肝臓
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23 巻, 7 号
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  • 荒木 清典
    1982 年 23 巻 7 号 p. 707-714
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    血清C1q蛋白量は,肝疾患においては正常人より高値を示す症例が多く,CH50が高値である急性肝炎や肝細胞癌例,および慢性活動性肝炎や肝硬変で高値を示した.慢性活動性肝炎一症例の経時的観察では,急性増悪の極期の前後に,血清C1q蛋白量が軽度低下した.慢性非活動性肝炎例では,血清C1q蛋白量が高値を示す症例が一例もなかった.血清C1q蛋白量が高値を示す症例で,同時に,CH50やC3,C3 activator蛋白量のうちのいずれかが低値を示す症例は,慢性活動性肝炎ないし肝硬変であった.
  • 与芝 真, 堺 隆弘, 三條 健昌, 井上 昇, 山崎 善弥, 藤原 研司, 岡田 吉博, 三代 俊治, 鳥居 正男, 高築 勝義, 林 茂 ...
    1982 年 23 巻 7 号 p. 715-721
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    劇症肝炎の病態,特に重症度について知見を得る目的で,過去10年間に経験した劇症肝炎生存例12例の臨床的特長を,その間の死亡例25例のそれと比較検討した.
    生存例は死亡例と比較して,年齢,性別,成因,昏睡度,プロトロンビン時間,総ビリルビン値,トランスアミナーゼ値に差は認められなかったが,発症から昏睡発現までの期間が短く,血中総アミノ酸量が低値を示した.また,血漿潅流,血漿交換施行例では,同程度の昏睡であっても,生存例は死亡例より治療後の昏睡の回復が速かであった.以上より,劇症肝炎の本質的重症度の把握には,昏睡度など従来からの指標だけでは不十分であり,血中総アミノ酸量などの指標を加え,より厳密に行うべきと考えられる.
    昏睡回復後の肝組織像では,半数に慢性肝炎の像が見出され,今後,可及的にpair-biopsy, virus-markerの検索を行い,その成立機序を明らかにする必要が感じられた.
  • 増田 和彦, 藤本 浩史, 林 正, 小松 まち子, 西内 健, 片山 京子, 藤原 玲子, 井上 秀夫, 原田 武彦, 加藤 和市, 真弓 ...
    1982 年 23 巻 7 号 p. 722-730
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    昭和54年11月から55年4月にかけて徳島県南部においてHA抗体の検索により確診しえたA型肝炎の流行を見た.観察しえたのは49例で,うち20~50歳台の成人が大部分を占め,また女性に比し男性が約3倍の発症頻度を示した.家族内発症は6家系でみられた.感染経路の詳細を明らかにし得なかったが水系感染は否定された.
    高熱,嘔吐,頭痛は顕著かつ高頻度に認められ,また絶対的リンパ球増加が6例,5%以上の異型リンパ球の出現が10例に認められた.IgM値は1例を除き高値を示し,IgG, IgAの著増例もまれに存在した.
    GOT, GPTの正常化に要した平均日数はそれぞれ55.4日,64日であり,100日以上を要したものは6例であった.その中でアルコール常飲者が3例あり,うち2例が糖尿病を合併しともに初期に胆汁うっ滞型を呈し,1例は胆汁うっ滞の軽減後GOT, GPTの上昇を認め,他は7ヵ月の経過で死亡した.
  • 袖山 健
    1982 年 23 巻 7 号 p. 731-741
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    2年間以上経過観察しかつ組織学的検索を行いえたHBs抗原陽性の慢性肝炎70例につきHBe抗原,anti-HBeを経時的に検索した.その結果,経過観察開始時HBe抗原が検出された43例中27例ではHBe抗原が持続し,16例ではHBe抗原が消失,うち9例ではHBe抗原からanti-HBeへのseroconversionを認めた.当初anti-HBeが検出された23例中21例ではanti-HBeが持続し,2例ではanti-HBeが消失,うち1例ではHBe抗原の出現を認めた.肝組織像の推移を検索しえたHBe抗原持続群の18例中12例が組織学的に増悪を示し,うち7例が肝硬変へ進展した.これに対しanti-HBe持続群の12例では1例が組織学的に増悪したが肝硬変への進展は認めなかった.seroconversion群9例では,相対的に女性が多く比較的若年者が多く,組織学的に小葉構造の歪みの少ない段階の症例が多く,それらの症例では出現したanti-HBeは高力価で持続したが,一部の症例では出現したanti-HBeが低力価でしかも出没して検出された.
  • 荒木 清典
    1982 年 23 巻 7 号 p. 742-749
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    Clq binding testを用いて各種肝疾患における血中免疫複合物〔circulating immune complex (CIC)〕を検出し,その性状を検討した.HBs抗原陽性無症候性キャリアではCICレベルはほぼ正常であったが,慢性活動性肝炎や肝硬変においては高値を示した.急性肝炎,慢性活動性肝炎や劇症肝炎患者のCICは19s~22sの領域と7s~19sの領域の二つの領域にそれぞれ検出された.慢性活動性肝疾患の急性増悪においてはCICはSGPTのピークの1~5週間前および後にピークに達した.一例のHBs抗原陽性慢性活動性肝炎患者のCICは酸性緩衝液中で解離され,SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動にて5~6の分画に分けられ,そのうちの2分画はHBs抗原とIgGであった.この症例の急性増悪においては,どの時期においてもCICの分画パターンに変化がみられず,HBs抗原は常にCICを構成する抗原の一つであることが明らかになった.
  • 横須賀 収, 小俣 政男, 伊藤 よしみ, 内海 勝夫, 森 順子, 奥田 邦雄
    1982 年 23 巻 7 号 p. 750-759
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    HBsAg陽性慢性肝疾患患者12名にグリチルリチン製剤(SNMC)大量(100ml以上4週間,漸減4週間)を施行.19名の非治療対照群と一般生化学,組織学的比較検討を行ない,その有意の改善を認めた.又治療群において,各種HBV因子(HBsAg抗原力価,DNA-P活性血中Dane粒子数,肝内HBsAg, HBcAg)の詳細な検討を行なった.DNA-P活性は投薬前平均284cpm,投薬中6週目の平均は602cpmでその漸増傾向を示した.又HBsAg価も同様の上昇を示した.血中Dane粒子も肝内HBcAgも多くは不変或いは増加を示した.HBeAg陽性9名中5名がRIA法にて陰性化或いはanti-HBeの発現をみたが投薬中変動を示したものは1名で他の4例は投薬中止後のリバウンド時にその変動を示した.又対照群においても9例中5例にHBeAgの陰性化が起こった.HBV関連因子に関してはSNMCは大量療法においては直接効果よりもむしろステロイド剤類似の作用がより強く現われるものと考えられる.
  • 超微形態像および炎症細胞とのinteractionについて
    小松 真史, 戸堀 文雄, 八木沢 仁, 井上 義朗, 向島 偕, 荒川 弘道, 井上 修一, 増田 久之, 柿崎 善明
    1982 年 23 巻 7 号 p. 760-768
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    Mallory body (MB)を認めたアルコール性肝炎7例,肝細胞癌1例を対象に,MBの超微形態像および炎症細胞とのinteractionを検討した.MBはYokooらの提唱による3型に分類し,肝実質細胞と胆管上皮細胞にみられたが,Kupffer細胞にはこれら3型とは若干異なる2種のfilamentous structureを認めた.MBの近傍や内部には種々の細胞内小器官がみられた.MBとこれら細胞内小器官との明らかな移行像は観察しえなかったが,intermediate filamentはしばしばMB filamentと混在し,また非常に小さいMBは100A前後のfilamentで構成され,intermediate filamentと思われた.MBの存在する肝細胞へ浸潤している炎症細胞は好中球,単球,リンパ球,Kupffer細胞等で,特にリンパ球の反応は,Sandersonがlymphocyte cytotoxicityを検討したときに観察した型式に類似し,最近はアルコール性肝炎の発症,進展に免疫的機序の関与が指摘され,in vivoでのこの観察はこの機序を推論する上で意義がある.
  • 慢性肝疾患肝局所in vivo酸素消費に関する検討
    林 紀夫, 佐藤 信紘, 斉藤 光則, 岸田 隆, 笠原 彰紀, 目連 晴哉, 吉原 治正, 房 本英之, 鎌田 武信, 阿部 裕
    1982 年 23 巻 7 号 p. 769-773
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    腹腔鏡施行時に慢性肝疾患患者の肝局所in vivo酸素消費量を反射スペクトル分析法で測定するとともに,各種肝機能および生検肝組織のin vitro酸素消費との関係について検討を行なった.
    慢性肝疾患ではスペクトルより計測された肝血流の減少に伴なって肝局所酸素消費量は減少した.また,肝局所酸素消費量は血清アルブミン値との間には正の相関関係,ICG 15分停滞率との間には負の相関関係が認められた.
    肝局所in vivo酸素消費量とin vitro酸素消費量の間には相関関係を認めず,in vivo酸素消費量の低下は,肝細胞自身の呼吸活性の低下によるよりは,主として肝血流量の低下による酸素供給低下の結果,二次的に引き起こされたものと考えられた.
  • 花岡 明雄
    1982 年 23 巻 7 号 p. 774-781
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    従来から胆道感染の発生機序については,主として腸管からの上行性感染によっておこると考えられているが,一方,門脈を介して肝臓に到達した細菌が,下行性に感染する可能性も考慮しなければならない.しかし,この問題については,まだ実験的に証明しようという業績はあまりない.そこで著者は,門脈系を介する下行性感染がおこる可能性を明らかにする目的で,E. coliの生食水浮遊液をWister系ラットの門脈内に注入し,この細菌の動向を追求した.胆汁中の菌の検出,肝胆道系の光顕的,電顕的検索を行った実験成績から,充分な菌数が門脈内に入れば約7時間後には胆汁中に細菌を証明し得ること,光顕ならびに電顕的に菌は,類洞内,Kupffer星細胞内,Disse腔内,肝細胞質内およびmicro-abscess内に認められるが,菌が細胆管から胆汁に出現する経路は,肝細胞が破壊されて生じたmicro-abscessを介しておこるものと推察され,下行性の胆道感染のおこる可能性のあることを確認した.
  • 中野 哲, 熊田 卓, 太田 博郷, 綿引 元, 武田 功, 杉山 恵一
    1982 年 23 巻 7 号 p. 782-791
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    細小肝細胞癌の18例について臨床的に検討を加えた.症状,肝機能検査成績で特徴的なものはみられなかった.血中AFP, ferritinの陽性率は夫々,50%, 39%で,HBsAg陽性群では前者が,アルコール多飲群では後者が陽性を呈する率が高かった.両者の組合せで陽性率は83%に上昇した.AFPの異常高値が診断のきっかけとなった率が多かったが,最も小さいものはUSにより発見された.CTでは,均一の円~楕円形のlow density areaとしてみられることが多かった.US像は小さいもの程低エコー,大きくなるにつれて高エコーのものが混在してくる率が多かった.血管撮影ではtumor stainが83%の高率にみられた.
    CT, US,血管撮影,肝シンチグラムの診断能は夫々,89%, 82%, 88%, 88%であった.本症の組織分化度は高分化型が70%をしめたが,発育速度には差がみられた.本症に肝硬変が89%に合併し,死因は肝不全が多かった.
  • 和田 達郎
    1982 年 23 巻 7 号 p. 792-801
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌(HCC)にみられる高コレステロール血症の機序を明らかにする目的で,HCCを,血清総コレステロール値(T. chol.)が230mg/dl以上の高値の群(Group I)10例と低値の群(Group II)34例に分け,血清中各脂質,血清及び胆汁中胆汁酸濃度を測定し,肝硬変症(LC)30例と対比した.その結果,(1)HCCではLCに比し,T. chol.が有意に高値を示し,血清スクアレン値は,Group Iで高値であり,Group I>Group II>LCの傾向にあった.また,HCCでは,T. chol.と血清スクアレン値は正の相関を示した.(2)血清及び胆汁中総胆汁酸濃度は,3者で有意差を認めなかった.(3)HDL-コレステロールは,Group I<Group II<LCの傾向にあり,HCCではT. chol.とHDL-コレステロールは負の相関を認めた.以上の結果より,HCCにおける高コレステロール血症の機序として,肝でのコレステロール合成量の増加及びコレステロールから胆汁酸への異化障害の関与が示唆された.
  • 微細構造を中心に
    市田 隆文, 島田 一彦, 小島 隆, 井上 恭一, 佐々木 博, 龍村 俊樹, 山本 恵一
    1982 年 23 巻 7 号 p. 802-810
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    特に誘因と考えられる既往歴,職業歴,汚染,曝露歴を持たない50歳男性にみられた肝悪性血管内皮腫の1例を経験した.自覚症状に乏しく,血液生化学検査は正常範囲内であり,総合画像診断によりはじめて肝左葉の腫瘍と判明した.血管造影ではHypovascularな腫瘍であったが,腹腔鏡ならびに針生検により悪性血管内皮腫と診断した.腫瘍を含む肝左葉切除を施行し,切除肝は固く,割面では乳白色の充実性の腫瘍であった.電顕的観察では,腫瘍細胞は不規則にくびれ,クロマチンに富む核を有し,細胞質は小器官に乏しかった.細胞相互間の接合は密であるが,tight junctionは少なかった.基底膜の形成は多数認められたが,管腔と基底膜および腫瘍細胞との位置関係は複雑であり,一部に上皮細胞や間葉系細胞の存在も示唆され,全体的に未熟な腫瘍細胞群であった.本例は切除後良好な経過をたどり,1年後の現在再発の徴候は認めていない.
  • 黒田 博之, 今成 晴代, 田島 純子, 浪久 利彦
    1982 年 23 巻 7 号 p. 811
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 宇土 一道, 広瀬 洋, 亀谷 正明, 清水 勝, 大山 正巳, 小島 峯雄, 津田 文男
    1982 年 23 巻 7 号 p. 812
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 日野 寿子, 谷口 嘉康, 恩地 森一, 加藤 寿一, 太田 康幸
    1982 年 23 巻 7 号 p. 813
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 慢性肝疾患々者の単球培養上清中のInterleukin 1活性
    坂本 茂, 古賀 俊逸, 井林 博
    1982 年 23 巻 7 号 p. 814
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 鎌田 武信, 佐藤 信紘, 岸田 隆, 目連 晴哉, 阿部 裕
    1982 年 23 巻 7 号 p. 815
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 鵜沼 直雄, 寺林 秀隆, 川辺 隆夫, 田川 一海, 大森 友幸, 鈴木 征子, 津田 文男, 吉沢 浩司
    1982 年 23 巻 7 号 p. 816
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 一般演題
    海藤 勇
    1982 年 23 巻 7 号 p. 817-853
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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