栄養学雑誌
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72 巻 , 2 号
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原著
  • 今井 具子, 辻 とみ子, 山本 初子, 福渡 努, 柴田 克己
    2014 年 72 巻 2 号 p. 51-66
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/30
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】写真併用食事記録調査より,ミネラルを中心とした栄養素等摂取状況を明らかにし,これらのミネラルの年齢群別,摂取量別食品群別寄与率を比較し,カルシウム・鉄を多く摂る食生活と栄養素等摂取状況の関連を検討すること。
    【方法】写真を併用した4日間の食事記録調査を小学生72人,大学生204人,高齢者55人に行い,日本食品標準成分表2010を用いて栄養素等摂取量,食品群別摂取量,各ミネラルの食品群別寄与率を算出し,年齢群別,摂取量別に比較した。
    【結果】カルシウムは乳類,マンガンは穀類等,ナトリウムは調味料及び香辛料類の寄与率が高く,カリウム,マグネシウム,リン,鉄は多くの食品群が寄与率に関与していた。これらのミネラルの寄与食品群は年齢群,ミネラルの摂取量により異なった。これらのミネラルを多く含む食品を適量摂取し,摂取する食品が多様であると,ミネラル摂取が良好であり,日本人に不足しがちなカルシウム・鉄を多く摂取すると,その他の食品群や栄養素の摂取も良好であった。
    【結論】ミネラルを多く含む食品の適量摂取と,食品の多様性がミネラル摂取量を良好にし,カルシウム・鉄を多く摂取する食生活を心掛けることで,栄養素等摂取状況を改善させることのできる可能性が示唆された。
  • 河村 彩乃, 田丸 省吾, 伊藤 裕子, 増田 邦子, 大越 ひろ, 高橋 智子
    2014 年 72 巻 2 号 p. 67-75
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/30
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】アミロース含有率の異なるもち米(アミロース0%),低アミロース米(11.9%),中アミロース米(16.2%),高アミロース米(27.9%)を用い加水量一定の米粥を調製し,アミロース含有率の相違が及ぼす力学的特性と食べやすさへの影響および米粥の口中感覚を推測するのに有効な力学的特性測定方法を検討した。
    【方法】材料米重量に対し5.0倍加水し,真空包装後95°C湯浴中60分間加熱し米粥試料を得た。試料品温とテクスチャー特性の関係,粥液重量,力学的特性の簡便な評価法としてガラスリング法(以下リング法)を用いて測定し,官能評価を行った。
    【結果】高アミロース米試料は品温30°C以下で顕著に硬くなる傾向を示し,品温20°Cで高アミロース米試料の硬さは他の3試料と比べ有意に硬くなった。付着性は品温20°Cで4種の試料間に有意差は認められなかった。高アミロース米試料は,品温20°Cで他の3種と比較してリング内壁の付着重量は有意に小さくなった。官能評価より,高アミロース米試料は最も口中でかたく,べたつかないと評価された。
    【考察】官能評価の結果より,もち米試料と比較し口中で有意にべたつかないと評価された高アミロース米試料のリング内壁の付着重量は,有意に小さくなった。本研究で用いたような明らかな力学的特性の差が認められる米粥試料の場合,口中でのべたつき感はリング法により得られるリング内壁の付着重量により推測できる可能性が示唆された。
短報
  • 竹内 弘幸, 岩﨑 あゆ実, 大森 聡
    2014 年 72 巻 2 号 p. 76-83
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/30
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】トランス脂肪酸(トランス酸)の摂取は,血清LDL-コレステロール濃度を増加させ,動脈硬化性疾患のリスクを高める。日本人を対象にしたトランス酸の摂取量調査および目標量(上限)に関する研究は,限られている。本研究では日本人成人女性におけるトランス酸摂取量の調査を行い,血清コレステロール濃度との関連について検討した。
    【方法】30~60歳代の日本人女性54名を対象に,3日間の食事調査を実施した。空腹時に採血を行い,血清脂質濃度を測定した。
    【結果】対象者のトランス酸摂取量の中央値は0.36%エネルギー(%E)であり,平均値は 0.40%Eであった。トランス酸摂取量の最大値は1.47%Eであり,1%Eを超えた被験者は1名だけであった。脂質摂取量とトランス酸摂取量との間に,有意な正の相関が認められた。血清LDL-およびHDL-コレステロール濃度とトランス酸摂取量との間には,有意な相関はなかった。
    【結論】本研究では,本研究対象者の日本人成人女性が摂取しているトランス酸量は1%E以下であり,この低レベル(%E)のトランス酸摂取では,健常人において血清コレステロール濃度に対して大きな影響を及ぼさない可能性のあることが示唆された。
  • 小暮 真奈, 遠又 靖丈, 周 婉婷, 佐々木 公子, 佐藤 佳子, 青栁 友美, 辻 一郎
    2014 年 72 巻 2 号 p. 84-90
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/30
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】東日本大震災後における非常食対応マニュアルの実行状況と給食提供の早期再開との関連を明らかにすることを目的とした。
    【方法】仙台市内の全認可保育所123施設を対象として,質問票を配布し,全施設から回答を得た。非常食対応マニュアルの実行状況について,概ね実行できたと回答した施設をマニュアルが「実行あり」と定義し,それ以外を「作成・実行なし」と定義した。アウトカム指標は震災発生(金曜日)後の翌平日である3月14日(震災発生後3日)までに給食提供を再開した施設を「給食早期再開」と定義し,マニュアルが実行ありの施設の給食早期再開のオッズ比を推定した。
    【結果】マニュアルが実行ありの施設は29施設(23.6%)であった。マニュアルが作成・実行なしの施設に比べ,実行ありの施設の給食早期再開の多変量調整オッズ比(95%信頼区間)は6.99(1.28~38.29)であり,マニュアルが実行ありの施設は震災後3日以内に給食提供をした施設の割合が多かった。なお,3日以内に保育所を再開した施設に限定しても結果は同様であった。
    【結論】非常食対応マニュアルが実行ありの施設では,震災後に給食提供を早期に再開した施設が多かった。以上より非常食対応マニュアルの給食早期再開に対する有用性が示唆された。
資料
  • 中村 彩希, 秦 希久子, 稲山 貴代
    2014 年 72 巻 2 号 p. 91-100
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/30
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】障がい者スポーツコミュニティとして,障害者スポーツセンターを利用してスポーツ活動を行う成人肢体不自由者を対象に,理論枠組みに基づく調査票を用い,本コミュニティに所属する人々の食生活の包括的評価を行うことを目的とした。
    【方法】障害者スポーツセンターの利用者を対象に2012年6月~7月,無記名の質問紙調査を実施した。調査票は739部配布し,回収された652名のうち性,年齢,障害名,居住形態が不明の者を除く575名が解析可能であった。そのうち未成年を除いた肢体不自由者394名を解析対象とした。調査枠組みは,食生活満足度,主観的健康感および健康・栄養状態,食物摂取状況,行動,行動変容段階,準備要因,食環境,属性とした。性別,年齢区分別(若・中年,高年)にグループ間を比較し,名義尺度はχ2検定,順序尺度はMann-WhitneyのU検定を行った。
    【結果】食生活満足度は91%が「とても/まあまあ満足している」と回答した。男性より女性で良好な回答が多かった主な項目は,行動および食環境であった。男性において若・中年より高年で良好な回答が多かった主な項目は,行動変容段階およびセルフ・エフィカシーであった。
    【結論】スポーツコミュニティに所属する成人肢体不自由者の食生活は全体的に良好であった。男性より女性が良好であり,男性は若・中年より高年で良好であった。今後は良好な食生活を説明する要因を明らかにする検討が必要である。
  • 新保 みさ, 赤松 利恵, 玉浦 有紀
    2014 年 72 巻 2 号 p. 101-108
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/30
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】野菜摂取を促す栄養教育では,実生活に近い具体的な情報が求められる。そこで,具体的な食事内容について提案するために,男性勤労者を野菜摂取量で3つの群に分け,群ごとの食事内容を料理レベルで比較検討した。
    【方法】2009年2月,輸送業社営業所の従業員160名を対象に,自己記入式質問紙調査と3日間の食事記録調査を行った。質問紙では,属性,体格,活動量についてたずねた。3日間の食事記録を用いて1日あたりの野菜摂取量,エネルギー摂取量の平均値を算出し,1,000 kcalあたりの野菜摂取量,栄養素量を算出した。さらに食事バランスガイドを用いてサービング(SV)数や料理の出現回数を数え,それぞれの料理の出現割合を求めた。1日あたりの野菜摂取量の25%,75%タイル値を用いて,野菜摂取量のG1群,G2群,G3群の3群に分け,栄養素量や料理の出現割合(%)を比較した。
    【結果】解析対象者は115名(回答者142名,有効回答率81.0%)だった。年齢の中央値(25%,75%タイル値)は35(31,39)歳で,野菜摂取量は 194(122,256)g/日だった。G3群は他の群と比べてエネルギー摂取量,1,000 kcalあたりの野菜摂取量が最も高かった。各群の料理の出現割合をみると,G1群では鶏から揚げ(11.1%),G3群では焼き魚(6.4%)や納豆(6.0%)が高かった。副菜に限定すると,G1群ではフライドポテト(5.4%)の出現割合が高く,G3群ではお浸し・ごま和え(4.1%)が高かった。また,G3群では,副菜を含む複合料理の出現割合が高かった。
    【結論】野菜摂取量の多い男性勤労者は,サラダやお浸しなどの野菜料理やカレーなどの副菜を含む複合料理を食べており,これらの料理が野菜摂取量と関連することが示唆された。
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