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籏原 照昌, 五十嵐 省吾
1983 年 24 巻 4 号 p.
381-388
発行日: 1983/04/25
公開日: 2010/01/19
ジャーナル
フリー
シロネズミ肝実質細胞の初代培養において,線維芽細胞の混入がないことを確認し,肝細胞によるコラーゲン合成の経時的変化,およびその間に産生されたコラーゲンの型分析を試みた.細胞数あたりのコラーゲン合成能は培養5日目までは漸増したが,その後は減少した.型分析については可溶性プロコラーゲンを抽出し,DEAE-セルロース,Agarose A 15m, CM-セルロースカラムクロマトグラフイで同定を行なった.その結果,主としてI型コラーゲンが,更に少量のIII型コラーゲンが肝実質細胞より産生された.線維芽細胞以外に肝実質細胞もコラーゲン産生能を有し,肝線維化の過程に関与する可能性が否定できないことを示した.
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上田 寛
1983 年 24 巻 4 号 p.
389-397
発行日: 1983/04/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
ラット肝からプロナーゼ灌流法および遠心分離法により分離し,培養したKupffer細胞のendocytosisにおけるcytoskeletal systemの関与について,cytochalasin B (CB)とcolchicineを用いて,電顕的観察および放射能活性測定によって検討した.ホルマリン固定ラット赤血球あるいは直経5.4μm latex粒子のKupffer細胞への取込みはCBもしくはcolchicine処理によって阻害された.直径0.8μm latex粒子のKupffer細胞への取込みは,CB処理群では阻害されたが,colchicine処理群では阻害効果はみられなかった.金コロイド粒子のKupffer細胞への取込みでは,CBおよびcolchicine処理群共に阻害効果を示さなかった.これらのことより,Kupffer細胞のmicrofilaments (MF)は0.8μm以上の粒子については,粒子の大小を問わずその取込みに関与して,microtubules (MT)は大きな粒子(直径5~6μm)の取込みに影響をおよぼすが,金コロイド粒子の取込みにはMFおよびMTの役割は小さいことが推測された.
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吉田 豊, 友寄 高士, 森 道夫, 平田 公一, Aaron E. FREEMAN
1983 年 24 巻 4 号 p.
398-404
発行日: 1983/04/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
マウス胎児肝組織を殺菌ブタ皮膚を支持体として培養した.ブタ皮膚真皮面に移植培養された肝組織片は1週以内に変性壊死に陥ったが,表皮面に培養された肝組織は生存し,12週の間培養可能であった.培養肝組織の増殖はブタ皮膚表皮を鋭利なナイフで傷をつけ基底膜を露出すると増強される傾向があった.培養細胞はgamma glutamyl transferase (GGT),アルカリフォスファターゼ(ALP),非特異性エステラーゼ(NE)などの酵素活性を保持し,GGT活性はα-fetoprotein (AFP)とともに培養初期で陽性であったが,いずれも培養後期には漸減した.しかし後期にはアルブミン(ALB)が陽性となり培養肝細胞の分化が示唆された.培養細胞は電顕的にデスモソームで互いに接着し,細胞小器官に富み,しばしばロゼット型糖原顆粒を保有していた.
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荻野 昌昭, 沖田 極, 名和田 浩, 安永 満, 新開 泰司, 門 裕二, 坪田 若子, 江崎 隆郎, 沼 義則, 福本 陽平, 野田 健 ...
1983 年 24 巻 4 号 p.
405-411
発行日: 1983/04/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
phenobarbital投与ラット肝より薬物代謝系酵素であるepoxide hydrase(以下EHと略す)を精製し,その特異抗血清により,preneoplastic antigen(以下PN抗原と略す)の生化学的性質について検討した.免疫化学的方法ならびにSDS-ポリアクリルアミド電気泳動により,PN抗原とEHの抗原性は同一ではあるが,しかしPN抗原はEHそのものではなく,EHに少なくとも分子量27,000のproteinが結合したprotein complexであることが考えられた.EHに結合したproteinの生化学的性質は明らかではないが,このようなEHとあるproteinのcomplexとしてのPN抗原が存在するということは,化学発癌過程における肝microsome膜の変化と密接に関係していると思われる.
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溝口 靖紘, 沢井 寛子, 筒井 ひろ子, 新井 孝之, 池本 吉博, 阪上 吉秀, 東森 俊博, 門奈 丈之, 山本 祐夫, 森沢 成司
1983 年 24 巻 4 号 p.
412-416
発行日: 1983/04/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
腹水肝癌細胞(MH134)を標的細胞とし,syngeneicなマウスから調製した腹腔滲出細胞をeffector細胞として,抗肝癌細胞膜抗体を介する腫瘍細胞障害を検討すると,明らかなDNA合成の抑制やcytolysisが認められた.このantibody-dependent macrophage-mediated cytotoxicity (ADMC)反応による腫瘍細胞障害は,前もって,effector細胞をlipopolysac-charide, OK-432で処理することによってさらに著明に誘導され,同様なことがADMC反応初期培養上清でeffector細胞を処理することによっても観察された.また,腫瘍細胞培養上清中にもeffector活性を上昇させる因子が認められた.ADMC反応初期培養上清や腫瘍細胞培養上清中には腹腔滲出マクロファージ(mφ)の活性化を誘導する因子が存在する.このことはmφへの3H-グルコサミンのとりこみが増強されることから推測された.以上の結果はADMCにより腫瘍細胞障害が誘導され,さらに,effector細胞を種々の物質で活性化すると,ADMC反応による腫瘍細胞障害性が増幅されることを示唆している.
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桑木 敏光
1983 年 24 巻 4 号 p.
417-425
発行日: 1983/04/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
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閉塞性黄疸時の血清中のbilirubin monoglucuronide (BMG)の増加成因について実験的・臨床的に検討した.臨床例ではBMGは閉塞性黄疸完全閉塞例で総ビリルビンの46.9±5.0%で経皮経肝的胆管ドレナージ(PTCD)後4日目には約1/3に減少した.胆管結紮ラットでBMGは閉塞と共に増加しBMGとbilirubin dig1ucuronide (BDG)との比(BMG/BDG)は閉塞1日目1.39±0.27から4日目1.94±0.06と増加した.β-glucuronidase (β-gluc.)活性は胆管閉塞後次第に増加し,閉塞4日目に肝組織中,血清中の活性はピークに達しBMG/BDGも最大となった.以上のことから閉塞性黄疸時にみられるBMGの増加は肝内でのβ-gluc.によるBDGの選択的脱抱合によることが大きな因子と考えられた.
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与芝 真, 三條 健昌, 山崎 善弥, 井上 昇, 堺 隆弘, 岡田 吉博, 山田 春木, 藤原 研司, 岡 博, 織田 敏次, 和田 達雄
1983 年 24 巻 4 号 p.
426-432
発行日: 1983/04/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
急性肝不全例を独自に開発した非被覆活性炭血漿潅流により治療した際に,しばしば見られた血小板減少とFDP出現を伴う出血性傾向の機序解明のため,正常犬と急性肝不全犬を対象に臨床的方法に準じて血漿潅流を行い,血液凝固線溶機能に与える影響を検討した.正常犬の場合は非被覆活性炭血漿潅流の凝固線溶機能に与える影響は軽微であったが,急性肝不全犬の場合は血漿潅流開始後高度のプロトロンビン時間の延長,急激かつ高度の血中フィブリノーゲン,プラスミノーゲン,アンチトロンビンIII濃度の低下と大量のFDP出現が認められた.活性炭を生体適合性の高いpoly-HEMAを被覆すると,以上のパラメーターの変動は総じて軽減されたが,肝障害が強い場合はその変動はやはり高度であった.以上より,活性炭血漿潅流療法は,非被覆活性炭の場合も被覆活性炭の場合も,重症肝不全時には血液凝固線溶機能を亢進させ,出血性傾向を助長する事が推定された.
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三室 淳, 池上 文詔, 土谷 春仁, 桜井 幸弘, 船冨 亨, 多賀須 幸男, 佐多 徹太郎, 打越 敏之, 石河 利隆
1983 年 24 巻 4 号 p.
433-439
発行日: 1983/04/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
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本邦では欧米と比較し,HB抗原が陰性で,輸血歴を持たない大酒家にも肝細胞癌(以下肝癌)が高率に認められる.これらの症例(以下大酒家肝癌例)において非A非B肝炎ウイルス(以下NANBHV)が関与する可能性についてmethamphetamine注射濫用歴との関わりを中心に検討した.この結果,大酒家肝癌例では肝癌を合併しない大酒家肝疾患例と比較しmethamphetamine注射濫用歴が有意に高率であり,また肝機能検査上s-GOT/s-GPT比が有意に低値を示し,禁酒後の肝機能異常の改善が遅いという特徴を示した.覚醒剤として濫用されているmethamphetamine注射は肝炎ウイルスの感染機会となりうると考えられ,一部の大酒家肝癌例ではmethamphetamine注射を介しNANBHVが感染し,肝癌の発生に関与した可能性があると考えられた.
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真玉 寿美生, 草野 正一, 福井 光治郎, 岡田 信之, 山田 伸夫, 石井 公道, 柴田 久雄, 岡部 治彌, 村田 晃一郎, 三屋 公 ...
1983 年 24 巻 4 号 p.
440-448
発行日: 1983/04/25
公開日: 2009/07/09
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内視鏡検査で胃・食道静脈瘤が証明されるにもかかわらず経皮経肝門脈造影では胃・食道静脈瘤へ連なる遠肝性側副血行路を認めない症例を,我々は特殊型静脈瘤と呼称している.今回PTO施行例における検討で以下の結果を得た.1)特殊型静脈瘤はPTO未施行例では4%にみられる.2)PTO施行後の再出血中に占める特殊型静脈瘤の頻度は1/3である.3)PTO施行後の再出血は,1/3におこり,再出血までの平均期間は6.8ヵ月である.4)特殊型静脈瘤に対する非手術的治療として左胃動脈へのvasopressin持続動注療法と内視鏡的硬化栓塞療法を試みた.以上のほかに本論文では,特殊型静脈瘤と,局所的循環亢進状態との関連についても言及した.
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田中 栄司
1983 年 24 巻 4 号 p.
449-460
発行日: 1983/04/25
公開日: 2009/07/09
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従来より肝硬変の一部に腎尿細管性アシドーシス(RTA)の合併することが知られているが,その頻度および成因につき検討した報告は少ない.今回著者は,慢性肝疾患における尿酸性化能およびHCO-3再吸収能を測定し,各種因子との関連を検討した.尿酸性化障害(distal RTA)の合併は,慢性肝炎では14.3%と低率であり,障害の程度も軽度であった.これに対し代償性肝硬変では26.7%,非代償性肝硬変では80.0%と高率であり,障害の程度も高度であった.ただし全症例とも臨床的に代謝性アシドーシスは伴わず,incomplete RTAであった.尿酸性化障害の原因は不明であったが,肝硬変で尿酸性化障害(+)の群は血清IgM値が有意に高値を示していた.HCO-3再吸収能に関しては,肝硬変では慢性肝炎に比べて有意に低下していた.しかしその程度は軽く,またHCO-3再吸収能と血中Pco2との間に正の相関がみられることより,肝硬変に伴う呼吸性アルカローシスがその主な原因と考えられた.
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阿部 正秀, 久保 保彦, 平井 賢治, 池田 英雄, 谷川 久一, 中山 和道, 小林 重矩, 神代 正道, 川野 芳朗
1983 年 24 巻 4 号 p.
461-465
発行日: 1983/04/25
公開日: 2009/07/09
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症例は48歳,男性.黄疸と上腹部痛を主訴として来院した.エコー,逆行性胆管造影,血管造影などにより,左肝内胆管に腫瘍を認め,原発性胆管癌と診断し,左葉切除術を施行した.手術および病理所見では20×20mmの原発性肝細胞癌が左肝内胆管にポリープ状に発育していた.
肝細胞癌は種々の臨床症状を呈する.時に腫瘍の胆管内発育により閉塞性黄疸を呈することが報告されている.しかしその多くは進行癌で認められ,細小肝癌では全く報告をみない.細小肝癌は一般に無症候であることが多いが,本症例は細小肝癌が胆管内に発育し閉塞性黄疸と疼痛の消長を繰り返し,外科的に切除可能であった,ごくまれな症例として文献的考察を加えて報告した.
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山内 真義, 中原 正雄, 藤沢 洌, 亀田 治男, 河村 博, 藤松 順一, 赤塚 俊隆, 志方 俊夫
1983 年 24 巻 4 号 p.
466
発行日: 1983/04/25
公開日: 2009/07/09
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松崎 靖司, 高瀬 靖広, 三田村 圭二, 大菅 俊明, 井廻 道夫, 岩崎 洋治
1983 年 24 巻 4 号 p.
467
発行日: 1983/04/25
公開日: 2010/01/19
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小俣 政男, 今関 文夫, 横須賀 収, 内海 勝夫, 森 順子, 伊藤 よしみ, 奥田 邦雄
1983 年 24 巻 4 号 p.
468
発行日: 1983/04/25
公開日: 2009/07/09
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堀内 隆三, 大村 正史, 鈴木 高祐, 宮田 久裕, 内田 俊和, 志方 俊夫, 阿部 賢治, 藤松 順一
1983 年 24 巻 4 号 p.
469
発行日: 1983/04/25
公開日: 2009/07/09
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田城 明子, 横山 浩二, 菊地 英明, 渡辺 正夫, 篠崎 堅次郎, 中川 昌一, 高間 俊彦
1983 年 24 巻 4 号 p.
470
発行日: 1983/04/25
公開日: 2009/07/09
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斎藤 純夫, 吉川 明, 渡辺 省三, 市田 文弘, 鈴木 司郎
1983 年 24 巻 4 号 p.
471
発行日: 1983/04/25
公開日: 2009/07/09
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紺田 健彦, 小島 隆, 中野 護, 井上 恭一, 佐々木 博
1983 年 24 巻 4 号 p.
472
発行日: 1983/04/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
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1983 年 24 巻 4 号 p.
473-483
発行日: 1983/04/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
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