Epidermal growth factor (EGF) の肝ProstaglandinE
2 (PGE
2) および肝血流に及ぼす影響について, 健常ラットを用いてin vivoにて検討した. その結果, 肝PGE
2量と肝血流量はEGFによって増加し, 経時的にも平行した動きを示していた. また, 肝PGE
2量と肝血流量は極めて高い相関を示しており, 肝血流の増加についてPGE
2の関与が示唆された. しかし, EGFによる肝血流の増加が肝PGE
2量の増加によるものかどうかについては今後の課題である.
次に, EGFの肝障害に対する効果を検討するため, D-galactosamine (D-gal) 肝障害ラットを作製し, EGFの肝障害および肝組織血流量に及ぼす影響について検討した. 生理的食塩水 (生食) 投与群では, 肝血流量はALT上昇前に低下していた. 一方, EGF投与群では肝組織血流量は生食投与群と比較して有意に高レベルであり, また無処置群と比較しても有意に高レベルであった. そして, 同時に測定した肝PGE
2量も著明に増加していた. また, D-gal投与後24時間, 48時間の時点における肝障害はEGF投与群で生食投与群と比較して有意に軽減していた. このことから, EGFの肝障害軽減作用の一因として, ALT上昇前の肝血流量, 肝PGE
2の増加が考えられた.
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