー
    【目的】低糖質高たんぱく質(low carbohydrate-high protein; LC-HP)食の非肥満者への影響は,動脈硬化性疾患につながる生体内酸化ストレスの関与を含め不明な点が多い。よって本実験ではLC-HP食の短期(2w)および長期的摂取(13w)の影響について非肥満マウスを用いて検討した。
    【方法】6週齢のC57BL/6J雄マウスを 2wおよび 13w飼育し検討を行った。飼料はLC-HP食(PFCエネルギー比率;40,16,44),または,普通食(PFCエネルギー比率;20,16,64)を摂取させた。
    【結果】LC-HP食群は普通食群に比し,体重増加率,副睾丸周囲脂肪組織重量および脂肪細胞面積が有意に低値,腎臓重量は有意に高値を示した。肝臓中スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)活性は,LC-HP食群で普通食群に比し有意に低値を示した。血清中アディポサイトカイン,インスリン,酸化生成物の指標とした肝臓中チオバルビツール酸反応性物質および酸化LDLの指標とした血清中レクチン様酸化LDL受容体結合アポリポたんぱく質Bでは,LC-HP食の影響を認めなかった。
    【結論】非肥満下でのLC-HP食は,体重増加および副睾丸周囲脂肪細胞の肥大化を抑制した。一方でLC-HP食は,肝臓SOD活性の低下による酸化ストレス増大を介し,動脈硬化性疾患発症に影響することが示唆された。
  • 加藤 美智子, 椿 和文, 久下 高生, 青江 誠一郎
    2016 年 74 巻 3 号 p. 60-68
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/12
    ジャーナル フリー
    【目的】大麦には,種々の生理作用が報告されているが,大麦β-グルカン抽出物を配合してβ-グルカン含量を増やした場合に,増量に伴う用量依存性が期待できるのか検証した例はない。そこで,本実験では,大麦β-グルカン抽出物を配合した高脂肪食をマウスに給餌し,耐糖能と腹腔内及び肝臓脂肪蓄積に及ぼす影響を評価した。
    【方法】6週齢のC57BL/6Jマウスに脂肪エネルギー比率50%の高脂肪食を与えた。各飼料中のβ-グルカン含量は,コントロール(C)群0.0%,全粒大麦(B)群1.2%,β-グルカン抽出物添加大麦(B+G)群3.1%,β-グルカン抽出物(G)群5.0%とした。各飼料と水は12週間自由摂取させた。耐糖能試験,肝臓脂質および血清インスリン,レプチン濃度を測定した。また,腹腔内脂肪細胞の平均サイズをコールターカウンターを用いて計測した。
    【結果】血清インスリン濃度,血糖値−時間曲線下面積は,β-グルカン含量と用量依存性があり,C群に比べ,すべての試験群において有意に低値を示した。脂肪組織重量,脂肪細胞の平均サイズ,レプチン濃度及び肝臓脂質量は,飼料中のβ-グルカン含量と用量依存性が認められた。
    【結論】大麦β-グルカン抽出物を添加して飼料中の含量を増加することにより,用量依存的に耐糖能異常が起こりにくくなり,腹腔内及び肝臓脂肪蓄積抑制作用が認められた。
短報
  • 金田 直子, 子安 愛, 春木 敏
    2016 年 74 巻 3 号 p. 69-79
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/12
    ジャーナル フリー
    【目的】幼稚園における食育推進に向け,教諭の日常的な食生活管理と幼稚園での食育の実施状況を把握しその関連を検討した。
    【方法】2010年11月~2011年5月にA府B市内の幼稚園教諭2,058名を対象に無記名自記式の質問紙調査を実施した。年代別に食生活管理に関する知識・態度・行動と幼稚園での食育の実施状況を把握し,相互の関連を検討した。
    【結果】637名から回答を得,有効回答者数は553名であった。加工食品表示をいつも確認する者は20歳代42.6%,30~50歳代55.8%(p=0.004),ほぼ毎日調理をする者は各々19.5%,52.2%(p<0.001),幼稚園で食育を実施したことがある者は各々55.1%,68.7%(p=0.003)と,いずれも20歳代で有意に少なかった。20歳代の食育未実施群では,バランスの悪い献立構成を良いと回答した者が多かった(p=0.004)。また,20歳代の食育実施群と食育未実施群を比較すると調理頻度に差が認められた(p=0.022)。30~50歳代では,食育実施の有無と食生活管理に関する知識・態度・行動との関連はみられなかった。
    【結論】食品表示確認や調理頻度,幼稚園での食育実施状況等に年代差がみられた。また,食育を実施していない20歳代は栄養バランスの良い献立を考える知識や調理頻度に課題がみられた。
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