肝臓
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33 巻, 9 号
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  • 安田 清美, 飯野 四郎, 小池 和彦, 四柳 宏, 黒川 清, 日野 邦彦
    1992 年 33 巻 9 号 p. 661-666
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    C100-3抗体陽性献血者178例の追跡調査ならびに臨床病理学的検討により,約50%が6ヵ月以上ALTが持続正常で,これらのうち約1/3はHCV-RNA陽性で,臨床的に無症候性HCVキャリアーと考えられた.一方,ALT異常を呈する例は,HCV-RNA陽性で肝組織学的検索からもC型慢性肝疾患と考えられた.C100-3抗体陽性献血者において,HCV core抗体の有無は,HCV-RNAの有無とよく一致した.また,C100-3抗体陽性無症候性HCVキャリアーの肝組織所見は,いずれも慢性肝炎像を有しており,肝組織が正常肝であるHCV healthy carrierは存在しないものと推察された.
  • 奥新 浩晃, 上田 久志, 藪下 和久, 森井 和彦, 木曽 尊彦, 森下 博文, 湯浅 志郎
    1992 年 33 巻 9 号 p. 667-676
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    C型慢性肝疾患キャリアの配偶者50名(平均年齢50.3歳,平均結婚期間24年9ヵ月)を対象にHCV抗体(1st, 2nd ELISA法), HCV RIBA IIおよびHCV-RNAを測定し,HCVの配偶者間感染の実態について検討した.
    対象者50名はHCV抗体測定により,1st HCV抗体陽性群(全例2nd HCV抗体陽性)10名(20%),2nd HCV抗体のみ陽性群6名(12%),両者共陰性群34名(68%)の3群に大別され,2nd HCV抗体陽性率は50名中16名32%と高率であった.2nd HCV抗体のみ陽性群6例は,いずれもc22-3が強陽性を示すもs-GPTは正常で不顕性感染例と考えられ,そのうち少なくとも3例はHCV RIBA IIが陽性を示し無症候性キャリア状態で,C型肝炎発症の前段階に相当する可能性が示唆された.
    以上,2nd HCV抗体,HCV RIBA IIの測定はHCVの不顕性感染例の検出,病態解析に有用であり,高率に肝障害を合併する1st HCV抗体陽性群と併せ,C型慢性肝疾患キャリアの配偶者はHCV感染のhigh risk groupに属するものと考えられた.
  • 澤 美彦
    1992 年 33 巻 9 号 p. 677-684
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    ヒト肝硬変と同様の組織像,門脈圧亢進,splanchnic hyperdynamic circulationを示すthioacetamide投与肝硬変ラットを対象に,isosorbide dinitrate (ISDN)の肝および全身血行動態への効果について検討した.ISDNは門脈-側副路血管抵抗を減少さすことにより,肝硬変ラットの門脈圧を下降させた.門脈圧下降作用はISDN 1μg/kg bw/min投与より生じ,投与濃度を増加してもその下降の程度に変化はなかった.ISDN 1μg/kg bw/min投与時には肝血流量や末梢血圧の変化はみられなかったが,100μg/kg bw/min投与時には,シャント血流増加による肝血流量の低下や低血圧が出現した.対照群と肝硬変群でISDNの効果は異なっていた.ISDNは肝硬変ラットにおいて肝血流量の減少や全身血行動態の変動を認めないような低濃度で,門脈圧を降下させた.
  • 伊坪 真理子, 林 昭太, 都野 晋一, 穂苅 厚史, 奥秋 靖, 大川 康彦, 石川 智久, 原 正樹, 坂口 正巳, 河辺 朋信, 根岸 ...
    1992 年 33 巻 9 号 p. 685-691
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    巨大脾腎静脈短絡路を伴った小型肝細胞癌合併肝硬変症6例について,短絡路を伴わない症例をコントロールとして,画像および臨床像の特徴を検討した.特徴的な画像情報としては血管造影像より,門脈本幹径/脾静脈径は短絡路群では1以下でコントロール群より有意に小さかった.この事実,すなわち門脈本幹径が脾静脈径より小さいことは,画像検査の最初に行われる超音波断層検査の際に脾腎静脈短絡路を見出だすきっかけになりうると考えられた.内視鏡検査より脾腎静脈短絡路の発達は食道静脈瘤増悪の抑制効果が示唆されたが,一部の症例に伴っていた胃腎静脈短絡路の発達は胃静脈瘤形成への関与が推測された.臨床経過より短絡路群では肝性脳症が起こりやすいことが明らかであり,癌治療時のTAEやTAIなども誘因になりやすいため,この点留意すべきと考えられた.
  • 腫瘍壊死効果との相関の比較および実測半減期の比較
    岸 和史, 園村 哲郎, 光実 淳, 佐藤 守男, 山田 龍作
    1992 年 33 巻 9 号 p. 692-698
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    血漿PIVKA-IIと血清AFPの両方が陽性であった未治療の切除不能肝癌患者26名でTAEの術前から術後の各週のPIVKA-IIとAFPの推移,および1週めのX線CT像の腫瘍壊死率の関係を検討した.TAE後1週めでは腫瘍壊死率にPIVKA-IIの推移が有意に相関(γ=0.7)したが同じ時期のAFPの推移は腫瘍壊死率に相関(γ=0.2)しなかった.TAE後2, 3週めはPIVKA-II, AFPとも有意に相関した.TAE後腫瘍壊死率90%以上の16例におけるPIVKA-IIの実測半減期(AHL)は44時間が最短で,すべてのAHLのうちの75%はTAE後2日めから4日めの間に集中し平均のAHLは3.2日であった.一方AFPのAHLは2.98日が最短でまばらに分布し平均は6日であった.またこれらの肝癌TAE後のPIVKA-IIとAFPの推移の特徴の違いからTAE後1週めの効果判定にはPIVKA-IIがAFPより有用であることが示唆された.またこれらの結果は肝癌TAE後の効果判定におけるPIVKA-IIとAFPの有用性を支持すると考えられた.
  • 小林 聡, 中沼 安二
    1992 年 33 巻 9 号 p. 699-704
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    骨髄移植後の肝内脈管病変を13例の剖検肝を用い検討した.組織学的に,典型的なVenoocculusive disease (VOD)例,肝実質の出血,壊死像が目立つが肝静脈枝の閉塞性病変が軽度な例,肝静脈枝の閉塞性病変を認めるが肝実質の出血,壊死は軽度な例,軽度の静脈閉塞性病変のみの例,肝小葉内での循環障害を示唆する変化(肝実質内の類洞の拡張,異常血行路の形成,肝細胞の結節性再生性過形成等)を同時に認める例など多彩であった.臨床病理学的検討より,骨髄移植後の肝内脈管病変の中心にはVODがあり,高度障害例では典型的VODを呈し早期に死亡するが,早期死亡をまぬがれた遷延症例や中等度障害例では,肝実質の出血,壊死像は軽減し,また肝小葉内での循環障害を示唆する病変が生じると考えられた.なお,今回見られた肝小葉内病変は,特発性門脈圧亢進症でも出現することが知られており,肝内循環障害に続発する特異性に乏しい2次的変化と考えられた.
  • 沼口 宏太郎, 石橋 大海, 田中 実, 島村 隆二, 松井 美詠子, 平田 泰彦, 梅野 守男
    1992 年 33 巻 9 号 p. 705-709
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    母娘で各々原発性胆汁性肝硬変症(PBC)およびルポイド肝炎の発症がみられたので報告する.母親は67歳,女性.血清ALP値の上昇からPBCを疑われた.抗ミトコンドリア抗体(AMA)が320倍と陽性で,抗PDC抗体が陽性であること,および腹腔鏡下肝生検による組織像からPBCと診断された.娘は27歳時,高γ-グロブリン血症,抗核抗体,抗DNA抗体,LE細胞陽性を呈する肝炎を発症し,副腎皮質ステロイド治療で顕著な改善がみられたことよりルポイド肝炎と診断されれた.HLA抗原の共通のハプロタイプはDR4であった.PBCとルポイド肝炎はいずれも肝臓を免疫反応の場とする自己免疫性疾患であるが,各々その標的細胞は異なる.またこれまでPBCの家族内発症の報告はみられるが,両者の親子発症例の報告はみられない.両疾患の遺伝的背景,および発症機序を考える上で興味深い症例と考えられた.
  • 西川 文則, 鴨下 宏海, 戸島 恭一郎, 柳沢 徹, 山内 眞義, 今井 深, 戸田 剛太郎
    1992 年 33 巻 9 号 p. 710-715
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,女性.平成2年1月肝細胞癌と診断,以後当科にて入退院を繰り返していた.同年7月頃より舌の右方偏位,左大腿部痛を自覚,次第に増強したため同年10月入院.平成3年3月上旬に突然鼻出血を来し,耳鼻科にてENT (Ear, Nose, Throat) Fiber scope検査を施行したところ,上咽頭に腫瘍を認め,出血は腫瘍からのものであり,生検の結果,肝細胞癌の転移であった.その後,眼瞼下垂,構音・嚥下障害が出現し,4月13日死亡した.死因は呼吸不全であった.肝細胞癌が鼻・副鼻腔領域,とくに蝶形骨洞と上咽頭へ転移した極めて稀な症例であり,報告した.
  • 道免 和文, 大森 房之, 山野 裕二郎, 長野 政則, 田中 聡也, 和田 邦敬, 溝口 幹朗, 岩田 康, 石橋 大海
    1992 年 33 巻 9 号 p. 716-723
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    血清DUPAN2が高値を呈した肝限局性結節性過形成(FNH)の1例を報告する.症例は25歳女性.出産入院中に腹部腫瘤を認められ,出産後当科に入院.USで多数の円形小結節,線状高エコーを有する9×8cmの肝腫瘤を認め,カラードプラで腫瘤辺縁より内部に流入する拍動性の血流を認めた.CTでは星茫状陰影を有する軽度の低濃度腫瘤を認めた.星茫状陰影は造影CTで増強され,MRI T1強調画像で低輝度,T2強調画像で高輝度を示した.血管造影では左胃動脈から分岐した腫瘍血管が腫瘍内で長く曲線状に伸展している像が得られた.腹腔鏡では表在血管の豊富な黄赤色調の腫瘤が肝より膨隆して認められ,ICGの静注にて着色しなかった.肝左葉切除を施行.腫瘤は薄い被膜を有する9×9×6cmのサイズで,中心部に星茫状瘢痕がみられ,組織学的にもFNHと診断された.高値であったDUPAN2が正常化した.MRI,血管造影検査で肝血管腫も認められ,FNHと肝血管腫の関連についても考察した.
  • 玉沢 直樹, 玉沢 敦子, 武部 和夫
    1992 年 33 巻 9 号 p. 724-725
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 岡本 康幸, 菊池 英亮, 松本 昌美, 福井 博, 中野 博, 辻井 正
    1992 年 33 巻 9 号 p. 726-727
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • クラスII抗原発現増強作用の点から
    佐藤 好信, 塚田 一博, 吉田 奎介, 武藤 輝一
    1992 年 33 巻 9 号 p. 728-729
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • IL-1による産生誘導
    幸田 弘信, 小野 稔, 鳥本 悦宏, 大平 基之, 水野 正巳, 田中 俊英, 関谷 千尋, 並木 正義
    1992 年 33 巻 9 号 p. 730
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 熊田 博光, 茶山 一彰, 荒瀬 康司, 坪田 昭人, 斉藤 聡, 鯉田 勲, 池田 健次, 松本 豊海, 酒井 洋子, 高井 庸子, 岩崎 ...
    1992 年 33 巻 9 号 p. 731
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 井本 勉, 岡本 宏明, 真弓 忠, 井上 恭一, 福田 善弘, 樋口 清博, 竹内 孝男, 池原 幸辰, 小林 昌樹, 山本 伸
    1992 年 33 巻 9 号 p. 732
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 高原 照美, 伊藤 博行, 中山 義秀, 古井 啓, 渡辺 明治, Karim T.A. Malik, 岩田 和士
    1992 年 33 巻 9 号 p. 733
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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