症例は65歳男性,慢性腎不全で加療されていた.2008年4月に原因不明の肝障害が出現し当科紹介,原因検索したが不明のまま血清AST,ALTは自然軽快した.9月に再び肝障害が増悪した際,EBV-VCA IgG抗体価が高値で,ISH法とPCR法により血中,肝組織内のEBV-DNAを確認したことから,慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)と診断.強力ミノファーゲンC 60 m
l /日投与により肝障害は軽快したが,2009年1月に再び肝障害の増悪を認めたためビタラビン600 mg/日静注とプレドニゾロン60 mg/日経口投与を開始したところ肝障害は改善した.しかし,経過中にアスペルギルス,サイトメガロウイルス感染症による重症感染症を併発し永眠された.EBV-VCA IgG抗体価の異常高値が認められた場合,CAEBVを疑い,血中,肝組織内EBV-DNAの存在を証明することは診断確定のために有用と思われた.
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