肝臓
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31 巻, 7 号
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  • 宮島 透
    1990 年 31 巻 7 号 p. 725-732
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    HBV感染時における血中pre-S2抗原・抗体の臨床的意義を検討する目的で,急性B型肝炎6例56検体およびHBVキャリア265例867検体の血中pre-S2抗原・抗体を測定した.pre-S2抗原はHBs抗原がPRHAで24以上の検体でほぼ全例で検出された.一方pre-S2抗体は急性肝炎6例中4例で出現し,その出現時期は,HBs抗原およびpre-S2抗原の消失する2から3週前であった.HBVキャリア238例中pre-S2抗体は85例に陽性で,抗体陰性例に比べてHBs抗原価,DNA-P値は有意に低値であった.経時的に観察した27例の慢性肝炎では,pre-S2抗体は15例に検出され,その出現様式は持続陽性型,出没型,one point型を示した.HBe抗原持続陽性の7例では2例のみにpre-S2抗体が出現したが,HBe抗原自然消失10例の中8例でpre-S2抗体を認め,このうち5例ではHBe抗原の消失する直前にone point型で出現し,pre-S2抗体とHBe抗原消失との関連性が示唆された.
  • 森岡 健
    1990 年 31 巻 7 号 p. 733-740
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    B型肝炎ウイルスキャリアにおけるインターロイキン2(IL2)/インターロイキン2受容体(IL2R)系の動態を解明する目的で,患者の末梢血単核球を培養しPHAとTPAで刺激した際のIL2およびIL2R(p55)遺伝子の発現の程度をNorthern blot法により検討した.B型慢性活動性肝炎(CAH)では15例中8例,無症候性B型肝炎ウイルスキャリア(ASC)では8例中6例において,PHA,TPA同時添加時のIL2遺伝子の発現が正常対照者に比して低下しており,特にHBe抗原陽性者では低下例が多かった.IL2R(p55)遺伝子の発現は,IL2遺伝子の発現が低下していた15例中5例(33%)で低下していた.なお,c-myc遺伝子の発現には各群間で差を認めず,また培養上清中のIL2濃度はCAH群では対照群に比し有意に低下していた.ASC,CAHのいずれにおいても,末梢血単核球におけるIL2,IL2R(p55)のwRNAレベルでの異常が認められたことより,B型肝炎ウイルス持続感染状態とIL2/IL2R系の異常が密接に関連している可能性が推測された.
  • 特にクッパー細胞の役割
    嶋田 紘, 新本 修一, 高橋 嘉彦, 中川原 儀三
    1990 年 31 巻 7 号 p. 741-748
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    エンドトキシン(LPS)の肝細胞障害機序と種々の薬剤による影響を検討するため,ラット肝より肝細胞単独培養群(H群),クッパー細胞単独培養群(K群)及び両者の共同培養群(H+K群)を作成し,H3-leucineにより肝細胞の蛋白合成を測定した.H群におけるLPS(20μg/ml)添加時の肝細胞蛋白合成はLPS無添加時の100%に対し91.9%と低下しH+K群に於ては53.3%に著減した.α-tocopherol (100μg/ml)やDexamethazone (10-7M)はLPS添加H群の蛋白合成を138%,161%に増加させた.しかしこれらはanti TNF (50U/ml)やDiltiazem (10-3M)と同じようにLPS添加によるH+K群の蛋白合成障害を阻止しなかった.SOD (100μg/ml)はLPS添加H群の蛋白合成を67.5%に減少させたが,LPS添加によるH+K群の蛋白合成障害を軽度防止した.今回の実験によりLPSの肝細胞蛋白合成障害は主にクッパー細胞を介して行われ,そのmediatorの1つとしてsuperoxide radicalsが推測された.
  • 安田 宏, 藤野 均, 宇多 慶記, 田川 一海, 鵜沼 直雄, 諸井 中
    1990 年 31 巻 7 号 p. 749-753
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    慢性肝疾患患者のUSによる経過観察中に出現した血管腫様の高エコーを呈する小腫瘤性病変のうち3ヵ月以上,無治療経過観察が可能であった16例18結節において腫瘤径,US像の変化を検討した.このうち6例7結節と高頻度に肝細胞癌と診断された.いずれも腫瘤径の増大を認めたが5例は腫瘍容積倍加時間が140日以上のslow-growingな肝細胞癌であった.3例4結節は辺縁高エコー・中心低エコーのいわゆる“Bright loop”像に変化した.経過観察中5例に娘結節の出現を認めた.これらの腫瘍は高エコーの時点では血管造影陰性であり早期確定診断には超音波誘導下組織生検が有用であった.
  • 中野 雅行, 斉藤 明子, 高崎 健, 小幡 裕, 小林 誠一郎
    1990 年 31 巻 7 号 p. 754-761
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    積極的に手術・摘出された微小肝細胞癌58症例79結節を肉眼及び組織学的に検索した.今まで漠然と考えられていた肝細胞癌の初期像及び剖検例を中心にした進行癌への進展様式を明らかにした.
    初期肝細胞癌は細胞異型の少ない癌細胞から成り非癌肝組織との境界が肉眼的,組織掌的に不明瞭である.癌結節内には,門脈域が存在するが癌細胞の浸潤を受け分かりにくくなる.結節内に巻き込まれた間質の線維組織も癌細胞の浸潤で薄くなり消失する.高分化型の癌細胞結節内に低分化型の癌細胞の結節が生じ,増大に伴い高分化型を圧迫し萎縮・脱落させ被膜を形成し低分化癌細胞の境界明瞭な結節即ち進行癌へと進展する.
  • 水野 恭嗣, 大野 真介, 松下 文昭, 鵜浦 雅志, 小林 健一, 右田 俊介, 服部 信, 村上 清史
    1990 年 31 巻 7 号 p. 763-768
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    ウッドチャック肝細胞癌培養株(WH257GE10)におけるウッドチャック肝炎ウイルス(WHV)DNAの組み込みとc-myc遺伝子との関係を明らかにするために,3H(トリチウム)標識ウッドチャックc-myc遺伝子をprobeとして,in situ hybridization法を用いて,c-myc遺伝子のWH257GE10染色体上の局在部位を解析した.その結果,c-myc遺伝子は,WHVDNAの組み込み部位(第8染色体長腕部31領域,8q31)の近傍である第8染色体長腕部32領域(8q32)に局在していた.c-myc遺伝子がWHV DNAの組み込み部位の近傍に局在することから,c-myc遺伝子は,WHV DNAの組み込み後の肝細胞癌の発生に際して,何らかの役割を果たしている可能性が推測された.
  • 橋本 博之
    1990 年 31 巻 7 号 p. 769-776
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝硬変時の細胞レベルでの代謝応答を検討するには,ホルモンや支配神経による影響を除外した培養細胞を用いる研究が最も有効な手段である.従来硬変肝細胞の分離は困難で,収率も悪いとされてきた.そこで本研究では,まず硬変肝細胞の分離法,培養法を確立するため四塩化炭素によるラット硬変肝を用いて検討した.0.25%collagenase液500mlを用いて肝を30分間灌流することにより平均83.2%の高いviabilityで,平均0.84×107 viable cells/g liverweightと高収量の硬変肝細胞を分離し得,collagen(0.5mg/dish), fibronectin(1.0μg/cm2of dish area)で,double coatingしたdishを用いることにより,75%のviabilityを維持しながら3日間培養することに成功した.
  • 特発性門脈圧亢進症との異同について
    鹿毛 政義, 荒川 正博, 福田 一典, 神代 正道, 諸富 立寿, 森松 稔, 矢野 洋一
    1990 年 31 巻 7 号 p. 777-783
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝のpartial nodular transformation (PNT)が特発性門脈圧亢進症(IPH)と同一疾患である可能性を示唆する症例を報告した.症例は55歳女性で,脾腫と門脈圧亢進症を呈し,食道静脈瘤の破綻で死亡した.肝は,肝門部を中心に粗大な結節性過形成性変化が存在し,PNTと考えられた.IPHとの異同を検討した結果,肝病理組織所見は,IPHに類似し,肝被膜下領域の萎縮,門脈域の円形の線維化,末梢門脈枝の潰れや狭小化,中等大および門脈主幹の系統的な門脈硬化が存在し,かつ,両者の肝組織計測の比較でも,形態学的類似性が見られた.本症例の過形成性変化の原因は不明であるが,末梢門脈枝の潰れや狭小化は,肝被膜下領域のみならず,肝門部にも存在し,一方,肝動脈枝は肝門部では正常に開存していた.肝門部では,肝動脈血流が維持され,門脈血流の減少を代償し,ひいては被膜下領域の萎縮に対する代償性の過形成変化が生じた可能性が示唆された.
  • 田辺 雄一, 四宮 幸子, 富永 浩平, 廣重 嘉一郎, 小柳 信洋, 竹中 賢治, 吉田 喜策, 今利 泰久, 神代 正道
    1990 年 31 巻 7 号 p. 784-789
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は58歳男性.B型肝硬変として外来で経過観察中,定期的超音波検査にて肝内SOLを認め腫瘍生検にてEdmondsonI~II型の高分化型肝細胞癌と診断,切除された.腫瘍は,4.0×5.5mmと極めて微小であり,病理組織学的にはreplacing patternを示し,腫瘍新生血管も無く,既存の偽小葉構造を破壊せずに存在していた.しかしながら術前の血管造影検査(DSA)にて明瞭なTumor stainingを認めた.
    以上,早期の肝細胞癌における血管構築を検討するうえで,極めて興味ある症例と考えられ,今後このような症例の経験の蓄積が肝細胞癌の早期診断さらには早期治療に重要であると考えられた.
  • 大田 人可, 小野 稔, 大平 基之, 吉田 行範, 石川 裕司, 村住 ゆかり, 金井 賀子, 幸田 弘信, 長谷部 千登美, 矢崎 康幸 ...
    1990 年 31 巻 7 号 p. 790-795
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    血中PIVKA II陽性の肝細胞癌の2症例にvitamin K (MK4,30mg)を経静脈的にそれぞれ4,7週間連日投与し,死後に肝組織中のvitamin K量を測定した.Vitamin K投与中の血中PIVKA II値は投与前値に比べ低下したが,0.1AU/ml以下の正常値には至らなかった.剖検肝組織中のvitamin K量は肝癌部ではvitamin K非投与例の7~11倍に,また非癌部では11~19倍に増加していた.この2症例でのPIVKA II産生機序は肝癌組織中におけるvita-min Kの局所的欠乏では説明し難く,γ-carboxylation systemの中で補酵素であるvitamin Kの要求性が異常に高まっているためと推察された.
    この2症例は,PIVKA II産生にかかわるvitamin Kの影響をみるうえで非常に参考になると考えられたので報告する.
  • 高分化型肝細胞癌との鑑別について
    金井 歳雄, 都築 俊治, 上田 政和, 杉岡 篤, 中安 邦夫, 田代 征夫
    1990 年 31 巻 7 号 p. 796-803
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    33歳の女性に発症した,異型性の乏しい,肝細胞への分化を示す細胞から成る巨大な肝腫瘍を切除した.肝硬変の併存はなく,欧米で数多く報告されている肝細胞腺腫の記載に一致する所見が確認された.肝細胞腺腫は高分化型肝細胞癌との鑑別が難しいとされているが,若年成人に多く,正常肝に発生すること,腫瘍径が比較的大きくなって発見されることが多いことなどの臨床的所見及び異型に乏しい腫瘍細胞がmonotonousな増殖を示す組織学的特徴によって通常容易に鑑別し得る.しかしながら,肝細胞腺腫が真の意味で良性腫瘍であるか否かについては多数の症例について生存期間などの臨床的検討を行う必要がある.
  • 田代 和弘, 松元 隆明, 平田 邦壽, 大庭 聡, 和田 八郎, 副島 二郎, 西村 剛, 平山 八郎, 柳 秀隆
    1990 年 31 巻 7 号 p. 804-810
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    患者は60歳女性で腹部膨満感を主訴に来院し,腹部超音波検査(以下US)およびCT scan(以下CT)にて肝内側区域の嚢胞(2.0×1.9cm)および心窩部より臍下部にわたる多房性嚢胞を腹腔内に指摘され,一部には充実性部分を有する隔壁の存在が確認された.さらに血管造影(以下AG)で腹腔動脈(CA),総肝動脈(CHA),胃十二指腸動脈(GDA)の腫瘍による著明な圧排像がみられたが,嚢胞穿刺吸引細胞診ではClassIIであった.諸検査で肝嚢胞および肝外性多房性嚢胞(悪性疑い)と診断し,嚢胞切除および肝部分切除術を施行したところ,病理学的診断は平滑筋肉腫であった.6ヵ月後腹腔内再発にて来院され,昭和63年7月治療の効果なく死亡された.肝外性に嚢胞形成を示す原発性肝平滑筋肉腫は本邦では報告例がないため貴重な症例と思われ,さらに平滑筋肉腫の発生学的問題にも示唆を与える症例であると考えられる.
  • 立石 秀夫, 向坂 彰太郎, 犬塚 貞孝, 石井 邦英, 田中 正俊, 神代 龍吉, 上野 隆登, 野口 和典, 吉田 博, 安倍 弘彦, ...
    1990 年 31 巻 7 号 p. 811-815
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    長期間の炭粉曝露により肝網内系に炭粉沈着を認めた極めて稀な症例を報告する.症例は62歳男性.主訴:全身倦怠感,現病歴:元来大酒家であったが,昭和57年初旬,全身倦怠感出現,近医を受診しアルコール性肝炎を疑われ精査のため昭和63年9月当科入院となる.生活歴:日本酒4合/日35年(昭和57年以後断酒).22歳時より18年間炭坑で働く.入院後の生検肝組織のHE染色にて軽度の線維の増生を認める門脈域とその周囲の類洞内Kupffer細胞内に緑褐色の色素沈着を認めた.透過電顕による観察にてelelctrondenseな物質を多数含むmφを認め,元素分析を行なったところ,珪素とアルミニウムを含む物質と判明した.
  • 舛田 一成, 渡辺 恭行, 中西 敏夫, 池本 吉博, 小松 晃一, 伊藤 博之, 北本 幹也, 高野 弘嗣, 天野 始, 田村 徹, 中村 ...
    1990 年 31 巻 7 号 p. 816-817
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 高山 忠利, 幕内 雅敏, 坂元 亨宇, 広橋 説雄
    1990 年 31 巻 7 号 p. 818-819
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 岡田 良雄, 神野 健二, 砂山 敬之, 六車 満, 坂井 宣行, 外園 正彰, 下村 宏之, 藤尾 耕三, 森脇 昭介, 辻 孝夫
    1990 年 31 巻 7 号 p. 820-821
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 長田 郁夫, 原田 友一郎, 田中 雄二, 谷本 要, 白木 和夫
    1990 年 31 巻 7 号 p. 822-823
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 倉井 清彦, 小池 和彦, 飯野 四郎, 遠藤 康夫, 黒川 清, 安田 清美, 日野 邦彦, 丹羽 寛文
    1990 年 31 巻 7 号 p. 826-827
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 森山 光彦, 高橋 知秀, 林 仲信, 志方 俊夫, 天木 秀一, 田中 直英, 鈴木 新司, 所正 彦, 大久保 仁, 荒川 泰行, 松尾 ...
    1990 年 31 巻 7 号 p. 828
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 藤沢 知雄, 鍵本 聖一, 藤塚 聡, 乾 あやの
    1990 年 31 巻 7 号 p. 829
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 田中 貢, 二川 俊二, 藤沢 洌
    1990 年 31 巻 7 号 p. 830
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 瀬在 秀一, 平野 正憲, 桜林 真, 山本 佳洋, 吉浦 健太, 吉野 克正, 清水 敏朗, 森田 敏和, 岩瀬 透, 岡 博, 平野 哲 ...
    1990 年 31 巻 7 号 p. 831
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 『系統的マイクロターゼ凝固壊死療法』の有用性について
    馬田 裕二, 才津 秀樹, 松本 敦, 重富 和治, 下川 圭介, 牟田 幹久, 安藤 和三郎, 谷脇 智, 奥田 康司, 吉田 晃治, 中 ...
    1990 年 31 巻 7 号 p. 832
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 31 巻 7 号 p. 833-873
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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