新鮮大豆油とその変敗油 (Po. V 98-6および512.1) の飼育ラッテにカゼインに混ぜたS. Bをそれぞれ体重100g当たり20mgおよび50mgを毎日補充し, 然らざるラッテとについて飼育開始後60日目のラッテ3匹ずつを断頭し, 直ちに肝臓をとりだし, その重量, 抽出油脂量, 脂肪酸組成などについて検討した。
1. 新鮮油飼育ラッテに比べ, 変敗油で飼育したラッテの方が肝臓重量大きく, また抽出油脂量も多い。その傾向は油脂の変敗度が高いほど大である。
S. Bを補充投与してラッテは, 変敗油の飼育のみに比べ肝臓重量および抽出油脂量は低い。
2. 肝臓中の脂肪酸組成は, 新鮮油の飼育ラッテに比べ, 変敗油の飼育ラッテではC
16F
1, C
18F
1, C
18F
2らの脂肪酸が少なくなり, 逆にC
16, C
18F
3らの脂肪酸が多くなる。S. Bを補充投与すれば, 変敗油飼育のみに比べ, C
16F
1とC
18F
3は僅かに減少する。
飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との割合は, 新鮮油飼育ラッテで47.8%と52.2%, 変敗油飼育ラッテで59.3%と40.7%, 変敗油にS. Bを補充したラッテでは52.3%と47.7%で, 変敗油飼育ラッテはコントロールに比べ不飽和度が低くなり, 飽和度が高く, S. B補充の場合, 新鮮油飼育ラッテの脂肪酸組成の割合に近づく。
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