肝臓
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49 巻, 10 号
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原著
  • 林 孝行, 小林 達伺, 高岡 了, 岩田 良子, 久野 博文, 鈴木 英一郎, 仲地 耕平, 佐竹 光夫
    原稿種別: 原著
    2008 年 49 巻 10 号 p. 461-469
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/30
    ジャーナル フリー
    肝機能が不良な進行肝細胞癌患者に対して肝動注療法が選択されているが,腫瘍の増大や肝機能の悪化に伴い,数回の肝動注で途中中止となることが多い.その予後の向上には,肝動注施行時の正確な病態の把握と正確な画像評価を行うことが必要である.今回,シスプラチン(動注用アイエーコール)を用いた進行肝細胞癌患者84名の動注治療成績と治療前後の造影CT及び血管造影の画像所見との対比検討を行った.進行肝細胞癌の中で,腫瘍の境界が不鮮明で,淡い染まりを有し,微細な血管が増生した症例26例中9例(35%)でPRを認めた.これとは対照的に,腫瘍境界が鮮明で被膜様構造を認め,強い腫瘍濃染を示し,太く拡張した腫瘍血管が増生した症例23例中PR症例は認められなかった.
    造影CT,血管造影などの画像所見で,腫瘍の境界が不鮮明で淡い染まりを有し,微細な血管が増生した進行肝細胞癌ではシスプラチンを用いた肝動注療法が有用である可能性が示唆された.
症例報告
  • 島 千春, 山田 晃, 壺阪 真子, 櫻井 元子, 中谷 幸次, 木下 和郎, 岸田 修, 藤本 敬, 南 雄三
    原稿種別: 症例報告
    2008 年 49 巻 10 号 p. 470-475
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/30
    ジャーナル フリー
    症例は60歳女性.前施設にてC型慢性肝炎に対しウルソデオキシコール酸とグリチルリチンによる肝庇護療法を施行されていたが,肝機能が改善しないため精査加療目的で当院来院した.HCVはセロタイプ2型・高ウイルス量で,肝生検組織像はF2A2と線維化がやや進行していた.当初ウイルス学的著効(SVR)を目指したが,投与前より好中球が740個/μlと低値であったため,標準投与量の半量(90 μg)のPEG-IFNα-2aで治療を開始した.しかし投与後に更なる好中球減少をきたしたため,やむを得ず肝線維化進行の抑止を目的として,標準投与量の1/4量(45 μg)を3週間に1回という間欠投与を1年半にわたり継続した.この結果,トランスアミナーゼは速やかに正常化し,1年後にはウイルスは陰性化,肝線維化の改善も肝生検で確認することができた.1年6カ月で投与を終了し,標準投与法と同等の治療効果(SVR)を得た.IFNの副作用をコントロールしながら少量長期間欠投与を行うことで組織学的な改善が得られ,ウイルス学的著効までもが得られた症例を経験した.
  • 飯田 洋也, 安井 智明, 相原 司, 生田 真一, 河合 孝, 山下 英孝, 柳 秀憲, 光信 正夫, 加古 泰一, 末定 靖, 覚野 綾 ...
    原稿種別: 症例報告
    2008 年 49 巻 10 号 p. 476-482
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/30
    ジャーナル フリー
    胆嚢床周囲の肝実質には胆嚢静脈と肝類洞が交通することにより偽病変を認めることがある.今回,画像上肝細胞癌を疑い手術を施行したが,胆嚢静脈還流領域(偽病変)を内包した大再生結節であった症例を経験したので報告する.症例は40歳代,女性.アルコール性肝硬変,腹水貯留にて入院中,肝腫瘍を指摘された.約1年半の経過観察の後,血管造影下CT検査を施行した.CTHA(CT during hepatic arteriography)では,肝S5に径4 cm大の乏血性の結節を認め,内部に楔状に多血性領域を認めた.CTAP(CT during arterial portography)にて同領域に一致して門脈血流の欠損を認めた.以上の所見から,結節内部が脱分化した肝細胞癌と診断し,肝S5切除術を施行した.術後病理検査所見では大再生結節との診断であった.画像診断と病理診断に不一致があったため,再度CTHA-CTAP画像を検討したところ,CTHAにて胆嚢動脈から胆嚢壁が造影され,連続して胆嚢静脈から結節内の一部に楔状に造影される領域を認め,同領域はCTAPで欠損域と一致し偽病変であったことが判明した.
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