肝臓
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36 巻, 12 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 免疫学的障害機序を中心に
    小林 健一
    1995 年 36 巻 12 号 p. 687-689
    発行日: 1995/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 関 孝一, 伊藤 芳晴, 今井 康陽, 垣本 洋希, 原 拓, 西 泰雄, 猪阪 優子, 松本 直樹
    1995 年 36 巻 12 号 p. 690-696
    発行日: 1995/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    IFN網膜症の早期発見と網膜症発現に関与する因子の解析を目的として,IFN治療を受けたC型慢性活動性肝炎88例を対象に,網膜症発現群と非発現群の患者背景因子,治療開始前,開始2, 12, 24週後(終了時)の眼底所見,臨床検査成績,および治療開始前の75gOGTT(IRI)を対比検討した.治療開始前の眼底検査で異常を指摘された症例は除外した.網膜症の発現頻度は25%であった.発現時期は治療開始12週以内で,最短は2週であった.IFNの種類,総投与量は問われなかった.網膜症発現群は高率に糖尿病を合併する傾向を示した.網膜症発現群は治療開始12週後の血小板減少率,HDL減少率,中性脂肪値,中性脂肪増加率が有意に高値(Wilcoxon U test)で,いずれも網膜症の早期発見に有用な項目と考えられた.多変量解析はstepwise法による重回帰分析が行われ,治療開始12週後の中性脂肪増加率と血小板減少率,治療開始前の平均血圧とHbA1Cが選択された.IFN網膜症は糖尿病,高血圧症の基礎疾患を背景因子とし,IFN治療開始後の中性脂肪増加,血小板減少などが要因として加わり,IFN治療開始後早期に発見すると考えられた.
  • 金子 博
    1995 年 36 巻 12 号 p. 697-705
    発行日: 1995/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    原発性胆汁性肝硬変(PBC)の病初期に認められる慢性非化膿性破壊性胆管炎(CNSDC)における胆管破壊機構について免疫組織化学的に検討した.PBCの小葉間ないしは隔壁(中等大)胆管周囲に浸潤していたCD4, CD8陽性リンパ球の算定結果では,両者の浸潤率はほぼ同率で有意差を認めなかった.CD4, CD8陽性Tリンパ球のいずれもが傷害胆管上皮細胞に直接接着し,同時にlymphocyte function-associated antigen (LFA)-1陽性を示した.CNSDCを示す胆管上皮細胞上にはHLA-ABCの発現増強とHLA-DRの顕著な異所性表出とともにintercellular adhesion molecule (ICAM)-1の発現を認めた.これらHLA抗原の表出と増強の下に活性化されたCD4陽性(class II拘束性),CD8陽性(class I拘束性)リンパ球の両者が標的胆管上皮細胞に対して障害性に作用し,終局的には,細胞障害性Tリンパ球表面に発現したLFA-1と胆管上皮細胞形質膜上に発現したICAM-1との接合を介して胆管破壊が惹起されると考えられた.
  • 大石 温子, 熊谷 直樹, 岩渕 直人, 土本 寛二, 倉持 茂, 多田 慎一郎, 常松 令, 斎藤 英胤, 森實 敏夫, 石井 裕正
    1995 年 36 巻 12 号 p. 706-711
    発行日: 1995/12/25
    公開日: 2010/01/19
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,男性で発病の少なくとも6年以上前からHBe抗原陰性,HBe抗体陽性,肝機能正常,DNA polymerase陰性のasymptomatic HBV carrierであった.嘔気,褐色尿を主訴に入院,急性肝炎類似の肝障害を認めた.約2週間後にはプロトンビン時間39%,肝性昏睡II度の脳症,腹水の出現,黄疸の増悪傾向を認め劇症肝炎と診断した.血清学的検査ではHBe抗原陰性,HBe抗体陽性,HBV DNA-p 2, 930 cpm, B型肝炎ウイルスのDNA解析でPreC領域のpoint mutationを認めた.他の肝炎ウイルスの重複感染は血清学的に否定された.集中治療にて回復後インターフェロン療法を行い肝炎はほぼ鎮静化した.近年,B型劇症肝炎患者血清中のHBV Pre-C領域のpoint mutationが高率に存在することが明らかとなったが6年以上asymptomatic HBV carrierの状態にあったにもかかわらず明らかな誘因なくmutant HBVによる劇症肝炎を発症したことは,示唆に富む症例と考えられた.
  • 阪井 貴久, 国吉 幹夫, 中村 昌嗣, 中野 赳, 為田 靱彦, 小坂 義種
    1995 年 36 巻 12 号 p. 712-718
    発行日: 1995/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    小柴胡湯により肝障害と腎障害が惹起された60歳のC型慢性肝炎患者を経験したので報告する.患者は1993年,肝生検にて慢性活動性肝炎と診断され,小柴胡湯の投与の下に経過観察されていたが,黄疸を伴う肝機能検査値の増悪と腎障害をきたした2回の入院歴がある.1994年9月,一時中止していた小柴胡湯の服薬を再開したところ,服薬の翌日より発熱,全身倦怠感をきたし入院した.入院時検査所見ではALT 308IU/l, AST 314IU/l, T-Bil 2.8mg/dlと肝障害とCreat. 1.80mg/dlの腎障害を認めた.過去の2回の入院前にも小柴胡湯の服用歴があり,同薬剤による肝・腎障害を疑い服用を中止したところ検査所見の速やかな改善を認めた.小柴胡湯に対するLSTは陰性であったが,その組成成分であるニンジン,ハンゲ,オウゴン,タイソウに対しては陽性であり,本例の肝および腎障害は小柴胡湯により惹起されたものと診断した.本剤による肝障害の報告は散見されるが,腎障害を伴った報告はなく興味ある症例と考えられた.
  • 川上 康修, 林 純, 中島 孝哉, 柏木 征三郎
    1995 年 36 巻 12 号 p. 719-722
    発行日: 1995/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    天然型インターフェロン(IFN)α投与中にVogt-小柳-原田病(原田病)を発症したC型慢性肝炎の1例を経験した.症例は47歳女性.肝機能異常を指摘されたことはないが,献血時にHCV抗体陽性を指摘され,また肝生検において,慢性活動性肝炎の診断にて天然型IFNα600万単位を2週間連日投与,以後外来にて週3回の隔日投与を行っていた.IFN投与開始後8週頃からの眼のかすみを自覚するようになったため眼科受診.ぶどう膜炎の診断にて入院となった.髄液検査にて細胞数の増加を認めたため,原田病の診断を受け,直ちにステロイド大量投与を開始され,ぶどう膜炎は速やかに軽快した.ぶどう膜炎の発病に関連する因子としてIFNシステムが注目されていることから,IFN投与と原田病発病との関連が推測された.
  • 稲田 浩之, 山村 伸吉, 長田 敦夫, 中村 智次
    1995 年 36 巻 12 号 p. 723-728
    発行日: 1995/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は62歳女性.1987年より高血圧にて当科通院中,肝機能障害および抗ミトコンドリア抗体陽性のため,1989年9月に肝生検施行.慢性非化膿性破壊性胆管炎を認めScheuer分類2期の無症候性原発性胆汁性肝硬変(PBC)と診断した.1990年11月,腰椎の圧迫骨折,尿中BJ蛋白(κ型)を認め,骨髄像にて異型性のあるplasma cellを63.4%認めたため,BJ-κ型多発性骨髄腫(MM)と診断.2疾患の合併はまれで,文献上5例報告されているにすぎない.本例はPBCとBJ-κ型MMの合併,PBC合併のMMに対しインターフェロン(IFN)療法を行った点では最初の報告である.MMはIFN療法により良好なコントロールがえられ4年以上にわたってこの病態の推移を観察しえたので,両者の合併のメカニズム,IFN療法の影響などを考案する上で貴重な症例と考え報告した.
  • 特発性高arylamidase血症の1家系
    宮岡 弘明, 岡田 武志, 田中 昭
    1995 年 36 巻 12 号 p. 729-734
    発行日: 1995/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    稀な家族性高leucine aminopeptidase (LAP)血症症例を経験した.症例は22歳男性.検診で胸部異常陰影を指摘され受診.LAPのみ著明に増加し他の肝機能検査は正常範囲内であった.電気泳動による解析ではα1-globulin位に活性が認められた.LAP分画の酵素活性を測定するとLAP活性の大部分はarylamidaseであった.家族調査を行うと,父親のLAPは正常範囲内であったが,母親と弟のLAPは高値であり,家族性の高LAP血症であった.肝組織は正常肝組織であった.胸部異常陰影は肺結核症であった.抗結核剤投与で胸部陰影は消失したが高LAP血症は持続した.基礎疾患の無いいわゆる特発性高LAP血症症例の本邦報告例は本症例を含めて7例で,7例中3例が愛媛県松山市周辺で発見されている.また特発性高LAP血症は欧米では報告されておらず日本に特有な症例と思われたので報告する.
  • 奥新 浩晃, 森井 和彦, 湯浅 志郎
    1995 年 36 巻 12 号 p. 735
    発行日: 1995/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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