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金 守良, 梁 茂寛, 徐 昌教, 姜 京富, 高 光重, 梁 勝則, 辛 龍雲, 金 文子, 生方 享司, 津田 文男
1985 年26 巻10 号 p.
1293-1298
発行日: 1985/10/25
公開日: 2010/01/19
ジャーナル
フリー
在日朝鮮人の肝硬変,肝癌による際だって高い死亡率の要因としては,HBウイルスの関与が考えられるが,その頻度調査,感染様式の検索は殆どなされていない.
今回,我々は兵庫県在住在日朝鮮人1,473名のHBウイルスマーカー及び,肝機能を検索し次の結果を得た.(1) HBs抗原陽性率は5.1%で,日本人より高い傾向を示し,40歳台にピークを認めた.HBs抗体陽性率は9.1%で日本人とほぼ同じであり,年齢とともに陽性率の上昇を認めた.(2) HBs抗原陽性者の15.6%HBs抗体陽性者の5.4%,HBs抗原及び,抗体陰性者の2.5%に肝機能異常がみられ,HBs抗原陽性者は他の2群に比べて肝機能異常者が有意に多かった.(3) HBc抗体はHBs抗原陽性者74名中210以上の高titerを示したものが61名(82.4%)であったが,2
9以下のものが8名(10.8%)にみられた.HBs抗体陽性者89名中210以上の高titerを示したものは2名(2.3%)で29以下のものが73名(82.0%)であった.HBs抗原,抗体陰性者中210以上の高titerを示したものが1名(0.08%)のみで29以下のものが32名(2.5%) 1,231名は陰性であった.(4) HBs抗原陽性者のHBe抗原陽性率は62%であり,HBe抗体陽性率は31%でありHBe抗体陽性率は年齢とともに上昇した.HBe抗原からHBe抗体へのseroconversionは男女とも30歳台までにほぼ起こすと考えられた.
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金井 正信
1985 年26 巻10 号 p.
1299-1306
発行日: 1985/10/25
公開日: 2009/05/26
ジャーナル
フリー
B型肝炎ウイルス持続感染者を対象に,末梢血単球のinterleukin 1 (IL 1)産生能を測定し,B型肝炎とのかかわりについて検討を加えた.末梢血単球のIL 1産生能は,慢性肝炎非活動性,慢性肝炎活動性および肝硬変では,対照群との間に差は認められなかったが,無症候性B型肝炎ウイルスキャリアーでは,対照群,慢性肝炎非活動性および慢性肝炎活動性に比し高値を示し,その差は有意であった.また,末梢血単球のIL 1産生能は,肝組織像,各種B型肝炎ウイルス関連マーカーおよび各種肝機能検査成績との間に相関は認められなかった.
以上のことから,無症候性B型肝炎ウイルスキャリアーにおいて,macrophageのIL 1産生能が亢進していることが明らかとなり,macrophageのIL 1産生能の亢進が無症候性B型肝炎ウイルスキャリアーの成立に関与している可能性が示唆された.
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袖山 健, 清沢 研道, 和田 秀一, 中村 信, 依田 英俊, 長田 敦夫, 古田 精市, 赤羽 賢浩, 田中 栄司
1985 年26 巻10 号 p.
1307-1314
発行日: 1985/10/25
公開日: 2010/01/19
ジャーナル
フリー
HBs抗原carrier 89例につき血清HBV-DNAを測定し,その意義について,HBV関連抗原抗体系およびHBV DNA-polymeraseと比較検討した.血清HBV-DNAはHBe抗原陽性69例中55例(79.7%)に,HBe抗原陰性20例中1例(5.0%)に検出された.HBe抗原陽性例のうち無症候性HBs抗原carrier (AsC)16例では全例に血清HBV-DNAが検出されたが,慢性肝疾患例(CLD) 53例では39例(73.6%)に検出された.HBV-DNA量はCLDではAsCに比し低値であった.10例につき経時的検索を行なったところ,血清HBV-DNAはTransaminaseの上昇にやや先行して増加がみられ,HBe抗原のseroconversionに伴い検出不能となった.HBe抗体が高力価持続陽性にもかかわらずTransaminaseが著明に変動していた2例中1例に血清HBV-DNAが検出された.また,血清HBV-DNAは,Interferon投与によるHBVの減少を反映し,定量域も広く,抗ウイルス療法の効果判定に有効な指標となりうると考えられた.
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堀内 隆三, 内田 俊和, 柄沢 勉, 志方 俊夫
1985 年26 巻10 号 p.
1315-1323
発行日: 1985/10/25
公開日: 2010/01/19
ジャーナル
フリー
弾性線維の肝病変における診断的意義を検討した.弾性線維はオルセイン,ビクトリア青で染色可能で,光顕的に既存の弾性線維は直径1~2μ,太いコヨリ状線維であり,新生された弾性線維は0.2~0.7μの細い線維で網目状走行が目立った.電顕的に前者は0.1~0.4μの細い線維が数本~10本ずつよじれながら束をつくり,後者は0.05~0.15μの細い線維が数本~10本ずつ束を作っていた.急性肝炎や劇症肝炎など肝障害の発症時期がはっきりしている症例の生検例や剖検例で検討したところ,肝病変発症後,新生弾性線維の出現に要する期間は,壊死の著しい症例では約1ヵ月であり,壊死のあまり著しくない症例では約5~6ヵ月であった.さらに新生弾性線維の出現とその増量及び線維の直径の増大は,肝炎の慢性化及びその進展をよく反映していた.弾性線維は虚脱と線維化の鑑別,及び“新しい線維化”と“古い線維化”を判断するうえで極めてよい指標となると思われ,肝組織診断上有効であると考えられた.
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西原 利治, 宮崎 正子, 藤川 正直, 前田 隆, 大西 三朗, 山本 泰朗, 伊藤 憲一
1985 年26 巻10 号 p.
1324-1329
発行日: 1985/10/25
公開日: 2010/01/19
ジャーナル
フリー
PBCでは肝内胆管上皮に由来する特異抗原に対する自己免疫反応がその本態と想定されている.我々は先にPBCではInterleukin (IL) cascadeに異常が存在すること,障害胆管周囲のマクロファージ内に胆管上皮抗原免疫複合体が存在することを明らかにした.今回我々はPBCの6症例を対象とし末梢血単球の免疫複合体(IC)に対する反応性を培養上清中に産生されるIL-1活性の面より検討した.その結果,PBCではICに対する反応性は健常人に比し昂進傾向が見られ,殊に胆管上皮抗原免疫複合体に対しては25,100,200μg/mlの濃度で健常人に比して有意に反応性の昂進が認められるとの成績を得た.この成績より障害胆管周囲において胆管上皮抗原免疫複合体で刺激された障害胆管周囲のMΦは一方では抗原提示を行なうと共に他方IL-1産生を行い,細胞障害性T細胞を介してPBCにおける胆管病変の成立に関与している可能性が強いと考えられた.
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清沢 研道, 今井 明彦, 袖山 健, 宜保 行雄, 和田 秀一, 吉沢 要, 小池 ゆり子, 長田 敦夫, 古田 精市, 赤羽 賢浩, 何 ...
1985 年26 巻10 号 p.
1330-1336
発行日: 1985/10/25
公開日: 2009/05/26
ジャーナル
フリー
HBV-DNAの組込みのあるPLC/PRF/5と組込みのないMahlavu, KIM-1の3種のヒト由来培養肝癌細胞を基材とし,112名の肝癌患者血清を用いて,蛍光抗体補体法により肝癌細胞特異的核抗原の検索を行った.2名のB型肝癌患者血清がPLC/PRF/5の核と反応した.他の2細胞系には特異な核抗原はみられなかった.PLC/PRF/5にみられた特異蛍光は,すでに報告されたHepatitis B Nuclear Antigen (HBNA)である.抗HBNA抗体を含む2血清はMahlavu, KIM-1および肝癌以外の癌細胞(HeLa, HEp 2)と反応せず,正常肝,胎児肝,正常細胞とも反応しなかった.この2血清中の抗体はPLC/PRF/5以外の培養細胞により吸収されず,また牛胎児血清でも吸収されなかった.以上よりHBNAはPLC/PRF/5に特異的な核抗原であることが確認された.HBNAはB型肝癌発生過程で何等かの役割を担っている核蛋白と考えられる.
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近藤 征文
1985 年26 巻10 号 p.
1337-1345
発行日: 1985/10/25
公開日: 2009/05/26
ジャーナル
フリー
125I標識抗CEAモノクロナール抗体28A,10Aおよび5Bを用いて,CEA産生性肝癌HC-4に対する集積性を検索した.方法はシンチグラム,マクロおよびミクロオートラジオグラフィーを行ない,投与7日後の各臓器および腫瘍の放射活性を測定した.28A,10Aでは,投与7日目に明瞭な腫瘍の画像が描出された.その際の全身放射活性に対するグラム単位組織の放射活性比は,腫瘍組織が血液より有意に高値であった(p<0.05).さらにグラム単位あたりの腫瘍/血液比は28A,10Aともに対照の正常IgGに比し有意に高く(p<0.05,p<0.01),とくに10AはIgGの約5倍であった.腫瘍/肝臓比では,10Aは28Aより高く,IgGに比し約3.7倍の高値を示した.
以上より10A抗体は,腫瘍集積性に優れており,免疫学的研究および臨床応用とくにimmunoscintigraphyの抗体として有用性が期待される.
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渡辺 純夫, 宮崎 招久, 浪久 利彦, M.J Phillips
1985 年26 巻10 号 p.
1346-1350
発行日: 1985/10/25
公開日: 2009/05/26
ジャーナル
フリー
初代培養肝細胞で2個の細胞が付着結合し毛細胆管構造(BC)が残存している細胞(doublet cell)を用いて,microinjectionにより細胞内にCa
2+を注入してBC収縮機構の解析を行った.
Microinjectionにより急激に細胞内Ca
2+濃度が上昇するとBC収縮が誘発された.
Calmodulinの阻害剤であるtrifluoperazine (TFP)で肝細胞を前処置すると,BCの自然収縮のみならず,microinjectionによるCa
2+誘発性収縮性も濃度依存性及び時間依存性に阻害された.このTFPによる阻害は可逆性であった.今回の結果より,BC収縮機構は,一般非筋細胞においてみられるCa
2+-calmodulin系を介するactin-myosin関連によるものと判断された.
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菊池 英明
1985 年26 巻10 号 p.
1351-1361
発行日: 1985/10/25
公開日: 2009/05/26
ジャーナル
フリー
胆汁酸の消化管内動態の一端を解明するため正常人,胆石症患者(未治療者,chenodeoxycholic acid (CDCA)投与者,ursodeoxycholic acid (UDCA)投与者),肝硬変症患者の糞便中および胆汁中胆汁酸を分析し,以下の結果を得た.(1)胆石症患者の糞便中胆汁酸は未治療群で正常人と差が無いが,CDCA投与群ではlithocholic acid (LCA)が著明な増加を示した.UDCA投与群ではLCAの有意の増加は無く,7-ketolithocholic acid (7KLCA)の増加が認められた.(2)肝硬変症患者では糞便中硫酸抱合型胆汁酸の比率が上昇し,LCA, deoxycholic acidの減少とUDCA, 7KLCAの増加が認められた.以上の事実より,消化管内においてUDCAから7KLCAへの転換が存在すること,UDCAはCDCAに比較しLCAへのdegradation rateは低く,一方CDCAはLCAへのdegradationは速やかで,7KLCAへの転換は少ないことが示唆された.また肝硬変症患者の消化管内における7-dehydroxylationの低下,7-dehydrogenationの亢進,CDCAからUDCAへの転換の増加が推測された.
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とくに食道静脈瘤の各種治療法を中心として
児島 邦明, 奥山 耕一, 大浦 慎祐, 榛沢 隆, 木下 栄一, 深沢 正樹, 二川 俊二, 杉浦 光雄
1985 年26 巻10 号 p.
1362-1371
発行日: 1985/10/25
公開日: 2010/01/19
ジャーナル
フリー
37例のR-C sign(+)またはF2以上の静脈瘤を有する肝硬変合併肝癌に対して,各種治療を行ない,その成績を比較検討した.肝切除可能例に対して,肝切除+Hassab手術を原則とし6例に行ない,術後静脈瘤残存例には,2期的に経胸的食道離断術または,内視鏡的硬化療法を追加した.肝切除不能例31例に対して静脈瘤直達手術を12例,内視鏡的硬化療法を11例に行なった.直達手術例では,肝癌死が64%であり,静脈瘤出血は1例,9%のみである.硬化療法群では,73%が静脈瘤破裂で死亡し,本法のみによる出血予防効果は不充分であった.静脈瘤に対して積極的な治療を行なわなかった8例では,1年以上生存例はなく,4例57%が静脈瘤破裂により死亡した.現在の教室の静脈瘤合併肝癌に対する治療方針は,肝切除が可能か否かにかかわらず,肝予備力の温存されている症例には直達手術を行ない,高度肝障害例に対しては,内視鏡的硬化療法を第1選択としている.
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杉田 周次郎, 大西 久仁彦, 斉藤 正明, 佐藤 慎一, 奥田 邦雄, 近藤 洋一郎
1985 年26 巻10 号 p.
1372-1379
発行日: 1985/10/25
公開日: 2009/05/26
ジャーナル
フリー
実験的に犬の門脈内へ,非病原性大腸菌,及び同菌感作犬血清凝集液を2週間に7~10回注入し,それにより特発性門脈圧亢進症と類似の病変が起こるか否かを検討した.非病原性大腸菌と同菌感作血清を混じて作った凝集液を注入した群を実験群,生理食塩水注入群をコントロール群として生食群とした.実験群において,門脈圧亢進,肝組織所見にて門脈域の線維増生,潰れ,異常脈管出現等,人の特発性門脈圧亢進症と類似の変化を認めた.また,実験群において,6カ月の時点で脾重量増加をみた.以上の条件によって人の特発性門脈圧亢進症と類似の病態を雑種成犬に作製し得たので,特発性門脈圧亢進症の成因のひとつとして,非病原性大腸菌のような毒力の弱い菌,または,菌と抗体の複合体のようなものが腸間膜領域より反復流入し,それに加え脾を中心とする網内系の免疫学的活性化を起こすことが示唆された.
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西田 修, 森安 史典, 中村 武史, 伴 信之, 三浦 腎佑, 酒井 正彦, 内野 治人, 三宅 健夫
1985 年26 巻10 号 p.
1380-1385
発行日: 1985/10/25
公開日: 2010/01/19
ジャーナル
フリー
74例の患者の腹腔動脈造影,上腸間膜動脈造影より,脾動脈径,固有肝動脈径,左右肝動脈径を計測した.肝硬変では,脾動脈径,固有肝動脈径,左右肝動脈径ともにコントロール群と比較し,有意に増大していた.特発性門脈圧亢進症(以下IPHと略す)では,脾動脈径は,コントロール群と比較し,有意に増大し,左右肝動脈径は有意に減少していた,また,肝硬変と比較すると,固有肝動脈径,左右肝動脈径ともに有意に狭小化していた.同一症例で同時に超音波ドップラー法にて門脈血流量を測定したが,IPHで増加している傾向を示した.さらに左右肝動脈径を合計した値(肝動脈径とした)と,同時に測定した門脈血流量との関連を,肝硬変13例,IPH 5例について検討したところ,互いに相補的関連を示す傾向をみた.最後に特発性門脈圧亢進症の患者で例外的に肝動脈の拡張をみた症例を提示し,特発性門脈圧亢進症における肝動脈狭小化の意味を考察した.
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伴 信之, 森安 史典, 中村 武史, 西田 修, 三浦 賢佑, 酒井 正彦, 内野 治人, 三宅 健夫
1985 年26 巻10 号 p.
1386-1392
発行日: 1985/10/25
公開日: 2010/01/19
ジャーナル
フリー
健常者110例,慢性肝炎活動性41例,肝硬変65例,特発性門脈圧亢進症13例の門脈,脾静脈,上腸間膜静脈の血流を,超音波ドップラー法で測定し,次の結果を得た.
1) 肝硬変では,脾静脈血流量と上腸間膜静脈血流量の間に相補的な関係が存在し,門脈血流量は健常者に比して比較的よく維持されていた.
2) 特発性門脈圧亢進症では,脾静脈血流量は著増し,上腸間膜静脈血流も抑制的な対応をせず,門脈血流量は健常者に比して増加していた.
上記の結果により,肝硬変では門脈血流量維持のための脾・腸相関が存在し,腸管領域のhighinflow stateが生じている例がある.一方特発性門脈圧亢進症では門脈血流量は増加し,肝硬変にみられる脾・腸相関は存在しないと考えられた.
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小川 弘道
1985 年26 巻10 号 p.
1393-1399
発行日: 1985/10/25
公開日: 2009/05/26
ジャーナル
フリー
川崎病の肝傷害の詳細を明らかにする目的で25名の患者の剖検肝標本に就いて病理組織学的検索が行われた.全身性血管疾患である川崎病の肝に於て,肝の広汎な壊死を伴う汎動脈炎,静脈炎,梗塞を合併した血栓性動脈炎,血栓性静脈炎及び内膜増殖性閉塞性動脈炎等の特徴的な血管炎が,概ね短病日で死亡した1歳以下の3名の乳児で観察された.門脈域の炎症が28%で認められ,これは川崎病に比較的特徴的な所見であった.細胞浸潤や軽度の巣状壊死等の肝小葉内変化は非特異的と考えられた.うっ血(76%)及び肝細胞の脂肪変性(68%)は心傷害に二次的なものとみなされ,又後者はステロイド療法によっても影響されていると推測される.
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神代 龍吉, 佐田 通夫, 瀬戸山 浩, 丸山 直人, 日野 和彦, 吉武 正男, 赤司 隆裕, 権藤 和久, 佐野 幸寛, 力武 潔, 川 ...
1985 年26 巻10 号 p.
1400-1406
発行日: 1985/10/25
公開日: 2010/01/19
ジャーナル
フリー
肝硬変症にA型肝炎を合併した4例を経験し臨床症状,検査所見および肝組織像について検討した.4例とも症状や検査所見は通常のA型肝炎よりも重篤で2例に腹水と意識障害をみた.A型肝炎合併前の肝機能に回復するのに長期間を要したが,いずれも生存した.組織学的には急性期に肝生検を施行した2例中1例で亜広汎性壊死を認めたが他の1例では壊死は著明ではなかった.回復期の腹腔鏡検査ではすべて結節肝を示し肝硬変症と診断した.IgManti HAVは高値が長く持続した.HBV carrierの2例では有意のHBV関連抗原抗体系の変動を認めなかった.
肝硬変症に合併するA型肝炎は重症化する傾向にあり,肝硬変症憎悪時にはA型肝炎ウイルスに関する血清学的検索を行なうことが重要と思われた.
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岡上 武, 加知 一友, 中島 年和, 福井 進, 太田 正治, 中川 義弘, 奥野 忠雄, 瀧野 辰郎
1985 年26 巻10 号 p.
1407-1412
発行日: 1985/10/25
公開日: 2010/01/19
ジャーナル
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初診時70歳の男性例の無症候性原発性胆汁性肝硬変を3年余り経過観察した.初回肝生検でScheuer分類のI期を呈し,3年後に,合併する腹部大動脈瘤の破裂により手術を受け,その際の生検所見もI期であった.1回目の肝生検所見に比し門脈域の細胞浸潤はむしろ軽減していた.肝機能検査成績やIgM値,AMA値も初診時に比し3年後には改善した.この間,合併症である慢性関節リウマチの治療を主たる目的として,プレドニンとD-ペニシラミンの投与を受けている.これら治療薬剤による肝組織所見への影響は完全には否定しえないが,無症候性原発性胆汁性肝硬変とくに高齢者の無症候性原発性胆汁性肝硬変の予後を考える上で貴重な症例と考えた.
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横須賀 収, 小俣 政男, 広田 勝太郎, 奥田 邦雄
1985 年26 巻10 号 p.
1413
発行日: 1985/10/25
公開日: 2009/05/26
ジャーナル
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太田 正治, 岡上 武, 加知 一友, 金岡 彦治, 澤 美彦, 新谷 弘幸, 王 〓玉, 香川 恵造, 奥野 忠雄, 瀧野 辰郎
1985 年26 巻10 号 p.
1414
発行日: 1985/10/25
公開日: 2009/05/26
ジャーナル
フリー
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日野 和彦, 佐田 通夫, 丸山 直人, 安倍 弘彦, 谷川 久一
1985 年26 巻10 号 p.
1415
発行日: 1985/10/25
公開日: 2009/05/26
ジャーナル
フリー
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山田 剛太郎, 真鍋 康二, 奥新 浩晃, 兵頭 一之介, 藤木 茂篤, 西原 隆, 水野 元夫, 木野山 真吾, 長島 秀夫
1985 年26 巻10 号 p.
1416
発行日: 1985/10/25
公開日: 2010/01/19
ジャーナル
フリー
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宮島 慶治, 溝口 靖紘, 東森 俊博, 阪上 吉秀, 筒井 ひろ子, 武田 弘, 山本 祐夫, 木下 博明, 森澤 成司, 恩地 森一
1985 年26 巻10 号 p.
1417
発行日: 1985/10/25
公開日: 2009/05/26
ジャーナル
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玉沢 直樹, 米田 政志, 牧野 勲, 武部 和夫
1985 年26 巻10 号 p.
1418
発行日: 1985/10/25
公開日: 2009/05/26
ジャーナル
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芦田 雅彦, 浜田 忠弥, 原 秀範, 渡辺 俊明, 小島 秀男, 上村 朝輝, 市田 文弘
1985 年26 巻10 号 p.
1419
発行日: 1985/10/25
公開日: 2009/05/26
ジャーナル
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志賀 淳治, 大西 真, 青山 弘, 椙村 春彦, 青木 直人, 森山 貴志, 井廻 道夫, 山本 孝史, 輿水 馨, 森 亘
1985 年26 巻10 号 p.
1420
発行日: 1985/10/25
公開日: 2009/05/26
ジャーナル
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Kari I. Kivirikko, Eeva-Riitta Savolainen
1985 年26 巻10 号 p.
1421-1425
発行日: 1985/10/25
公開日: 2009/05/26
ジャーナル
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