肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
34 巻, 2 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 本田 浩仁, 日比野 真吾, 林 広茂, 清水 一郎, 伊東 進
    1993 年 34 巻 2 号 p. 105-113
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    輸血血のC100-3抗体スクリーニング後の輸血血におけるHCV感染状況と病態について検討するため,経時的に観察し得た輸血例209例につき各種HCV抗体(C100-3抗体,GOR抗体,第二世代抗体)を測定した.
    209例のうち,確診例は7例(3.3%),疑診例は15例(7.2%)あり,なんらかのHCV関連抗体が陽転化したのは確診例で4例,疑診例で3例あった.HCV関連抗体が陽転化した症例は,すべて術後4週以後にALT値のピークがあり,術後4週以内の一過性の上昇のみの場合は,HCV関連抗体が陽転化した症例はなく,手術に起因するALT値の上昇の可能性が強いと思われた.また,抗体陽転化例において,確診例の方が疑診例よりHCV関連抗体の陽転化の時期は早く,ALT値も高くO.D.値も高い傾向が認められた.この事実は,感染したウイルス量に起因すると推察された.さらに,HCV抗体の成績を導入した新しい診断基準の作成が必要と考えられた.
  • 中本 安成
    1993 年 34 巻 2 号 p. 114-121
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    C型肝炎ウイルス(以下HCV)ゲノムE2/NS1部位に存在する高変異領域の臨床的意義を検討するため,高変異領域を含む発現タンパク及びこれらに対するポリクローナル抗体を5種類作成し,それぞれの交差反応性について検討するとともに,ウエスタンブロッテイング法によるE2/NS1タンパク検出系を確立した.これら5種の発現タンパク及び抗体の交差反応の結果から,それぞれの抗体の反応性の違いが見出され,さらに,この相違は高変異領域におけるアミノ酸配列の多様性に依存することが示唆された.また,E2/NS1タンパクについての検討では,C型肝疾患症例の生検肝組織中,約44kDaの特異反応性タンパクを認め,このタンパクに対する反応性についても5種類の抗体間で相違が認められた.以上の結果から,HCVの高変異領域の多様性は,ウイルスの免疫原性に影響し,C型肝炎の慢性化過程にも関与する可能性が示唆された.
  • 齋藤 勝彦, 湊 宏, 河野 尚子, 中沼 安二, 石田 文生, 小杉 光世
    1993 年 34 巻 2 号 p. 122-129
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    60歳男性の肝内胆管癌患者の腹膜転移巣から,コラーゲン・ゲル上microexplant培養法を用いて癌細胞を純化し,ヒト肝内胆管癌細胞株(CCKS1)を樹立した.まず,摘出した腹膜転移巣をヌードマウス皮下に移植し,増殖した腫瘍組織を細切してコラーゲン・ゲル上で培養した.癌細胞はゲル上に進展増殖し,間質細胞はゲル内に増殖した.癌細胞の増殖先端部を間質細胞の混入がないように切り出すことで癌細胞を純化した.純化した癌細胞は現在100代を越えて継代維持しており,その倍加時間は約60時間で,単クローン性に増殖し,染色体数は63個であった.CCKS1は上皮性結合を示す多角形細胞で,シート状単層性に増殖し,粘液産生が認められ,CEA, CA19/9が陽性であった.また,電顕上,上皮性細胞接着機構と微絨毛が認められた.ヌードマウスへの再移植が可能であり,腹膜転移巣の癌組織と同様の中分化型腺癌を示した.
  • 高井 智子
    1993 年 34 巻 2 号 p. 130-140
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌(HCC) 27症例の癌部86部位,非癌部44部位,正常肝など対照肝13部位,計143部位について,蛍光顕微測光学的に核DNA量を測定し,そのploidy patternを,Dp, Tp及びApの3型に大別した.非癌部及び高分化型HCCは全例がDpを,中分化型HCCはDp,Tp及びApの3パターンを,低分化型HCCは全例がApを示した.そこで,ploidy pattern以外に核DNA量に関する7つのパラメーターを設定し,HCCの組織学的分化度の客観的判別における有用性を統計学的に検討した.その結果,多倍体細胞の出現頻度を示すパラメーターの一つである6n≦%が有用であることが示されたが,その正診率は87%にとどまった.また,核DNA量とPCNAによる細胞増殖能や画像解析による細胞学的形態との相関性を検討したが,HCCの分化度判定に有用な指標は得られなかった.以上から,核DNA量の測定によるHCCの組織学的分化度判定法は効率が悪く,有用な方法でないと考えた.
  • 宮澤 光男
    1993 年 34 巻 2 号 p. 141-149
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝部分切除後の残存肝におけるc-myc遺伝子発現とDNA合成との関連を明らかにするために,肝部分切除後の残存肝組織におけるc-myc遺伝子の経時的変動をdigoxigenin標識RNA probeを用いたin situ hybridization(ISH)法により,DNA合成の経時的変動をBromodeoxyuridine(BrdU)を用いた免疫組織学的方法により検討した.肝切除後の残存肝におけるc-myc mRNAの発現は,肝切除後30分より肝小葉周辺部(Zone 1)の肝細胞質から認められ,4時間後には肝小葉中心部(Zone 3)方向にまで拡大することが明らかとなった.また,DNA合成も肝切除後24時間でZone 1の肝細胞から始まり, Zone 3方向に拡大していくことが明らかとなった.c-myc mRNAの発現の方向性とDNA合成の方向性が同様であることより,肝切除後の肝再生初期シグナルは,Zone 1よりZone 3方向に伝達されていくことが示唆された.
  • 柏谷 亘
    1993 年 34 巻 2 号 p. 150-155
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    ラット部分肝切除後の分泌蛋白アルブミン(Alb)の動態を検討するため,肝組織中のAlb免疫陽性反応および肝細胞の微細構造の観察と血清Alb値の測定を経時的に行い,組織中Alb合成への3H-leucine取り込み能をあわせて測定した.肝切除後のラット血清Alb値は,2,5日目に比し,10日目で高値を示した.免疫組織化学による組織中のAlb陽性反応は,すべての肝細胞に淡く瀰漫性または小顆粒状にみられ,5日目で最も濃染または増加した.細胞内Alb陽性反応は,全経過中粗面小胞体(r-ER)とGolgi装置にみられ,細胞内r-ERは,5日目でより発達し,画像解析による細胞質あたりのr-ERの面積比は5日目でより高値を示した.経静脈的に投与した3H-leucineの肝細胞内cytosol中の合成Albへの取り込みについては,2, 10日目に比し,5日目でより高値を示した.以上のことから部分切除後の再生肝における組織中の蛋白合成は経時的に変化し,5日目でピークを示し,血清Alb値は遅れて増加すると考えられた.
  • 永井 一毅, 山室 渡, 久保 修一, 吉田 直哉, 佐藤 隆, 羽鳥 知樹, 住野 泰清, 杉本 元信, 野中 博子
    1993 年 34 巻 2 号 p. 156-160
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    自己免疫性肝炎の急性発症例で著明なlow T3症候群を来した1例を経験した.症例は70歳の女性.全身倦怠感,食欲不振,皮膚黄染にて近医を受診.血清GOT 85IU/l, GPT 59IU/l, 1カ月後にはGOT 1,405IU/k, GPT 839IU/lと上昇したため,当院を紹介され入院した.血沈の亢進(34mm/hr), IgGの増加(4,246mg/dl)あり,HA-IgM抗体,HBs抗原および第2世代HCV抗体陰性,抗核抗体陽性で,自己免疫性肝炎と診断,肝生検ではbridgingnecrosisを認めた.またF-T3が低値(1.36pg/ml)を示したが,F-T4とTSHは正常値で,lowT3症候群の合併と診断した.Prednisolone 40mg/日より投与開始したところ,肝障害は速やかに軽快したが,経過中にF-T3は0.5pg/mlの測定感度以下(RIA法)となる著明なlow T3症候群を来した.本症例では,すでにlow T3症候群を来しているところに,さらにステロイド投与によってF-T3の低下が一層助長され,その結果F-T3が測定感度以下となる程の低下を来したと考えられれた.過去,測定感度以下となるような著明なlow T3症候群を来した報告はなく,またこれらの現象は,肝臓と甲状腺ホルモンの関係を考える上で興味ある1例と思われ報告する.
  • 梶川 昌二, 堀米 直人, 花崎 和弘, 塩原 栄一, 巾 芳昭, 黒田 孝井, 飯田 太, 田中 栄司, 清沢 研道, 古田 精市
    1993 年 34 巻 2 号 p. 161-165
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    DJSにC型肝炎を合併し,肝細胞癌を発生した2症例に対し,肝切除を行った.高ビリルビン血症を伴い,色素排泄異常が認められたため,ICGなどによる肝予備能の評価は困難であった.他の血液生化学検査所見を参考として,肝切除範囲を決定し,安全に二区域切除が可能であった.
    電顕所見では2例とも非癌部肝組織にはDJSに特有な電子密度の高い顆粒を認めた.また症例1では肝癌細胞にもDJSの際に認められるものに類似した顆粒が認められた.
    DJSに肝細胞癌を合併した症例は本邦で6例が報告されているに過ぎず,極めて希と考えられ,文献的考察を加えた.
  • 金丸 太一, 宇佐美 真, 笠原 宏, 山本 正博
    1993 年 34 巻 2 号 p. 166-171
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は64歳男性,発熱,右季肋部痛を主訴とし画像診断にて肝S8領域に占拠性病変を認め,腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は径8×7×6cmで病理検査にて肝原発悪性リンパ腫diffuselarge cell typeの診断を得た.術後VEPA療法を行い,5年経過の現在,再発の徴候はない.
    肝原発性悪性リンパ腫は極めて稀な疾患であり,当症例を含め18例の切除報告をみるにすぎない.男女比は14:4,平均年齢は42.2歳であった.術式は肝部分切除3例,区域切除1例,葉切除6例,3葉切除8例であり,化学療法は14例に行われた.Lymphoma Study Group分類では1例を除きdiffuse typeであった.術後の合併症で1例,再発で1例死亡し,予後は良好であった.
    本疾患の進展形式はリンパ節転移,周辺臓器への直接浸潤が主であり,肝硬変の合併率も低く,大量肝切除が可能である.他の節外性悪性リンパ腫と同様,逮隔リンパ節転移陽性となる前に手術を行い術後化学療法を併用すれば,予後は充分に期待できると考えられた.
  • 大森 俊明, 増永 高晴, 竹田 康男, 森田 達志, 小市 勝之, 岡田 俊英, 善田 貴裕, 岡本 理花, 竹田 亮祐, 野々村 昭孝
    1993 年 34 巻 2 号 p. 172-179
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    結節性多発動脈炎(PN)に対する長期の薬剤治療中に門脈圧亢進症を呈し,肝針生検にて肝結節性再生性過形成(NRHL)と診断した1例を経験した.症例は67歳男性.1982年に四月末梢の関節痛が出現.腎,皮膚,骨格節,心筋の壊死性血管炎および肝微小動脈瘤からPNと診断されステロイド・免疫抑制剤の内服治療により再燃なく経過した.また同年の肝針生検組織には異常を認めなかった.しかし1990年に腹水,脾腫が出現し,門亢症鑑別のため肝針生検を施行した.組織にて門脈域を中心に被膜や線維化を伴わない多発性の肝細胞の結節形成と周辺肝細胞の圧排萎縮像が見られたが,壊死性血管炎や門脈血栓・線維化など他の血管系異常は認めず,NRHLとして矛盾しなかった.以上より,本例におけるNRHLの発生に,PNによる血流異常が直接関与したとは考え難く,PN治療薬剤の関与が示唆された.長期にわたるPNの治療経過中にNRHLが発生した貴重な症例と考え報告した.
  • 清水 幸裕, 岡田 和彦, 月城 孝志, 樋口 清博, 渡邊 明治
    1993 年 34 巻 2 号 p. 180-181
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 脂肪肝は黄色いのか?
    加賀田 豊, 金子 聡, 三枝 信, 奥平 雅彦
    1993 年 34 巻 2 号 p. 182-183
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 清水 幸裕, 岡田 和彦, 月城 孝志, 樋口 清博, 渡邊 明治
    1993 年 34 巻 2 号 p. 184
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 才津 秀樹, 吉田 正, 西尾 禎一, 大神 延喜, 牟田 幹久, 谷脇 智, 杉山 俊治, 奥田 康司, 吉田 晃治, 中山 和道, 大石 ...
    1993 年 34 巻 2 号 p. 185
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • in situ hybridizationによる検討
    元雄 良治, 山口 泰志, 澤武 紀雄
    1993 年 34 巻 2 号 p. 186
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
feedback
Top