栄養学雑誌
Online ISSN : 1883-7921
Print ISSN : 0021-5147
ISSN-L : 0021-5147
49 巻, 4 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 疫学的アプローチを中心として
    廣畑 富雄, 富田 純史, 古野 純典
    1991 年 49 巻 4 号 p. 185-191
    発行日: 1991年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 三好 恵子, 笹島 道雄, 谷 武子, 殿塚 婦美子
    1991 年 49 巻 4 号 p. 193-204
    発行日: 1991年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    適温給食実現のための1方法として温蔵庫による料理の保温を取り上げ, その品質管理を前提に, 適温給食における作業管理について検討した。実験は, 庫内温度を50, 60, 70, 80℃に, 保温時間を30, 60, 90, 120分に設定して, 温蔵庫内の温度分布, 5種の料理の設定温度別の品温及び保温中の料理の品質変化についての分析を行った。結果は次のとおりである。
    1) 温蔵庫内の温度は, サーモスタットにより, 設定温度プラス20℃の変化を示した。その周期は設定温度により異なるが, 45~70分であった。
    2) 保温中の品温が庫内温度の変化に伴って変化した料理は, さばの立田揚げ, フライドポテトで, 変化のみられなかったものは, ハンバーグ, かぼちゃの煮物であった。料理により, 庫内温度の変化から受ける影響に違いがみられた。
    3) 料理の保温による重量及び水分変化は, 設定温度が高く, また保温時間が長いほど, 著しい傾向がみられた。保温による品質変化は, 水分蒸発の影響が大きいことが明らかになった。
    4) 保温による試料中の総ビタミンC残存率の変化は, 保温前の試料中含量の多少により, その傾向が異なった。含量の低かったフライドポテトでは, 著しい減少傾向がみられた。
    5) テクスチュロメーターによる測定の結果, 保温によって硬くなった料理は, さばの立田揚げ, フライドポテトで, 軟らかくなったものは, ピーマン油通しであった。
    6) 官能テストの結果, かぼちゃの煮物は保温による評価の低下はみられなかったが, その他の料理では明らかな低下がみられた。特に, 色, 外観の評価の低下が著しかった。
    7) 本実験の結果から, 5種の料理における, 温蔵庫保温による設定温度及び保温時間の限界は, ハンバーグでは各温度において30分, さばの立田揚げでは60℃で120分, 70℃及び80℃で60分, フライドポテトでは各温度で60分, ピーマン油通しでは60℃及び70℃で60分, 80℃で30分, かぼちゃの煮物では各温度で120分であった。
  • 4年間の時代的違いによる変化
    山岡 淑美
    1991 年 49 巻 4 号 p. 205-216
    発行日: 1991年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1982年及び1986年の両年度に, 京都市内の某栄養専門学校に在学する学生 (栄養士科, 1・2年生) の父親それぞれ194人, 163人について, 栄養摂取状況調査を実施し, 職業群別に4年間における変化を中心に検討し, 次の結果を得た。
    1) 全対象者については, 両年度ともにカルシウムの摂取量は所要量を充足しておらず, また両年度のビタミンB2と1982年のビタミンAは調理による損失を考慮すると充足されない状態であったが, その他の栄養素は充足されていた。
    2) ライフスタイルの異なるA群 (管理職I群: 従業員数30人以上の会社・団体・公的機関等の社長・重役・部長以上, 及び医師) とB群 (その他の群) を比較すると, 1982年のA群では肉類をより多く摂取し, また動物性たん白質, 動物性脂肪をより多く摂取しており, 肥満者が多かった。
    3) 4年後は, A群の肉食傾向及び肥満傾向は認められなくなるとともに, 緑黄色野菜類を比較的多く摂取するようになり, ビタミンB1も有意に多く摂取していた。
    4) 両年度を通じて他の職業と比較してより多く摂取していた食品群の主なものは, 農林漁業群では米・魚介類・淡色野菜類, 商工サービス業ではアルコール飲料, 専門技術職では豆類・果実類, 管理職では緑黄色野菜類, 事務職では肉類であり, 労務職ではより多く摂取していた食品群はなかった。
    5) 4年後において有意に多く摂取された栄養素等は, ビタミンA (管理職, 事務職) のみであった。有意に少なくなった栄養素等は, 食塩 (農林漁業, 管理職, 事務職), 糖質 (商工サービス業), 鉄 (専門技術職), ビタミンC (専門技術職) であり, 労務職では有意な変化はみられなかった。
    1982年から4年間の社会情勢の変化により, 成人病の現れ始める中年対象者は, 自らの食生活を見直し, 改善の方向へ変化しつつあると考えられる。それは食塩の摂取量が減少し, 緑黄色野菜類を多くとるようになり, A群の肥満が認められなくなったこと等により理解されよう。しかし, 本対象集団においても, カルシウム不足の問題などを克服するために, きめ細かな食生活指導が望まれている。
  • 松岡 良子, 米川 五郎
    1991 年 49 巻 4 号 p. 217-225
    発行日: 1991年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    カルシウム (Ca) 摂取推進のための教育内容及び教育・指導のあり方を検討する目的で, 昭和63年6~9月に, 愛知県下の小学生~社会人総計487人を対象に, Ca全般に関する知識・理解度をみる調査を, また, 愛知県下の別の高校生~社会人総計115人を対象に, 食品におけるCa含有量の量的な把握の正確度をみる調査を行い, 次の結果を得た。
    1) Ca含有食品として一般的に割合知られている牛乳や小ざかな類に対しては, 認識度は高かった。また,“牛乳”や, 小ざかな類の中の“しらす干し”に対しては, そのCa含有量を過大視する傾向があった。逆に, Ca含有食品としてはあまり知られていない“凍り豆腐”,“こまつな”に対しては, Ca含有量を過小視する傾向がみられた。
    2) Caの消化・吸収促進補助物質として挙げられるビタミンDを回答している割合は, 半数以下であった。
    3) Caの生理的機能と欠乏症については, 骨や歯に関する項目 (“骨や歯の組織を固くする”,“骨や歯の形成障害を起こす”) に対しては正答率は高かった。その他の機能 (“筋肉の収縮を助ける”,“血液を凝固させる”,“血液の酸・アルカリのバランスをよくする”) に対しては, 対象者の85%以上が知らなかった。また, 欠乏症である“骨粗鬆症”については, 年齢層が高いほど正答率が高いという傾向がみられた。
  • 関本 邦敏, 増岡 亨, 南郷 英明, 井上 肇
    1991 年 49 巻 4 号 p. 227-232
    発行日: 1991年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    本研究は, 腎不全で人工透析をしている10人の患者にヨード卵を毎日1個, 9か月間摂取させ, その間の脂質代謝について検討した。患者は26歳から59歳までの男性で, 8人が慢性糸球体腎炎, 2人がIgA腎症である。これらの患者の3か月ごとの血清総コレステロール及びトリグリセリド (TG) 値を調べた。
    全患者の血清総コレステロール値は, 開始時の188.6mg/dlから9か月目の164.4mg/dlまで減少した。
    一方, 10人の血清TG値は3か月間で297.9mg/dlから209.3mg/dlまで低下し, その後も9か月目まで190mg/dl程度で推移した。しかしながら, 開始時の値が200mg/dl以上であった7人の患者についてみると, 3か月間で392.7mg/dlから250.7mg/dlまで低下し, 9か月目では236.2mg/dlまで低下した。
feedback
Top