介護保険制度施行5年目の改正の一環として, 2005年10月には, 介護保険施設において従来は給付の対象であった食費の自己負担化に伴い, 高齢者の低栄養状態の改善を目的とした栄養ケア・マネジメントが介護報酬として評価された。さらに, 2006年4月には, 介護予防の観点から, 要支援者に対する介護予防サービス及び中重度の要介護者に対する通所系及び訪問系サービスとして, 低栄養状態の改善を目的とした栄養ケア・マネジメントが制度化された。一方, 市町村が実施する地域支援事業特定高齢者施策においても予防重視型システムの一環として, ケアマネジメントと連携した包括的, 連続的な栄養ケア・マネジメント体制が整備された。このような介護保険制度における栄養ケア・マネジメントの導入に対しては, 1996年から4年間にわたって取り組まれた厚生労働省老人保健事業推進等補助金「高齢者の栄養管理サービスに関する研究」及び制度改正のための研究会であった厚生労働省老人保健事業推進等補助金「施設及び居宅高齢者に対する栄養・食事サービスのマネジメントに関する研究」が基盤となった。一方, 介護保険制度における栄養ケア・マネジメントの制度化にあたって, 管理栄養士としての業務活動の理念を初めて明確に掲げ, アウトカム評価に基づいた継続的な品質改善活動 (CQI) が導入された意義は大きい。管理栄養士は, 栄養ケア・マネジメントの理念のもとに, 高齢者の尊厳のある自己実現に向けて, 栄養ケア・マネジメントの根拠に基づいたCQI活動を推進していかなければならない。
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