症例は28歳, 主婦, 生来健康. 1995年2月8日に結婚, 5月8日より微熱, 咽頭痛出現, 某医に肝障害を指摘され5月20日紹介入院した. 主たる入院時現症は, 体温37.6℃, 左頸部のリンパ節腫脹, 咽頭炎, 肝脾腫, であり, 主たる入院時検査成績は, GOT (467IU), GPT (504IU), LDH (899IU) の上昇と, 異型リンパ球の出現 (4.5%) を伴う著明な単核球増多 (79.0%) であった. ウイルスマーカーの検索から, A, B, C型肝炎ウイルス, EBV, CMVの関与は否定されたが, HHV-6のIgG型抗体 (×640) 及びIgM型抗体 (×40) が検出された. 5月21日採取の肝生検組織は急性肝炎像を呈し, ISH法により肝細胞核及び肝類洞壁細胞核にHHV-6ゲノム陽性所見を得た. 以上よりHHV-6単核症と診断した. 患者は対症療法のみで軽快した. 自験の単核症を呈した疾患64例のうち, かかる例は1例のみであり, 肝の免疫組織学的検査を実施し, 感染細胞を同定した成人のHHV-6単核症の報告例はこれが最初と思われる.
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