IFN網膜症の早期発見と網膜症発現に関与する因子の解析を目的として,IFN治療を受けたC型慢性活動性肝炎88例を対象に,網膜症発現群と非発現群の患者背景因子,治療開始前,開始2, 12, 24週後(終了時)の眼底所見,臨床検査成績,および治療開始前の75gOGTT(IRI)を対比検討した.治療開始前の眼底検査で異常を指摘された症例は除外した.網膜症の発現頻度は25%であった.発現時期は治療開始12週以内で,最短は2週であった.IFNの種類,総投与量は問われなかった.網膜症発現群は高率に糖尿病を合併する傾向を示した.網膜症発現群は治療開始12週後の血小板減少率,HDL減少率,中性脂肪値,中性脂肪増加率が有意に高値(Wilcoxon U test)で,いずれも網膜症の早期発見に有用な項目と考えられた.多変量解析はstepwise法による重回帰分析が行われ,治療開始12週後の中性脂肪増加率と血小板減少率,治療開始前の平均血圧とHbA1Cが選択された.IFN網膜症は糖尿病,高血圧症の基礎疾患を背景因子とし,IFN治療開始後の中性脂肪増加,血小板減少などが要因として加わり,IFN治療開始後早期に発見すると考えられた.
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