肝性脳症モデルとしてEck瘻犬とdimetylnitrosamine (DMN)投与急性肝不全犬を用い,脳CCK-8 IRを測定し,血液,髄液のアンモニアと芳香族アミノ酸との関連を検討した.脳CCK-8 IRは健常犬に比し,Eck瘻犬では,前頭葉,頭頂葉,側頭葉,後頭葉,視床,中脳において,DMN急性肝不全犬では,頭頂葉,側頭葉,視床において有意の減少を示した.脳CCK-8 IRと血液アンモニアとの間に,Eck瘻犬と健常犬およびDMN急性肝不全犬と健常犬では,ともに側頭葉,後頭葉,中脳において有意の負の相関を認め,髄液アンモニアとの間に,Eck瘻犬と健常犬では,側頭葉,後頭葉,中脳において有意の負の相関を認めた.しかし,Eck瘻犬,DMN急性肝不全犬の各々に関する検討では,負の相関傾向を認めたが,有意ではなかった.一方,脳CCK-8 IRと血液,髄液芳香族アミノ酸との間には,Eck瘻犬,DMN急性肝不全犬において明らかな相関は認めなかった.
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