Vitamin Dは,肝で25位の水酸化をうけ,腎で1, 25-(OH)
2-Dとなり活性型となる.肝障害時におけるvitamin D代謝異常を血清Ca, P値,% TRP,および骨レ線撮影より,Looserzone,指骨の骨膜下吸収像の有無の面から検討した.対象は,49例の肝疾患患者で,慢性肝炎25例(男21例,女4例),年齢は23歳-68歳,肝硬変患者は,2例の原発性胆汁うっ滞性肝硬変を含む18例(男13例,女5例)で,年齢は41歳-75歳,罹病期間は2年から13年におよんだ.肝癌,肝外閉塞性黄疸,肝内胆汁うっ滞の6例についても検討した.血清Caは,肝硬変例18例中15例(83%)に,肝癌3例中1例に低値がみられたが,補正Ca値は全例において正常であった.血清P値は,肝硬変の1例が低値を示したのみであった.Looser zone,骨膜下吸収像は,全例に認められなかった.以上より,肝は代償能が極めて大きく,Ca, P代謝および骨に明らかな異常をきたさないと思われた.
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