肝臓
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32 巻, 11 号
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  • 松本 昌之, 藤森 功, 奥野 忠雄, 新井 賢, 進藤 道子, 武田 誠, 岡上 武, 加嶋 敬, 宗川 吉汪
    1991 年 32 巻 11 号 p. 983-989
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    C型慢性肝炎におけるIFN治療による肝内HCV RNAに及ぼす効果を検討した.C型慢性肝炎患者14例のIFN治療前後の肝組織よりRNAを抽出し,RT-PCRによりHCV RNAのレベルを測定したところ,治療後に1例を除く全例で低下し,IFNの抗ウイルス効果が確認された.Alanine aminotransferase (ALT)の正常化が治療後3ヵ月以上持続した有効群(6例)と,3ヵ月以上持続しなかった無効群(8例)とを比較すると,治療前の肝内HCV RNAレベルは無効群に比し有効群で有意(p<0.01)に低かった.IFN治療前で検出された血中HCV RNAは,有効群では全例で治療直後および1ヵ月後に検出されなくなった.一方,無効群では治療直後に4例(50%)でHCV RNAは検出されなかったが,1ヵ月後でも検出されない例は1例(12%)にすぎなかった.治療直後の肝内および血中HCV RNAレベルから治療後のALTの推移は予測できなかったが,治療前の肝内HCV RNAレベルの低い症例でIFNの治療効果が得られた.
  • 田村 徹, 天野 始, 高野 弘嗣, 川口 稔, 神安 雅哉, 三浦 敏夫, 北本 幹也, 伊藤 博之, 小松 晃一, 中村 利夫, 吉川 ...
    1991 年 32 巻 11 号 p. 990-996
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    アヒル初代培養肝細胞においてB型肝炎ウイルス(HBV)と同じくHepadnaウイルス科に属するアヒルB型肝炎ウイルス(DHBV)の感染実験を行い,グリチルリチン(GL)の抗ウイルス作用を検討した.GLは肝細胞毒性のない1.0mg/mlの濃度で抗ウイルス作用を示し,GLの50% inhibitory doseは460μg/mlであった.このGLの抗ウイルス作用の機序としては,DHBVの肝細胞への吸着侵入と肝細胞からのウイルス放出の抑制が考えられ,肝細胞内でのDHBV増殖に対する抑制作用やDHBV粒子に対する直接的な不活性化作用によるものではないと考えられた.一方,GLは250μg/mlの低濃度ではDHBVに対する抗ウイルス作用はほとんど認められなかった.このことは,臨床でHBV感染症に投与されているGL量ではHBVに対するGLの抗ウイルス作用は軽微であることを示唆しており,GLのトランスアミナーゼ改善の機序として,この抗ウイルス作用は優位には働いていないと推測された.
  • 日野 照子
    1991 年 32 巻 11 号 p. 997-1007
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    自己免疫性肝炎(16名)における肝細胞のrosette形成の意義を検討した.肝組織内でのrosette形成がウイルス性慢性活動性肝炎に比べ明らかに多く見られた.rosetteの形態及びその周囲の組織像は臨床経過とともに変化し,またrosetteを形成する肝細胞は主に変性した細胞と再生と思われる細胞に分類された.rosetteを形成している肝細胞周囲の単核細胞はnon B・non T細胞が主体で,電顕的にはrosette形成肝細胞にリンパ球と形質細胞が接している像が見られた.また,肝組織内のIgG保有細胞も有意に増加していた.末梢血リンパ球サブセットではCD8陽性細胞(%)の減少,CD19陽性細胞(%)の増加を認めた.rosette形成に関する以上の観察結果から,自己免疫性肝炎の肝細胞障害機序にantibody dependent cellmediated cytotoxicityが関与していることが示唆された.
  • 工藤 正俊, 冨田 周介, 朽尾 人司, 濱田 充生, 樫田 博史, 三村 純, 岡部 純弘, 平佐 昌弘, 伊吹 康良, 小森 英司, 織 ...
    1991 年 32 巻 11 号 p. 1008-1016
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    近年,超音波検査(US)では検出されるが血管造影では描出されない,いわゆるhypovascularな肝細胞癌(HCC)結節が増加してきている.今回,我々は3cm以下の切除HCC例について,術前にそのvascularityをCO2動注US angiographyにより検討し,組織所見と対比検討した.また,血管造影で描出不能であった13結節については,描出不能であった原因についての考察も合わせて行った.44結節のうちUS angiographyにてhypervascularに描出されたもの35結節(80%), isovascular 5結節(11%), hypovascular 1結節(2%), vascular spot in hypovascular patternに描出されたもの3結節(7%)であった.Edmondson I型の高分化型肝癌は,その半数が動脈血流成分に乏しく,Edmondson II~III型の中分化型HCCになるにつれて,hypervascularなものが増加した.血管造影陰性であった原因としては,(1)腫瘍の動脈性vascularityが乏しい(腫瘍血管が未発達),(2)被膜を欠く,(3) X線画像の限界,の3つが考えられた.
  • ラット胎生期から新生児期にかけての銅投与実験
    佐藤 正樹, 大部 誠, 高野 康雄, 奥平 雅彦
    1991 年 32 巻 11 号 p. 1017-1026
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    インド,ドイツ,北アメリカなどで地域的に発生する小児肝硬変の病因は,銅の経口過剰摂取であると考えられ,組織学的には肝小葉周辺性に銅沈着を認める.我々は,栄養状態と銅の関係に着目し,SDラットを低蛋白食群と通常食群に分け,胎児期から過剰な銅(酢酸銅35ppm,硫酸銅トリニトロ三酢酸2ナトリウム35ppmと7ppm)を8週間経口投与し,生後1,4, 8週の実験群につき検討した.通常食を与えた対照群では肝臓に銅の沈着はみられなかった.一方,低蛋白食群では8週で,通常食群に比し40倍以上の極めて高濃度の銅沈着が肝小葉中心性に認められた.低蛋白血症状態における銅負荷の病理組織像において,銅沈着分布は上記の銅蓄積型小児群硬変やWilson病,原発性胆汁性肝硬変と異なって肝小葉中心性であり,銅蓄積型小児肝硬変とは異なる機序によるものと考えられ,低蛋白食による肝小葉中心帯肝細胞障害,特に毛細胆管内への銅排泄障害が示唆された.
  • 坂本 雅晴
    1991 年 32 巻 11 号 p. 1027-1033
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    コラゲナーゼ灌流法およびcentrifugal elutriation rotorにより分離し24時間培養したラット培養伊東細胞を用いて,エンドセリン-1 (ET-1)による伊東細胞の収縮能について検討した.この培養伊東細胞は胞体内にビタミンAを含有し,種々の方向に伸展した細胞質にデスミンの局在を認めた.125I-ET-1を用いた光顕的オートラジオグラフィーによる観察で培養伊東細胞表面に125I-ET-1のgrainが多数集積していた.培養液中へ各種濃度(0~800nM)のET-1を添加した60分後の培養伊東細胞の面積は,ET-1濃度の増加とともに濃度依存性に明らかに減少した.また,ET-1を含む培養液を除去して120分後,培養伊東細胞はET-1添加前の面積に近い値まで回復した.以上の結果より,ET-1は伊東細胞に作用し伊東細胞を収縮させ,伊東細胞が肝類洞の血流調節に深く関与している可能性が示唆された.
  • 二上 玲子, 奥平 雅彦, 森 隆, 益村 真
    1991 年 32 巻 11 号 p. 1034-1039
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    71歳,男性の萎縮性輪状肝硬変に合併した肝細胞癌の1剖検例において,微細顆粒状の硝子滴(eosinophilic fine granular hyaline droplet; HD)を充満した腫瘍細胞群を認めた.このHDは,光顕的にMallory小体や球状硝子体とは明らかに異なり,個々の顆粒の大きさは1μm前後で,H & E染色では,好酸性かつ光輝性を示し,特殊染色ではorcein染色,victoria blue染色で夫々濃染し,rhodanine染色陰性であり,免疫組織化学的にHmBsAgは陰性であった.パラフィンブロック資料からの電顕的観察では,HDはさまざまな大きさ(平均70nm)のelectron denseな数十~数百個の顆粒状構造物の集合体として認められた.分析電顕(Kevex, Hitachi-500 Total System)で,銅の存在は確認できなかった.多数の肝癌細胞に,このような特徴を有するHDを認めた症例は極めて稀であり,本邦での第1例として報告した.
  • 曽我 憲二, 鶴谷 孝, 相川 啓子, 豊島 宗厚, 柴崎 浩一, 小島 豊雄, 大貫 啓三
    1991 年 32 巻 11 号 p. 1040-1045
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    広汎な肝転移を認めた直腸カルチノイドの2症例を経験したので報告した.2症例ともにその大きさが約10mmと小さくさらに原発巣の浸潤が粘膜下層に限局していたにもかかわらず,診断時にすでに広汎な肝転移を有していたことは極めて稀なことであり,さらにその肝転移巣の画像診断においても,US, CTでは境界鮮明な類円形のcystic patternを,血管造影では肝動脈の圧排と細血管の増生を認め,比較的特異な画像診断所見を示していた.さらに2症例とも肝転移巣の腫瘍の増大は極めて緩徐でありこの点からも従来からの報告と異なっており興味ある症例と考えられた.
  • 松下 一之, 竜 崇正, 渡辺 一男, 藤田 昌宏, 本田 一郎, 渡辺 敏, 川上 義弘, 吉田 雅博, 河邊 統一, 和田 勝則, 小松 ...
    1991 年 32 巻 11 号 p. 1046-1051
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝血管筋脂肪腫の2例について報告した.症例1は51歳女性.腹部単純X線CTにて肝内側区域に直径1.5cmのlow densityの腫瘍を認め,造影剤にてenhanceされた.術中の超音波検査ではhigh echoを示した.症例2は47歳男性.単純X線CTで肝後区域に直径3cmのlow densityな腫瘍を認め,造影剤でenhanceされた.血管造影検査の毛細管相で腫瘍は濃染された.術中の超音波検査では腫瘍は全体がhigh echoで一部low echoな部分が見られた.症例1, 2とも肝切除が施行され,病理組織学的に確診された.さらに肝血管筋脂肪腫報告55例について検討した,画像診断上の特徴は超音波でhigh echo,単純X線CTでlow density,血管造影で腫瘍濃染が見られることであり,今後肝癌との鑑別可能例が増すものと思われる.
  • 梶村 幸三, 森安 史典, 小野 成樹, 山下 幸孝, 木村 達, 染田 仁, 濱戸 教行, 鍋島 紀滋, 福原 資郎, 大熊 稔, 森 敬 ...
    1991 年 32 巻 11 号 p. 1052-1057
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    回虫を伴った,Weisenburgerら1)の言うA follicular variant of intermediate lymphocytic lymphoma (mantle-zone lymphoma)で肝に原発した1症例を報告した.腹部超音波像では石灰化を伴った,高輝度な腫瘍として描出された.肝血管造影では軽度の腫瘍濃染像を示した.これらの画像は肝悪性リンパ腫としては非典型的で,回虫に伴う炎症によって修飾を受けたと思われた.病理組織では,萎縮した胚中心の周囲に小型リンパ球が結節性に増殖し,周囲にはびまん性増殖領域を認め,mantle-zone lymphomaと診断できた.腫瘍の中心部の胆管内には回虫が存在し,それを中心として石灰化していた.回虫に伴う慢性炎症の結果,肝悪性リンパ腫が引き起こされた可能性もあると思われた.
  • 大河内 信弘, 桜田 正寿, 遠藤 忠雄, 里見 進, 田口 喜雄, 森 昌造, 渡辺 伸之
    1991 年 32 巻 11 号 p. 1058-1059
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 小林 由直, 渡辺 省三, 小西 正芳, 横井 正人, 垣内 雅彦, 梯 龍一, 鈴木 司郎
    1991 年 32 巻 11 号 p. 1060-1061
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 大倉 靖史, 知久 律子, 竹田 茂文, 油田 正樹, 溝口 靖紘, 筒井 ひろ子, 小林 絢三, 森澤 成司
    1991 年 32 巻 11 号 p. 1062
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 小黒 仁, 青柳 豊, 斉藤 敦, 横田 剛, 森 茂紀, 須田 剛士, 五十嵐 健太郎, 銅冶 康之, 市田 隆文, 上村 朝輝, 朝倉 ...
    1991 年 32 巻 11 号 p. 1063
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 清水 幸裕, 樋口 清博, 月城 孝志, 杉山 和子, 岡田 和彦, 渡辺 明治
    1991 年 32 巻 11 号 p. 1064
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 1991 年 32 巻 11 号 p. 1065-1083
    発行日: 1991/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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