55歳,男性,毎日5合から1升,25年間の飲酒歴(+),工業用四塩化炭素誤飲後,腹痛,嘔吐,下痢出現し近医入院.入院後AST 9,100IU/l, ALT 3,800IU/l, HPT 30%と肝機能の高度障害を認め当科へ転院.転院時,意識清明,右肋骨弓下に肝を2横指触知.AST5,160IU/l, ALT 3,000IU/l, T. Bil 2.5mg/dl, PT 35.3%, SOD 36.2%. Haptoglobin,過酸化脂質は正常であった.転院後,グルカゴンーインスリン療法の他,Tocopherol acetate100mg/day, Ubidecarenone 30mg/day, Glutathione 200mg/dayを併用,28病日には肝機能は正常化した.12病日に施行した肝生検で,中心静脈域を中心に,中心静脈の線維性肥厚,細胞周囲性線維化,肝細胞の風船様腫大,小円形細胞浸潤,肝細胞壊死,大小脂肪滴の沈着などがみられた.これらの変化から,25年間にわたるアルコール摂取が,四塩化炭素の肝毒性を増強した可能性が示唆された.
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