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内田 俊和, 鈴木 高祐, 江角 真理子, 大村 正史, 入倉 忠, 志方 俊夫
1985 年26 巻5 号 p.
559-564
発行日: 1985/05/25
公開日: 2009/05/26
ジャーナル
フリー
アヒル肝臓内におけるアヒルB型肝炎ウイルス(DHBV)の局在の仕方を,ペルオキシダーゼ免疫染色と電顕的にて検索した.孵化後24時間以内にDHBV陽性血清を接種したアヒルにウイルス感染の成立をみ,血清のDHBV-DNAの検索とDNAポリメラーゼ活性の測定により確認された.感染が成立したアヒルの肝臓は,DHBVが肝細胞と小葉間胆管上皮の細胞質が陽性に染色された.DHBV陽性血清の沈渣を通常電顕で観察すると,圧倒的多数の直径34~63mmの粒子(type2,envelope様)に混じて,電子密度が高い中心部(直径24~29nm,core様)を有する直径40nm前後の粒子(type1,virion様)を認めた.DHBV陽性の肝臓の通常電顕ではenvelope様粒子を多数,virion様粒子を稀に疎面及び滑面小胞体の槽の中に,core様粒子を稀にヒアロプラズムに観察しえた.肝細胞内におけるDHBVの局在様式はヒトB型肝炎ウイルス(HBV)に類似していた.
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横須賀 収, 小俣 政男, 今関 文夫, 伊藤 よしみ, 森 順子, 内海 勝夫, 奥田 邦雄
1985 年26 巻5 号 p.
565-571
発行日: 1985/05/25
公開日: 2009/05/26
ジャーナル
フリー
HBs抗原陽性慢性肝疾患患者64名の肝内HBV DNAをSouthern blot-hybridization法を用いて解析した.肝内HBV DNAはHBe抗原陽性38名中36名(95%),e抗原-e抗体両者陰性7名中3名(43%),e抗体陽性19名中7名(37%)に検出された.Southern blot像よりHBVの“active”な増殖が行なわれていると推定される症例はe抗原陽性者中大多数を占めるが,e抗原陰性者中においても26名中5名(19%)に認められ,これら症例のsGPTは高値であり,肝組織像の進展した患者に多くみられた.遊離HBV DNA中supercoiled DNAのみ認められる症例も存在し,ウイルス持続感染におけるsupercoiled型DNAの重要性が示唆された.又少数ではあるが組み込み型HBV DNAが検出され“clonal”な組み込みは肝硬変症例に,“random”な組み込みは病変の軽微な症例にみられた.
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慢性肝炎活動性および肝硬変と比較して
岩井 眞樹, 新谷 弘幸, 岡上 武, 奥野 忠雄, 瀧野 辰郎, 三好 正人, 鹿岳 研
1985 年26 巻5 号 p.
572-577
発行日: 1985/05/25
公開日: 2009/05/26
ジャーナル
フリー
HBs抗原キャリアの慢性肝疾患におけるHBs抗原を免疫組織化学的に観察し,病型の進展に応じ,HBs抗原がいかなる分布様式を示すか,特に肝癌合併肝硬変組織でのHBVの動態について検討した.慢性肝炎の肝組織におけるHBs抗原の局在は,肝細胞の膜型(membranous type: M)優位で,肝硬変では細胞質型(cytoplasmic type: C)および,花綵型(festoon type: F)優位を示した.肝癌合併肝硬変組織でのHBs抗原の局在は,M.C.F型のみならず,封入体型(inclusion body type: I)も認め,多様な局在型を示した.また,HBc抗原陽性細胞の分布は,癌部に隣接する硬変部位に密に認められた.癌部に隣接した領域では,癌部より離れた領域に比し,dysplastic changeを認めることが多く,かつHBc抗原陽性細胞も多く認められた.
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免疫寛容の解除に及ぼす性ホルモンの影響
池本 吉博, 溝口 靖紘, 福井 美智留, 加藤 寛子, 筒井 ひろ子, 新井 孝之, 宮島 慶治, 阪上 吉秀, 東森 俊博, 関 守一, ...
1985 年26 巻5 号 p.
578-581
発行日: 1985/05/25
公開日: 2009/05/26
ジャーナル
フリー
著者らは先に無症候性HBウイルスキャリアの末梢血単核細胞におけるpokeweed mitogen (PWM)刺激による抗体産生の誘導が,健常ヒトのそれと異なり,女性ホルモンによって増強されないことを認めた.この無症候性HBウイルスキャリアの女性ホルモンによって増強されない免疫学的特徴を解析するため,まず免疫寛容マウスを用いて検討した.一般に無症候性HBウイルスキャリアはHBウイルスに対し寛容状態にあると考えられているので,マウスに免疫寛容状態を誘導し,寛容状態の解除にエストロゲンおよびテストステロンがどのように影響を及ぼすかについて解析した.その結果,免疫寛容状態の誘導にマウスの系統差を認めた.また,マウスに免疫寛容状態を誘導し,エストロゲンを投与すると,免疫寛容状態は部分的に解除するが,このエストロゲンの作用はテストステロン同時投与によって消失した.以上の結果は,無症候性HBウイルスキャリアの発症に,遺伝的な因子および性ホルモンが関与する可能性を示唆する.
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倉井 清彦, 飯野 四郎, 小池 和彦, 遠藤 康夫, 岡 博, 三田村 圭二, 鈴木 宏
1985 年26 巻5 号 p.
582-591
発行日: 1985/05/25
公開日: 2010/01/19
ジャーナル
フリー
抗ウイルス剤および副腎皮質ステロイド(CS)剤投与例40例,非投与例15例のHBe抗原陽性B型慢性肝炎症例を対象に血中HBe抗原量を定量的測定系を用いて経時的に測定し,以下の成績を得た.(1) interferon (IFN) 〔n=11〕, adenine arabinoside (Ara-A) 〔n=15〕,adenine arabinoside 5' monophosphate (Ara-AMP) 〔n=5〕, CS剤〔n=9〕投与群のいずれにおいても投与終了6カ月後にはHBe抗原量の著しい減少を認め,投与開始時からの平均変化率はIFN-46.3%, Ara-A -45.7%, Ara-AMP -30.0%, CS剤-66.8%で,control群〔n=15〕の-13.8%に比しIFN, Ara-A, CS剤投与群では有意な低下であった.(2)HBe抗原陰性化例の投与開始時のHBe抗原量はHBe抗原非陰性化例に比し有意に低く,全例1,000単位未満の低値例であった.
以上のことから,抗ウイルス剤およびCS剤の投与はHBe抗原量を減少させ,その結果HBe抗原の陰性化を早めることによりB型慢性肝炎の自然経過を短縮するものと判断された.
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塩見 進, 池岡 直子, 箕輪 孝美, 黒木 哲夫, 針原 重義, 山本 祐夫, 越智 宏暢, 門奈 丈之
1985 年26 巻5 号 p.
592-597
発行日: 1985/05/25
公開日: 2010/01/19
ジャーナル
フリー
劇症肝炎12例(生存7例,死亡5例),急性重症肝炎8例,および通常経過の急性肝炎44例(発症後8週間以内)の計64例を対象に肝シンチグラフィを施行し,肝シンチグラムにおける脾の描出,骨髄の描出,肺の描出および肝の大きさの指標として算出したA.L.I. (anterior liver index)の4項目を検討した.劇症肝炎および急性重症肝炎は急性肝炎に比べ脾の描出および骨髄描出の著明な例が多く,またA.L.I.も低値を示す例が多かった.さらに,林の数量化理論第II類を用い,上記4項目にスコアーを与えることにより92.2%の診断率で劇症肝炎および急性重症肝炎と急性肝炎を判別しえた.劇症肝炎12例において,肋骨の描出および肺の描出は死亡5例中おのおの3例ずつに認められたが,生存7例では1例も認められなかった.すなわち,肝シンチグラフィにおいて肋骨および肺の描出を認める劇症肝炎は予後が非常に悪いと思われた.
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ラットとの比較を含めて
太田 正治, 岡上 武, 王 〓玉, 加知 一友, 奥野 忠雄, 瀧野 辰郎
1985 年26 巻5 号 p.
598-604
発行日: 1985/05/25
公開日: 2009/05/26
ジャーナル
フリー
Triton X-100を含む灌流液にて,in situでマウス肝とラット肝を門脈より灌流し,透過電子顕微鏡と走査電子顕微鏡で肝細胞サイトスケレトンを観察した.マウス肝でもラット肝と同様,肝細胞サイトスケレトンを透過および走査電子顕微鏡で明瞭に観察しえた.走査電子顕微鏡による観察では,マウス,ラットともに,主として中間径フィラメントからなるサイトスケレトンの三次元的存在様式を明瞭に捉えることができた.走査電子顕微鏡により,中間径フィラメントの分枝,接触や核および細胞内小器官との接着様式を明瞭に表示しえた.マウスとラットの肝細胞サイトスケレトンには構造的差異はなかった.今回のマウス肝細胞サイトスケレトンの研究は,グリセオフルビン投与マウスでのマロリー体形成機序や,マロリー体とサイトスケレトンとの関係などを研究する上に重要な基礎的情報を与えてくれるものである.
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村田 誠, 沖田 極, 岡 紳爾, 田中 慎也, 山本 一成, 衣川 皇博, 野田 健一, 竹本 忠良
1985 年26 巻5 号 p.
605-612
発行日: 1985/05/25
公開日: 2010/01/19
ジャーナル
フリー
肝発癌過程と正常肝再生過程におけるpolyprenoic acid(以下E-5166)投与の影響について,hyperplastic nodule (以下HPN)のDNA合成とその誘導という点から検討した.すなわち,Solt & Farberの発癌モデルを基本とし,E-5166の投与量,投与時期の異なる4つのgroupを作成し,1~5週目まで毎週,DNA合成はautoradiographyで解析し,HPNの誘導はgamma-glutamyltranspeptidase活性染色をして検討した.その結果,initiater投与後7日間E-5166を10mg/kg投与したgroupで最もよくHPNのDNA合成と誘導は抑制された.次に,partial hepatectomy後の正常肝再生過程において,E-5166前投与groupでは,DNA合成は遅延し,残存肝細胞がG0→G1→S phaseへ移行する時間の延長が確認できた.以上の事実より,E-5166は肝発癌過程や正常肝再生過程において,肝細胞増殖抑制作用をもち,cycletimeを延長させることにより,その作用が発現する可能性が示唆された.
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秋山 新二郎, 渡辺 勇四郎, 清水 昭一, 岡部 和彦
1985 年26 巻5 号 p.
613-617
発行日: 1985/05/25
公開日: 2009/05/26
ジャーナル
フリー
肝細胞癌患者や転移性肝癌患者では血清および血漿sialyltransferase活性が明らかに高い.マウス腹水型肝癌細胞株,MH134,を移植したC3H/Heマウスでは血清および肝臓の本酵素活性は高値を示したが,癌組織では明らかに低値であった.MH134細胞とChang肝細胞を48時間培養すると,MH134細胞の培養上清で酵素活性は高く,培養細胞の酵素活性はchang肝細胞の方が高値であった.
これらの成績は血清sialyltransferaseが肝癌患者の癌組織から分泌され,循環血漿中で高値となることを示している.
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江畑 浩之
1985 年26 巻5 号 p.
618-629
発行日: 1985/05/25
公開日: 2010/03/08
ジャーナル
フリー
肝細胞癌146例において凝固線溶動態を解析した.肝細胞癌は肝硬変症に比し,凝固因子,凝固線溶阻止因子は保たれ,末期の症例では凝固線溶亢進状態が認められた.その要因として腫瘍の増大,遠隔転移,endotoxemia,腫瘍塞栓などがあげられた.高度の腫瘍塞栓形成例では,FDPの上昇,硫酸プロタミン試験の陽性化がみられ,うち4例では慢性型播種性血管内凝固症候群(DIC)に類似した所見を呈した.DICと診断されたのは他の6症例で,腫瘍壊死,感染症および第IX因子製剤輸注が誘因として推測された.肝動脈塞栓術直後(1~3日)では一過性にfibrinogenやFDPの増加がみられた.これに対し肝動脈内制癌剤投与では4日後以降の血小板減少のみを認めた.肝予備力を反映する凝固検査としてはprothrombin時間,Hepaplastin test, antithrombin IIIおよびα
2 plasmin inhibitorが推奨された.肝細胞癌および肝硬変症ではfibrinogenの質的異常が示唆された.
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戸部 和夫, 土屋 隆宏, 藤原 良二, 山田 剛太郎, 長島 秀夫, 笹岡 和雄, 三村 久, 元井 信
1985 年26 巻5 号 p.
630-637
発行日: 1985/05/25
公開日: 2010/01/19
ジャーナル
フリー
20例の肝細胞癌(HCC)手術例につき,癌組織内におけるKupffer細胞の存否をリゾチームをマーカーとして,また一部の症例では電顕的観察を加えて検討した.20例中4例のHCC結節内にKupffer細胞が非癌部に近い頻度で存在し,電顕ではその胞体内にファゴゾームが認められた.Kupffer細胞は,Edmondson I型を主体とした高分化HCC細胞が1~2層のプレート状に配列し,類洞様構造がよく保たれている部位に存在した.Kupffer細胞存在部位の腫瘍結節内分布は辺縁帯あるいはモザイク状で,その部はKupffer細胞の存在しないより未分化な細胞群により圧排される傾向を示した.Kupffer細胞はHCC組織にも存在するが高分化な像を示す部位に限られており,その存否はHCC分化度の指標になるものと思われた.
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高後 裕, 加藤 淳二, 西里 卓次, 松本 修二, 近藤 仁, 福島 誠, 新津 洋司郎, 漆崎 一朗
1985 年26 巻5 号 p.
638-644
発行日: 1985/05/25
公開日: 2010/03/08
ジャーナル
フリー
アルコール性肝障害の生化学的指標として血清α1-acid glycoprotein (α1-AGP)の上昇が注目されている.この上昇は,今までいわれてきた肝細胞の糖蛋白質の合成低下,分泌障害などとは矛盾する現象である.そこでこの上昇機序を解明するためにアルコール投与ラットを作製し,血清糖蛋白質の異化に重要な肝細胞表面のAsialoglycoprotein receptor (AGPR)を含めた血清α1-AGPのクリアランスの検討を行った.アルコール投与ラットにおいても血清α1-AGPの上昇を認めた.静脈内投与された125I-α1-AGPは急速に血中より減少し,その半減期はコントロール群1.8分であったのに対し,アルコール群では3.0分と明らかに遅延を認めた.4°Cにおいてのラット遊離肝細胞と125I-asialo-α1-AGPとの結合反応のScatchard plot解析によりアルコール投与ラットの肝細胞表面のAGPR数は1.1×106/cellとコントロール1.8×105/cellに比し減少しており,血清α1-AGPの上昇は,肝細胞からのクリアランス障害が,関与することが示唆された.
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山田 剛太郎, 兵頭 一之介, 西原 隆, 真鍋 康二, 藤木 茂篤, 奥新 浩晃, 水野 元夫, 木野山 真吾, 坂本 裕治, 戸部 和夫 ...
1985 年26 巻5 号 p.
645-651
発行日: 1985/05/25
公開日: 2010/01/19
ジャーナル
フリー
臨床的,組織学的にPBCと診断された5例において肝組織内に分布したリンパ球のsubsetを単クローン抗体:anti-Leu 1 (pan T), -Leu 2a (cytotoxic/suppressor T), -Leu 3a (helper/inducer T), -Leu 7 (natural killer/K), -Leu 10 (B)を利用して酵素抗体間接法により光顕および電顕レベルで検討した.肝組織内リンパ球subsetの割合はLeu 1:66.5±6.3% (Mean±SD), Leu 2a: 28.2±7.2%, Leu 3a: 32.8±5.6%, Leu 7:7.1±0.5%, Leu 10:19.7±5.9%で,Leu 3a/Leu 2a比は1.28±0.46であった.chronic nonsupprative destructive choloangitis (CNSDC)を示す小葉間胆管ではLeu 1陽性細胞およびLeu 2a陽性細胞が胆管上皮細胞間へしばしぼ浸潤していた.電顕レベルの観察ではこれら陽性リンパ球は胆管上皮細胞とbroad contactを示し,胆管内腔に面したmicrovilliの消失やblebの形成が時に観察された.しかし,Leu 3a陽性細胞,Leu 7陽性細胞,Leu 10陽性細胞は小葉間胆管内への浸潤は認められなかった.以上よりPBCにおけるCNSDCの病態としてはT cell cytotoxicityが重要な役割を演じている可能性が示唆された.
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高原 仁, 山内 眞義, 中山 一, 中原 正雄, 渡部 幸夫, 木村 和夫, 藤沢 洌, 亀田 治, 河村 博
1985 年26 巻5 号 p.
652-655
発行日: 1985/05/25
公開日: 2010/01/19
ジャーナル
フリー
非A非B型急性肝炎の発症後に慢性肝炎となり,その経過観察中にB型肝炎ウイルス(HBV)キャリアーとなったきわめてまれな症例を経験したので報告する.症例は31歳の男性で,非A非B型急性肝炎を発症し,3カ月の入院加療後もトランスアミナーゼの異常が続き,発症後1年7カ月の時点で腹腔鏡下肝生検を施行し,慢性活動性肝炎と診断された.その後もトランスアミナーゼの異常が続き,経過観察中にHBs抗原がRPHA法で5, 120倍以上と強陽性であることが発見され,過去の検査成績と保存血清のHBV関連抗原抗体系の検索により非A非B型肝炎発症後約2年近く経過した時点で一過性のB型肝炎に罹患しHBVキャリアー状態となっていることが確認された.
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水入 紘造, 吉岡 敏江, 羽鳥 知樹, 佐川 寛, 難波 経彦, 陳 鴻章, 杉本 元信, 安部井 徹
1985 年26 巻5 号 p.
656-660
発行日: 1985/05/25
公開日: 2010/01/19
ジャーナル
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アルコール性肝硬変にアルコール性肝炎を伴い,急性肝不全で死亡した1例を報告した.症例:46歳,主婦.皮膚黄染,皮下出血を主訴として来院.5~6年のアルコール歴と輸血歴があった.入院時,発熱,著明な黄疸と貧血を認め,右季肋下で肝臓を2横指触知した.皮下出血が両側大腿部から股関節部に認められ,昏睡度II度であった.血液検査で白血球の増多,高色素性・大球性貧血がみられた.HB関連抗原・抗体は陰性.プロトロンビン時間の延長,フィブリノーゲンの低下,FDPの上昇よりDICを併発していると考えheparin, gabexate mesilateを投与し,肝不全に対してprednisolone, glucagon-insulin療法を施行したが効果なく,DICを契機として消化管出血で第42病日死亡した.肝臓のnecropsyで多数のアルコール硝子体を認めた.本邦のアルコール性肝炎111例中37例(33.3%)が死亡例で,女性の報告例は少ない.アルコール硝子体の出現頻度は,肝硬変合併の死亡例で最も高かった.
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二宮 冬彦, 山口 弦二朗, 白石 公彦, 久保 保彦, 谷川 久一
1985 年26 巻5 号 p.
661-666
発行日: 1985/05/25
公開日: 2010/01/19
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症例は67歳の男性.肝硬変症の経過観察中に腹部超音波検査で右葉後区域に肝細胞癌の合併を指摘され入院した.腹部CT検査ではCT値0以下を示すlow densityの腫瘍で制癌剤の動脈内注入施行後に肝右葉を切除し径6×6×6cmのcapsuleに被われた肝細胞癌を認めた.その後食道静脈瘤破裂による吐・下血にて入院3ヵ月後に死亡した.組織学的所見で癌部壊死組織内に多量のコレステロール針状結晶を認めたため組織内脂質含量を測定した.その結果コレステロールは平均20.2mg/g wet weightと著明に増加しておりとくに中心壊死部に多かった.またそのエステル型は総コレステロールの36.2%を占めており有意に上昇していた.以上のことよりコレステロール合成亢進下で急激に壊死に陥ったため多量のコレステロールが血中へ放出されずに結晶化して組織内に残されたものと推定した.
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小林 明文, 今 直子, 坪水 義夫, 中神 誠一, 菅田 文夫
1985 年26 巻5 号 p.
667
発行日: 1985/05/25
公開日: 2009/05/26
ジャーナル
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大川 伸一, 井上 修二, 田中 克明, 高邑 裕太郎, 清水 昭男, 蟹沢 成好
1985 年26 巻5 号 p.
668
発行日: 1985/05/25
公開日: 2009/05/26
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岡上 武, 太田 正治, 加知 一友, 王 〓玉, 奥野 忠雄, 瀧野 辰郎
1985 年26 巻5 号 p.
669
発行日: 1985/05/25
公開日: 2009/05/26
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菅野 厚, 中山 晴夫, 佐藤 修一, 太田 慎一, 大槻 昌夫, 後藤 由夫, 松田 恵三郎, 大堀 均
1985 年26 巻5 号 p.
670
発行日: 1985/05/25
公開日: 2009/05/26
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田中 栄司, 今井 光信, 下崎 真弓, 星 友二, 岡本 宏明
1985 年26 巻5 号 p.
671
発行日: 1985/05/25
公開日: 2009/05/26
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田中 克明, 井上 修二, 大川 伸一, 西野 武士, 高邑 裕太郎
1985 年26 巻5 号 p.
672
発行日: 1985/05/25
公開日: 2009/05/26
ジャーナル
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橋本 悦子, 金子 篤子, 栗原 毅, 富松 昌彦, 山内 克己, 吉田 錦吾, 古川 隆二, 中西 敏己, 久満 董樹, 小幡 裕
1985 年26 巻5 号 p.
673
発行日: 1985/05/25
公開日: 2009/05/26
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山崎 一信, 戸島 恭一郎, 植松 幹雄, 広浜 恵生, 竿代 丈夫, 今井 深, 亀田 治男
1985 年26 巻5 号 p.
674
発行日: 1985/05/25
公開日: 2009/05/26
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松田 裕子, 松本 正廣, 水嶋 宣章, 玉腰 勝敏, 石井 英正, 中島 猛行, 森岡 明, 金井 弘一, 吉見 輝也
1985 年26 巻5 号 p.
675
発行日: 1985/05/25
公開日: 2009/05/26
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B型慢性肝炎症例での組込み様式について
小方 則夫, 吉川 明, 渡辺 俊明, 小島 豊雄, 上村 朝輝, 市田 文弘, 芦田 雅彦, 浜田 忠弥, 柴崎 浩一
1985 年26 巻5 号 p.
676
発行日: 1985/05/25
公開日: 2009/05/26
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フリー
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正田 純一, 松崎 靖司, 三田村 圭二, 大菅 俊明, 伊藤 正大, 石橋 正兀, 宮崎 浩
1985 年26 巻5 号 p.
677
発行日: 1985/05/25
公開日: 2009/05/26
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石井 秀夫, 西福 幸二, 浪久 利彦
1985 年26 巻5 号 p.
678
発行日: 1985/05/25
公開日: 2009/05/26
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1985 年26 巻5 号 p.
679-688
発行日: 1985/05/25
公開日: 2009/05/26
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