1) プロトペクチナーゼを利用することによって, 野菜の二次機能特性 (香り・味) を改良し, 通常の野菜より喫食しやすい野菜加工品を作ることを目的とした実験から, 以下の結果を得た。
2) 従来の機械摩砕野菜 (MDV) の細胞壁が破砕されているのに対して, 単細胞化野菜 (SCV) は細胞壁が破壊されていない。従って, MDVと比較するとSCVは野菜特有の香りを少なく, 熱・低pHの影響を受けにくいので退色しにくい。
3) SCVはMDVと比較して表面張力・界面張力が低いので, 空気や油と分離しにくい。従って, SCVは牛乳, スープ, ヨーグルト, アイスクリーム, パン等に添加しやすく野菜利用の適用範囲が広がるものと考えられる。
4) SCVはペプシン, キモトリプシンによる分解性がよく, 幼児食, 病人食, 老人食等に利用できると考えられる。また, SCVを他の食品に添加することによって, ビタミン, カロテン, 繊維等の野菜が本来もつ栄養価を補給でき, 栄養バランスの改善が可能になると考えられる。
5) SCVは一定の大きさの粒子が偏在しているため, 喉ごしがよいと考えられる。また沈殿も起こりにくいので, 従来の加工方法のようにジュース製造時に, 繊維質を除去する必要がなく, 野菜の繊維質を有効に摂取できるようになる。そのため, 野菜のしぼりかすも無駄なく利用できる。
以上の結果から, プロトペクチナーゼにより野菜を処理することによって, 緑黄色野菜の2次機能特性を改良することができると考えられる。
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