日本植物病理学会報
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60 巻, 1 号
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  • Hiroshi MATSUOKA, 久能 均, 小林 一成
    1994 年 60 巻 1 号 p. 3-12
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    エンドウうどんこ病菌Erysiphe pisiの分生胞子を,非宿主であるオオムギの子葉鞘に接種し,その感染行動と子葉鞘細胞の反応を微細構造的に解析した。接種した子葉鞘を光学顕微鏡で観察し,侵入前,侵入開始30分後または15∼16時間後に化学固定した。侵入前に固定した試料では,菌付着器の細胞壁のうち子葉鞘表面に接している側は扁平で薄くなっていたが,子葉鞘細胞内には顕著な変化は認められなかった。侵入開始後30分目に固定した試料を観察したところ,付着器からの侵入菌糸が子葉鞘細胞壁を貫穿し,その菌糸先端部はパピラで覆われていた。パピラ周縁部の細胞質には多数のスフェロゾームが認められ,一部のスフェロゾームの膜はパピラ周縁の細胞膜に結合し,高電子密度の内容物をパピラ内に放出していると考えられる様相を呈していた。スフェロゾームは中心部に高電子密度物質を含み,その物質の周囲に低電子密度層を有していた。パピラは高電子密度物質と低電子密度物質とが層状に混在する様相を呈していた。電子密度の異なるこの様相は,細胞膜に結合したスフェロゾームから放出される高電子密度物質と低電子密度物質に由来すると考えられた。侵入開始後15∼16時間に固定した試料でも,パピラ周縁の細胞膜に結合し内容物を放出しているスフェロゾームが依然として観察された。また,この試料で観察されたすべてのパピラは,侵入開始後30分で固定した試料のそれよりも大きく,層状構造が一層明瞭になっていたので,菌が侵入を開始してから少なくとも15∼16時間はパピラは発達し続けていると推察された。既報のように,E. pisiが子葉鞘細胞に侵入を試みると細胞内に強い拒否性が誘導され,その後少なくとも24時間は拒否性状態が持続する。パピラ形成に関わる代謝の継続的な活性化が,長時間の拒否性の持続に関与していると推察された。
  • 上野 ベルナルド, 寺岡 徹, 細川 大二郎, 渡辺 實
    1994 年 60 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    トマトかいよう病細菌Clavibacter michiganensis subsp. michiganensisの萎ちょう毒素に耐性のトマトカルス細胞を選抜し,かいよう病抵抗性個体を作出することを目的とし,まず,トマト植物体及びカルス培養細胞に対する病原細菌の病原性と毒素の生物活性を比較検討した。カルス培養細胞と細菌との混合培養において,感受性品種由来のカルス細胞の死滅率が抵抗性品種由来のカルス細胞より明らかに高かった。また,病原細菌培養ろ液から30∼40%飽和硫安塩析で抽出した粗毒素をカルス懸濁培養に添加した場合も同様な反応が認められた。これらの結果は,接種試験で植物体が示した各品種の抵抗性程度とほぼ同様であった。熱無処理と熱処理(120°C, 5分間)した粗毒素をトマト切り苗に吸収させた結果,抵抗性,感受性品種とも同様に苗の蒸散率を20∼30%に減少させて,萎ちょう症状を誘起したが,熱処理毒素の活性は若干低かった。この結果から,本毒素活性に多糖質のような耐熱性成分に加えてタンパク質のような熱不安定な成分が関与する可能性が示唆される。
  • 合成周縁キメラ‘FN-1’と‘NF-3’の果実組織のキメラ性と品種構成
    大津 善弘, 久原 重松
    1994 年 60 巻 1 号 p. 20-26
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    病害抵抗性を賦与する目的で作出した‘福原オレンジ’(F)と‘川野なつだいだい’(N)の人為的周縁キメラ植物‘NF-1’と‘NF-3’の組織構成を簡易に同定する試みを行い,以下の結果を得た。‘NF-1’と‘NF-3’の果実組織のキメラ性および品種構成を明らかにするために,組織別のフラバノン配糖体4成分を高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で分析した。‘NF-1’では,砂じょう(茎頂起原層第1層)はNのそれと非常に類似したクロマトグラムを示した。表皮細胞層(第I層)および太い維管束(第III層)を除いた内果皮(第IIおよびIII層),じょうのう膜(第IIおよびIII層),種子(第II層)と太い維管束(第III層)はFのそれらのクロマトグラムとそれぞれ良く類似した。‘NF-3’では,砂じょう(第I層)はFのそれと良く類似したクロマトグラムを示し,内果皮およびじょうのう膜(共にIIとIII),種子(II)と太い維管束(III)はNのそれらのクロマトグラムとそれぞれ良く類似した。以上の結果から,‘NF-1’は果実の起原層I-II-IIIがN-F-Fであり,‘NF3’はI-II-IIIがF-N-Nである,それぞれ周縁キメラであることが明らかになった。‘NF-1’の学名にCitrus sinensis+natsudaidaiを,‘NF-3’のそれにC. natsudaidai+sinensisを提案する。また,‘NF-1’の新しい品種名として‘FN-1’を提案する。果皮および果肉の母品種のフラバノン配糖体4成分の割合構成はキメラの果皮および果肉においても良く似たそれらの割合構成を発現していた。このことから,第IIおよびIII層に病害抵抗性品種の組織を,第I層に高品質品種の組織を導入すれば,作出したキメラの果実においても,病害抵抗性および高品質が良く発揮されるものと思われる。
  • 津下 誠治, 小林 括平, 中屋敷 均, 奥野 哲郎, 古澤 巌
    1994 年 60 巻 1 号 p. 27-35
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    クローニングされたカリフラワーモザイクウイルス(CaMV) DNAを,トランスアクティベーターとして機能することが知られているCaMVのオープンリーディングフレーム(ORF) VIの産物を発現するプラスミドとともに,ポリエチレングリコール法を用いてコマツナプロトプラストに接種することにより,最高約50%の感染率が得られた。また,感染プロトプラストからは,ウイルスタンパク質,および子孫ウイルスDNAも検出可能となった。この系を用い,植物体で感染性を失った3種のCaMVのORF I挿入変異体の,コマツナプロトプラストへの感染性を調べたところ,ウイルスDNA,タンパク質ともに,野生株と同程度に蓄積していることが確認された。この結果は,CaMVのORF I産物が,ウイルスの細胞間移行性に関与するタンパク質であり,CaMVの一細胞での複製,増殖には関与しないということを強く支持するものである。
  • 権 純培, 佐古 宣道
    1994 年 60 巻 1 号 p. 36-44
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    宮崎県で栽培されている萎縮症状を呈したラッキョウからTMVと思われる1ウイルスが分離された。この株は普通系(TMV-OM),トマト系(-L),トウガラシ系(-P)およびヤチイヌガラシ(-C)と異なる寄生範囲を示した。すなわち,本実験に用いた4種のAllium属植物に感染性が認められたが,トマトには感染性を示さなかった。また,供試した3種のNicotiana属植物での病徴はTMV-OMと類似していたが,タバコの品種Bright Yellowには全身病徴あるいは局部病斑を示さず,接種葉のみで極めて少量の増殖をした。このウイルスは粒子の形態,耐熱性,耐希釈性,耐保存性さらに外被タンパク質とゲノムRNAの分子量においてTMV-OMとほぼ同一であった。しかし,本株の血清学性質は寒天ゲル内二重拡散法,intragel cross absorption test, DAS-ELISA法でTMV-OM, -Lおよび-Pと異なっていた。以上の結果から,この分離株はTMVの新しい1系統であると考えられたので,TMV-ラッキョウ系(TMV-R)と命名するよう提案したい。
  • 田中 伸和, 岡 穆宏
    1994 年 60 巻 1 号 p. 45-52
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    日本産Agrobacterium rhizogenes MAFF 03-01724株(メロン毛根病菌)のミキモピン型毛状根誘発プラスミドpRi1724のT-DNA上に,アジュガおよびタバコのリーフ・ディスクに毛状根を誘発する9.5kbのBamHI断片を見いだした。この断片上にはアグロピン型毛状根誘発プラスミドpRiA4b上の毛状根誘発に関与するrolA, rolBおよびrolC遺伝子と相同性の高いDNA配列が存在し,その相対的位置も同様であった。以上のことから,pRi1724上には,pRiA4bのrolA, rolBおよびrolC遺伝子と構造的にも機能的にも同様な遺伝子が存在することが示された。
  • 佐藤 章夫
    1994 年 60 巻 1 号 p. 53-59
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ジャガイモ疫病菌(Phytophthora infestans)遊走子のう(胞子)の懸濁液を調製して間接発芽(発芽)適温の14°Cに置いても,形成直後の若い胞子は発芽に長時間を要した。懸濁液を発芽不適温度の22°Cに6時間以上置いて胞子の齢を進めてから14°Cに置くと,ほとんどすべての胞子が1時間以内に発芽した。したがって,遊走子のうは形成直後は速やかに発芽する能力を持たず,一定の時間を経過してその能力を獲得すると考えられたので,この現象を「成熟」と称した。成熟は胞子を形成しているコロニー上でも懸濁された水中でも進み,成熟に好適な温度は18∼22°Cであり,これらの温度における成熟所要時間はおよそ6時間であった。26°C以上の高温と15°C未満の低温では成熟が抑制された。また成熟胞子の持つ速やかに発芽する能力は,26°C以上の高温の水中では速やかに失われた。
  • 佐藤 章夫
    1994 年 60 巻 1 号 p. 60
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ジャガイモ疫病菌の遊走子のうを間接発芽を行わない温度(22°C)の水中で加齢して成熟させ,これを14∼20°Cに置いて間接発芽の時間経過を調べたところ,それぞれの水温で発芽可能な胞子は速やかに発芽し,残る胞子の発芽は強く抑制された。このことは胞子によって異なる発芽上限温度を持つことを示しているようである。また,気温(12∼26°C)と時間(16, 24, 48時間)を異にした培養条件下で形成された胞子を用いて,16∼24°C, 1°C刻みで間接発芽試験を行い,発芽曲線を比較したところ,胞子の形成温度によって発芽の上限温度が顕著に異なり,胞子形成温度が高いほど間接発芽上限温度も高かった。培養時間でも若干の影響が見られ,ごく若い胞子は加齢の進んだ胞子より間接発芽上限温度が低かった。
  • 山田 哲治, 林 昌治, 中塚 幸子, 村谷 恵子, 加藤 久晴, 白石 友紀
    1994 年 60 巻 1 号 p. 66-73
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    エンドウ品種ミドリウスイの胚軸にエンドウつる枯病細菌の親和性レースを接種した場合,非親和性レースを接種した場合に比べて,ピサチンの蓄積が著しく抑制された。この結果は,胚軸組織におけるフェニールアラニンアンモニア・リアーゼ-mRNAの蓄積抑制にも反映されていた。親和性関係にあるエンドウつる枯病細菌の培養ろ液に分泌される低分子物質は品種ミドリウスイに対するピサチン蓄積抑制効果を発揮するが,非親和性レースではピサチン蓄積抑制効果が見られなかった。エンドウつる枯病細菌におけるレース・品種特異性と宿主の防御反応の抑制との関係を論ずる。
  • 後藤 正夫, 高垣 真喜一, 小寺 敦, 瀧川 雄一, 露無 慎二
    1994 年 60 巻 1 号 p. 74-81
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    P. glumaeは菌株により500∼1,000μg/mlのベノミルを含むジャガイモ・ブドウ糖寒天培地で増殖したが,1,500μg/ml以上では完全に成育が抑制された。P. glumaeに対するベノミルの成育抑制は静菌作用によるものであった。P. glumaeの培養にはベノミル耐性菌が種々の頻度で混在し,それらは何れも強い病原性を示した。イネ苗腐敗病の発生はベノミル剤の種子粉衣によって効果的に抑制されたが,表面消毒した種子ではこの効果はみられなかった。ベノミル剤粉衣種子では,P. glumaeの増殖抑制が起こる一方,腐生細菌,特にfluorescent pseudomonadsの顕著な増殖がみられた。非処理対照種子ではこれとは全く逆の菌数変化がみられた。これらのfluorescent pseudomonadsは培地上で,P. glumaeに抗菌活性を示すものが多く,イネ苗腐敗病の発生を効果的に抑制した。この細菌はその主な細菌学的性質からPseudomonas fluorescensと同定され,液体培地中で抗菌物質の生成が確認された。この結果,P. glumaeによるイネ苗腐敗病に対するベノミル剤の効果は,主として薬剤処理により選択的に増殖するP. fluorescensの抗菌活性によるものと考えられた。
  • 大津 善弘
    1994 年 60 巻 1 号 p. 82-88
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    病害抵抗性を効率的に付与する方法を開発するために,CTVに抵抗性の‘川野なつだいだい’(N)を起原層第IIおよびIII層に組入れる方向性をも持たせた設計で,周縁キメラの効率的作出を試みた。Nと‘福原オレンジ’(F)の実生を寄せ接ぎし,胚軸の各接合部を横に切断した後,Nの胚軸を茎の方向に対して60度の角度をつけてさらに切断した。その胚軸の切断面を植物ホルモンの配合液で処理し,パラフィルムを被せた後,明るい実験室内で育てた。両品種の境界に近いN上の切断面に生じた不定芽一個を選び温室で育てた。50μMジベレリンA3, 1μM 6-ベンジルアデニンおよび1μM α-ナフタレン酢酸の配合液を処理した区からキメラが極めて効率的に得られた。このキメラの構成品種は,筆者の開発した簡易法による分析結果から第IIおよびIII層がNから成り,第I層はFから成ると推定された。本研究により,カンキツの起原層第IIおよびIII層にかいよう病およびCTVに抵抗性の組織を簡易に導入する手法が確立されたが,本作出法を以後DHS法と呼称したい。また,このカンキツ合成周縁キメラの学名としてCitrus natsudaidai+sinensisを,品種名として‘NF-5’を提案する。
  • 古賀 博則
    1994 年 60 巻 1 号 p. 89-98
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    穂首へのいもち病菌の侵入・伸展過程を明らかにするために,イネいもち病菌菌株北1を感受性イネ系統ZTS(藤坂5号)の穂首に点滴接種し,その後経時的に感染部位を走査および透過型電子顕微鏡で観察した。透過型電顕用の試料の樹脂包埋では長時間樹脂浸透を行うことによって,良好な電顕像が得られた。出穂2日後に接種した穂首を観察した結果,接種24時間後にはいもち病菌は角皮侵入によって表皮細胞内に侵入しているのが高頻度で認められた。接種48時間後には,侵入菌糸は厚膜細胞組織や柔細胞組織に伸展しているのが認められた。接種4日後には,いもち病菌の侵入菌糸はほとんどの組織で蔓延しており,柔細胞組織は崩壊し,維管束や厚膜細胞組織など硬組織のみが形態をとどめていた。分生子柄の形成は接種4日目から認められた。
  • 津田 新哉, 藤澤 一郎, 花田 薫, 日高 操, 肥後 健一, 亀谷 満朗, 都丸 敬一
    1994 年 60 巻 1 号 p. 99-103
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Reverse transcriptase-polymerase chain reaction (RT-PCR)法を用いてアザミウマ1頭からTSWV (O系統)SRNAの検出を試みた。精製TSWV RNAでは予想される増幅長に一致する約800塩基対のシグナルが認められた。検出されたシグナルは,S RNAをプローブとしたサザンハイブリダイゼーションとダイデオキシ法によるDNAシークエンシングから,S RNAを鋳型にしたcDNAと同定された。ダイズウスイロアザミウマ(Thrips setosus)の若齢幼虫をダチュラ(Datura stramonium)またはピーマン(Capsicum annuum)の病葉上で2時間獲得吸汁させた後,健全ササゲに移し,約10日後羽化した成虫を1頭ずつ健全ピーマン幼苗で2日間接種吸汁させて伝搬の有無を調べた。次いで,接種吸汁させた成虫1頭ずつから全RNAを抽出してRT-PCR法で検出した結果,TSWVを伝搬した雌雄すべての個体からシグナルが検出され,伝搬しなかった個体からもまれに検出された。以上から,本法は媒介虫(アザミウマ)からのウイルス検出に有用と思われる。
  • 守川 俊幸, 野村 良邦
    1994 年 60 巻 1 号 p. 104-106
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    富山県内のヒアシンス圃場において,葉先や葉身に褐色の病斑を形成する病害の発生が認められた。患部から分離された病原菌は,形態的特徴からEmbellisia hyacinthi de Hoog & Mullerと同定された。本病の防除にはチウラム水和剤やプロクロラズ乳剤による植え付け前の球根消毒が有効であった。なお,Embellisia属菌による病害発生の報告は日本ではこれが最初である。
  • 近藤 則夫, 島田 尚典, 児玉 不二雄
    1994 年 60 巻 1 号 p. 107-108
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    アズキ萎ちょう病菌(Fusarium oxysporum f. sp. adzukicola)レース1, 2, 3に抵抗性の「十育123号」とレース1, 2に抵抗性の「ハツネショウズ」の交配より得られたF1, F2に対して,レース1, 2を接種した。その結果,両レースについてF1はすべて抵抗性,F2は抵抗性と罹病性が13:3に分離した。このことから「十育123号」と「ハツネショウズ」の抵抗性遺伝子座は異なり,複対立遺伝子ではないことが明らかになった。
  • Fe M. DELA CUEVA, Antonio C. LAURENA, Marina P. NATURAL, 山岡 裕一, 小野 義隆, ...
    1994 年 60 巻 1 号 p. 109-112
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    フィリピンにおけるPhakopsora pachyrhiziによるダイズさび病の発生の経緯について文献等をもとに明らかにするとともに,ダイズさび病の発生地であるルソン島のCagayanおよびAlbay地域およびミンダナオ島のCotabato地域において,感染源を明らかにするため野生のマメ科植物上でのさび病の発生を調査した。また,ダイズ上の夏胞子を用いて数種の野生マメ科植物への接種試験も行った。その結果,ダイズさび病の発生地周辺では,P. pachyrhiziの宿主として報告されている多種のマメ科植物が成育しているのが観察されたが,これらのうちPueraria pulcherrimaP. pachyrhiziによるさび病の発生が認められ,この植物上の夏胞子がダイズさび病の感染源となっているものと考えられた。また,接種試験においては野生マメ科植物のCalopogonium mucunoides, C. pubescens, C. anagyroidesおよびDesmodium属植物の1種に感染が認められた。
  • 岡山 健夫
    1994 年 60 巻 1 号 p. 113-118
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    炭そ病罹病イチゴ株を育苗圃に設置して,降雨による分生子の飛散距離とプラスチックフィルムを障壁とした発病抑止効果を調査した。分生子の飛散観察は,初発生時の病徴として小葉に形成される黒点症状で行い,水平および垂直方向の飛散距離を測定した。小葉および葉柄の発病は水平方向に0.5m以内で激しく,伝染源を中心に同心円状に拡大し,大雨時には分生子が3m以上飛散した。垂直方向に置いた株の発病程度は伝染源から離れるほど低下し,60cm以上になると顕著に発病が軽減された。葉および葉柄の発病は高さ40cm以上のプラスチックフィルム障壁で抑えられ,障壁が高くなるほど抑止効果が高かった。分生子感染に伴う葉の黒点症状は,若い葉に対して小葉当たり102個以上の分生子を接種した時に現れ,接種胞子密度と展開した上位3葉の黒点数との間には相関関係が認められた(r=0.63, p=0.01)。障壁は大雨時にも分生子飛散の抑止に有効であることが明らかになった。
  • 大橋 真信, 上運天 博
    1994 年 60 巻 1 号 p. 119-121
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    A virus was isolated from grain amaranth (Amaranthus hypochondriacus L.) showing mosaic symptoms. The virus infected 20 plant species of 8 families, and was readily transmitted by aphid. The thermal inactivation point of the virus in crude sap was 55-60°C (10min), dilution end point 10-3-10-4, and longevity in vitro 2-4 days at 25°C. The virus was isometric about 28-30nm in diameter, and was serologically indistinguishable from a yellow strain of cucumber mosaic virus (CMV-Y). Electrophoretic patterns of dsRNA of the virus were similar to those of CMVs. Based on these results, the virus was identified as CMV.
  • 高橋 幸吉, 瀬川 裕美, 小林 享夫
    1994 年 60 巻 1 号 p. 122-127
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    A new leaf spot disease of mulberry (Morus alba and M. bombycis) caused by a species of Myrothecium broke out in Kagoshima Prefecture in 1991 and 1992. Inoculation tests confirmed that the causal fungus was pathogenic to 133 species of plants belonging to 96 genera of 45 families. Symptoms were various, depending on plant species, and included necrotic lesions, stem canker or damping-off. Based on morphological, cultural and pathological characters, the causal fungus was identified as Myrothecium roridum Tode: Fries.
  • 1994 年 60 巻 1 号 p. 144
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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