肝臓
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29 巻, 3 号
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  • HBs抗原陰性化例とHBs抗体陽性化例の検討
    吉野 泉, 飯島 敏彦, 浪久 利彦, 佐久間 光史, 寺野 彰
    1988 年 29 巻 3 号 p. 289-293
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    1973年より1985年の12年間に,男子HBs抗原キャリア1,196例の中から59例のHBs抗原消失例を見出した.12例にはHBs抗体が出現(HBs seroconversion)した.person-year法による年間HBs抗原消失率は0.99%であり,年間HBs seroconversion率は0.20%であった.年齢階層別の検討では,年間HBs抗原消失率は45歳以上で加齢と共に増加したが,年間HBs seroconversion率との関連は認められなかった.HBs抗原キャリア1,110例との比較から,HBs seroconversion例にはアルコールを全く飲まない例や,その経過中に肝機能の急性増悪を示した例が有意に多くみられた.以上の成績から,HBs抗原キャリアのHBs seroconversionは,HBs抗原の力価の漸減及び消失に引き続いておこるもののみではなく,その機序には様々な因子が関与するものと考えられた.
  • 島 俊英, 瀬戸 良文, 阪本 善邦, 中島 年和, 中嶋 俊彰, 奥野 忠雄, 瀧野 辰郎, 小谷 睦美
    1988 年 29 巻 3 号 p. 294-300
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    某事業所従業員84,456人を対象に肝疾患検診を行いHBVキャリアの自然経過による予後調査を行った.その結果,HBVキャリア率は1.17% (986人)と従来の報告よりも低率であった.このうち157人(15.9%)にGPT異常を認めた.GPT異常者は男性や若年のHBVキャリアに高率に認められた.約6年間定期的にHBe抗原抗体の推移を観察できた808人のHBVキャリアのうち,初回検査時にHBe抗原陽性者は280人,陰性者は528人であった.HBe抗原陽性者のうち観察期間中にHBe抗原が消失(SN)した者は39人,HBe抗体へseroconversionした者は20人であった.また,全例でGPT異常がSNないしSC前に認められたが,HBe抗原消失後にば高率にGPTが正常化した.HBe抗原陰性者のうちHBe抗体持続陽性者は458人(86.7%)であり,その大多数でGPTは正常であったが25人(6%)にGPTの持続異常を認めた.そのうち11人は脂肪肝が,1人は輸血後肝炎が原因と考えられたが,他の13人はHBVと関連したGPT異常と考えられた.
  • DHBV感染実験での経時的検討
    横須賀 収, 小俣 政男, 伊藤 よしみ, 内海 勝夫, 林 なほ子, 奥田 邦雄, 大藤 正雄
    1988 年 29 巻 3 号 p. 301-305
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    アヒルB型肝炎ウイルスはB型肝炎類似ウイルスであり,DNA, RNAの解析からウイルス増殖機構の解明に重要な知見が得られてきた.今回はウイルスRNAから生成される各種ポリペプタイドの動態について検索した.ウイルス接種後経時的(6時間~10日)に得たアヒル肝20検体及び長期感染アヒル肝19検体を対象としImmunoblot法にてPre-S, coreペプタイドを検索した.coreペプタイドは接種後24時間から35kd (P35)に,又Pre-S1/S2ペプタイドは3日めより37kd (P37), 28kd (P28)に検出された.これまで感染後6時間でsupercoiledDNA, 12時間でRNA, 24時間で二重鎖DNAが合成される事を示したが,感染後24時間で合成されるcoreペプタイドで核酸が被包され,3日から合成されるPre-S1/S2ペプタイドによりvirionとして完成され,血中に排出されると考えられた.この手法を応用しc/e, Pre-S1/S2の有する生物学的意義,特にウイルスの感染性,病原性との関連を解明しうると考えられた.
  • 奥野 忠雄, 進藤 道子, 松本 昌之, 武田 誠, 新井 賢, 瀧野 辰郎
    1988 年 29 巻 3 号 p. 306-314
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    インターフェロン(IFN)治療を行ったB型慢性肝炎(CHB)の肝生検組織からみたIFNの有効性の評価を行った.対象は組織学的にCHBと診断された25例(CAH 11例,CAHc-BN 10例,CPH 3例,CAHcLC 1例)である.治療前のDNA-PおよびHBeAgは全例で陽性であった.IFNの使用総量は0.95~4.77×108IUであり,原則として4週間連日投与で行った.治療後にHBeAgが持続的に陰性化した有効群は10例,HBeAgが持続的に陽性ないしは一過性に陰性化した無効群は15例であった.治療前の組織所見のうち有効群で多く認められたものにはpiecemeal necrosis (PN), bridging necrosis (BN)および肝細胞の腫大があり,このうちPNとBNは推計学的にも有意に高率(p<0.01とp<0.05)であった.また,上記組織所見を2つ以上認めるCHBでは高率にIFNが有効であった.治療後の肝生検では有効群で組織所見の著明な改善を認めた.また,HBeAg陽性例でもSGPTの正常化する例では組織所見の改善が認められた.
  • とくに血清III型プロコラーゲンペプチド値,肝組織所見との対比
    内田 悦慈, 宮田 康司, 松浦 尚志, 増本 陽秀, 古賀 俊逸
    1988 年 29 巻 3 号 p. 315-320
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    各種肝疾患において血清Adenosine deaminase (ADA)活性を測定し,各種肝機能検査成績,血清III型プロコラーゲンペプチド(P III P)値および肝組織像との対比を行った.
    ADA活性は,脂肪肝,急性肝炎,慢性肝炎,肝硬変,肝癌,原発性胆汁性肝硬変症の何れの肝疾患においても健常人より高値を示した.また,ADA活性はGOT, P III P, TTT, γ-グロブリンとの間に正の相関関係を,コリンエステラーゼ,LCAT活性との間に負の相関関係を示した.さらに,血清ADA活性は慢性肝炎,肝硬変において,その病態が重症化するに従ってより高値を示し,肝組織所見との対比では,肝の炎症性細胞浸潤および線維化の程度を反映して上昇しており,とくに血清P III P値よりも線維化の程度を良好に反映していた.以上より,血清ADA活性は急性肝炎において肝細胞障害を反映するとともに,慢性肝疾患の組織学的重症度を反映する有用な臨床的指標であると考えられた.
  • 半田 哲朗
    1988 年 29 巻 3 号 p. 321-328
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    劇症肝炎の実験モデルとして,d-galactosamine (GALN)障害ラットを作製し,その修復(=再生)にいたるまでの生化学的解析をおこなった.組織学的には,GALN投与後30時間で観察された広汎肝細胞壊死は,48時間後には修復され,同時にS期細胞の出現も認められたことから,この時期は修復過程と考えられた.この修復過程においてグルカゴン受容体は特異的結合および数(glucagon bound)の面で投与前に回復し,膜酵素である5'-nucleotidase (5'-ND)の変動と一致した.また,肝細胞中cyclic AMP (cAMP), ornithine decarboxylase (ODC)も修復過程に上昇した.
  • 松尾 行雄, 竹崎 英一, 末盛 彰一, 小松 晃一, 田村 徹, 天野 始, 舛田 一成, 中村 利夫, 森石 真吾, 中山 茂, 池本 ...
    1988 年 29 巻 3 号 p. 329-335
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝の代謝調節や肝再生にcyclic AMPが重要な役割を演じている事はよく知られている.本論文ではcyclic AMPの誘導体であるdibutyryl cyclic AMPとグルカゴンのD-galactosamine障害肝におよぼす影響を血中グルコース濃度,肝組織グリコーゲン量,糖代謝系の酵素活性に関して比較検討した.
    dibutyryl cyclic AMP,グルカゴンの両者は糖代謝面で類似の作用を示した.
    dibutyryl cyclic AMPはグルカゴンに比べて糖新生(gluconeogenesis)を促進させたが,グリコーゲン分解作用(glycogenolysis)は弱かった.また,血中グルコース濃度を上昇させ,lipolysis促進作用は弱い事が示され,以上のことからD-galactosamine障害肝における,dibutyryl cyclic AMPとグルカゴンの影響はやや異なると考えられ,dibutyryl cyclic AMPの方がグルカゴンに比べて,より強く肝細胞障害時のエネルギー代謝障害を改善することが示唆された.
  • 稲田 正己, 河田 純男, 垂井 清一郎
    1988 年 29 巻 3 号 p. 336-340
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    D-galactosamine (GalN)投与家兎を用いて,急性肝不全時の腎アラキドン酸代謝の変動について検討した.GalN (1g/kg)投与後24時間尿中Prostaglandin E2 (PGE2)排泄量は,非投与群に比し増加していた.血中norepinephrine, epinephrine濃度はGalN投与群で上昇しており,これらのvasocostrictorに拮抗した腎でのPGE2合成の亢進と考えられた.しかしGalN投与24時間後には,腎皮質組織中のPGE2含量は低下しており,この時点では既に,PGE2産生能は低下していることが示唆された.組織内脂肪酸組成の分析では,腎皮質アラキドン酸含量の低下を認めた.このアラキドン酸含量の低下は,腎プロスタグランディン合成亢進によるアラキドン酸の消耗および肝からのアラキドン酸供給の低下によるものと推測された.
  • 肝硬変合併の有無による比較
    三好 康雄, 今岡 真義, 佐々木 洋, 柴田 高, 石川 治, 大東 弘明, 岩永 剛, 石黒 信吾, 和田 昭
    1988 年 29 巻 3 号 p. 341-346
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌剖検例103例を,肝硬変群90例,非肝硬変群13例の間で,リンパ節転移形式について比較検討した.1.リンパ節転移の頻度は,硬変群90例中27例(30%),非硬変群13例中7例(54%)で,非硬変群に高頻度に認められた.2.転移の方向は,硬変群では上行性あるいは下行性と,一方向のみの症例が多く認められたが,非硬変群では両方向への転移症例が多く認められた.3.群別では,1群から4群までの全群に転移を認めたものは非硬変群に多かったが,4群にのみ転移の認められたものは硬変群に多かった.4.硬変群では,1個のリンパ節にのみ転移していた症例が27例中8例(30%)に認められ,その最大径は12cmであった.以上より,肝硬変合併肝細胞癌のリンパ節転移は,その頻度が非硬変群のそれより低いものの,リンパ液の産生増加と線維化の増生に基づくリンパ管の閉塞によって側副リンパ流の形成がおこるため,特異なリンパ節転移像を呈することが推定された.
  • 中川 国利, 大和田 康夫, 大内 清昭, 鈴木 正徳, 富永 剛, 佐藤 寿雄
    1988 年 29 巻 3 号 p. 347-352
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    広汎肝切除時における網内系賦活の意義を明らかにするため,ラットにおいてOK-432による賦活後,70%肝切除を行い各種検討を行った.その結果,血中エンドトキシン値や,GOT, GPTは肝切除12時間後それぞれ14.7±7.5pg/ml, 633±75U/L, 833±225U/Lと最高値を示したが,OK-432投与により2.8±0.7pg/ml, 442±142U/L, 258±91U/Lと増加は有意に抑制された.血清補体価CH50は肝切除12時間後36.5±9.4U/mlと低下したが,OK-432投与により61.5±15.2U/mlと有意に改善された.一方,肝ミトコンドリアのATP生成能,および肝でのRNA, DNA合成能はOK-432投与によりさらに亢進したが,非投与群との間に有意差は生じなかった.RNA量においては,非投与群と比し有意の増加を認めた.以上より,広汎肝切除時に網内系を賦活すると,エンドトキシン処理能が亢進し,その結果肝機能障害の軽減や術後の低補体価傾向の改善を認めた.さらに,残存肝のエネルギー代謝や蛋白合成能が促進されることが示唆された.
  • 佐藤 四三, 三村 久, 野田 卓男, 浜崎 啓介, 高倉 範尚, 津下 宏, 粟井 佐知夫, 平木 祥夫, 折田 薫三
    1988 年 29 巻 3 号 p. 353-357
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    single photon emission computed tomography (SPECT)による肝・脾容積および99mTc Sn Colloidの肝・脾集積率測定法について基礎的に検討し,これを肝硬変患者に応用した.
    SPECTとX線CTによる肝・脾容積はr=0.938とよく相関し,またSPECTと全身シンチによる肝・脾集積率はよく一致した.肝硬変症の肝・脾容積についてみると,Child B, C群で肝は縮小し脾は増大しており,臨床所見と一致した.肝集積率は硬変の進行につれ低下をみたが,単位容積あたりではChild B, C群で低下をみた.脾集積率はChild B, C群で増加していたが,単位容積あたりでみると対照,Child A, Child B, C群間に有意差はなかった.
    SPECTは容積と集積率を同時にしかも三次元的に測定でき,肝・脾機能評価法として有用と考えられた.
  • 上野 隆登, 犬塚 貞孝, 鳥村 拓司, 下津浦 康裕, 釈迦堂 敏, 吉武 正男, 野口 和典, 安倍 弘彦, 谷川 久一
    1988 年 29 巻 3 号 p. 358-364
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    ほぼ正常な肝組織像を呈した4名(男性2名,女性2名,年齢34~48歳)の肝内におけるSubstance P (SP)の分布および肝内各細胞との関係について,horseradish peroxidase酵素抗体間接法を用いて光顕・電顕的観察を試みた.その結果,光顕的にはSP神経線維が門脈域の結合織内特に肝動脈や胆管周囲,小葉内では類洞壁や肝細胞周囲,中心静脈周囲の結合織や中心静脈内腔面に沿って存在していた.電顕的にはSPを含む神経終末が線維芽細胞,伊東細胞,筋線維芽細胞や内皮細胞に近接して存在し,さらに,SPを産生すると思われる細胞もみられた.以上よりSPが線維芽細胞,伊東細胞,筋線維細胞および内皮細胞の収縮や肝循環動態などの調節に関与していることが示唆され,さらに肝内在性の神経伝達物質産生細胞の存在も示唆された.
  • 楢本 敦彦
    1988 年 29 巻 3 号 p. 365-376
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    ファロイジン(Ph)投与による肝内胆汁うっ滞では,肝内毛細胆管周囲にアクチンからなるマイクロフィラメント(MF)が著増することが知られている.急速凍結・ディープエッチングレプリカ法により,Ph投与肝についてMFを中心とした肝細胞サイトスケレトンを観察したので,超薄切片電顕像と比較して報告する.Ph投与1週後では,毛細胆管及び肝細胞境界部に増加するMFの三次元構造が明瞭に観察できた.フィラメントの直径は約7nmで,網目状に増加しており,細胞膜に直接端側結合していた.Ph投与4週後では,毛細胆管周囲性MFの外側に増加する束状の中間径フィラメント(IF)を認め,長期胆汁うっ滞に対する反応性の増加と考えられた.Ph投与により増加したMF層が,毛細胆管への胆汁分泌障害になると共に,IFを主とする肝細胞サイトスケレトンの再構築を招来したと思われ,これらが種々の細胞内小器官の構造や配列に変化をきたした原因と考えられる.
  • 古澤 俊一, 林 紀夫, 八島 俊, 笠原 彰紀, 佐々木 裕, 河野 通一, 片山 和宏, 山添 光芳, 房本 英之, 佐藤 信紘, 鎌田 ...
    1988 年 29 巻 3 号 p. 377-381
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝再生過程における細胞性癌遺伝子の発現動態を明らかにするため,肝部分切除後の残存肝組織および初代培養肝細胞を用いて,細胞性癌遺伝子発現動態を検討した.ラットの残存肝組織では肝切除後もっとも早期にc-fosが発現し,3時間後にはc-mycが発現した.ラット初代培養肝細胞では,肝切除後血清およびEGF添加によりc-fosが発現したのに対し,c-mycはEGF等の増殖因子では発現せず,肝切除後1~3時間後の血清のみでしか発現しなかった.以上,c-fos, c-myc等の細胞性癌遺伝子がDNA合成に先立ち発現され,肝再生への最初のシグナル応答として重要な役割を果していることが明らかとなった.
  • 田中 正俊, 緒方 秀章, 野口 和典, 吉武 正男, 佐田 通夫, 阿部 正秀, 安倍 弘彦, 谷川 久一
    1988 年 29 巻 3 号 p. 382-388
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝類洞内のlarge granular lymphocyte (LGL)を,リンゲル液による低圧前灌流を行なった後,コラゲナーゼ0.05% Hanks'液による高圧灌流(12cmH2O~15cmH2O)を行なう事により選択的に採取する事が可能であった.また肝類洞より採取したLGLの細胞数は49.2±21.6×105cell/10g liver (n=4),単核球中に占めるLGLの比率は20.9±3.1% (n=4)であった.さらにこの採取した肝類洞内単核球のNK活性をYAC-1細胞株に対する4時間51Cr放出試験で測定したところ,E/T比20対1で,肝類洞内単核球43.0±5.2%に対し,下大静脈単核球15.6±5.1%,脾単核球9.1±4.6%であり,この肝類洞内単核球のNK活性が有意に高い事が示された.また形態学的検討からは,LGLがNK活性を担っていると考えられた.私達の考案した灌流による肝類洞内単核球の採取法は,肝関連LGLの採取の一方法と考えられる.
  • 司城 博志, 久野 修資, 青山 重靖, 清水 正賀, 坂口 正剛, 奥村 恂
    1988 年 29 巻 3 号 p. 389-393
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    著明な低酸素血症と続発性の赤血球増加症を伴った肝硬変症の1例を報告する.症例は57歳,女性.手指,口唇のチアノーゼを主訴として来院.PaO2 33mmHg, PaCO2 45mmHgと著明な低酸素血症とRBC 591×104, Hb 19.7g/dlの赤血球増加症を認めた.腹腔鏡,肝生検にて肝硬変症を確認した.99mTc-MAAによる肺血流シンチグラムにて脾,甲状腺に取り込みがみられた.心の器質的異常はみられず,肺内の動静脈シャントの存在が考えられたが100%O2負荷による肺生理学的シャント率は6.9%と軽度の増加を示すのみであった.肺血流シンチグラムのdynamic studyでは全肺野のRI uptakeは時間とともに減少し,99mTc-MAAが緩徐に肺に通過する現象が観察された.以上より本例の低酸素血症の発生機序として肺毛細血管の異常拡張が推測された.なお肝硬変症に伴った低酸素血症に続発性の赤血球増加症が合併した報告は少なく,稀な1例と思われる.
  • 野ツ俣 和夫, 両林 英之, 大溝 了庸, 古沢 明彦, 野田 八嗣, 鵜浦 雅志, 田中 延善, 小林 健一, 服部 信, 松井 修, 中 ...
    1988 年 29 巻 3 号 p. 394-399
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    漢方薬内のpyrrolizidine alkaloid服用中に発症した非硬変性門脈圧亢進症の1例を報告する.37歳女性で,26歳時より漢方薬を常用していた.昭和59年8月頃より下腿浮腫,腹水が出現し昭和60年2月3日入院.肝機能,肝形態はほぼ正常であったが,高度の食道胃静脈瘤,臍静脈拡張等の側副血行路発達を呈する門脈圧亢進症が見られた.肝生検では中心静脈の閉塞がみられ,その他に周囲類洞の軽度の拡張,門脈域の軽度の線維化が見られた.中心静脈の閉塞が門脈圧亢進症の発症に重要と考えられた.本漢方薬のタクゴ内にはpyrrolizidine alkaloidが含まれており本症例は10年間に計約2,000mgのpyrrolizidine alkaloidを服用していたことにより,中心静脈の閉塞に重要な役割を果たしたと考えられた.服用中止にて約1年経過するも門脈圧亢進所見は軽快せず慢性期に移行したものと思われた.
  • 土屋 公明, 清沢 研道, 今井 明彦, 宜保 行雄, 袖山 健, 小池 ゆり子, 古田 精市, 熊谷 俊子, 柴田 昌夫
    1988 年 29 巻 3 号 p. 400-401
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 溝上 雅史, 徳田 泰司, 折戸 悦朗, 野尻 修, 亀島 信利, 山本 正彦, 磯村 思无
    1988 年 29 巻 3 号 p. 402-403
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 腹部超音波画像診断による経過観察ならびにウッドチャック肝炎ウイルスDNA組込み様式の解析からみた検討
    青山 弘, 志賀 淳治, 大西 真, 井廻 道夫, 三田村 圭二, 板井 悠二, 橋本 大定, 山本 孝史, 佐々木 伸雄, 輿水 馨, 森 ...
    1988 年 29 巻 3 号 p. 404-405
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 今井 明彦, 植村 一幸, 清沢 研道, 古田 精市
    1988 年 29 巻 3 号 p. 406-407
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 慢性肝疾患の進行度とHBe抗原陽性率について
    安田 宏, 椎名 秀一朗, 藤野 均, 田川 一海, 鵜沼 直雄, 大森 友幸, 米山 昌司, 鈴木 征子, 津田 文男
    1988 年 29 巻 3 号 p. 408
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 肝硬変における1β-水酸化胆汁酸の排泄様式
    正田 純一, 松崎 靖司, 田中 直見, 大菅 俊明, 藤間 貞彦
    1988 年 29 巻 3 号 p. 409
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 市田 隆文, 井上 恭一, 宮際 幹, 八木 一芳, 山田 慎二, 荒川 謙二, 太田 宏信, 小玉 修嗣, 岩田 和士, 早川 太郎, 市 ...
    1988 年 29 巻 3 号 p. 410
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 泉 並木, 神山 俊典, 重沢 立郎, 杉浦 克明, 三宅 祥三, 矢内 常人, 榎本 信幸, 蓮村 靖
    1988 年 29 巻 3 号 p. 411
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 後野 嘉宏, 佐田 通夫, 鈴木 宏, 安倍 弘彦, 谷川 久一
    1988 年 29 巻 3 号 p. 412
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 29 巻 3 号 p. 413-456
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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