症例は肝硬変, 肝細胞癌術後経過観察されていた57歳男性. 術後9年目のCTにて肝内腫瘤性病変を認め, 肝細胞癌再発の疑いで入院となった. 入院後腹部血管造影を施行したが, 腫瘍濃染像は認められず, 超音波ガイド下腫瘍生検にて中分化型腺癌を検出し, 画像及び大腸内視鏡検査所見と併せ, 肝臓を中心として, 右腎臓, 上行結腸にかけて広範に進展する肝内胆管癌と診断した. 化学療法 (low dose FP療法) を施行したが, 効果は認められず, 徐々に肝不全が進行し死亡した. 剖検では, 肝部分切除後の周辺を中心として腫瘍が存在し, 鏡検の結果, 肝内胆管癌を認めたが, 肝細胞癌の残存は認められなかった. 非治癒切除に終わった stage IV A肝細胞癌術後9年目に, 肝切除部近傍に肝内胆管癌を併発した稀な1例であり, 肝細胞癌と肝内胆管癌との関連について示唆に富む症例と考えられた.
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