1) 生後40日の白ねずみを安静群と運動群に分け, 前者は運動を制限し, 後者には自由に水車を回す運動をさせながら, ビタミンEないし多量のリノール酸を単独または同時に60日間投与し, 最後にトレッドミル走行試験と遊泳試験を課して, ビタミンEとリノール酸多量摂取時の抗疲労体力増強作用を検討した。
2) トレッドミル試験で運動群は安静群の倍の距離を走り, 平素の訓練の成果が体力試験の成績によく反映された。
3) ビタミンEとリノール酸の多量摂取は運動群の走行距離を幾分のばす傾向がみられたが, 統計的有意差は認められなかった。
ただし, ビタミンEと多量のリノール酸の併用は各単独投与の場合と成績に差がなく, 小麦胚芽油の強い効力の一半が大量のリノール酸摂取にあるとの考えは否定された。
遊泳試験の成績は個体間のバラつきが大きく群間で実験条件による一定の傾向が認められなかった。
4) 運動ねずみで副腎の肥大が顕著であったがビタミンE, 大量のリノール酸摂取ともこの傾向に何ら影響を与えなかった。
5) ハイドロキシプロリンの尿中排泄量は雄ねずみの性的成熟が始まる60日齢近辺で一時的に増加することが認められ, 白ねずみでも人間と同様の思春前期に一過性に骨コラーゲンの代謝亢進があると思われる。
ただし, ハイドロキシプロリン排泄に, 運動, ビタミンE, リノール酸多量摂取の影響はみられなかった。
6) ビタミンE無添加の牛脂投与群にのみビタミンE欠の兆候が認められた。ただ平素の運動がビタミンE欠の発現を促がすとの証拠はえられなかった。
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