肝臓
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20 巻, 1 号
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  • 伊藤 慈秀, 水島 睦枝, 西原 幸一, 村尾 烈, 長嶺 由啓
    1979 年 20 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝ペリオーシス13剖検例を臨床病理学的・形態学的に検索した.全剖検1325例中の発生率は約1.0%. 13例中8例は蛋白同化ホルモン療法(以下ホ)既往者で,母集団中25%の発生率を示し,また他の5例はホ非既往者で,母集団中約0.4%の発生率を示した.この8症例の蛋白同化ホルモン総投与量・期間は,対照例に比し,大なる傾向があった.形態学的に,ホ既往の有無による基本的差異はみられなかったが,既往例に病巣内血栓(4/8),非既往例に脾ペリオーシス合併(5/5)が好発した.肉眼的には,び漫散布型,限局型,うっ血型,非特徴型に分けられ,うっ血型が多かった(7/13).組織学的に,血液貯溜腔は周囲類洞や中心静脈へ直接連続し,その内腔面には一般に内皮被覆がみられた.この内皮被覆は走査電顕的にも確認された.肝壊死巣は全例になかった.以上,本症は類洞・中心静脈の限局性拡張によるもので,ホによってその発生が促進されるものと考えられた.
  • 森田 積二, 松岡 功, 藤井 一利, 佐々木 尚之, 北原 桂子, 伊藤 きぬえ, 下山 晶士, 真柴 裕人, 井庭 信幸, 古川 逸夫
    1979 年 20 巻 1 号 p. 12-16
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    北アフリカ地域(エチオピア,スーダン,エジプト,リビア,チュニジア,アルジェリア,モロッコ,ラスパルマス)に3カ月以上在留中の在留邦人54名につき,HBs抗原,抗体の検査を行なった.HBs抗原,抗体の測定はRadioimmunoassay法にこよった.HBs抗原は54名中1名(1.85%)が陽性であり,HBs抗体は54名中8名(14.81%)が陽性であった.この頻度はHBs抗原,抗体ともに日本における陽性頻度と有意な差は認められなかった.現在北アフリカに在留中で肝炎発症中の2名はHBs抗原,抗体ともに陰性であった.成人が北アフリカ地域に在留しても,HBs抗原,抗体の保有率は日本にいる時と変らぬと推定した.
  • 低補体活性例の肝組織像
    吉田 浩, 西 貞隆, 矢吹 孝志, 正木 盛夫, 森藤 隆夫, 粕川 礼司, 南 一守, 国分 正三
    1979 年 20 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝炎多発のみられた“平田村”T地区と対照I地区住民の低補体活性例は,前者が11.2%,後者が4.7%で,1年後のT地区住民の再検査では8.0%に見出された.2度のスクリーニングテストにおいて,寒天内溶血反応法で溶血輪直径が1度以上,8.0mm(10CH 50単位相当)以下の著明な低値を示したT地区住民例のなかの10例について肝の組織像の検討を行った.6例はスクリーニング時および入院時の肝機能検査で異常は認められなかったが,その中の5例は非特異性反応性肝炎(NSRH),1例が非特異性反応であった.肝機能検査で異常が指摘された4例では,2例がNSRH,1例が急性肝炎疑,残る1例がWire mesh fibrosisであった.以上の成績より,SLEや腎炎例以外で,血清補体活性の低値を示した例では,肝機能異常が指摘されなくても肝には何らかの形態学的異常が存在することを示唆している.さらに,血清補体活性の測定は肝疾患診断の補助手段のひとつとして有用と考えられた.
  • 東 輝一朗
    1979 年 20 巻 1 号 p. 23-27
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    Vitamin Dは,肝で25位の水酸化をうけ,腎で1, 25-(OH)2-Dとなり活性型となる.肝障害時におけるvitamin D代謝異常を血清Ca, P値,% TRP,および骨レ線撮影より,Looserzone,指骨の骨膜下吸収像の有無の面から検討した.対象は,49例の肝疾患患者で,慢性肝炎25例(男21例,女4例),年齢は23歳-68歳,肝硬変患者は,2例の原発性胆汁うっ滞性肝硬変を含む18例(男13例,女5例)で,年齢は41歳-75歳,罹病期間は2年から13年におよんだ.肝癌,肝外閉塞性黄疸,肝内胆汁うっ滞の6例についても検討した.血清Caは,肝硬変例18例中15例(83%)に,肝癌3例中1例に低値がみられたが,補正Ca値は全例において正常であった.血清P値は,肝硬変の1例が低値を示したのみであった.Looser zone,骨膜下吸収像は,全例に認められなかった.以上より,肝は代償能が極めて大きく,Ca, P代謝および骨に明らかな異常をきたさないと思われた.
  • 血清アミノ酸濃度の不均衡是正を中心にして
    渡辺 明治, 東 俊宏, 林 正作, 小畑 尚宏, 長島 秀夫
    1979 年 20 巻 1 号 p. 28-42
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    劇症,亜急性肝炎,肝硬変および原発性肝癌などの重症肝疾患12例に対して,栄養管理と肝性脳症の予防と治療を目的として,特異なアミノ酸組成をもつHep-OUとFischer液を用いた中心静脈栄養輸液をおこない,その臨床効果を検討した.昏睡から覚醒した劇症肝炎の2例では,頻回の吸着・透析後にみられる血清アミノグラムの不均衡の是正と蛋白異化の抑制に有効で,亜急性肝炎例には,脳波所見の改善と意識レベルを維持させた.また肝硬変脳症例に対して,Hep-OUが精神神経症状や脳波所見を改善し,その後はFischer液を主体にして栄養維持と脳症予防をおこなった.とくに分枝鎖アミノ酸濃度の著減する肝性脳症慢性型の治療には,Hep-OUの効果が顕著であった.さらに原発性肝癌や肝硬変例の栄養維持のために,食餌蛋白の制限,上部消化管出血後や腹水貯留のための摂食困難な状況下では,早い時期からFischer液を用いての積極的な栄養輸液をおこなえば,生じた肝性脳症や脳波異常の是正と予防にもその臨床効果を期待できる.
  • 平嶋 毅, 原 輝彦, 武藤 護彦, 白戸 寿男, 桜庭 庸悦, 阮 逸功
    1979 年 20 巻 1 号 p. 43-48
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    ICG負荷試験の15分停滞率R15 ICGを指標として門脈圧亢進症における食道静脈瘤症例に経腹的食道粘膜離断術を施行したものの術前後の諸検査と予後との関連性について検討した.R15 ICGはアルブミン,WHVP,腹水などとよく相関を示し,術後遠隔時に至るまでの推移をみると全体として,横ばい,または徐々に上昇する傾向を示し,肝障害の程度や推移を知る指標となると思われた.さらにR15 ICGは術後の予後をよく示しており手術適応の指標の1つとなり得るものと思われた.
  • のエリスリトールクリアランスに及ぼす影響
    木谷 健一, 金井 節子
    1979 年 20 巻 1 号 p. 49-52
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    ブコロームにより起される利胆作用の解剖学的位置を推定するため,guinea pigを用いブコローム投与前後の胆汁流量および,エリスリトールクリアランスにより測定される毛細胆管胆汁流量の変化を検討した.ペントバルビタール麻酔下の胆汁流量はブコローム投与(20mg/100g, ip)前では24.00±2.80μl/min/100g,投与後10分から20分の間では41.66±5.03μl/min/100gと増加した.エリスリトールクリアランスは,投与前14.04±1.41μl/min/100g,投与後27.63±4.24μl/min/100gと著増し,胆汁流量増加の殆んど全てを説明し得た.ブコロームのguinea Pigにおける利胆作用は,犬,ラットに報告された如く,毛細胆管起源性の利胆と考えられる.
  • 鎌田 悌輔, 畑山 充, 小林 絢三, 山本 祐夫
    1979 年 20 巻 1 号 p. 53-62
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    我々が経験した症例を中心にして,第7回門脈外科研究会で提案された“食道静脈瘤の内視鏡所見判定基準”を消化管出血の察知および治療法の決定という面から臨床的意義を検討した結果は次の通りであった.1.個々の症例に対する記載表に関しては,樹枝状血管やびまん性発赤の有無と性状の分析の他に食道炎や胃のびらんや潰瘍にも注意して附記すれぼ十分消化管出血の察知は可能であった.2. Stage分類に関しては,a.必らずしも単なる消化管出血の頻度とは相関しなかった.b.F2以上の青色静脈瘤とStage IIIとした血腫様の所見を有するものが手術適応であり,それ以外のものは内科的にもcontrolが可能であるという治療法の決定には非常に有用であった.c. Stage IVは“びらん”治癒後はStage I,II,IIIに変化しうるものであり,Stage I,II,IIIと同列に表現するよりも,びらんを附記事項とした方がより適切であろうと考えられた.
  • Hepatitis-B surface Antigen Carrierの非硬変肝に発生したα-Fetoprotein陰性原発性肝癌の1剖検例を中心として
    佐藤 辰夫, 迎 英明, 高原 耕
    1979 年 20 巻 1 号 p. 63-69
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    日赤長崎原爆病院における過去19年間の原発性肝癌剖検例111例中,肝細胞癌は98例で,肝硬変を伴う原発性肝癌は,98例であった.肝硬変を伴わない肝細胞癌9例につきAldehydeFuchsin法でHepatitis-B surface Antigen (HBs-Ag)の検索を試みた所,慢性肝炎活動型1例中1例,非活動型6例中0,著変のない症例2例中1例の非癌部に,HBs-Agが検出された.血清HBs-Ag陽性で非癌部に著変を見なかった症例は,56歳,男性で,肺結核の治療中,肝細胞癌の発生をみたもので,血清α-Fetoprotein (α-FP)は20mμg/ml以下であった.腫瘍は,被膜に被われ,trabecullar patternを示し,EdmondsonのII型で,多核巨細胞形成,胆汁産生や,癌細胞内に“Hyaline-like material”が見られた.非癌部には,線維増生や,認むべき炎症細胞の浸潤等の慢性炎症性疾患は見られなかった.HBウイルスの発癌性等に示唆を与える本症例を中心に報告する.
  • 磯村 正, 荒川 正博, 和田 達郎, 下川 泰
    1979 年 20 巻 1 号 p. 70-75
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    臨床的に発症後急激な経過で死亡し,組織学的に一部に定型的な肝細胞癌の組織像を呈し,原発巣の大部分および転移巣が肉腫様の形態を呈していた一例を剖検し得たので,若干の考察を加えて報告する.症例は79歳の男性,心窩部痛,食思不振,全身倦怠感のため入院.入院時,肝シンチグラムにて,左葉に巨大なfilling defectを認める.しかし,肝硬変の所見はなく,AFP陰性,HBsAg陰性であり,転移性肝癌との鑑別が困難で,諸検査を施行するも原発巣不明のまま発症後3カ月の経過で死亡した.剖検にて,肝左葉に一致して巨大な腫瘍があり,右葉にも小結節状腫瘤を認め,転移は広汎に認められた.組織学的に非腫瘍部は,肝線維症,肝硬変の像はみられず,腫瘍の一部では定型的な肝細胞癌の像がみられ,大部分は中心に広汎な壊死を伴う肉腫様の腫瘍細胞の増殖があり,本症例をepithelial elementが肉腫様に変化した肝細胞癌と考えた.
  • 村田 清高, 小野 猛
    1979 年 20 巻 1 号 p. 76
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 金戸 昭, 酒見 泰介, 金子 寿興, 沢 靖彦, 長崎 嘉和, 古賀 暉人, 久保 保彦, 谷川 久一
    1979 年 20 巻 1 号 p. 77
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 近藤 忠亮, 米井 二郎, 石川 泰祐
    1979 年 20 巻 1 号 p. 78
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 溝口 靖紘, 志波 孝, 東森 俊博, 北川 久能, 大西 文明, 門奈 丈之, 山本 祐夫, 大谷 周造, 森沢 成司
    1979 年 20 巻 1 号 p. 79
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 杉浦 克明, 蓮村 靖, 武内 重五郎, 村田 英雄, 矢田 純一
    1979 年 20 巻 1 号 p. 80
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 志波 孝, 溝口 靖紘, 大西 文明, 東森 俊博, 北川 久能, 門奈 丈之, 山本 祐夫, 大谷 周造, 森沢 成司
    1979 年 20 巻 1 号 p. 81
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 20 巻 1 号 p. 82-107
    発行日: 1979/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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