栄養指導活動に従事する栄養士に必要な技能の1つが献立作成である。栄養士養成課程では, 学生がこの技能を身につけられるように教育がなされる。しかし, 食生活環境が変貌する中で, 学生の食事作りの体験, 食事に対する関心が変化し, それとともに, 栄養士養成課程で学習する知識と技術の教育効果が異なってきていると考えられる。その実態を明らかにするため, 管理栄養士課程の103人を対象に, 献立作成にかかわる各種の要素を取り上げて調査を行った。
1) 中学・高校時代に家庭で食事作りをほとんどしなかった者の割合は, 70%と高率であった。
2) 9つの食品群を取り上げ, それに属する食品を列挙させた時, 挙げられた食品数は44±7品目であった。10品目の食品を取り上げ, 想定できる料理名を列挙させた時, その数は36±6品目でしかなかった。
3) 20品目の料理と食品の重量を目測で推定させたところ, 正解率は38±10点と低く, また, 食品の単位価格の正解率は74±9点と高かった。
4) 料理の名称と内容が定式化され, 中学・高校, 大学の教科書に記載されている67品目について, 全ての料理を作ることができると回答した者は3人であった。一方, 食べたことがない, 作れない, どんなものかわからないと回答した者もあった。また, 50%以上の者が作ることができると回答した料理は46品目であった。
5) 67品目の料理の習得場別で, 50%以上の者が家庭で習得したとした料理が19品目, 学校が12品目, マスメディアが2品目であった。
6) 食品, 料理の種類数, 作ることができる料理数の多い者は, 食事作りをよくしている者が多かった。また, 家庭での料理の習得数の多い者は, 作れる料理数が多く, 食事作りもよくしていた。
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