肝臓
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40 巻, 5 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 研究の進歩と将来をみすえて
    白鳥 康史
    1999 年 40 巻 5 号 p. 271-287
    発行日: 1999/05/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
  • 山岡 義生, 有井 滋樹, 沖田 極, 神代 正道, 小林 健一, 谷川 久一, 中沼 安二, 二川 俊二, 幕内 雅敏, 山田 龍作
    1999 年 40 巻 5 号 p. 288-300
    発行日: 1999/05/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    全国825施設の協力により, 1994年1月1日より1995年12月31日までの2年間の原発性肝癌症例16,539例 (臨床診断/組織診断の判明16,476例) が日本肝癌研究会に登録された. 約96%は肝細胞癌, 約3%が胆管細胞癌であった. また, 追跡症例は13,465例であった. 本報告においては, これら新規症例を170項目に及ぶ疫学, 臨床病理学的事項, 診断, 治療について解析し, その主たる点について述べた. 特別集計としては, 追跡症例を含めて, 肝細胞癌, 胆管細胞癌, 混合型肝癌の治療法別生存率, 背景因子別生存率を算出した.
  • 駒場 正雄, 田中 誠二, 鴨下 宏海, 戸島 恭一郎, 植松 幹雄
    1999 年 40 巻 5 号 p. 301-309
    発行日: 1999/05/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    Epidermal growth factor (EGF) の肝ProstaglandinE2 (PGE2) および肝血流に及ぼす影響について, 健常ラットを用いてin vivoにて検討した. その結果, 肝PGE2量と肝血流量はEGFによって増加し, 経時的にも平行した動きを示していた. また, 肝PGE2量と肝血流量は極めて高い相関を示しており, 肝血流の増加についてPGE2の関与が示唆された. しかし, EGFによる肝血流の増加が肝PGE2量の増加によるものかどうかについては今後の課題である.
    次に, EGFの肝障害に対する効果を検討するため, D-galactosamine (D-gal) 肝障害ラットを作製し, EGFの肝障害および肝組織血流量に及ぼす影響について検討した. 生理的食塩水 (生食) 投与群では, 肝血流量はALT上昇前に低下していた. 一方, EGF投与群では肝組織血流量は生食投与群と比較して有意に高レベルであり, また無処置群と比較しても有意に高レベルであった. そして, 同時に測定した肝PGE2量も著明に増加していた. また, D-gal投与後24時間, 48時間の時点における肝障害はEGF投与群で生食投与群と比較して有意に軽減していた. このことから, EGFの肝障害軽減作用の一因として, ALT上昇前の肝血流量, 肝PGE2の増加が考えられた.
  • 山根 道雄, 田中 雄二郎, 大野 智之, 小橋 高宏, 田尻 和男, 山岡 一昭, 高元 俊彦, 大岡 真也, 佐藤 千史
    1999 年 40 巻 5 号 p. 310-315
    発行日: 1999/05/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    致死量をこえる黄リンを服用し, 肝機能障害とビタミンK不応性の凝固障害をきたしながら, N-acetylcysteine (以下NAC) の早期経口投与により救命しえた1例を経験した. 症例は56歳, 女性. 自殺目的にて“猫イラズ”1/2本以上 (黄リン800mg相当以上) をジュースに溶解し服用約2時間後, 嘔吐を主訴に受診した. 服薬状況より致死的と判断し, 同意を得たうえで服用9時間30分後にNACを胃管より投与した. 投与量は急性アセトアミノフェン中毒に準じた. 凝固因子はビタミンK投与にかかわらず, 第4病日にはPT43%, トロンボテスト18%まで低下した. GPTは第5病日に 191IU/lとピークに達したが, 黄疸は認めなかった. 回復期の肝生検では, 肝細胞内のリポフスチンの増加やクッパー細胞の腫大等を認め, 電顕上はrERの減少を認めた. 抗酸化剤のNACには内因性NOの産生・活性化作用が知られており, 黄リンによる急性肝不全を軽減しうる可能性が示唆された.
  • 松永 高志, 中村 東樹, 木下 盛敏, 石橋 大海
    1999 年 40 巻 5 号 p. 316-321
    発行日: 1999/05/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    成人期にB型肝炎ウィルスの初感染とCytomegalovirus (CMV) の2重感染をきたしHBVキャリア化した症例を経験した. 症例は18歳女性. 1997年6月に婚約者であるHBVキャリア男性との性交渉があった. 同年7月にトランスアミナーゼ・LDHの高値を指摘され入院となった. 末梢血に異型リンパ球を36%認め, CMV IgM抗体, HBs抗原が共に陽性で, HBcIgM抗体のcut off indexは3.7であったことからCMVおよびHBVの初感染による2重感染と診断した. トランスアミナーゼ・LDHは2峰性のピークを示して正常化したが, HBV DNA量は7カ月の観察期間増加した. HBVキャリア男性と女性患者のHBs抗原サブタイプはいずれもadrであり, precore-core領域におけるHBVDNAの塩基配列は一致した. CMVによる免疫抑制がキャリア化の一因として推測された.
  • 内田 靖, 雫 稔弘, 山本 俊, 赤木 収二, 渡辺 誠, 木下 芳一
    1999 年 40 巻 5 号 p. 322-326
    発行日: 1999/05/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    症例は74歳男性, 無職. 平成6年11月23日, 発熱と肝機能異常にて当院内科に入院. 原因は特定されず約2週間後に自然に解熱し, 退院となった. 平成7年3月中旬から再び同症状が出現したため, 4月5日再入院. 38℃台の発熱が持続したが, 検査所見ではCRP強陽性, 中等度の肝機能異常を認める以外に著変なく, 肝炎ウイルスおよび他のウイルスマーカーも全て陰性であった. この際初めて, 平成6年9月から初回入院迄, および退院後から再入院迄, 健康食品であるクロレラ製剤の服用が明らかとなった. そのため同製剤の服用中止にて経過観察し, 解熱および肝機能の改善が認められた. 同製剤に対するリンパ球刺激試験は陽性であり, 臨床経過から偶然の再投与による肝機能障害と考えられた. 以上から, クロレラ製剤による薬物性肝障害と診断した. 解熱後施行した腹腔鏡検査所見および肝組織像も薬物性肝障害に矛盾しないものであった.
  • 尾形 靖一郎, 小池 淳樹, 中沢 裕貴, 相田 芳夫, 前山 史朗, 打越 敏之
    1999 年 40 巻 5 号 p. 327-332
    発行日: 1999/05/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    症例は60歳, 女性. 近医で原発性胆汁性肝硬変 (PBC) と診断され当院へ紹介. 腹腔鏡下肝生検を施行し, Scheuer's stageIIのPBCと診断され, ウルソデオキシコール酸を投与された. 2年後, 経過観察のために施行された腹部超音波検査で, 膵頭部癌を発見され再入院となった. 術前に施行された上部消化管内視鏡, 腹部超音波, 血管造影で胃静脈瘤, 脾腫, 門脈側副血行路などの門脈圧充進症 (PH) の所見が認められた. 膵頭部癌に対する手術時, 肝生検も施行され, PBCの病期は前回と同様Scheuer's stageIIであった. しかし, 2回目の生検肝組織には, 生検肝組織全体に特発性門脈圧亢進症に類似する所見が新たに加わっていた. さらに, 門脈域周辺の肝実質 (zone1) に肝細胞索の肥厚と類洞の狭小化, 肝細胞の小型化がみられ, これは肝実質の再生性変化を示す所見であると考えられた.
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