【目的】勤労者における目標指向性と生活習慣の関連を検討するために,目標指向性の高い者と低い者の生活習慣を比較すること。
【方法】2011年8月,A社健康保険組合の被保険者4,462名を対象に横断的な自己記入式質問紙調査を実施した。質問項目は,属性,体格,目標指向性,健康を考えた生活,生活習慣であった。目標指向性は「将来のためを考えて今から準備していることがある」などの5項目(5段階)でたずね,合計得点を算出した。男女別に,目標指向性の合計得点の中央値で対象者を2群に分け,中央値以下の者を低群,中央値より高い者を高群とした。この2群の属性,体格,健康を考えた生活についてχ
2検定,
t検定を用いて比較した。さらに,目標指向性を従属変数,生活習慣を独立変数に投入し,単変量・多変量ロジスティック回帰分析を行った。
【結果】有効回答者は3,031名(67.9%)で,男性が1,258名(41.5%)だった。年齢は40歳代が最も多かった(926名,31.8%)。目標指向性の高群は低群と比べて,男女ともに同居している者,既婚の者が多く,BMIは有意な差がなかった。また,高群の方が健康を考えた生活ができていると回答した者の割合が高かった。生活習慣は,多変量解析の結果,高群には,男性では身体活動を1時間以上行っている者[オッズ比(95%信頼区間)=1.85(1.37~2.48)],女性では飲酒量が1合未満の者[1.41(1.12~1.78)]の割合が高かった。
【結論】目標指向性の高群は,男女ともに健康を考えた生活ができているという認識をもち,生活習慣では,男性は身体活動が多く,女性は飲酒量が少ないという特徴が示された。
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