肝臓
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43 巻, 5 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 中島 収, 神代 正道
    2002 年43 巻5 号 p. 217-220
    発行日: 2002/05/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
  • 辻本 達寛, 石川 昌利, 飯岡 弘伊, 浪崎 正, 豊川 泰勲, 鶴薗 卓也, 松村 吉庸, 上野 貴久美, 福井 博
    2002 年43 巻5 号 p. 221-225
    発行日: 2002/05/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    今回われわれは, 超音波検査にて肝脾腫とともに総肝動脈幹リンパ節腫脹を認め, 治療によるリンパ節縮小の経過を観察しえた伝染性単核症の1例を経験したので報告する. 症例は15歳, 男性. 発熱, 咽頭痛を主訴に入院し, 精査にて伝染性単核症と診断した. 入院時より肝機能障害を認め, 超音波検査にて肝脾腫, 頚部リンパ節腫脹の他に総肝動脈幹前上部リンパ節 (No. 8a) の腫脹を認めた. 良性肝疾患に伴う総肝動脈幹リンパ節腫脹に関しては, 慢性活動性肝炎, 原発性胆汁性肝硬変, 自己免疫性肝炎, 成人スチル病などで報告されている. 一方, 伝染性単核症の腹部超音波所見としては, 肝脾腫や胆嚢壁肥厚が知られているが, 総肝動脈幹リンパ節腫脹についての報告例は稀であり若干の文献的考察を加え報告する.
  • 大西 弘生, 山崎 健路, 兼村 信宏, 井深 貴士, 佐竹 真一, 渡辺 裕, 福富 尉, 安田 成雄, 山田 昌夫, 清水 勝
    2002 年43 巻5 号 p. 226-231
    発行日: 2002/05/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は50歳, 男性. 2001年3月7日頃より食思不振あり, 3月15日昼頃から自立歩行困難となり, 同日夜に当院救命救急センターを受診し,黄疸, II度の肝性昏睡のため入院となる. 入院時, T. Bil 11.82mg/dl (D/T. Bil=0.96), PT 30%, IgM型HA抗体陽性でA型劇症肝炎急性型と診断した. なお, IgM型CMV抗体陰性, IgG型抗体陽性であった. ステロイドパルス療法, 血漿交換, CHDF, PGE1などの治療により第7病日には昏睡より覚醒した. 第30病日頃から発熱が出現, 胸部CTにて肺炎像を認め, 気管支肺胞洗浄液ならびに肝組織からCMV DNAが検出された. Gancyclovir, 抗体高力価含有γ-globrin 製剤投与により, 気管支肺胞洗浄液中のCMV DNAは陰性化した. 急性肝不全では他の肝疾患に比しCMVの再活性化を来す割合が有意に高率との報告があり, IgG型CMV抗体陽性例の劇症肝炎ではCMVの再活性化に留意する必要性が示唆された.
  • 岡田 英理子, 池田 隆明, 渡辺 秀樹, 大岡 真也, 竹縄 寛, 村上 武司, 星野 裕治, 渡辺 守, 佐藤 千史
    2002 年43 巻5 号 p. 232-237
    発行日: 2002/05/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は42歳女性. 1980年に筋痛症, 手指の伸展障害を主訴に入院. ループス様紅斑, レイノー症状, 手指のソーセージ様腫脹, 筋原性酵素の上昇, 抗U1-RNP抗体強陽性, 抗Sm抗体陰性および筋生検所見より混合性結合組織病と診断した. 同時に甲状腺機能低下, 抗甲状腺マイクロゾーム抗体陽性より慢性甲状腺炎の合併と診断し, prednisolone および levothyroxine sodium による治療を開始した. Prednisolone は約6カ月間の服用にて漸減中止した. 1999年2月に肝機能異常が出現し, 抗核抗体2560倍, 抗平滑筋抗体80倍より自己免疫性肝炎の合併を考え肝生検を施行, 慢性活動性肝炎の存在が確認された. 治療前のCD4/CD8比は1.8と軽度異常であった. Prednisolone による治療により肝機能障害は速やかに改善した. 混合性結合組織病, 慢性甲状腺炎の診断後19年という長期経過観察中に自己免疫性肝炎を発症した症例であり, 示唆に富むと考え報告した.
  • 元田 みずえ, 宮路 紫織, 宮田 義史, 黒木 和男, 井戸 章雄, 林 克裕, 坪内 博仁
    2002 年43 巻5 号 p. 238-242
    発行日: 2002/05/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は44歳, 男性. 平成10年, B型慢性肝炎 (CH-B) と診断された. 平成12年11月頃より, 褐色尿, 黄疸が出現し, 当院に入院. 意識清明, T. Bil 16.7mg/dl, GOT 440IU/l, GPT 815IU/l, PT 43%, HPT 13%, HGF 1.13ng/ml, IgM-HBc抗体2.8, HBV-DNA 6.5LGE/mlよりCH-Bの急性増悪と診断した. T. Bil の著しい上昇とHPT等の凝固系の異常より, 肝不全に陥る危険性が高いと判断し, ラミブジンを開始した. ラミブジン服用後, T. Bil およびHPTは改善した. ラミブジン治療開始1カ月後に体幹を中心に皮疹が出現した. 皮疹出現時にラミブジン以外の薬剤を服用していないため, ラミブジンによる中毒疹と考え, 服薬を中止した. その後は, 肝機能の再燃やB型肝炎ウイルスの再増殖もみられなかった. ラミブジンは比較的副作用の少ない薬剤で, 皮疹による中止例も稀であり, 貴重な1例と考えられた.
  • 山本 隆嗣, 久保 正二, 広橋 一裕, 首藤 太一, 酒部 克, 小川 雅生, 田中 肖吾, 上西 崇弘, 田中 宏, 木下 博明
    2002 年43 巻5 号 p. 243-248
    発行日: 2002/05/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は57歳, 男性. B型ウィルス性慢性肝炎に対しINF療法著効後, 経過観察されていたが, 肝S3に腫瘤陰影を認めた. 腫瘍径2.0cmにも拘わらず, 門脈臍部から左一次分枝にかけて脈管侵襲を伴っていた. ウィルスDNAが陰性化しており, 術後多中心性再発の可能性が低いことや, 肝機能がよく, 被侵襲門脈を含めた系統的肝切除に耐える肝予備能があったことから, 尾状葉を含めた左葉切除を施行した. 腫瘍は中分化型肝細胞癌であり, 免疫組織化学検査で接着因子の発現が高度であった. 術2年6カ月後現在, 生存中である. 小肝癌で高度な門脈侵襲を有する症例は稀である. 腫瘍が門脈臍部近傍に存在したのに加え, 癌細胞の血管内皮への接着能力が高いため, 小肝癌であっても, 容易に脈管侵襲を形成したのではないかと考えられた. 高度門脈侵襲がみられても一括切除が可能ならば, 肝機能が良好で多中心性発癌のリスクの小さい症例に対しては本症のように切除治療も考慮される.
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