肝臓
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23 巻, 2 号
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  • 林 紀夫, 佐藤 信紘, 笠原 彰紀, 岸田 隆, 目連 晴哉, 房本 英之, 鎌田 武信, 阿部 裕, Julian A. PETERSO ...
    1982 年23 巻2 号 p. 109-115
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    チトクロームP-450依存性薬物水酸化反応(mixed function oxidation)のエタノールによる抑制のメカニズムについて検討した.エタノールは内部基質をP-450よりdisplacementすることにより,inverse type Iスペクトルを誘導した.また,エタノールはヘキソバルビタールのミクロゾームP-450への結合を競合的に抑制した.
    肝ミクロゾームのチトクロームP-450のNADPH-cytochrome P-450 reductaseによる還元は二相性で,fast phaseのrate constantはエタノールにより抑制された.
    すなわち,エタノールによるmixed function oxidationの抑制は,エタノールによるP-450への基質結合の抑制およびNADPH-cytochrome P-450 reductase活性の抑制に依ると考えられる.
  • 生存しえた広範肝壊死例を中心にして
    関守 一, 栗岡 成人, 針原 重義, 門奈 丈之, 山本 祐夫, 藤山 進, 丸毛 俊明
    1982 年23 巻2 号 p. 116-124
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    急激に1回ないし2回のbridging hepatic necrosis以上の広範肝壊死をきたした8例の生存例と急性肝不全症状を呈しながらも針生検による組織学的検索ではclassical acute viralhepatitisと診断された3例の合計11例を対象とし,経過観察することにより,再生肝細胞の形態について検討した.
    微細構造上,3型が区別された.好酸性顆粒に富む胞体の肝細胞では,ミトコンドリアと粗面小胞体が複合した構造を示しつつ増加していた.明るい胞体の肝細胞では,滑面小胞体の増加が観察された.この両者はいずれも,索状配列の肥厚を示すとともに,細胞集団を形成して,その周囲の結合織を圧排していた.一方,残存実質部と壊死領域との境界域に位置することの多いrosettes形成肝細胞のなかに,変性像をほとんど認めない肝細胞がみられ,これらは,近接する残存実質部の肝細胞との比較において,再生してきた肝細胞であると考えられた.
  • 溝口 靖紘, 筒井 ひろ子, 阪上 吉秀, 志波 孝, 貫野 徹, 東森 俊博, 中尾 昌弘, 針原 重義, 門奈 丈之, 山本 祐夫, 井 ...
    1982 年23 巻2 号 p. 125-131
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝内胆汁うっ滞を伴うHBs抗原陽性肝硬変患者血清をSephadex G-75カラムで分画し,一定の分画をラットの腸間膜静脈に注入すると,胆汁排泄量の著明な減少が認められ,肝組織の電顕像においても毛細胆管の拡張,微絨毛の減少などの所見が観察された.また本患者の末梢血リンパ球をin vitroでHBs抗原または肝特異抗原(LSP)で刺激し,48時間培養し,その培養上清をSephadex G-75カラムで分画して同様にラットに注入した.その結果,一定の分画で胆汁排泄量の著明な減少が認められ,肝組織の電顕像でも上記と同様の所見が観察された.
    以上の成績は,肝内胆汁うっ滞を伴う肝硬変患者末梢血リンパ球をHBs抗原またはLSPで刺激した際に産生される催胆汁うっ滞因子が,本患者血清中にも存在することを示唆している.
  • 森本 哲雄
    1982 年23 巻2 号 p. 132-140
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    T-24細胞とChang細胞を標的細胞として,各種肝疾患患者末梢血リンパ球の細胞障害性を,51chromium release assayによって検索した.対照群32例のT-24細胞に対する% cytotoxicityは7.3±4.2%であり,CAH 25例では5.8±3.5%, LC 20例7.0±4.1%, PHC 15例6.7±3.8%であった.AH急性期では5.1±4.5%と低下したが,回復期では7.0±2.7%と上昇する傾向がみられた.またPHC末期の症例では,細胞障害性の著明な低下がみられた.以上の成績はChang細胞についても同様であり,リンパ球にインターフェロンを添加することによって,両標的細胞に対する細胞障害性が著明に上昇したことから,これらはNK活性によるものと推定された.また,CAH, LC, PHC患者血清は,健常人リンパ球の細胞障害性を著明に低下させた.
  • 渕田 科
    1982 年23 巻2 号 p. 141-149
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    人肝の胎生期における発育要因を明らかにする目的で本研究を行なった.81例の人胎児を用い,左右肝葉別にその発育を検討するとともに,門脈系臓器の1つとして膵をとりあげ特に妊娠各月における膵島の発育と左右肝葉の発育を対比した.まず胎児肝の門脈血行支配を検討した結果,肝左葉は臍静脈支配,肝右葉は門脈支配である事が明らかにされた,また胎児肝重量は妊娠5ヵ月以後で著明に増加し,これを左右肝葉別にみると妊娠3ヵ月では右葉は左葉の約1/2であったが,妊娠5ヵ月以後になると肝右葉の発育が肝左葉のそれを著しく上回るようになり,妊娠7ヵ月では左右肝重量はほぼ同等になった.
    さらに膵並びに膵島も妊娠5ヵ月で急速に発育し,特にB細胞が成熟してくるのが観察された.
    これらの結果より膵島ホルモンをはじめとする門脈血中因子が胎児肝,特に肝右葉の増殖を促進している事が示唆された.
  • 川田 拓郎, 西 俊平, 小野 二六一, 迫田 晃郎
    1982 年23 巻2 号 p. 150-158
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝性昏睡の一因子として分枝鎖アミノ酸(BCAA)の減少,芳香族アミノ酸(AAA)の増加で表現される血漿アミノ酸パターンの変化があげられている.その原因としてglucagon, insulinの上昇が考えられ,肝性昏睡の病因として重要視されてきている.著者らは門脈圧亢進症の患者に肝静脈カテーテル検査を行いNH4Clの経口負荷試験を併用してアンモニアのglucagon, insulin,血糖値に及ぼす影響を中心に検索した.肝硬変症群ではNH4Cl負荷により早期にアンモニア濃度は上昇し,肝のアンモニア処理能低下に基づく高アンモニァ血症が持続する.このような状況下では明らかにglucagon濃度は高値を示し高グルカゴン血症が持続するようになる.アンモニアのinsulin,血糖値への影響はみられないが,アンモニアとglucagon濃度の相関が示唆された.NH4Cl負荷でS-OCTも同様に上昇するが,肝の尿素サイクルが作動し酵素活性が誘発され血中へ逸脱するものと考えられた.
  • 高崎 健, 武藤 晴臣, 原田 瑞也, 済陽 高穂, 秋本 伸, 山名 泰夫, 長岡 巍, 朝戸 末男, 喜多村 陽一, 平山 芳文, 矢川 ...
    1982 年23 巻2 号 p. 159-164
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    60例の原発性肝癌切除例について遠隔調査を行った.術後生存率は1年51.5%. 3年23.7%, 5年7.7%という状況であり,最長生存例は8年6ヵ月生存中の拡大右葉切除例である.直死及び遠隔死亡を含めた術後死亡原因では癌再発死と肝不全死が同数をしめているが,肝硬変合併例についてみると肝不全死が癌再発死の倍の症例をしめている.われわれは手術術式決定に関しては肝硬変の有無を重視せねばならないと考え,肝切除後の残存肝機能を術前に推測する方法を考案し,これらの検査値を参考とし,根治性を失わずになるべく健常肝を残すという考えのもとに術式の決定を行っている.このような考え方で手術を行ってきた最近2年間については手術成績は向上している,すなわち最近2年間の症例に限っての生存率は1年87.5%, 2年66.7%という状況となっている.
  • 清沢 研道, 赤羽 賢浩, 山村 伸吉, 袖山 健, 和田 秀一, 長田 敦夫, 古田 精市
    1982 年23 巻2 号 p. 165-170
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    3ヵ月の間隔で母(47歳)から長女(22歳)へ家族内感染したと思われる,散発性非A非B型急性肝炎を報告した.他の同居者である夫および次女には肝炎の徴候はなく,また肝機能検査に異常はなかった.長女は母が急性肝炎発症時最も密接に看護にあたっていたことより,接触感染による感染経路が考えられた.
  • 中村 正, 神原 武, 門脇 義博, 金光 敬一郎
    1982 年23 巻2 号 p. 171-177
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    急性肝炎症状で発病し,約7年間の経過で死亡した16歳女性の剖検例で,初発時,低セルロプラスミン値とKayser-Fleischer輪の存在からWilson病と診断され,治療により小康を得たが,死亡約半年前,再び急性肝炎の症状が出現し,肝不全が進行して,ステロイド治療による十二指腸潰瘍穿孔で死亡した.経過中けいれん,意識低下を見たが,遺伝的背景はなかった.剖検時,肝は無構造で,平坦な中に粟粒大から拇指頭大の多発性小結節が散在し,光顕では,強度の炎症細胞の浸潤と肝細胞の変性,submassive necrosisおよび強い再生像がびまん性に見られ,強度の慢性活動性肝炎像を呈していた.原子吸光法にて肝に銅の沈着を認めた.本例の肝変化は,従来のWilson病の報告例にみられない強い肝炎像であった.
  • 大宮司 有一, 蓮村 靖, 武内 重五郎
    1982 年23 巻2 号 p. 178-184
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    ルポイド型慢性活動性肝炎を合併した家族性Sjögren症候群の一家系を報告する.症例は48歳の姉と45歳の妹である.姉は40歳時より顔面の紅斑・発疹が出現しはじめ46歳時より肝機能障害,口内乾燥,眼球異物感を認めている.入院時,GOT 241, GPT 158, TTT 11.2, ZTT 30.8, γ-glob. 5.0g/dlのほか,抗核抗体,抗DNA抗体,抗平滑筋抗体,抗肝細胞膜抗体はいずれも陽性で,またLE疑似細胞も認められた.乾燥性角結膜炎と唾液腺へのリンパ球浸潤が認められ,肝生検ではCAH (II B)であった.妹は42歳時より口内乾燥,44歳時より“目のかすみ”が出現し入院した.検査では膠質反応とγ-glob.の高値を認め,RAテストが陽性であった.乾燥性角結膜炎と唾液流出障害を認めたが,肝生検組織像は正常であった.家族性Sjögren症候群は現在までに内外あわせて18家系が報告されているが,ルポイド肝炎を合併した家系はなく,ここに若干の考察を加え報告した.
  • 中島 猛行, 森岡 明, 賀古 真, 金井 弘一, 吉見 輝也, 中村 達, 坂口 周吉
    1982 年23 巻2 号 p. 185-191
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は50歳の男性で,昭和50年8月以降意識消失発作を繰りかえしたため,昭和55年8月に当科入院した.入院時理学的には手指振顫と腱反射亢進を認め,検査上はアンモニア値289.1μg/dl, ICG-R15 20.8%と高値を示し,脳波上でも約4~6Hzのθ波が主体であった.腹腔鏡検査にて肝硬変症は認められなかった.腹腔動脈造影では中肝動脈に肝動脈門脈短絡を伴う動脈瘤が発見され,門脈造影では門脈径の減少と下腸間膜静脈の著明な拡張および下大静脈への側副血行路の存在が認められた.動脈瘤を含めた部分肝切除術および下腸間膜静脈結紮術を施行したが,術後手指振顫,腱反射亢進は消失し意識消失発作は出現しなくなり,検査上もアンモニア値,ICG値,脳波所見,BCAA/AAA比,肝血流等が著明に改善された.以上よりこの症例はA-P shuntによる門脈圧亢進のため下行性の側副血行路が形成された結果,portal systemic encephalopathyによる意識消失発作が出現したものと結論された.
  • 沓掛 伸二, 本間 定, 加藤 由美子, 村山 正昭, 安部 明郎, 島野 毅八郎, 兼高 達貳
    1982 年23 巻2 号 p. 192-197
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    文章の内容の理解不能を主訴に受診.既往歴として,手術,黄疸の覚えはないが,幼少時麻疹予防のため現在HBs抗体陽性の母親からの血液少量を注射されたことがある.来院時の文章の理解力,計算力は小学校1年生程度.HBs抗原陽性,HBe抗原・抗体は共に陰性,腹腔鏡下に腹壁静脈の怒張と巨大な脾腫を伴う肝硬変を認めた.脳波では全体に徐波で,後頭に三相波が多数出現.同時に高アンモニア血症,エンドトキシン血症が認められた.肝性脳症として,蛋白質制限食,ラクツロースの与薬などにより症状軽快し,職場復帰可能となり退院した.しかし脳波は正常化し難く,高アンモニア血症も動揺している.肝性脳症の臨床的徴候として視覚認識障害を主訴としたHBs抗原陽性の若年性肝硬変の1例を報告し考察を加えた.
  • 石灰化を伴なった非包虫性の1例を含む自験例14例を中心に
    三宅 周, 河野 宏, 植田 昌敏, 窪田 政寛, 尾上 公昭, 渡辺 正博, 杉山 明, 岩原 定可, 佐々木 明, 鷲田 哲雄, 中川 ...
    1982 年23 巻2 号 p. 198-205
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    多発性肝のう胞は比較的まれな疾患で,1975年までに約200例報告されている.我々は14例の本症を経験すると同時に,石灰化を伴なった非包虫性の稀な1例(症例11)を経験したので合わせて報告する.
    自験14例では年齢は43~80歳で,男3:女11(約4倍)で,初発症状は腹痛,腹満,全身倦怠感などで,腹部では肝腫大,腫瘤触知,両腎触知などが多かった.肝機能低下を3例に認めたが,いずれも軽度にとどまった.施行された検査は肝シンチ,腹腔鏡検査などで,腎のう胞を6例(43%)に認め,症例2では肝のう胞の悪性化を疑われた.治療は内科的,外科的(のう胞切除術など)が各々7例であった.
    症例11は65歳女性で,肝腫大,鼓腸,腹水を主訴に入院.CTスキャン,手術(のう胞開窓術),組織検査などより石灰化を伴なった非包虫性の多発性肝のう胞症と確診された.非包虫性の本症で石灰化を認めた報告としては,わずかにKutcherらの2例をみるのみである.
  • ラット急性相α2MGを中心として
    平田 泰彦, 石橋 大海, 長野 政則, 林田 一洋, 樋口 宣明, 大久保 英雄
    1982 年23 巻2 号 p. 206
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 内海 勝夫, 小俣 政男, 伊藤 よしみ, 横須賀 収, 森 順子, 奥田 邦雄, 寺尾 清, 葉 維法
    1982 年23 巻2 号 p. 207
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 佐藤 俊一, 鈴木 一幸, 及川 仁, 阿部 裕行, 加藤 章信, 海藤 勇
    1982 年23 巻2 号 p. 208
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 林 春幸, 平澤 博之, 菅井 桂雄, 大竹 喜雄, 小高 通夫, 佐藤 博
    1982 年23 巻2 号 p. 209
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 一般演題 (3)
    1982 年23 巻2 号 p. 210-235
    発行日: 1982/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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