肝臓
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39 巻, 12 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 超音波血流画像の進歩と意義
    工藤 正俊
    1998 年 39 巻 12 号 p. 885-894
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌の血流動態と病態には密接な関係があることを中心に述べた. 特に結節への流入動脈, 結節内血流を検出することはもちろんのこと, 流入門脈血流や腫瘍流出血流に注目することも極めて重要であり, 超音波血流画像はこの点において優れた手法となりつつある. さらに, 最近進歩の著しい他の血流画像 (CTA, CTAPなど) と比較しても超音波血流画像の進歩は著しく, 例えばUSangiographyを行うことにより多くの点で有用な情報を提供してくれる. また, これら侵襲的血流画像をgold standardとして発展してきた非侵襲的超音波血流画像も現在進行形で急速に発展しつつあり, 侵襲的なUSangiographyと同等の診断能を提供しつつある. 将来的には肝細胞癌の診断, 治療, 悪性度評価, 治療効果判定など全ての面でこれら非侵襲的超音波血流画像が, 大きな役割を果たすであろうことは想像に難くない. 中でも, 造影ハーモニック法はグレイスケール上での血流評価法であるため, 分解能に極めて優れ, それにより提供される組織perfusion血流についての情報は極めて微細であり, 現在最も期待される方法である (図4).
    PEITやPMCTなど肝癌の内科的治療のほとんどがUSガイドに依存している現況を考慮すると, これら超音波血流イメージによる血流描出能の向上は, 特に癌細胞の遺残・再発の可視化と治療ガイドとしての効率の良さといった観点からは, 確実に肝癌の治療成績の向上をもたらす進歩であることは間違いない.
  • 永山 亮造, 宮本 直樹, 細井 仁, 横山 喜恵, 若島 将伸, 荘司 貞志, 浜渦 俊和, 中田 景子, 寺本 民生, 滝川 一, 三宅 ...
    1998 年 39 巻 12 号 p. 895-900
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    インターフェロン (IFN) による白血球, 血小板の減少や貧血の原因を解明する目的でIFN α 2aまたはα 2bの投与を受けた9例の C 型慢性肝炎症例で骨髄所見の変化を検討した. IFN投与前と2週間連日投与後の骨髄血所見を比較し, 末梢血所見の変化とも対比を行った. IFN投与後の骨髄ではIFN投与前に比し有核細胞数, 赤芽球系細胞数, 顆粒球系細胞数および巨核球系細胞の有意な減少がみられ末梢血所見の変化と一致していた. フローサイトメトリーを用いた細胞周期の検討では, IFN投与によりG0・G1期細胞の割合は73.8±13.7%から85.6±6.1%へと有意に増加し, S期細胞の割合は15.9±5.7%から9.2±4.5%へと有意に低下した. IFNによる血球減少は骨髄細胞レベルでのDNA合成阻害に由来すると考えられた.
  • 後藤 亨, 小松 和人, 牛窪 利明
    1998 年 39 巻 12 号 p. 901-907
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    今回著者らは肝細胞癌の治療6カ月後に炭酸ガス動注造影エコー法 (US-angiography : US-angio) を施行し, その有用性を検討した. 肝細胞癌35例 (男性28例女性7例, 平均年齢67.7±6.1歳) を対象とし, US-angioの再発の検出能を, 局所再発と異所性再発について, それぞれCT, 血管造影と比較した. 結果は局所再発を認めたものは35例中18例で, 検出率はCTが66.7%, 血管造影77.8%, US-angio 100.0%とUS-angioが最も優れていた. 一方異所性再発を認めたものは38例中12例で, 検出率はCTが50.0%, 血管造影100.0%, US-angio50.0%と血管造影が最も優れていた. 治療6カ月後のUS-angioの施行は局所再発の検出に有用であったが, 異所性再発に対しては限界があると考えられた.
  • 染谷 貴志, 荒瀬 康司, 鈴木 義之, 小林 瑞, 小林 正宏, 坪田 昭人, 斎藤 聡, 村島 直哉, 茶山 一彰, 池田 健次, 熊田 ...
    1998 年 39 巻 12 号 p. 908-913
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    B型慢性活動性肝炎3例に対し, Lamivudine 100mg/日を1年間使用し, その前後の腹腔鏡像につき検討した. 症例1は斑紋肝であったが, Lamivudine使用後には平滑肝で赤色紋理の消失, 白色紋理の増加, 三又血管の減少がみられた. Histological activity index (HAI) スコアでは10より3への改善がみられた. 症例2は白色紋理の増加および三又血管の消失がみられ, HAI スコアでは8より0への改善がみられ, 組織学的には慢性肝炎の所見は消失していた. 症例3では白色紋理の増加がみられ, HAI スコアでは10より8への減少がみられた. 以上3例ともLamivudine投与により腹腔鏡像および肝組織像の改善が認められた.
  • 松田 充, 橘 良哉, 荻野 英朗, 里村 吉威, 鵜浦 雅志
    1998 年 39 巻 12 号 p. 914-918
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    症例は66歳, 女性. 平成8年4月, 右胸水の精査目的に初回入院. B型肝硬変による肝性胸水と診断, 利尿剤投与にて軽快した. その後, 胸水はコントロールされていたが, 平成9年11月より胸水の増量と呼吸困難の増悪があり平成10年2月に再入院. 入院後, 利尿剤, アルブミン製剤の投与を行うも胸水は難治性であった. そこでOK-432, 塩酸ミノサイクリンによる胸膜癒着術を繰り返し行ったが無効であり, その理由として腹腔より流入する腹水による癒着剤の希釈が考えられた. そこで胸腔・腹腔間の圧較差を減らし, 腹水流入を防ぐ目的で経鼻持続陽圧気道圧法を併用し胸膜癒着術を行ったところ効果がみられ, 胸水は改善した. 肝性胸水に対する胸膜癒着術は癒着剤の希釈のため無効の場合が多いとされるが, 近年, 睡眠時無呼吸症候群の治療に応用されている経鼻持続陽圧気道圧法の併用によりその奏効率が高まると思われた.
  • 岩井 啓一郎, 辻 博, 鈴木 統久, 東 晃一, 藤島 正敏
    1998 年 39 巻 12 号 p. 919-923
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    経過中に抗核抗体が消失, 再出現しステロイド治療が無効であったautoimmune cholangiopathy (AIC) の1症例を経験したので報告する. 症例は38歳, 女性. 1990年5月に全身倦怠感が出現. 初めて肝機能障害を指摘され, 精査目的で8月13日当科入院. 入院時, アルカリフォスファターゼ1686 IU/l, γ-GTP 1135 IU/lと胆汁うっ滞を認め, 抗核抗体は初診時のみ陽性で, 入院時には陰性化していた. また, 抗ミトコンドリア抗体, 肝炎ウイルスマーカーは全て陰性であった. 1991年より掻痒感が出現. 1992年より抗核抗体が再出現しプレドニゾロンを投与したが肝機能検査に変化はみられなかった. 1994年にも再びプレドニゾロンを投与したが, 肝機能検査に変化はみられなかった. 本症例では, 肝生検組織で小葉間胆管が消失し, 胆管病変が進行したAICであったためステロイド治療が無効であったと考えられた.
  • 武田 順子, 東條 淳, 新澤 穣太郎, 鈴木 智浩, 大平 弘正, 宮田 昌之, 西間木 友衛, 粕川 禮司
    1998 年 39 巻 12 号 p. 924-928
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    症例1; 72歳の女性. 皮下石灰化, Raynaud現象, 下部食道の拡張, 手指の皮膚硬化, 毛細血管拡張を認めた. 検査成績にて抗ミトコンドリア抗体 (AMA) は蛍光抗体間接法で陰性であったが, 抗核抗体が5120倍と高力価で抗セントロメア抗体 (ACA) が陽性であった. 肝生検にて小葉間胆管の基底膜破壊と胆管上皮細胞の重層化を認めPBC (Scheuer分類2期) と診断した. 症例2; 68歳の女性. 皮下石灰化, Raynaud現象, 下部食道の拡張, 手指と足趾の皮膚硬化, 毛細血管拡張を認めた. 検査成績では, 症例1と同様にAMAは陰性であったが, 抗核抗体が5120倍でACAが陽性であった. 肝生検にて小葉間胆管の基底膜破壊と偽胆管の増生およびgranuloma形成が認められPBC (Scheuer 分類2期) と診断した. 症例1, 2ともにAMA陰性のPBCと完全型CREST症候群の合併であり, 貴重な症例と考え報告した.
  • 斉藤 正信, 松久 忠史, 高田 譲二, 三澤 一仁, 真鍋 邦彦, 秦 温信, 佐野 文男
    1998 年 39 巻 12 号 p. 929-933
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    稀な肝細胞癌の幽門上リンパ節転移の1例を報告する. 症例は59歳男性で, 肝細胞癌の診断にて肝左葉切除および後上区域部分切除術を施行された既往がある. 初回手術によりAFPは16000ng/mlから48ng/mlまで低下したが, 再度上昇し再発が疑われた. 腹部造影CT検査にて胃小弯部に造影効果のある腫瘍を認め, また血管造影にて右胃動脈が腫瘍血管となる腫瘍濃染像を認めたため, 幽門上リンパ節 (No5) への転移再発と診断され摘出術を施行した. 術前画像診断では描出されなかったが, 術中腫大した総肝動脈幹前上部リンパ節 (No8a) を認めたため同リンパ節も摘出した. 病理診断では, 両リンパ節とも肝細胞癌の転移であった.
  • 高橋 毅, 高橋 禎人, 田所 文彦, 林 京子, 坂本 いづみ, 飯野 善一郎, 佐藤 光史, 柿田 章
    1998 年 39 巻 12 号 p. 934-935
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
  • 玉野 正也, 菅谷 仁, 小熊 資男, 飯島 誠, 室久 俊光, 浅井 真一郎, 冨田 豊, 鈴木 治, 寺野 彰
    1998 年 39 巻 12 号 p. 936-937
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
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