清酒換算毎日3合(80g)以上,期間10年以上の常飲者34例をA群(肝硬変・前硬変,17例),B群(非硬変,17例、に分け臨床病理的に検討した.
臨床的事項:理学的に肝腫,黄疸,クモ状血管腫,腹水ともA群に圧倒的に多い.肝機能ではBSP, TTT, ZST, AL-PともにA群に異常例が多く又,A群でGOT>GPTの傾向がある.飲酒量・持続期間と肝組織像との比較では清酒換算8合(200g)以上,期間15年以上の常飲者にA群に入る例が多い.
病理的事項:電顕的に肝細胞胞体基質内に160Aのperiodicityを有す「あみの目状」の結晶構造がみられたことは注目される.また,経時的肝生検により,徐々に進行し最終的に壊死後性肝硬変の完成をみた例を経験したが,アルコールによる壊死後性肝硬変の成立に示唆を与えるものと考えられる.
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