乳幼児, 小学生, 中学生を対象とした文献のうち栄養素摂取量の記載があるもの176報をとりあげ, 年次別出現数, 調査の主題, 同時調査項目および栄養素・食品群別摂取量などについて経年的にその推移を考察した。
1) 1940年以降1975年に至る35年間のうち文献の最も多く出現している年代は1966~1975年であった。
2) 発育期に該当する調査対象のうち文献の最も少ないものは, 中学生を対象としたものであった。
3) 乳幼児, 小学生, 中学生に共通している調査の主題および同時調査は栄養素・食品群別摂取量をはじめ発育と栄養, 身体状況, 生活時間, 嗜好, 弁当, アミノ酸, 間食などであった。また特色ある調査項目としては, 乳幼児では, 離乳食, 食形態, 小学生では, 肥満, たん白価・アミノ酸, 中学生では, 貧血, 臨床検査, 欠食などがとりあげられていた。
4) 年次により増加していく傾向のみられる栄養素は, いずれのライフステージにおいても動物性たん白質と脂肪であった。なお乳幼児では, エネルギー, たん白質, VA, VB
1, VB
2であり, 食品群では, 油脂類, 肉類, 卵類, 乳類, 淡色野菜, 果実類であった。小学生ではVB
1とVB
2, さとう類, 油脂類, 肉類, 卵類, 菓子類であった。中学生では, エネルギー, たん白質, 糖質であった。
5) 減少傾向を示す食品群はいずれにおいてもいも類, 大豆類, 緑黄色野菜であった。さらに小学生では, エネルギー, 糖質, 穀類, 魚介類, 乳類中の脱脂粉乳があげられ, 中学生では, VB
1であった。
6) 調査文献の報告者により指摘された不足栄養素はいずれのライフステージにおいてもVA, Ca, VB
1, 動物性たん白質の順にあげられていた。また不足食品群は, 緑黄色野菜, 乳および乳製品であった。
以上, 乳幼児, 小学生, 中学生を対象とした栄養調査文献を収集・分類し, 内容について概観してきたが, これは従来より日本において数多く行われてきた栄養調査について, ある“まとめ”をしようとしたものである。このことが, ひいては栄養指導の体系化のステップとして活用されることを願うものである。
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