肝細胞癌の血流動態と病態には密接な関係があることを中心に述べた. 特に結節への流入動脈, 結節内血流を検出することはもちろんのこと, 流入門脈血流や腫瘍流出血流に注目することも極めて重要であり, 超音波血流画像はこの点において優れた手法となりつつある. さらに, 最近進歩の著しい他の血流画像 (CTA, CTAPなど) と比較しても超音波血流画像の進歩は著しく, 例えばUSangiographyを行うことにより多くの点で有用な情報を提供してくれる. また, これら侵襲的血流画像をgold standardとして発展してきた非侵襲的超音波血流画像も現在進行形で急速に発展しつつあり, 侵襲的なUSangiographyと同等の診断能を提供しつつある. 将来的には肝細胞癌の診断, 治療, 悪性度評価, 治療効果判定など全ての面でこれら非侵襲的超音波血流画像が, 大きな役割を果たすであろうことは想像に難くない. 中でも, 造影ハーモニック法はグレイスケール上での血流評価法であるため, 分解能に極めて優れ, それにより提供される組織perfusion血流についての情報は極めて微細であり, 現在最も期待される方法である (図4).
PEITやPMCTなど肝癌の内科的治療のほとんどがUSガイドに依存している現況を考慮すると, これら超音波血流イメージによる血流描出能の向上は, 特に癌細胞の遺残・再発の可視化と治療ガイドとしての効率の良さといった観点からは, 確実に肝癌の治療成績の向上をもたらす進歩であることは間違いない.
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