KClとNaClの混合割合を, 0:100, 20:80, 40:60, 60:40, 80:20, 100:0の6種のK塩添加食塩を用いて, 白菜, きゅうり, 大根を塩漬けし, K, Na, Ca, Mg, アミノ態窒素, 有機酸の測定を行うとともに, 官能検査により嗜好的な受け入れられやすさを検討した。また梅漬についても, K塩を添加したときの嗜好を検討した。
1) K, Naは, 使用するK塩添加食塩中のK, Na量に比例して漬物中に浸透した。
2) Ca, Mg, アミノ態窒素, 有機酸については, これらの測定値とK塩添加食塩中のK量との間に相関が認められず, K塩添加食塩中のK量によって影響をうけることはないと推察された。
3) 官能検査の結果, 色については, K添加量間に有意な差は認められなかったが, 香り, 味, テクスチャー等では, 全般にK量が増加するに従って好まれない傾向がみられた。総合評価は, 100%, 80%K塩添加食塩を用いたものは, NaCl100%のものに比べて, 危険率1%で有意に好まれなかったが,60%K塩添加食塩は有意差が認められなかった。また, 20%K塩添加食塩を用いたものは, 単純に塩からいだけでなく, 複雑な味わいがあるとして,NaCl100%のものよりも, より高い評価を得た。なお, K塩添加量が増加するに従い, 味は苦味を帯びた鹹味を呈するKCl特有の嫌味が強まり, また漬日数が長くなるに従い, 色はわずかながら黒ずみ, テクスチャーは歯ごたえを失って軟弱化する傾向がみられた。
4) 20%とK塩添加食塩量が多い梅漬については, 総合評価においてNaCl100%のものに比べ, 60%K塩添加食塩のものは危険率1%で有意に好まれなかった。
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