思春期栄養のあり方を検討する一助として女子高校生の食生活ならびに食事調査を実施した。
食生活調査は741名を対象とし, 食事調査は年間4回, 延89名につき週日3日間連続の調査を行なった。
(1) 食生活調査においては肥満とみなされる者は僅か2%であったが約43%が肥満予防の目的で節食していた。
(2) 朝食を摂らない者, 摂らないことが多い者を合わせると約20%におよぶ。
(3) 間食の回数には問題がなかったが夜間に間食する者が多く, これが朝の食欲不振を招いているようである。
(4) 味覚の面からは香辛性の強いものや油っこいものは好まれず, 甘味や塩味の濃いもの, 酢っぱいものが好まれていた。
(5) 栄養剤は約半数が全然使用していなかった。
(6) 2/3が栄養知識に関心を示しており, 食品の選択に際しても, 栄養知識を活用していた。
(7) 食事調査の結果 熱量摂取は所要量を下回り, 消費熱量が摂取量を上回っていた。
(8) 蛋白質は質, 量ともに望ましい傾向を示していた。
(9) 無機質ではカルシウム, 鉄が所要量を下回っていた。
(10) ビタミンはCのみが十分であったが, 他は調理の損失を考慮すると不足の傾向にあり, 特にビタミンAの不足が顕著であった。
(11) 食品群別摂取量では穀類が少なかったが, 砂糖類, 油脂類は少なくなかった。果実類, 獣鳥肉類, 卵などは十分摂取されていたが緑黄色野菜, 乳・乳製品は不足していた。
(12) 以上の結果から思春期女子に特有な問題点について適切な栄養指導がなされるならばさらに健康の増進, 体力の増強が期待できると考えられる。
本調査には昭和44年文部省科学研究助成金が交付され, 調査結果の一部については第24回日本栄養食糧学会総会において報告した。
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