-
長田 英輔, 池尻 直幹, 前山 豊明, 江口 尚久, 川口 元也, 安倍 弘彦, 谷川 久一
1978 年19 巻8 号 p.
717-724
発行日: 1978/08/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
3例のヒト劇症肝炎の残存肝細胞,壊死細胞,肝細胞が脱落した部分を電子顕微鏡にて観察した.
肝炎の早期に肝生検を行った2例の残存肝細胞の特徴的所見は多数の小脂肪滴が原形質内にみられたことであった.これらの脂肪滴は壊死に陥った肝細胞内にもみられた.同時に糸粒体の変化も著しくReye症候群の肝細胞の電顕所見に似た所見を呈した.肝細胞の壊死には凝固壊死と液化壊死の2つの型がみられた.亜急性例の肝細胞が脱落した部には多数の細胞片,macrophageの出現と同時に線維の増生がみられ,これらの部にはfat-storing cellの出現が多数みられた.同症例では障害を受けた残存肝細胞とは異なる細胞内小器官の保たれてみられる再生肝細胞と思われる小型肝細胞が小葉周辺部にみられた.
抄録全体を表示
-
潜伏期間と予後との関連について
長山 正四郎
1978 年19 巻8 号 p.
725-731
発行日: 1978/08/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
輸血後肝炎にはB型肝炎と関連しない,非B型肝炎が存在することが明らかになってきたが,その肝炎の臨床的検討はまだ十分になされていない.著者は輸血後肝炎,特に非B型肝炎の症例について潜伏期間と予後を中心に臨床的検討を加えた.また肝機能異常が6ヵ月以上遷延した症例は全例組織学的検索を行なった.その結果,非B型輸血後肝炎39例を潜伏期間60日未満と60日以上の2群に分けると,60日未満の群には持続性肝炎,慢性肝炎に進行する症例が多かった.B型輸血後肝炎の9例でも潜伏期間60日未満の3例全部が持続性肝炎,慢性肝炎に進行し,60日以上の6例は6ヵ月以内に完治した.非B型輸血後肝炎で慢性肝炎に進行した群の潜伏期間が最も短かく,治癒群が最も長かった.また慢性肝炎に進行した群の年齢,発黄率,それに発病時の最高s-GPT値が持続性肝炎に進展した群,治癒群より高く,男性が女性より遷延する傾向が強かった.
抄録全体を表示
-
阪本 晴彦, 田中 智之, 中谷 俊生, 木本 渺夫, 小田 冨雄
1978 年19 巻8 号 p.
732-738
発行日: 1978/08/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
慢性肝炎の肝内におけるリンパ球subpopulationを調べる目的で,肝組織内でのE, 7SEA, 19S-EAC結合性細胞の検討を行なった.
方法論的には組織の凍結に際して7.5% DMSO 10% FCSを含むRPMI 1640にてあらかじめincubateし,さらに凍結速度を1~10℃/minと遅くすることにより,良好な結果が得られた.その結果,肝組織内では,(1) 類洞内に浸潤せるリンパ球にはEの結合が19S-EACの結合に較べて多くみられた.(2) Kupffer細胞には7S-EAの結合がみられた.(3) 好酸体,巣状壊死に関与するリンパ球にはEの結合がみられた.(4) 拡大せるグ鞘に浸潤せるリンパ球にはE, 7S-EA, 19S-EACのいずれの結合もみられた.そのうち19S-EACはグ鞘内部のリンパ球に結合する傾向を示し,リンパ濾胞を形成するリンパ球には19S-EACの特異的な結合をみとめた.Eはグ鞘周辺部のリンパ球に結合する傾向を示したが,ここには,7S-EA, 19S-EACの結合もみられた.
抄録全体を表示
-
稲垣 威彦, 石原 清, 篠崎 弘一, 長山 正四郎, 市田 文弘
1978 年19 巻8 号 p.
739-749
発行日: 1978/08/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
慢性肝疾患における末梢血リンパ球のsubpopulationを,T-リンパ球はneuramidase処理および非処理E-ロゼット形成細胞として,B-リンパ球は表面免疫グロブリン保有細胞およびEAC-ロゼット形成細胞として,比較して検索した.T-リンパ球では両者間に差異はなく,neuramidase処理Eとのみ反応するsubsetは認めえなかった.B-リンパ球では両者は平行した成績を示した.疾患群別には,T-リンパ球の比率,数は,各疾患群共に減少し,比率は肝硬変群(HC群)で,数は慢性肝炎(活動性)群(CAH群)で最も著しく,持続性肝炎群(PH群)での変化は最も軽度であつた.B-リンパ球の比率は,各疾患群共に増加し,HC群で最も著しかったが,数はHC群で軽度増加したにとどまり,PH群,CAH群では逆に減少していた.T-, B-リンパ球のいずれにも属さないリンパ球の比率,数には変化がなかった.またHBs抗原陽性,陰性群の間には,リンパ球のsubpopulationの差異はなかった.コルチコステロイド剤は, T-, B-リンパ球の比率には影響を与えなかったが,数を正常値以上に増加させる効果が見られた.
抄録全体を表示
-
黄変米毒肝硬変ラットの肝内血管抵抗の増大部位ならびにその病理形態学的変化について
黒川 彰夫
1978 年19 巻8 号 p.
750-763
発行日: 1978/08/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
門脈圧亢進の発生機序を解析する研究の一環として,ラットを黄変米毒で長期飼育し,肝硬変16例,肝線維症20例を作製し,摘出肝潅流実験による肝血流量(肝血管抵抗)測定,次に生体内で門脈圧,下大静脈圧およびmicropuncture法により門脈終末枝圧,中心静脈圧測定を行い,血行力学的データと肝内血管のX線造影および肝の組織学的,組織計測学的所見との相関を検討した.黄変米毒肝硬変では門脈圧は200mmH
2O以上に上昇,肝血流量は正常肝の約1/3に減少,また,血圧勾配は肝内門脈および類洞域において急峻化していたが,肝静脈では不変であった.これらは類洞床の減少および第9次以下の門脈枝の狭窄と密接に相関していた.以上より黄変米毒肝硬変における肝内血管抵抗増大(門脈圧亢進)は肝内門脈末梢のひずみや狭窄,類洞床の減少に起因すると結論した.
抄録全体を表示
-
加藤 抱一, 二川 俊二, 三條 健昌, 深沢 正樹, 上笹 功, 杉浦 光雄, 和田 達雄, 松本 博志, 鶴丸 昌彦
1978 年19 巻8 号 p.
764-769
発行日: 1978/08/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
雑種成犬4頭において,門脈本幹に狭窄を作製し,さらに'Gore-Tex'人工血管を使用して,大動脈-門脈短絡を形成することによって,手術後2週目で274~620mm Saline(平均389.8±161.7mm Saline)の実験的門脈圧亢進症を作製し得た.
この門脈圧亢進症犬において,手術前後で肝機能の変化はほとんど見られなかった.
内視鏡による胃粘膜の観察では,門脈圧が上昇すると胃炎の頻度が増す傾向が見られた.
胃液検査では,門脈圧が上昇するとMAOが有意の低下を示し,門脈圧が下降すると回復する傾向を見た.
抄録全体を表示
-
南部 勝司, 吉田 和朗, 小松 郁俊, 今成 晴代, 及川 洋子, 田村 公平, 山城 雄二, 小林 教雄, 黒田 博之, 浪久 利彦
1978 年19 巻8 号 p.
770-778
発行日: 1978/08/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
体質性黄疸6例(Gilbert(G)症候群2例, Crigler-Najjar (C-N)症候群II型1例,Dubin-Johnson (D-J)症候群1例,Rotor型過ビリルビン血症(R型)2例)と体質性ICG排泄異常症2例の空腹時血清胆汁酸値(FSBA)をガス液体クローマトグラフィーで定量分析した.測定値はC-N症候群II型とR型で軽度の上昇(3.07~4.74μg/ml)を示したがG症候群, D-J症候群および体質性ICG排泄異常症ではほぼ正常値域内(0.11~1.38μg/ml,正常値:0.60±0.53μg/ml,n=9)にあった.FSBAは体質性ICG排泄異常症を除いて血清総ビリルビン値,直接型ビリルビン値,BSPおよびICG血漿消失率,停滞率と有意の相関を示した.この傾向は各血清胆汁酸構成成分についてもみられたので,肝における胆汁酸の移送はそれぞれが独立して行なわれているものと推測された.食後(卵黄2個食後2時間)血清胆汁酸値はD-J症候群のみで有意に増加した.
抄録全体を表示
-
特に色素動態の変化と顆粒配在の変化について
銭谷 幹男, 沓掛 伸二, 安部 明郎, 島野 毅八郎, 浅尾 武士, 菊地 博, 飛鳥田 一朗, 亀田 治男
1978 年19 巻8 号 p.
779-788
発行日: 1978/08/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
抱合型高ビリルビン血症,黒色肝,肝細胞内色素顆粒などにより確診されたDubinJohnson症候群の1女性例を,20年後に肝生検を含めて再検し,比較検討した.今回検索の結果前回と異り,BSP代謝は5mg/kgの投与で停滞率が著しく高度となり,また肝内色素顆粒のKupffer星細胞への集族が認められた.またBSP1mg/kg投与によって明らかな再上昇を認めた.肝組織で炎症を思わせる所見はみられず,問診上にも異常はみられなかった.尿中コプロポルフィリンの検討では%Coprolは55%であり,Dubin-Johnson症候群としては低い値を示した.20年の長期の経過後の状態を検討した本症候群の報告は本例がはじめてである.また上記のような著明な変化についても報告がなく,本症例はDubin.Johnson症候群を含む体質性高ビリルビン血症の病態や予後の解明に,新らたな知見を示したものである.
抄録全体を表示
-
小坂 稔男子, 寺本 純, 品川 宏, 後藤 裕己, 稲垣 孝雄, 黒柳 弥寿雄
1978 年19 巻8 号 p.
789-795
発行日: 1978/08/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
門脈から右腎静脈を介し,下大静脈へ流入する側副血行路を伴う肝外門脈閉塞型の門脈圧亢進症の症例を報告した.患者は50歳女性で,手指振戦,歩行障害を呈し,入院した.さらに,脾腫,汎血球減少,高アンモニア血症が認められ,脳波では,三相波が認められた.腹腔動脈造影,逆行性腎静脈造影により,本例を右腎静脈門脈側副血行路を伴う肝外門脈閉塞型の門脈圧亢進症であると診断した.脾機能亢進が疑われ,食道静脈瘤が認められなかったので,脾摘術を施行した.術後,末梢血検査成績は改善した.また,食餌性蛋白の制限,ラクチュロースの経口投与により,高アンモニア血症は正常化し,神経症状も徐々に改善した.本例の肝性脳症は巨大な後腹膜性の側副血行路に原因したと思われる.本例は右腎静脈を介し,下大静脈へ流入する門脈系側副血行路を診断し得た点で,稀有な症例であった.
抄録全体を表示
-
岩崎 正高, 長田 英輔, 安倍 弘彦, 谷川 久一, 中村 照, 二宮 健二, 中山 和道
1978 年19 巻8 号 p.
796-802
発行日: 1978/08/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
症例は16歳の男性,右季肋部痛を主訴として来院する.腹部に腹直筋離開を認め,逆行性胆道造影にて胆管の走行異常と胆石症,肝シンチグラムにて肝の形態異常,選択的腹腔動脈撮影にて動脈の走行異常と脾の横位を認め,胆石症を伴った肝奇形と診断し手術を施行した.開腹時,肝臓は右葉部分が著明に肥大伸展しており,大きい切痕が4ヵ所あり,大きく5分葉していた.肝の色調は正常であり,触診でも異常なく,手術時の肝生検組織像でも異常はなかった.又,胆嚢は肝の裏面の切痕内に埋没しており,胆嚢頚部に3個,胆嚢内に1個の結石が存在した.胆道及び肝血管の走行は,丁度前面からみると肝門部を中心として右下腹部の方向に約90°回転した状態であり,肝の過分葉を伴う肝奇形と診断した.これは,先天性腹直筋離開と胆石症を合併した肝奇形の一症例と思われた.
抄録全体を表示
-
東 秀史, 瀬戸口 敏明, 香月 武人
1978 年19 巻8 号 p.
803
発行日: 1978/08/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
-
黒田 博之, 吉田 和朗, 小松 郁俊, 今成 晴代, 及川 洋子, 田村 公平, 山城 雄二, 小林 教雄, 南部 勝司, 浪久 利彦
1978 年19 巻8 号 p.
804
発行日: 1978/08/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
-
恩地 森一, 山下 善正, 大野 尚文, 吉田 智郎, 幡 慶一, 田中 昭, 太田 康幸
1978 年19 巻8 号 p.
805
発行日: 1978/08/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
-
児島 淳之介, 金谷 正子, 中村 允人, 加藤 道夫, 東條 文竜, 清永 伍市
1978 年19 巻8 号 p.
806
発行日: 1978/08/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
-
庵政 志, 杉田 敏夫, 安達 正夫, 前原 操, 菅谷 仁, 久内 徹, 原田 尚
1978 年19 巻8 号 p.
807
発行日: 1978/08/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
-
安藤 喬, 寺倉 俊勝, 小木曽 和夫, 藤岡 均, 吉田 洋, 高橋 善弥太, 下中 恵美子, 川出 眞坂
1978 年19 巻8 号 p.
808
発行日: 1978/08/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
-
1978 年19 巻8 号 p.
809-833
発行日: 1978/08/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー