肝臓
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35 巻, 12 号
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  • in situ hybridization法を用いて
    寺田 光宏, 田中 雄二郎, 松原 康朗, 馬場 俊之, 斉藤 光弘, 野ツ俣 和夫, 伊藤 慎芳, 桜井 幸弘, 神坂 和明, 多賀須 幸 ...
    1994 年35 巻12 号 p. 835-840
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    インターフェロン(IFN)治療著効例でかつ治療終了6カ月後の血中HCV-RNA陰性21例を対象にin situ hybridization (ISH)法により,肝組織内HCV-RNAの有無を検索し,その臨床病理学的検討を行った.21例中9例42.9%に肝組織内HCV-RNAを認め,組織学的にはRNA残存例は,線維化の改善を認めなかった.一方,予後に関しては,ISH陰性例では経過観察期間中1例も再発を認めなかったが,陽性例で1例11.1%に血中HCV-RNAの再出現とALTの再上昇を認めた.以上より,IFN治療終了6カ月以降の肝組織内HCV-RNA消失例の予後は極めて良好であり,残存例では注意深い経過観察が必要であるが,その一方で,残存例においてもcarrierとなった可能性のある症例が存在した.
  • 静脈うっ滞試験による血管内皮細胞からの放出反応による解析
    林 毅
    1994 年35 巻12 号 p. 841-848
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    各種慢性肝疾患に血管内皮細胞機能評価法として静脈うっ滞試験を実施し,組織プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA)とそのインヒビター(PAI-1)の変動から肝硬変症における高t-PA血症の発症機序について検討した.静脈うっ滞試験の前と後で血中t-PAは対照健常と同様,代償性肝硬変(LCC)および非代償性肝硬変(LCD)で有意に増加した.血中PAI-1は慢性肝炎(CH)を含めた何れの群でも有意な変動を認めなかった.LCDの静脈うっ滞によるt-PA変化量(Δt-PA)は他群に比して有意に高値を示した.肝硬変症の非代償化に伴い,血管内皮細胞からt-PA放出の易刺激性が亢進している可能性が示唆された.PAI-1変化量(ΔPAI-1)はいずれの群間においても有意な差を認めなかった.肝疾患全体ではΔt-PAは総ビリルビン(T. Bil)と正の相関,血小板と負の相関傾向がみられた.肝硬変症全体におけるΔt-PAは軽度静脈瘤群,非静脈瘤群に比して,高度静脈瘤群では有意に高値を示した.肝硬変症における線溶亢進の原因として内皮細胞刺激にたいするt-PAとPAI-1の放出反応性の違いが関与することが示唆され,高t-PA血症の要因として内皮細胞の易刺激性によるt-PA放出亢進が関与している可能性が示唆された.
  • 中崎 晴弘, 鈴木 康司, 下島 裕寛, 蔵本 新太郎, 吉雄 敏文, 岡田 弥生, 垣内 史堂
    1994 年35 巻12 号 p. 849-854
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌症例で術前術後定期的に血液を採取し,血清中TNF-α, IL-1β, IL-2, IL-6,GM-CSFを測定した.再発の有無により再発(-)群と再発(+)に分け,各サイトカイン値の変動より肝癌診断としての意義を検討した.術前の血清中各サイトカインは健常人と比較し高値を示した.切除後再発(-)群ではTNF-α, IL-1β, GM-CSFは低下し,IL-6は高値を示した.再発(+)群ではTNF-α, IL-1β, GM-CSFは再上昇した.さらに,切除した組織中の各サイトカインを測定したところ,癌部ではTNF-α, GM-CSFが高値を,非癌部ではIL-2,IL-6が高値を示した.また,当科で樹立した五つの肝癌細胞株の培養上清中にTNF-α, IL-6,GM-CSFが高値を示した.以上よりこれらのサイトカイン特にTNF-α, GM-CSFが肝癌の診断および再発の指標として有用であることが示唆された.
  • 伊波 勇人
    1994 年35 巻12 号 p. 855-863
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    外科的に切除された硬化型肝癌12例について,非硬化型肝癌307例を対照群として比較検討し,臨床病理学的特徴を明らかにした.
    硬化型肝癌では対照群との比較において,HBs抗原陽性例が有意に多かったが,その他臨床的に,年齢,性差,術前検査成績,腫瘍マーカーなどに統計学的有意差は認められなかった.また生存率に有意差はみられなかったが,硬化型肝癌で再発が確認された症例は8.3%であったのに対し,対照群では55.2%であり硬化型肝癌で有意に再発率が低く,予後は比較的良好と考えられた.一方病理学的所見としては硬化型肝癌で,肉眼的に中心性瘢痕が多く認められ,組織学的には通常の肝癌の腫瘍間質にあたる血洞に沿って線維性結合織が増生する形態を呈していた.その他特徴的所見として被膜形成は1例も認められず,結節内に門脈域を含む事が多く,結節内リンパ球浸潤が多く認められた.さらにMallory bodyおよびpale bodyが高頻度に認められ,いずれも対照群との比較において有意差を認めた.
  • 村松 博士, 野尻 秀一, 長町 康弘, 小池 和彦, 渡辺 直樹, 高後 裕, 福永 純, 藤田 美悧, 長嶋 和郎, 新津 洋司郎
    1994 年35 巻12 号 p. 864-869
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は70歳女性.微熱及び易疲労感を主訴に近医受診.GOT 532, GPT 359IU/lと上昇し,白血球数60,400/mm3,うち好酸球88%を指摘され紹介入院となる.肝生検にて,肝細胞のballooningと多核巨細胞の出現及び好酸球の浸潤を認め,巨細胞性肝炎と診断した.血液検査上,肝炎ウイルスの関与・免疫異常及び各種ウイルス感染は否定された.約2カ月の経過でGOT・GPTの低下と共に好酸球も減少し,軽快した.経過を追って施行した肝生検では,肝炎の回復と共に好酸球の浸潤は減少していた.また,多核巨細胞の電子顕微鏡的検討では,ウイルス封入体は認められず,核質・核の大きさがほぼ均一で巨細胞の成因として細胞融合が考えられた.巨細胞性肝炎と好酸球増多症の合併例はわずかに欧米で1例に認めるのみであり,その関連性,および巨細胞の成因を考察する上で示唆に富む症例と考えられたので報告する.
  • 和崎 秀二, 安永 満, 松村 康博, 長冨 厚子, 藤井 香, 岡崎 宗子, 田村 興子, 増原 昌明, 白沢 宏幸, 山下 智省, 坂井 ...
    1994 年35 巻12 号 p. 870-875
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    臓器移植の際に有用な免疫抑制剤であるGyclosporin A (CsA)を重症型肝炎5例に対し投与し,その臨床効果について検討した.対象は,他の治療に対して抵抗性と考えられたB型慢性肝炎急性増悪3例,自己免疫性肝炎の劇症化1例,アルコール性肝炎1例の計5例でありいずれの症例もその経過中にProthrombin time (PT)が40%以下で,高ビリルビン血症と腹水を伴っていた.5例中,肝予備能が比較的良好な時期よりCsAを投与した3例が生存し,生存例においてはCsA投与直後より血中総ビリルビン値は速やかに低下し,他の肝機能も正常化した.重症型肝炎に対して肝予備能の良好な早期にCsAを投与することは肝障害の進展を抑制すると考えられた.
  • 風間 吉彦, 星野 和彦, 稲葉 博之, 宮脇 誠, 進藤 仁, 谷合 麻紀子, 小林 潔正, 松島 昭三, 小松 達司, 林 直諒
    1994 年35 巻12 号 p. 876-881
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    原発性胆汁性肝硬変(PBC)と診断後,5年の生存期間中に腹部超音波,経皮経肝門脈造影(PTP)及び肝組織所見を経過観察し得た1症例を報告する.症例は62歳の女性で無症候性PBCと診断後臨床経過中に腹水や静脈瘤などの門脈圧亢進症状をきたし肝硬変への移行が疑われた.肝組織所見は門脈域の線維化が主たる所見であり,死亡時Scheuer分類のIII期であった.PTPでは肝内門脈末梢枝にIPHに類似した異常を認め,2回のPTPの比較で門脈病変の進行が明らかであった.本症にて得られた組織およびPTP所見は本症の門脈圧亢進の発生機序を考察する上で興味がもたれた.
  • 星野 孝男, 小松 眞史, 小野 剛, 船岡 正人, 加藤 純司, 石井 透, 倉光 智之, 三浦 光一, 正宗 研, 北條 裕士
    1994 年35 巻12 号 p. 882-886
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    55歳,男性,毎日5合から1升,25年間の飲酒歴(+),工業用四塩化炭素誤飲後,腹痛,嘔吐,下痢出現し近医入院.入院後AST 9,100IU/l, ALT 3,800IU/l, HPT 30%と肝機能の高度障害を認め当科へ転院.転院時,意識清明,右肋骨弓下に肝を2横指触知.AST5,160IU/l, ALT 3,000IU/l, T. Bil 2.5mg/dl, PT 35.3%, SOD 36.2%. Haptoglobin,過酸化脂質は正常であった.転院後,グルカゴンーインスリン療法の他,Tocopherol acetate100mg/day, Ubidecarenone 30mg/day, Glutathione 200mg/dayを併用,28病日には肝機能は正常化した.12病日に施行した肝生検で,中心静脈域を中心に,中心静脈の線維性肥厚,細胞周囲性線維化,肝細胞の風船様腫大,小円形細胞浸潤,肝細胞壊死,大小脂肪滴の沈着などがみられた.これらの変化から,25年間にわたるアルコール摂取が,四塩化炭素の肝毒性を増強した可能性が示唆された.
  • 厚生省非A非B型肝炎研究班
    杉谷 雅彦
    1994 年35 巻12 号 p. 887-891
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 佐藤 明, 水野 博, 冨永 友也, 末盛 彰一, 鈴木 通博, 加藤 行雄, 鈴木 博, 岡部 和彦
    1994 年35 巻12 号 p. 892-893
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 市川 直哉, 長尾 桓, 渡邉 建詞, 内田 久則
    1994 年35 巻12 号 p. 894
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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