PGE1の肝類洞血流への影響を検討するとともに,肝類洞内皮細胞のCa
++-ATPase活性の局在を超微形態学的に解析した.Wistar系ラットをsodium pentobarbital麻酔下で大腿動脈,大腿静賑,腸間膜静脈枝及び総胆管にカテーテルを挿入し,腸間膜静脈枝カテーテルよりPGE1 50ng/min/100.b.wをinfusion pumpを用いて持続的に注入し,全身動静脈圧,門脈圧をamplifire法により,肝類洞血流量はlaser Doppler法により経時的に測定した.肝類洞血流への影響は類洞内皮細胞を肝を灌流固定し,走査型電子顕微鏡で観察するとともに類洞内皮細胞のCa
++-ATPase活性を透過型電子顕微鏡を用いて解析した.ラット腸間膜静脈枝カテーテルからPGE1を持続注入した結果,肝類洞血流の増加した.類洞内皮細胞の超微形態学的観察ではPGE
1を注入群では,sieve plate小孔が拡張し,Kupffer細胞が内皮細胞上に多数の偽足状突起を伸展する像が得られた.類洞内皮細胞形質膜Ca
++-ATPase活性は対照群と比べ明らかに増加した.よって,PGE
1による肝類洞血流促進機序として肝類洞内皮細胞Ca
++-ATPaseを介するアクチン系への弛緩作用が想定された.
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