栄養学雑誌
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76 巻, 1 号
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巻頭言
原著
  • 邱 昱, 中山 玲子
    2018 年 76 巻 1 号 p. 6-19
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/12
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究は,中国都市部児童の身体状況と食習慣,食意識・食行動等及び,保護者の食知識・食意識等との関係を,主として肥満について明らかにすることを目的とする。
    【方法】中国広州市立小学校全学年の児童の保護者1,020人を対象に無記名自己記入式でアンケート調査し,有効回答814人のデータを用い,解析を行った。
    【結果】児童の身体状況について,肥満・過体重は約20%,軽度やせ・高度やせは約17%であり,女子はやせ傾向児,男子は肥満傾向児が有意に高かった。保護者は子どもの身体状況を適正に認識していなかった。また,身体状況と食生活との関連を検討した結果,児童の肥満と朝食欠食,夕食の不規則性,間食・清涼飲料水・ファストフードの摂取頻度の多さと有意な関連が見られた。身体状況と共食状況との関連を検討した結果,夕食孤食の児童は肥満の割合が有意に高かった。望ましくない食行動を持つ児童は肥満の割合が有意に高かった。また,排便習慣,運動習慣が良くない児童は,肥満の割合が有意に高かった。一方,保護者の食知識について,認知度は20%未満であり,父親より母親は有意に知識が高かった。保護者の食知識と食意識(料理中の注意点)とは有意な関連が見られた。食意識が低い母親より,食意識が高い母親の子どもは肥満の割合が有意に低かった。
    【結論】中国児童の肥満を予防するため,児童及び保護者に対する飲食・栄養教育を行う必要性が示唆された。
研究ノート
  • 青江 誠一郎, 野崎 聡美, 菊池 洋介, 福留 真一
    2018 年 76 巻 1 号 p. 20-25
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/12
    ジャーナル フリー
    【目的】小麦全粒粉パン摂取後の血糖値上昇が,小麦粉パン摂取後と比較して抑制されるか検証する。
    【方法】空腹時の血糖値が正常な成人19名(男性10名,女性9名)を試験対象とした。糖質 50 gを含む小麦全粒粉パン(試験食)または小麦粉パン(対照食)を摂取し,摂取前および摂取後15分,30分,45分,60分,90分,120分の血糖値を測定した。試験はプラセボ対照無作為化単盲検クロスオーバー試験とし,主要評価項目はGlycemic Index(GI値),副次評価項目を各時点の血糖上昇値,最大血糖上昇値,血糖値上昇曲線下面積(IAUC)とした。
    【結果】グルコース溶液を基準とした場合,小麦全粒粉パンのGI値は65.2,小麦粉パンのGI値は73.0であり,小麦全粒粉パンは小麦粉パンよりもGI値が有意に低かった。小麦全粒粉パンを摂取した場合,小麦粉パンを摂取した場合と比較して最大血糖上昇値が有意に低く,IAUCが有意に小さかった。
    【結論】小麦全粒粉パンの摂取は,小麦粉パンの摂取と比較して健常者の食後血糖値の上昇を抑制する効果が確認された。
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