肝臓
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28 巻, 12 号
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  • 池田 裕, 前田 次郎
    1987 年 28 巻 12 号 p. 1539-1543
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    定量的免疫固定電気泳動でαリポ蛋白質の後方のα2グロブリン位近くに泳動するHDL-with apo Eのapo Eをα2-apo Eと称したが,急性肝炎でのapo E分布を知るために,6例の患者の経過を追ってα2-apo Eを測定した.入院時に認めた低レベルのapo A-IとHDL-C,高レベルのapo E, apo C-II, C-II/C-III,および低LCAT活性は,治療後に正常域近くまで改善した.入院時にはapo Eの大部分(77.0±7.2%)がHDL-with apo Eに分布して,その濃度は5.1±0.8mg/dlであったが,3カ月後には分画比と濃度は42.2±8.1%と1.7±0.6mg/dlに減少した.そこで,LCAT活性とC-II/C-IIIは負相関関係にあった.α2-apo EとLCAT活性,apo A-I, HDL-Cとの間には負相関関係が,また,α2-apo Eと血清apo E, apoC-II, C-II/C-IIIとの間には正相関関係が認められた.結論として,急性肝炎でみられたα2-apoEの異常増加は,主にLCAT活性の低下に因るものであり,また,これが肝炎での高apo E血症の原因となっていると考えられた.
  • 丸山 勝也, 岡崎 勲, 亀谷 麟与隆, 重田 洋介, 織田 正也, 石井 裕正, 土屋 雅春
    1987 年 28 巻 12 号 p. 1544-1549
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝硬変症にみられる類洞直下の基底膜様構造物の形成は類洞の毛細血管化と呼ばれ,肝線維化の不可逆性に連なる重要な所見として知られている.最近,この基底膜の一構成成分であるラミニンの血清濃度を測定することが可能となったので,アルコール性肝疾患における肝線維化の指標としての有用性を検討した.肝生検により組織学的に診断した各種アルコール性肝疾患症例は,健常対照群に比し有意に高い血清ラミニン値を示した.なかでも肝硬変症,アルコール性肝炎では他のアルコール性肝疾患に比して高値を呈した.肝生検時における血清ラミニン値は,門脈域の線維化の程度と最も有意な相関を示した.肝の小葉改築を示す群では示さない群に比し,血清ラミニンは有意に高値であった.血清ラミニン濃度の測定は,アルコール性肝疾患における肝線維の指標として,また基底膜形成に連なる不可逆性への予測指標として有用であると推測された.
  • 田中 美和
    1987 年 28 巻 12 号 p. 1550-1557
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    アルコール性肝障害におけるIgAの診断的意義を明らかにするため,肝障害度別に,血中のIgA値,および血中polymer型IgA,肝組織沈着IgAの染色パターン及び量を非アルコール性肝障害と比較検討した.血中IgA値は,成因の如何をとわず肝障害の進行と共に上昇する傾向にあり,肝障害度別にみると,アルコール群が高値を示した.血中IgAに占めるpoly-mer型IgAの比率は,アルコール群,非アルコール群とも増加していたが,両群間に有意の差は認めなかった.肝組織沈着IgAは,肝類洞壁に沿った線状と顆粒状の二つの染色パターンが認められた.線状沈着は,アルコール性肝障害で60%,非アルコール性肝障害で8%に認められ,アルコール性肝障害で有意に(p<0.05)増加していた.以上の結果より,肝組織IgAの線状沈着は,アルコール性肝障害の指標の一つとして有用と思われた.
  • 坂井田 功
    1987 年 28 巻 12 号 p. 1558-1567
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌,肝硬変,アルコール性肝障害患者における血清Cu, Zn-SOD濃度および組織局在について検討した.肝細胞癌患者の血清Cu, Zn-SOD濃度は健常者,肝硬変患者に比べ有意に上昇していた.癌組織においては20%の標本で癌部が非癌部に比べ強く染色された.肝硬変組織における主な特徴としてはCu, Zn-SODが偽小葉の結合織に接する部位に強い局在性を示すものがあった.この特徴は甲,甲'型のものに多い傾向があった.アルコール性肝障害組織では「びまん型」「顆粒型」「核型」といった3つの染色パターンが見られ,大酒家からえた組織標本では「顆粒型」を示す傾向があった.以上より,Cu, Zn-SODは肝細胞癌の新しい腫瘍マーカーになる可能性があること,および慢性肝疾患における肝障害の指標になる可能性があることが示唆された.
  • 塚田 信廣
    1987 年 28 巻 12 号 p. 1568-1580
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝類洞内皮細胞小孔(SEF)の肝小葉内での異質性を走査型電子顕微鏡(電顕)で検討するとともに,SEFの形態形成および収縮拡張機構におけるactin filamentsの関与についてin vivoおよびin vitroの実験系を用い,免疫螢光抗体法並びに電顕学的に検討した.生理的灌流圧で固定した肝組織標本および初代分離培養類洞内皮細胞の走査型電顕観察の結果,SEFは節板状小孔と比較的大きな散在性小孔の2種類から成り,zone 1(門脈域周囲領域)では両者が,zone 3(終末肝静脈枝周囲領域)では前者のみが存在することが明らかにされた.類洞内皮細胞内のactin filamentsの存在は,免疫螢光抗体間接法,heavy meromyosin反応法および全載包埋後uranyl acetateブロック染色標本の透過型電顕観察により証明され,特にSEFおよび形質膜直下に存在した.cytochalasin B投与によりSEFは拡張,癒合し,actin filamentsは顆粒状ないしは局所的凝集像を示した.以上から,SEFの収縮拡張機構にactin filamentsの関与が想定された.
  • 鈴木 克彦, 小山 研二, 浅沼 義博, 吉野 裕顕, 大内 慎一郎, 面川 進
    1987 年 28 巻 12 号 p. 1581-1588
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    Thioacetamideをラットに4ヵ月(短期)間および8ヵ月(長期)間投与して肝硬変を作成した.その肝組織から分画したミトコンドリアと,あらかじめ肝細胞を分離洗浄した後,それより分画したミトコンドリアの呼吸能を比較した.その結果,肝組織から分画したミトコンドリア呼吸能は硬変肝で有意に低下し,かつ長期投与群の低下が著明であった.それに対し,分離肝細胞から分画したミトコンドリア呼吸能では正常肝と硬変肝との間に大差はなく,かthioacetamideの投与期間による差も認められなかった.一方,ミトコンドリア画分の電顕像では硬変肝において形状の不均一がみられ,かつ対照肝のミトコンドリアより小さい傾向がみられた.これらの成績から,肝組織より分画したミトコンドリアの機能低下は,肝細胞の存在する環境-線維化,血流不全,呼吸阻害因子の混在など-に由来することが多く,ミトコンドリア自体の障害は少ないものと推定された.
  • 上野 隆登, 犬塚 貞孝, 鳥村 拓司, 釈迦堂 敏, 吉武 正男, 野口 和典, 安倍 弘彦, 谷川 久一
    1987 年 28 巻 12 号 p. 1589-1596
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    ラット肝に火傷による巣状損傷をおこし,治癒過程における細胞外基質の経時的変化やその産生細胞についてペルオキシダーゼ酵素抗体間接法を用いた光顕・電顕的観察を行った.損傷1日目に肝細胞によるfibronectinの産生および肝細胞周囲への沈着,2日目より伊東細胞によるtype III collagen, laminin,内皮細胞によるtype IV collagen, lamininの産生を認めた.さらに損傷4日目では伊東細胞の著増とtype I collagenの産生の増加,内皮細胞による管腔形成とその基底側にtype III collagenの沈着を認めた.損傷8日目には損傷部の肝細胞によるtype III collagen, laminin, fibronectinの産生も認めた.このように障害肝の修復は肝内各細胞により産生される種々の細胞外基質の形成を伴なって行われることが明らかとなった.
  • 細胞膜保護作用について
    古賀 郁利子
    1987 年 28 巻 12 号 p. 1597-1604
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝内胆汁うっ滞時における,ウルソデオキシコール酸(以下UDCA)投与の有効性を実験的にラット肝内胆汁うっ滞モデルとラット分離肝細胞を用いて検討した.
    17α-ethynyl estradiol(EE)によるラット肝内胆汁うっ滞モデルに,UDCAを経口投与すると,毛細胆管膜のアルカリフォスファターゼ活性がよく保たれ,経静脈的に投与したindocyanine greenの胆汁中排泄が,有意に改善した.胆汁流量および胆汁酸排泄量の測定からはUDCA群において胆汁酸非依存性分画の胆汁が増加する傾向にあった.分離肝細胞において培地中のタウロウルソデオキシコール酸(TUDCA)を増加させると,タウロケノデオキシコール酸(TCDCA)による肝細胞膜障害が有意に緩和された.
    これらの結果より,経口的UDCA投与は,EEによる胆汁うっ滞の程度を軽減し,その効果は胆汁うっ滞で増加するケノデオキシコール酸(CDCA)の肝細胞障害に対するUDCAの保護的作用と関連があるものと思われた.
  • アストロサイトの可逆性変化について
    藤田 一隆
    1987 年 28 巻 12 号 p. 1605-1613
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    門脈下大静脈吻合ラットに酢酸アンモニウム(Am)を負荷することにより,シャント型肝性脳症の実験モデルを作製した.Am負荷30分後には半数が昏睡状態に陥ったが,2時間以内に全例が回復した.形態学的には,Am負荷30分後,アストロサイト(Ast)の胞体,ならびに突起の著明な腫大,細胞内小器官の増加,および核クロマチンの凝集を認めた.これらの変化は線条体,大脳皮質に著明であり,その程度は臨床症状の強さと一致した.Am負荷2時間後にはAstの腫脹は僅かに残存するのみであった.24時間後,昏睡時間の延長した2匹で,線条体,大脳皮質を中心に神経細胞の変性,壊死像を散見した.血中Am値は臨床症状の変化に一致した変動を示したが,Fischer比に有意な変化はなかった.以上より,本実験においては,Am負荷後,脳内Am処理のためAstが“活性状態”となり,一連の形態学的変化を示し,それに対応した可逆性の神経症状が出現するものと考えた.
  • 中嶋 俊彰, 中島 年和, 島 俊英, 瀬戸 良文, 阪本 善邦, 佐野 敦, 奥野 忠雄, 瀧野 辰郎
    1987 年 28 巻 12 号 p. 1614-1618
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    臓器反射スペクトルを測定できる生体分光装置(MCPD-100)を用いて,ラット実験モデルの肝局所におけるICG動態を解析した.ICG投与後の肝反射スペクトルの経時的変化は3つの相で構成され,第1相が主として門脈血より肝細胞への移行(血管相),第2相が肝細胞内の蓄積(実質相),第3相が肝細胞から胆汁への排泄過程(排泄相)を示すと推測される.各相の間の変曲点は,胆管結紮,門脈結紮,四塩化炭素肝障害などの種々の肝病態で時期に変化が認められ,肝局所ICGクリアランスの解析に有用と考えられた.
  • レクチン親和性よりの解析
    福田 一典, 津曲 淳一, 小笠原 幸子, 矢野 博久, 村上 龍夫, 神代 正道, 川崎 宏
    1987 年 28 巻 12 号 p. 1619-1626
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    当教室において樹立した4種のヒト肝細胞癌細胞株(KIM-1, KYN-1, KYN-2KMCH-1)の無血清培養を行い,その分泌する血漿蛋白質の性状変化について検討した.培養肝癌細胞の分泌蛋白質はヒト正常血漿中のものと抗原性において区別し得ないが,レクチン親和性のパターンの違いより糖鎖構造に差異のあることが示唆された.ヒト血漿中の主要シアロ糖蛋白質であるα1-antitrypsinおよびα1-acid glycoproteinを中心に8種のレクチンに対する親和性を分析した結果,培養肝癌細胞において,糖鎖の合成不全と糖転移酵素の異常発現が推測された.このような糖鎖の構造異常が癌性変化によるものか,培養条件に附随したものかは不明であるが,無血清培地を用いた肝細胞癌の培養は分泌糖蛋白質の糖鎖の構造変化の機序の解明に有用な実験モデルと思われる.
  • 田辺 雄一, 大西 久仁彦, 飯田 真司, 野村 文夫, 奥田 邦雄, 碓井 貞仁, 磯野 可一
    1987 年 28 巻 12 号 p. 1627-1635
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝動脈塞栓療法(TAE)の原発性肝細胞癌(HCC)に対する治療法としての位置づけを行なうため,過去9年間に診断されたHCC594例を,その腫瘍径,肝予備能,門脈腫瘍塞栓の有無により分類し,手術療法(OPE),肝動脈内抗癌剤動注療法(IAC),無治療例(NT)との間で生存率,及び死因について比較検討した.TAEはIAC, NTに対し腫瘍径5cm以下(5cm以下群)Child Bの症例,及び腫瘍径が5cmを超え腫瘍面積が肝面積の50%以下(5cm-50%群)で門脈腫瘍塞栓の無い症例か又は本幹以外に腫瘍塞栓の有る症例で良好な生存率を示し,有効な内科的治療法と考えられたが,5cm以下群でもTAE後の死因に癌関連死(癌死,腫瘍破裂)が多かった.又TAEとOPEの比較では,5cm以下Child A群ではOPEが良好な生存率であった.5cm以下Child B群ではTAEはOPEに匹敵する生存率を示したが,これらの症例,及び5cm-50% Child A Child Bの症例でのTAEとOPEとの比較に関しては,今後更に検討が必要と思われた.
  • 武田 和久, 大森 浩之, 小川 勝士, 芳野 健, 植杉 成一郎, 大森 晶彦, 小坂 淳夫
    1987 年 28 巻 12 号 p. 1636-1643
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    糖尿病性腎症にて血液透析中の36歳の女性が,血糖調節の悪化とともに著明な肝腫大をきたし,経過中肝不全で発症後無黄疸性高アルカリフォスファターゼ(ALP)血症を伴う慢性肝炎(非A非B型)に移行し,腎不全の増悪により死亡した1剖検例を報告した.本症例の空腹時血糖値は,20~48単位のインスリン使用時に100以下から1,000mg/dlを越える変動を示し,肝は右肋弓下7横指に達した.血清ALP活性は肝炎併発後GOT, GPTの変動と一致して増減し77.8K-AUに達したが,血清ビリルビン値は1.0mg/dl以下であった.ALP以外にLAP, γ-GTP活性,総コレステロール値も上昇し,Slow-migrating HDLが出現するなど胆汁うっ滞の所見を示した.組織学的には糖原の蓄積による肝の腫大が考えられたが胆汁うっ滞の所見はなく,慢性肝炎に付随した胆汁うっ滞の特殊型としての無黄疸性胆道酵素上昇症の存在が示唆された.
  • トロトラスト沈着症の1例
    鴨川 由美子, 林 直諒, 喜多島 聡, 久保井 宏, 栗原 毅, 進藤 仁, 山本 和夫, 田中 精一, 武藤 晴臣, 高崎 健, 小林 ...
    1987 年 28 巻 12 号 p. 1644-1649
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    トロトラスト沈着症(以下ト症と略)は高率に発癌をみることで知られているが今回我々はト症にも稀な胆管細胞癌,肝細胞癌,胃癌,の3重複癌の発生をみた症例を経験したので報告する.症例は70歳,男性.黄疸を主訴として来院.昭和16年下肢骨折時トロトラストによる血管造影を施行され,昭和58年より肝障害を指摘されていた.入院時,肝腫大,黄疸,CEA,AFPの上昇を認めた.又腹部単純写真では,肝,脾,上腹部リンパ節に著明なトロトラスト沈着を認めた.画像診断にて肝左葉外側区域に境界不明瞭な腫瘤を認め,肝生検にて胆管細胞癌と診断した.同時に胃透視にて噴門部にBorrmann 1型の胃癌を認めた.以後黄疸進行しPTCD施行したが,感染症を併発し死亡した.剖検にて肝左葉の胆管細胞癌と肝右葉後区域から肝門部にかけ索状型肝細胞癌,噴門部乳頭状胃癌の3重複癌が確認された.
  • 篠崎 卓雄, 山田 護, 上原 力也, 普久原 勉, 甲斐田 和博, 川崎 康彦, 栗原 公太郎, 武藤 良弘, 正 義之, 石川 清司
    1987 年 28 巻 12 号 p. 1650-1655
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    異時性肺癌と同時性胃癌を合併したBiliary Cystadenocarcinomaの1例を報告した.
    症例は68歳の男性で主訴は上腹部痛である.昭和57年3月,肺癌で左肺上葉切除術をうけたT2N0M0でstage 1,組織は扁平上皮癌であった.昭和60年7月,上腹部痛が出現したため精査したところ,左肝内胆管腫瘍および早期胃癌の診断が得られた.昭和60年8月13日に肝左葉切除及び幽門側胃切除を施行した.早期胃癌はIIc+III型で,組織学的には深達度mの中分化型腺癌であった.左肝内胆管腫瘍は直径2cm大のBiliary cystadenocarcinomaであった. Biliarycystadenocarcinomaを含む三重複癌の報告は内外の文献に見当たらず,我々の症例が第一例目と思われる.
  • 松田 幸彦, 甲田 徹三, 岩尾 憲人, 倉堀 知弘, 沢田 道雄, 河田 純男, 宮地 秀樹
    1987 年 28 巻 12 号 p. 1656-1661
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は38歳男性,15年間のアルコール多飲歴と急性アルコール性肝炎の既往歴があった.昭和61年1月激烈な腹痛と黄疸にて近医で入院加療を受けた.4月になって胆嚢腫大と肝内胆管拡張を来たし,精査目的にて当科へ転院した.血液化学検査で白血球増多,LAP, ALP,γ-GTPの高値と直接型優位のbilirubinの著増を認めた.腹部CT,経皮経肝胆管造影,逆行性膵管造影にて総胆管は膵部で圧迫閉塞所見を示し,腫瘍マーカーの高値と考え合わせて胆管癌と診断した.膵頭十二指腸切除術の結果,Vater乳頭部から2cmの総胆管壁に径7mmの水腫様腫瘤を認めた.三管合流部に異常なく,膵実質及び膵管に多数の結石を認めた.病理組織学的に,1)腫瘤は総胆管付属腺の拡張による嚢胞,2)石灰化を伴なう慢性膵炎,3)胆嚢炎及び総胆管炎と診断された.
    総胆管壁内付属腺嚢胞に起因する閉塞性黄疸は非常に稀であるので報告した.
  • 宮岡 弘明, 恩地 森一, 山口 修司, 小川 泰史, 堀池 典生, 日野 寿子, 太田 康幸
    1987 年 28 巻 12 号 p. 1662-1663
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 後藤 剛貞, 浅野 武秀, 森田 哲生, 磯野 可一
    1987 年 28 巻 12 号 p. 1664-1665
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 富谷 智明, 林 茂樹, 藤原 研司, 岡 博, 井上 昇
    1987 年 28 巻 12 号 p. 1666
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 富松 昌彦, 吉田 錦吾, 中西 敏己, 古川 隆二, 古川 みどり, 奥田 博明, 小幡 裕
    1987 年 28 巻 12 号 p. 1667
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 北村 庸雄, 渡辺 純夫, 伴野 昌厚, 竹内 真, 宮崎 招久, 浪久 利彦
    1987 年 28 巻 12 号 p. 1668
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 山田 泰志, 清水 秀剛, 北見 啓之, 浪久 利彦
    1987 年 28 巻 12 号 p. 1669
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 原秀 範, 芦田 雅彦, 浜田 忠弥, 小島 秀男, 上村 朝輝, 市田 文弘, 佐田 通夫, 谷川 久一
    1987 年 28 巻 12 号 p. 1670
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 1987 年 28 巻 12 号 p. 1671-1690
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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