栄養学雑誌
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58 巻, 1 号
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  • 伏木 亨
    2000 年 58 巻 1 号 p. 1-4
    発行日: 2000/02/01
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
  • 料理選択能力及び運動期間との関係
    坂本 裕子, 三好 正満
    2000 年 58 巻 1 号 p. 5-14
    発行日: 2000/02/01
    公開日: 2010/02/24
    ジャーナル フリー
    カルシウム摂取の改善に向けて, 望ましい食事がとれる実践的な食事指導法を検討する目的で, 女子大生を対象に骨量と関連づけた調査を行った。新しい試みとして写真を用いた視覚的イメージによる料理選択能力を調べ, 主菜とともに選択された副菜の合計栄養素等量を算出し, 3日問の食事調査や運動状況とともに, 踵骨骨量とその1年間の変化との関連性を調べ, 次の結果を得た。
    1) 3日間の食事調査結果から, カルシウム摂取量は調査両年ともに平均では栄養所要量を満たしておらず, 個人間の偏りが大きく, 牛乳からの摂取割合が高かった。
    2) 1996年度のS値とS値の1年間の差は, 食事調査から求めた栄養素等摂取量に対しては有意な関連は認められなかったが, イメージ調査で選択された料理のカルシウム量等との間には正の相関が認められた (p<0.05)。また, S値は大学での運動期間 (p<0.01) と中学校から1996年の調査時までの通算の運動期間 (p<0.05) に, S値の1年間の差は同じ1年間の運動期間との間に有意な正の相関が認められた (p<0.05)。
    3) 対象者全員からS値の上下各20パーセンタイルの者を抽出した上位・下位群と, S値の1年間の差に4以上変化のあった者を抽出した上昇・下降群を取り上げたところ, 上位あるいは上昇群で3日間の食事, イメージ調査及び運動期間の項目に高い傾向が認められた。また, S値の上位群のほうが副菜の選択数が多く (p<0.01), 高カルシウム副菜の割合も有意に高かった (p<0.01)。
    4) イメージ調査におけるカルシウム摂取量でも, 上位群のほうがS値とS値の1年間の差がともに有意に大きく (p<0.05), 料理選択能力の高い者のほうが骨量も高いことが示唆された。従って, 運動に加えて食事を組み立てるイメージ力を高める食事指導が, 骨量を高めることにも有効であろうと考えられることから, 食材や料理を通して望ましい食事像を描く能力の評価法の信頼性を更に高める一方, その能力を高める食事指導法の開発が望まれる。
  • 栄養指導における医療費削減効果
    足立 香代子, 出川 敏行
    2000 年 58 巻 1 号 p. 15-22
    発行日: 2000/02/01
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
    Mark・Wilson らの費用-効果分析法を参照して, 外来通院中の高脂血症患者の治療として行った栄養群 (N群: 83), 栄養薬物群 (N-D群: 17), 薬物群 (D群:20) の別に, 総コレステロール (TC)高値例 (高TC例; TC≧220mg/dl), トリグリセリド (TG) 高値例 (高TG例; TG≧150mg/dl) を対象に, 12か月後の効果と年間費用〔生活習慣病とそれに伴う疾患治療のための全薬物料と処方箋料, 調剤料, 栄養指導料 (月1回当たり1,000円) の医療費の総和〕及び費用効果を評価・検討した。
    全対象における年間費用は, 合併症の件数・薬物数と相関し, N群では42,122円となり, N-D群・D群と比べ約9万~10万円少なかった。
    高TC例全例では, 治療法によるTC低下率には差異を認めなかったが, 治療前のTCが<260mg/dl例では栄養群が-14.8±10.9%で, 薬物群の-4.7±9.7%に比し明らかに大きかった (p<0.04)。N群ではN-D群・D群に比べてTC≧10%低下者の割合は7~8%多く, 費用効果費は61,748円となり, 約14万~16万円少ない費用で効果が得られた。10,000円当たりで得られる効果者の割合もN群では16.2%で, ほかの治療法より約11~12%多く, 効果者を1%作るための費用は617円となり, 約1,400~1,600円少なかった。TC<260mg/dlの例ではN群がD群に比し低下率が大きく, <65歳では≧65歳に比べて年間費用は少なかった。
    高TG例におけるTG低下率は, 各治療法間に差がみられなかったが, N群・N-D群ではD群より多い傾向にあり, TG≧10%低下者割合も栄養指導を行った群で多かった。その結果, 費用-効果費は, N群では54,367円で, N-D群より約8万円少なく, D群に対して約18万円少ない費用で効果を得た。
    治療前のTC<260mg/dl, <65歳, 高TG例に対するN群では, N-D群・D群に比べて安価で大きな効果が得られ, 冠動脈疾患, 重篤な合併症がない限り, 食事療法を第1選択肢にすることにより医療費削減が図れることが示唆された。
  • 丸山 彰子, 高橋 智子, 渡辺 敦子, 大越 ひろ
    2000 年 58 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 2000/02/01
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
    本研究では, 粘稠な液状食品の力学的特性を更に的確に把握できる測定方法を検討し, 飲み込み特性に反映できるような簡便な測定方法の検討を行った。
    1) 測定条件を1点で行った場合, 硬さが等しいと評価されたグアガム系試料とでんぷん系試料の飲み込み特性を比較すると, でんぷん系試料がグアガム系試料に比べ, 飲み込みやすいことが示唆された。
    2) 粘稠な液状食品の見かけの硬さは圧縮速度依存性を示し, 圧縮速度依存指数は, でんぷん系試料がグアガム系試料に比べ, 低値を示した。同様に見かけの粘度は回転数依存性を示し, 回転数依存指数は, でんぷん系試料がグアガム系試料に比べ, 低値を示した。
    以上のことより, 粘稠な液状食品の飲み込み特性を把握できる力学特性 (硬さ及び粘度) の測定方法としては, 従来行われていた1点のみの測定条件に, もう1点加えることで, より的確に飲み込み特性を反映できる力学的特性が得られるといえる。
  • 木林 悦子, 上野 恭裕, 鏡森 定信
    2000 年 58 巻 1 号 p. 29-36
    発行日: 2000/02/01
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
    生活習慣が, がん・脳卒中・心臓病などの発症・進行に深く関わっていることから, 小児期からの生活習慣病予防の必要性が指摘されており, 実際に生活習慣病危険因子とされている肥満や高コレステロール値の予防は, 正しい食生活をできるだけ早い時期から習慣づけて教育することが望ましいと考えられている。そこで, 幼児期からの食育・栄養教育の早期化の徹底を図り, 集団保育施設 (幼稚園・保育所) における実態を調査した結果, 以下の結論を得た。
    1) 幼稚園と保育所では, 昼食形態や食育・栄養教育に違いがあり, 幼稚園では, 幼児に対する食育・栄養教育のウエイトが保育所に比べ低かった。
    2) 回答が得られた集団保育施設のうち, 栄養士がいない施設は77.1%であった。また, 栄養士がいる集団保育施設で, 栄養士が行っている業務として, フードサービス (食事提供) 以外に幼児への食生活・栄養教育を行っているところは25.0%であった。
    3) 現在の集団保育施設側の母親に対する幼児の食生活についてのコミュニケーション内容について, 50.7%が“十分でない”と感じており, その理由として50.0%が“母親などへの幼児のための食・栄養教育”が不十分であると答えていた。また,“母親などへの幼児のための食・栄養教育”の必要性を感じている施設では, ほかの理由を答えた施設に比べ, 食育・栄養教育の取り組み程度が高いことから, 幼児に対する食育・栄養教育が熱心に行われていることが示唆された。
    4) 集団保育施設内における食育・栄養教育の取り組み程度とその満足度に関連が認められなかったことから, 幼児に対する食育・栄養教育に対する考えに統一性がなく, 集団保育施設による違いが大きいことが示唆された。
    以上, 幼児期からの食育・栄養教育の早期化の徹底を図るためには, まず, 集団保育施設側にその必要性について, 十分理解してもらう必要がある。また, 食生活や栄養に関する専門家として, 栄養士が幼児の母親に幼児のための食育・栄養教育を行う機会を設けるような集団保育施設と母親とのコミュニケーションの必要性も示唆された。
  • 原 正俊
    2000 年 58 巻 1 号 p. 41-42
    発行日: 2000/02/01
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
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