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杉本 立甫
1978 年19 巻5 号 p.
421-429
発行日: 1978/05/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
正常ヒト肝楔状生検11例,針生検5例,急性肝炎11例,慢性肝炎15例,肝硬変7例でBachの方法で核の直径,電子顕微鏡的に杉岡らの方法でミトコンドリアの体積,長径,短径,細胞質との体積比,数,Tomkeieffらの方法で小胞体の表面積を測定した.核は肝硬変で正常ヒト肝に比し大きい傾向がみられた.ミトコンドリアは楔状生検で針生検より小さい傾向がみられ,急性肝炎でも針生検に比して小さく,数の多い傾向がみられ,肝硬変では明らかに大きく,数は減少していた.粗面小胞体は楔状生検で針生検より減少し,滑面小胞体は急性肝炎,肝硬変で針生検より減少していた.正常肝での差は部位による血液供給の差によると思われ,急性肝炎では回復期に生検が行なわれたための変化と思われた.慢性肝炎では正常肝と差がなく,肝機能検査異常は機能の差によると思われ,肝硬変ではDisse腔の変化により酸素や栄養素の不足による変化や加齢による変化と思われた.
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1. D-galactosamine肝障害に対するSaikosaponinの作用
有地 滋, 小西 啓悦, 阿部 博子
1978 年19 巻5 号 p.
430-435
発行日: 1978/05/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
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Bupleuri Radixの主成分であるSaikosaponinのD-galactosamine肝障害に対する有効性を血清GOT, GPTの変化及び組織学的所見を中心に検討し,その作用機作の解明を試みた.ラットにD-galactosamineを投与しその2時間後にSaikosaponinを投与するとD-galactosamineによるGOT, GPTの上昇が抑制され,組織学的にも肝障害の抑制が認められた,またD-galactosamine投与2時間前にSaikosaponinを投与しておいた場合にも肝障害を予防し得ることが認められた.これらの結果から,SaikosaponinのD-galactosamine肝障害に対する有効性が確認されると共に,肝障害に対するSaikosaponinの薬理作用あるいは細胞膜への直接作用が重要な役割を果していることが示唆された.
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橋本 雅晴
1978 年19 巻5 号 p.
436-446
発行日: 1978/05/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
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急性ウイルス性肝炎123例について,血清GOT, GPTが正常化するまでの期間により,I群(3ヵ月以内),II群(6ヵ月以内),III群(12ヵ月以内),IV群(1年以上)に分け,I,II群を治癒群,III, IV群をそれぞれ治癒遷延群,慢性化群とした.Hepatitis B surface antigen (HBs Ag)陽性肝炎と陰性肝炎に分けて遷延および慢性化因子をしらべ,血中HBs Agの消長とコルチコステロイド(CS剤)のもつ意義を検討した.有意差をもつ遷延および慢性化因子は合併症とCS剤の投与であったが,合併症を有し慢性化した例はCS剤の投与を受けており,合併症が強い慢性化因子とは考えられなかった.一方,HBs Ag陽性肝炎において,肝炎発症前および発症初期のCS剤の投与は,HBs Agの陰性化をさまたげ,持続陽性化およびGOT, GPTの持続高値の傾向をもたらし合併症を有する症例を除いて検討しても慢性化因子と考えられた.HBs Ag陰性肝炎では合併症を有しているためCS剤の功罪は不明であった.
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R-PHA法によるHBs抗原の輸血前スクリーニングの効果
定方 正一, 清水 勝, 渡辺 憙市, 新井 陽子, 武藤 良知
1978 年19 巻5 号 p.
447-455
発行日: 1978/05/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
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輸血用血液のHBs抗原スクリーニングを輸血前にR-PHA法により行い,輸血後肝炎の発生状況を,1975年5月より2年間にわたって追跡調査した.対象90例について,肝炎確診例は7例,疑診例を含めると12例であり,Life Table法による累積肝炎発生率は,それぞれ15.6%, 24.3%であった.しかしB型肝炎は12例中1例にすぎず,著減したといえる.さらにHA抗体の検索から輸血後肝炎中にA型肝炎は認められず,その大部分は非A.非B型肝炎であった.肝炎の潜伏期は13週以上に長びく症例が多くなりつつあり,今後ますます定期的な長期間の追跡調査が必要と思われる.輸血1,000単位あたりの肝炎発生率16.7人に比し,受血者1,000人あたりでは133.0人と高率なことは,受血者1人あたりの輸血量が8.0単位と高率なことにあると考えられ,今後肝炎発症率をさらに低下せしめるためには,献血量を400mlにすることも考慮されねばならない.
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辻 孝, 時光 直樹, 田島 恒雄, 杉山 昌人, 大高 征, 高桑 薫, 高木 鋼太郎, 岡野 康正, 中村 茂義, 松浦 章雄, 小島 ...
1978 年19 巻5 号 p.
456-463
発行日: 1978/05/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
われわれは昭和51年岐阜県S村の0歳からの全住民1,838名のHBs抗原,HBs抗体家族調査を行った.15歳以下の受診者は416名,受診率87.6%であった.15歳以下の子供のHBs抗原陽性者は10名(2.4%)認められて5家族に含まれた.このうち4家族の母親は無症候性Bs抗原保有者で,うち3名がHBe抗原陽性であった.子供の発端者1名は父母兄弟にHBs抗原,HBs抗体陽性者はなく,一過性陽性者であった.HBs抗体陽性の最年少者は3カ月で,母親がHBs抗体陽性,次いで3歳でその祖母がHBe抗原陽性で5歳以下は21名中この両名であった.HBs抗体陽性率は11歳以下は5%以下であったが,12歳になると15.2%と急増した.HBe抗原陽性の母親から生まれた子供をみると14名中13名がHBs抗原陽性であり,1名がHBs抗体陽性であった.4代にわたりHBs抗原が集積したY家系では抗原陽性老は15名(31.3%)でsubtypeはすべてadwであった.この結果S村でのHBウイルスは家族を中心に,特に母から子へ伝播されていることが判明した.
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村脇 義和, 堀江 裕, 山西 康仁, 川崎 寛中, 平山 千里
1978 年19 巻5 号 p.
464-470
発行日: 1978/05/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
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各種肝疾患40例について自己基質法によりLecithin:Cholesterol Acyltransferase(LCAT)を測定して,その診断的意義について検討を加えた.健常者の平均LCAT活性は93±17n mol/ml/hrであり,急性および慢性肝疾患で肝実質障害に比例してLCATは低下した.LCATとコリンエステラーゼ,アルブミンと比較すると,LCATはより鋭敏に肝実質障害を反映した.グリココール酸の添加によりLCATは200μM以上で,濃度に比例して低下した.
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福田 善弘, 佐野 万瑳寿, 玉井 義朗, 伊藤 憲一
1978 年19 巻5 号 p.
471-478
発行日: 1978/05/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
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肝疾患127例につき免疫複合体の間接的証明法とされるcryoglobulin (cryo.)の検索を行った.血中cryo. 1mg/dl以上をcryo.陽性とみなしうるが急性肝炎,慢性肝炎,肝硬変症でのcryo.陽性率はそれぞれ14, 28, 61%で病変の進展と共に陽性率が増大し, HBs抗原・抗体共存例, e抗原陽性例でそれぞれ67%, 75%と高頻度の陽性率を示した. cry.陽性の27症例につきcryo.中に含有される免疫成分を検討した所,免疫グロブリンではIgG+IgM型が最も多く(74%), R.F.は85%に検出された. HBs抗原陽性例の大多数でcryo.中にHBs抗原が検出されたが,陰性例20例中2例でcryo.中にHBs抗原が検出された点が注目された.またcryo.陽性27例中18例で関節痛,腎障害等免疫複合体に基く症状の発現があり, γ-globulinの高値,
198Au-colloid clearanceの低下,補体の低下が特徴的であった.従って慢性肝疾患では肝細胞破壊に門脈・大循環系間の短絡形成,肝網内系の機能低下が加わることによりcryo.生成が増大し病状が修飾されるとの結論を得た.
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清水 武昭, 吉田 奎介
1978 年19 巻5 号 p.
479-485
発行日: 1978/05/25
公開日: 2010/01/19
ジャーナル
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閉塞性黄疸の予後は黄疸にによる因子と原疾患にによる因子により決定される.黄疸による因子では一般的に減黄術後の黄疸の下降良好なものは予後良好とされているが,減黄効果の良し悪しを判断する基準は従来示されていなかった.
高度閉塞性黄疸患者の術前術後の病態を検討中,我々は減黄術後の血清ビリルビン濃度が片対数表上直線的に下降して行くことを見い出した.この法則を利用すれば個々の症例の術後減黄効果の良し悪しを数値で表現可能である.y:血清ビリルビン濃度,x:術後病日数,e:自然対数の底,a, b,は定数とすれば,術後血清ビリルビン濃度の変動はy=aebxと表わせる.aは術当日の血清ビリルビン濃度,bは減黄効果を示すこととなる.われわれはこのb値を,減黄率b値と命名し,この値を基に閉塞性黄疸の病態生理を検討していく方針である.
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佐藤 太一郎, 七野 滋彦, 伴 佳之, 前田 正司, 磯部 豊, 岸本 秀雄, 深津 敦司, 岩井 俊二, 鈴木 守男
1978 年19 巻5 号 p.
486-494
発行日: 1978/05/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
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過去6年間に約1,300例の全麻手術患者の術後肝機能を経時的に検査した結果,全麻手術後2~3週間に急にSGPT値が100単位を越える一群の症例があることを見出し,私共は“一過性術後肝障害”と名付けた.これが術直後は無症状で一定期間後に発症することからアレルギー遅延型に類似すると考え,その臨床病理学的研究を行った.
術後2~3週に好酸球増多があり,単球も増加傾向にある.小リンパ球は術後2週間目に減少し,その後増加する.γ-グロブリンは第1週に減少するものが多い.IgAと白血球遊走阻止試験(ハロセン及びトリフルオロ醋酸に対し)については結論を保留する.
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福本 陽平, 西岡 幹夫, 菅 大三, 竹本 忠良
1978 年19 巻5 号 p.
495-500
発行日: 1978/05/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
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慢性活動性肝炎患者の血清について,自己または非自己リンパ球を標的細胞として細胞障害試験を行った結果,患者血清はこれらのリンパ球を高率に障害した.一方,慢性非活動性肝炎患者や正常人の血清でも同様の細胞障害試験を行ったが,細胞障害性はほとんどみられなかった.慢性活動性肝炎患者の血清中にみいだされた,この細胞障害性因子は,血清中の免疫グロブリンM分画に属するものであった.また,本因子の至適反応温度が15℃であったこと,さらに,胸腺細胞に対する障害性も高いことなどから,本因子はこれまでにSLE患者やNZBマウスの血清中に証明されているT細胞障害性自己抗体と同一の性質を有するものであると推測された.慢性活動性肝炎患者の血清中にこのような因子が存在することは,同疾患での末梢血T細胞の減少や,細胞性免疫能の低下と何らかの関連性を有するものであると思われる.
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椋田 知行, 吉岡 博昭, 石津 弘視, 藤田 峻作, 満谷 夏樹, 小泉 岳夫
1978 年19 巻5 号 p.
501-508
発行日: 1978/05/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
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最近数年間に経験した8症例の特発性細菌性腹膜炎(SBP)を報告し,その代表的な一症例を提示し,全症例につき臨床像,臨床検査成績,経過と治療を総括してのべた.全例が腹水を有する非代償性肝硬変患者で,腹痛,Blumberg徴候および筋性防禦,発熱が主要症状であった.診断は腹水における多核白血球増加及びグラム染色または培養による病原菌の検出であり細菌培養は4例に証明されKlebsiella 3例,Sta. epider midis 2例,Sta. aureus 1例が検出された.2例は抗生物質治療で治癒し退院できた.腹水を有する非代償性肝硬変患者にはSBPを合併する可能性が大であり,また本症の合併が肝硬変を悪化させ死の転帰をもたらすものが多いが,診断は比較的容易で治癒可能な疾患であり,早期診断と早期適切な治療による奏効が期待しうる.
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金山 正明, 松井 則明, 小泉 精策, 坂本 龍, 是永 正義, 鈴木 節子
1978 年19 巻5 号 p.
509
発行日: 1978/05/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
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森 泰樹, 緒方 正吾, 阿多 実茂, 百瀬 元大, 中野 安二
1978 年19 巻5 号 p.
510
発行日: 1978/05/25
公開日: 2009/07/09
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高桜 芳郎, 市川 尚一, 飯島 敏彦, 橋本 英明, 山田 隆治, 北見 啓之, 山口 毅一, 浪久 利彦
1978 年19 巻5 号 p.
511
発行日: 1978/05/25
公開日: 2009/07/09
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井戸 健一, 関 秀一, 土谷 昌久, 山中 桓夫, 酒井 秀朗, 木村 健
1978 年19 巻5 号 p.
512
発行日: 1978/05/25
公開日: 2009/07/09
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西村 義明, 慰斗 秀興, 辻井 正
1978 年19 巻5 号 p.
513
発行日: 1978/05/25
公開日: 2009/07/09
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石原 清, 稲垣 威彦, 市田 文弘, 小飯塚 信二, 市田 隆文
1978 年19 巻5 号 p.
514
発行日: 1978/05/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
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三條 健昌, 比田井 耕, 上笹 功, 深沢 正樹, 山崎 善弥, 二川 俊二, 島 文夫, 杉浦 光雄, 堺 隆弘, 藤原 研司, 与芝 ...
1978 年19 巻5 号 p.
515
発行日: 1978/05/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
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W. Siede, A.M. Frankfurt
1978 年19 巻5 号 p.
516-521
発行日: 1978/05/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
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The influencing of chronic active hepatitis by means of cortisone is, thanks to the significant extension of the period of survival, scientifically substantiated.
The so-called lupoid hepatitis is thereby significantly more favourably influenced than is HBs-Ag positive chronic hepatitis.
Azathioprine has the effect of reducing the cortisone dose, for which reason the combination cortisone + azathioprine is today most commonly applied in the treatment of HBs-Ag positive chronic hepatitis. The results obtained to date by this approach are encouraging. Further studies over an extended period are necessary in order to be in a position to form a well-founded assessment of this mode of treatment.
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1978 年19 巻5 号 p.
522-528
発行日: 1978/05/25
公開日: 2009/07/09
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