肝臓
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16 巻, 10 号
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  • 牧野 勲, 橋本 博介, 篠崎 堅次郎, 芳野 宏一, 中川 昌一
    1975 年 16 巻 10 号 p. 657-663
    発行日: 1975/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝胆道疾患患者における尿中胆汁酸をイオン交換樹脂Amberlite XAD-2, SePhadex column, Gaschromatography, Gas chromato-mass spectrometryを利用して分析し,特に異常胆汁酸である3β-hydroxy-5-cholenoic acidの代謝について検討を加えた.
    原発性肝癌を始め転移性肝癌,肝炎,肝硬変症の患者尿中から3β-hydroxy-5-cholenoic acidを同定し,人間の病的肝ではcholesterol異化の際,従来のmain pathwayの他に3β-hydroxy-5-cholenoic acidを経由してのside pathwayが存在することを推定した.各種肝胆道疾患において尿中胆汁酸のうち3β-hydroxy-5-cholenoic acidが占める割合は原発性肝癌16%,転移性肝癌4.6~9.6%,急性肝炎3.3%,肝硬変症2.2%,慢性肝炎1.7%の順で原発性肝癌では肝での胆汁酸生成においてside pathwayが活発化していることを推定させたが,これらの値は症例間にoverlapがあり,そのため鑑別診断的意義は認められなかった.
  • 芝山 雄老, 光井 英昭, 藤川 行村, 中田 勝次
    1975 年 16 巻 10 号 p. 664-669
    発行日: 1975/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝硬変症における肝血管抵抗増大因子としての類洞狭窄の意義を確認するために,ラットの正常肝,コリン欠乏性脂肪性肝硬変およびこれを普通食で飼育して脂肪滴をなくした肝硬変の肝血流量,胆汁産生量,肝の組織学的変化を比較検討した.粗大脂肪滴が大量に蓄積することによって腫大した肝細胞が類洞を高度に狭窄している脂肪性肝硬変では,肝血管抵抗は正常の約4倍に増大し,胆汁産生量は約1/3に減少していたが,脂肪滴が消失し,類洞狭窄が軽微になった肝硬変では,肝血管抵抗は正常の約1.5倍,胆汁産生量は約4/5にまで回復していた.これらの成績は,脂肪性肝硬変における肝血管抵抗増大に,肝細胞の腫大による類洞狭窄が重要な原因的役割を演じていることを示している.
  • 永田 耕一
    1975 年 16 巻 10 号 p. 670-691
    発行日: 1975/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    慢性肝炎及び肝硬変症における肝実質内鉄沈着の機序を解明する目的で,特に肝内因子に注目して,生検肝組織の構築法により肝細血管の追跡を行い,鉄沈着部の血液循環を検討した.実質内鉄沈着は肝小葉構造の歪みの進展につれ,規則正しいびまん性の分布から,不規則な局在性の分布に移行した.これらの鉄沈着部は構築法により,いずれも門脈終末枝周辺部に相当し,血液循環の良好な部位であった.また局在性鉄沈着を示す症例では,主として肝索の並びに関連した類洞の開き具合の程度,及び実質肥大の圧迫による肝細血管の狭小・扁平化,弯曲などの圧排像の程度により,血液循環の良好な部位と不良な部位が混在して出現し,そのうち特に血液循環のより良好な部位に特異的に鉄沈着が存在した.以上より鉄沈着の機序として,鉄含有量の豊富な血液がより豊かに注ぎ込む類洞の周辺部の肝細胞群に,鉄が沈着すると考えられ,良好な血液循環の重要性が推察された.
  • 血清中HBs抗原の有無とT cell, B cell分布を中心に
    野崎 肇
    1975 年 16 巻 10 号 p. 692-701
    発行日: 1975/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    ウィルス性肝炎の発症ならびに慢性化の病因を細胞性免疫の面から明らかにすることを目的として,116症例の各種肝疾患を病型と血清中のHBs抗原の有無を区別して,末梢血中のTcell,B cell分布,その数およびリンパ球数,リンパ球のPHAに対する幼若化率を検討した.その結果,肝疾患の病型を同じにすれば,HBs抗原の有無によるTcell, B cell分布および数には有意な差を認めないが,病型別では差があり,とくに肝硬変でTcell分布とTcell, B cellの数で著明な低下をみとめ,慢性肝炎で,とくにSNを伴う慢性肝炎で同様にTcell分布とT cell, B cellの数が他の慢性肝炎病型と肝硬変の中間程度に低下しており,注目された.
  • 稲垣 威彦, 篠崎 弘一, 長山 正四郎, 藤田 謦士, 歌川 享一, 市田 文弘
    1975 年 16 巻 10 号 p. 702-711
    発行日: 1975/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    腹腔鏡下生検により肝組織所見を確認したHBs抗原陽性献血者22名の免疫学的検索を行なった.組織学的には1例が軽度の急性ウイルス肝炎像を示したほか,全例が非特異的病変を示し,臨床化学的検査成績にも軽度の異常を示すものが見られた.しかしHBs抗原の濃度は高く,動揺せず,HBs抗体は検出されず,顕性の肝疾患は見られないことから,これらのHBs抗原陽性献血者ではpersistent tolerant infectionが成立しているものと考えられた.IgG, IgMの軽度の増加,C3, C4の軽度の減少を示すものが見られ,Bリンパ球のHBウイルスに対する軽度の反応が予想された.Tリンパ球のHB抗原に対する反応はマクロフアージ遊走阻止試験によっては証明できなかった.Tリンパ球の相対的減少とBリンパ球の相対的増加を示すものが少数ながら見られたが,ただちに結論は下せなかった.Tリンパ球のPHAに対する反応が低下しているものが多かったが,これはHBウイルス感染に起因する血清中の阻止因子によるものと考えられ,これがTリンパ球の非特異的機能を抑制している可能性がある.自己抗体が検出されたものがあるが,これはHBウイルス持続感染の結果として,あるいはTリンパ球機能抑制の反映として理解できる.HBs抗原asymptomatic carrierにおいてはHBウイルスに対するcomplete toleranceは成立しておらず,またHBウイルス持続感染によると思われる免疫異常が見られた.
  • 井戸 健一, 小出 冨士夫, 壺坂 栄江, 垣内 佐十志, 加藤 憲司, 為田 靱彦, 田川 新生, 小坂 義種, 金丸 正泰, 吉田 克己 ...
    1975 年 16 巻 10 号 p. 712-717
    発行日: 1975/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    医療従事者と対照集団におけるHBs抗原と肝機能検査を中心とした疫学的研究を行った.医療従事者は三重大学附属病院の医療担当老,対照集団は同病院の事務職員からなる.
    1) 医療従事者のExposure Rateは20.4%,対照集団のそれは10.4%(P<0.01)であった.特に医師のExposur eRateが高かった.
    2) 医療従事者のHBs抗原陽性率は加齢とともに増加していた.
    3) 医療従事者の抗HBs抗体陽性率は17.6%,対照集団のそれは9.2%(P<0.01)であった.
    4) 医療従事者のHBs抗原陽性率は8.0%,対照集団のそれは2.0%であった.
    5) HBs抗原,抗体陽性者と陰性者の肝機能異常率は統計的に有意の差を認めなかった-
  • 性別・年令別頻度と肝機能
    村田 野, 本喜 代服, 部達 太郎, 今井 光信, 真弓 忠
    1975 年 16 巻 10 号 p. 718
    発行日: 1975/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • HBs抗原保有母親献血者を発端とする家族調査
    村田 愿, 野本 喜代, 服部 達太郎, 今井 光信, 真弓 忠
    1975 年 16 巻 10 号 p. 719
    発行日: 1975/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 1975 年 16 巻 10 号 p. 720-734
    発行日: 1975/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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