肝臓
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28 巻, 3 号
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  • 飯島 敏彦, 南部 勝司, 吉野 泉, 実川 浩, 真弓 忠, 津田 文男, 佐久間 光史
    1987 年 28 巻 3 号 p. 279-282
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    40歳から54歳までの男子HBs抗原キャリアー(キャリアー)495例を4~10年(平均5.5年)継続的に観察した.その結果,観察期間中にHBs抗原が自然陰性化したものは19例(3.5%)で,年間陰性化率は0.69% (person-years)であった.陰性化率は加齢とともに高くなり50~54歳代で最も高かつた.HBc抗体力価(IAHA法)を,HBs抗原自然陰性化例(陰性化群)とHBs抗原持続陽性例(持続陽性群)に分けて比較すると,初回時では,陰性化群と持続陽性群の間で力価に差はなかったが,最終時では,陰性化群9.5±1.9,持続陽性群12.0±2.1で,陰性化群の力価が有意(p<0.001)に低かった.また,陰性化群のHBc抗体力価は初回よりも最終時で有意(p<0.001)に低かった.陰性化群のうち,観察期間中に肝機能異常を示したものは5例で,いずれも軽度の障害であった.これらの結果は,キャリアーのなかのあるものは,HBウイルスが加齢とともに自然に体内からクリアーされることを示唆している.
  • 森 義雄, 小川 真, 森 照男, 上田 志朗, 吉田 弘道, 加藤 功, 家里 憲二, 若新 洋子, 若新 政史, 奥田 邦雄
    1987 年 28 巻 3 号 p. 283-290
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    実験肝炎モデルC57BL/6(B6)マウスの肝臓内-in situ-におけるT-T cellular interactionを検索する為,肝炎マウス脾細胞,肝内浸潤リンパ球を取り出し,T細胞のDNA合成能,microcytotoxicity testを用いて,helper T, cytotoxic killer T, suppressor T細胞相互の関連を調べた.肝内に浸潤しているLy 1+T細胞(helper T細胞)は非常に活性度が高く,かつsuppressor T細胞により制御されていた.肝細胞を特異的に破壊するcytotoxic killer T細胞には,少なくとも2種類あり,1種類はnylon woolに付着性でsuppressor T細胞の制御は軽度であった.他方のcytotoxic killer T細胞はnylon woolに非付着性であり,suppressorT細胞に強く制御されており,低線量放射線照射でsuppressor T細胞の機能を除去して後に肝細胞障害能を発現した.ヒト肝炎においてsuppressor能の低下が認められる事より,この成績は肝障害発生に免疫能の低下が役割を担っている事を示唆する.
  • 白井 睦訓, 渡辺 精四郎, 田中 智彦, 田村 香織, 寺田 総一郎, 相引 利行, 内田 善仁, 西岡 幹夫
    1987 年 28 巻 3 号 p. 291-296
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    Mouse hepatitis virus type 2 (MHV-2)接種により惹起される劇症肝炎に対するOK-432 (streptococcal preparation)の影響について検討した.OK-432非投与群では,1×103あるいは1×104 plaque forming unit (PFU)のMHV-2を4週齢の雌性Balb/cマウス(各群n=10)に接種すると,接種後5日以内に全例が死亡した.しかしながら,MHV-2接種の4日および1日前にOK-432を投与した群では,1×103あるいは1×104 PFUのMHV-2接種後60日においてもそれぞれ50%,10%の生存率であった(各群n=10).MHV-2接種後OK-432投与群では,対照に比べて生存日数の延長はみられなかった.組織学的にも,MHV-2のみを接種した群では,OK-432投与群よりもより激しい肝壊死がみられたのに対し,OK-432前投与生存マウスでは肝壊死は軽微で,同部にリンパ球,マクロファージの浸潤が目立った.
  • 安倍 弘彦, 石井 邦英, 麻生 重仁, 中野 均, 河原 敏彦, 神代 龍吉, 谷川 久一
    1987 年 28 巻 3 号 p. 297-304
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    アルコール性肝炎73症例を対象とし,その中で急性肝不全様状態を呈した重症アルコール性肝炎(SAH)8例の臨床像,病理組織学的所見の特徴を検討した.
    SAHでは全例プロトロンビン値50%以下を示し,8例中7例が肝性脳症を呈し,腎不全や肺炎などの合併症を伴い,断酒後約1ヵ月以内に死亡した.剖検が出来た4例全例で肝臓は著しい肝細胞壊死を伴うアルコール性肝炎の組織像を示し,種々の臓器の腫大を伴い,肺炎,急性腎不全,心嚢炎,急性膵炎のいずれかを伴っていた.
    SAHでは肝腫大,発熱,白血球増多が著しく,血清BUNやクレアチニン値の上昇を示す例が多い.さらに,7例全例がエンドトキシン血症を示し,血中免疫複合体の出現頻度も高く,肝シソチグラムでも肝でのRIのuptakeの著しい低下がみられた.このようにSAHでは網内系機能不全の状態にあり,多臓器不全を来たして死亡する例が多い.
  • 稲垣 豊, 鵜浦 雅志, 田中 延善, 加登 康洋, 小林 健一, 服部 信
    1987 年 28 巻 3 号 p. 305-309
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    正常肝機能を示す潜在性肝硬変症8例(男性7例,女性1例,47.4±11.3歳)について,臨床病理学的検討を行なった.全肝硬変症例に対する割合は1.9%で,HBs抗原陽性・HBe抗体陽性例が多かった.肝予備能は良好で,全例とも食道静脈瘤は認められなかった.8例中2例に肝細胞癌の合併を認めた.画像診断では,明らかに肝硬変と診断し得る典型像は示さないが,肝内エコーレベルの不均一やRI分布の不均一を示す例が多かった.肝細胞癌を合併した2例は,いずれも超音波検査によりその存在診断がなされた.病理組織学的には,非活動性肝硬変あるいは部分的に結節形成の不完全な肝硬変の初期像を呈した.以上より,とりわけ中高年のHBs抗原キャリアに対しては,たとえ肝機能成績が正常であっても,スクリーニング検査としての腹部超音波検査や肝RIシンチグラフィー等の画像診断,さらに腹腔鏡・肝生検を積極的に施行することの重要性がうかがわれた.
  • 菅原 俊, 松嶋 喬, 狩野 吉康, 宮崎 保, 豊田 成司, 奥内 豊
    1987 年 28 巻 3 号 p. 310-318
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    インターフェロン(IFN)誘起性抗ウイルス蛋白の一つ,2'-5' oligoadenylate synthetase (2-5AS)活性は,末梢血単核球(PBMCs)を試料とした場合,RIA法とカラム法とは良く相関し(r=0.86, p<0.01),また,血清とPBMCsの2-5AS活性はRIA法を用いると相関性が認められた(r=0.43, p<0.05).急性B型肝炎の1症例では,血清及びPBMCsの2-5AS活性は発症初期に上昇し,血液生化学的所見,臨床症状の改善とともに低下した.慢性B型肝炎患者の血清2-5AS活性は,健康成人に比べて上昇傾向を認めたが有意差はなく,PBMCsでは慢性B型肝炎患者で有意に上昇した(p<0.05).また,慢性B型肝炎にIFN-βを投与すると,血清,PBMCsの2-5AS活性は平行して上昇し,2-5AS活性の上昇と抗ウイルス効果との関連性が窺われた.以上の成績から,RIA法を用いる血清2-5AS活性の測定は,内因性IFN産生,IFN療法の抗ウイルス状態の把握に有用な指標になることが示唆された.
  • 成広 朗, 三村 久, 酒井 弘典, 折田 薫三
    1987 年 28 巻 3 号 p. 319-323
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝疾患患者にみられるインスリン受容体の異常の機序を明らかにするため,12, 24,48時間絶食とした正常,急性肝障害および慢性肝障害ラットに対し,基礎IRI値,基礎IRG値,IVGTT 10分後のIRI値と血糖曲線および肝40,000g沈渣におけるインスリン特異結合能を求めた.その結果,基礎および糖負荷後のIRI値は12, 24, 48時間絶食群でほぼ正常群,慢性肝障害群,急性肝障害群の順に高値となり,基礎IRG値は12, 24, 48時間絶食で正常群に比べ,急性および慢性肝障害群で高値となった.血糖曲線では急性および慢性肝障害群で耐糖能異常を疑わせた.またインスリン特異結合能は24, 48時間絶食群で,正常群,慢性肝障害群,急性肝障害群の順に低値を示した.以上の結果より急性肝障害,慢性肝障害ラットにおけるインスリン受容体の異常はdown regulationに起因する可能性が強いと考えられた.
  • 森藤 隆夫, 折笠 和栄, 迎 慎二, 佐藤 和典, 斎藤 孝一, 西間木 友衛, 吉田 浩, 粕川 禮司
    1987 年 28 巻 3 号 p. 324-329
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    H-D抗原としてHigh molecular weight glycoproteinを用いたEIAで,各種肝疾患患者血中のH-D抗体を測定し,病態との関連性を検討した.各疾患群のIgG型H-D抗体価の平均値は健常人と比較して,CH, LC, HCCで有意に高値であり,IgM型H-D抗体価は,LCのみが有意に高値であった.またIgG型H-D抗体の陽性率は,AH 5.7%, LH 28.1%, LC21.9%, HCC 26.9%と病変の進行に伴ない高頻度であったが,IgM型H-D抗体の陽性頻度は,各症患群で大きな差違は認められなかった.抗体価の経時的変動は慢性肝疾患群で少なかったが,急性肝炎では病態の改善に伴ない低下し,又,Transcatheter arterial embolization治療がなされたHCC 7例中2例で0.D.値の急激な変動がみられた.患者血中からH-D抗原は検出されなかったが,H-D抗体の産生機序に肝炎ウイルスの感染,肝細胞の変性壊死による細胞質内糖蛋白の抗原性変化が考えられた.
  • 岡上 武, 太田 正治, 加知 一友, 山岸 久一, 弘中 武, 金岡 彦治, 澤 美彦, 太田 義治, 王 〓玉, 香川 恵造, 奥野 忠 ...
    1987 年 28 巻 3 号 p. 330-335
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    光顕的に正常肝組織像を呈するヒト肝組織片6個を対象とした.試料採取直後に細切し,凍結割断の後にdetergentで処理する方法と,採取した肝組織片に静注針を刺入しdetergentで潅流する2つの方法を用いた.得られた試料を透過電顕,走査電顕で観察し,肝細胞細胞骨格(H-CS)の二次元的,三次元的存在様式を明らかにした.細胞質全体に亘って中間径フィラメント(IFs)が多数存在し,IFsは接着・吻合を示し,微小管やマイクロフィラメントも観察できた.肝細胞と肝細胞の間で割断された試料では,毛細胆管周囲や細胞境界部が明瞭で,多くのCSが存在し,マイクロフィラメントも多数残存していた.今回の研究成績は,今後ヒトの肝細胞細胞骨格病理の研究に有用であると考えた.
  • 阿部 賢治, 内野 〓持, 冨田 マツ, 志方 俊夫
    1987 年 28 巻 3 号 p. 336-342
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    野生ウッドチャック(WHV陽性29匹,同陰性11匹)の肝病変について,病理学的に検索した.WHV陽性率では全例で肝炎像を示したが,その程度は軽かった.オルセイン染色(志方法)では26例(90%)で肝細胞質が陽性を示した.電顕的には,肝細胞小胞体内にフィラメント構造物や二重構造を有するウイルス粒子(直径42~45nm)が,また細胞質基質内にはコア粒子(直径18~20nm)が存在したが,核内には観察されなかった.肝癌を18例(62%)に認めたが,全例WHV陽性であった.癌は多発性に発生しており,組織学的には高分化型肝細胞癌を示した.非癌部において,軽度の異型性を示す肝細胞の過形成増殖巣が認められ,前癌状態に相当する所見と思われた.以上の所見はWHV陰性例には観察されなかった.これら所見に加え,肝内寄生虫がしばしば認められ,現在の実験動物としてのウッドチャックの問題点が示唆された.
  • 植草 利公
    1987 年 28 巻 3 号 p. 343-353
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    混合型肝癌9例,肝細胞癌21例,肝内胆管癌11例,正常肝5例につき,組織化学的に3種のkeratin (polyclonal, KL-1, PKK-1)を中心に検索した.混合型肝癌9例中2例はAllenらの分類に当てはまらない症例で,Allenらの分類のmixed typeにsubtypeを追加し検討した.混合型肝癌,肝細胞癌,肝内胆管癌において肝細胞癌部と胆管細胞癌部の鑑別にはkeratin染色が最も有用で,陽性頻度の面からはpolyclonal keratin, PKK-1が,細胞内局在状態の面からは全てのkeratin染色が非常に有用であるという結果が得られた.keratinの細胞内局在状態を4型に分け,混合型肝癌,肝細胞癌,肝内胆管癌における腫瘍細胞内keratinの局在状態を明らかにした.混合型肝癌のmixed typeにおける混在部では,肝細胞癌的なkeratin局在型をもつ細胞と,胆管細胞癌的なkeratin局在型をもつ細胞が密に入り混じって存在している新たな知見も得られた.
  • 山室 渡, 井上 浄, 牧野 博之, 塩田 善之, 保坂 洋夫, 石井 耕司, 水吉 秀男, 安部井 徹
    1987 年 28 巻 3 号 p. 354-358
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    ICG, BSP試験ともに高度異常を呈した間接型優位の高ビリルビン血症の2例を報告する.各症例とも肝・胆道系酵素は正常で,2~4mg/dlの間接型優位の高ビリルビン血症が持続し,ICG R15 80%前後,BSP R45 18%前後,胆汁酸は概ね正常と極めて類似した色素代謝異常を呈した.症例1(70歳男性)は,51Cr赤血球寿命が22.5日(T1/2)と軽度短縮していたが,その他に溶血を示す所見なく,肝組織像は慢性非活動性肝炎の所見であった.症例2(31歳男性)は,溶血を示す所見なく肝組織像も正常であった.ICG消失曲線から求めた移行率およびBSP分画の検討では,いずれの色素も摂取から移送までの段階の異常が主であるが,軽度ながら排泄の障害もあることが示唆された.本2症例は,共通の病因を持った先天性色素代謝異常症(体質性黄疸)と考えられたが,ともに約20年前に肝炎の既往があり,後天的な要素の関与も否定できなかった.
  • 杉浦 荘一, 溝上 雅史, 折戸 悦朗, 伊奈 幸子, 亀島 信利, 山本 正彦, 中村 誠, 野尻 修, 田中 裕二
    1987 年 28 巻 3 号 p. 359-362
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    出産を契機に発生した若年PBCの1例を報告した.症例は24歳女性で,昭和55年1回目の出産では特に臨床症状,血液検査など異常認めなかったが,昭和59年2回目の出産1カ月後より全身倦怠感,腹痛出現し,血液検査にて胆道系酵素優位の肝機能障害を指摘され,IgM高値,抗ミトコンドリア抗体陽性のため肝生検施行したところ胆管周辺のリンパ球浸潤,類上皮細胞の出現,胆管上皮の変性消失など慢性非化膿性胆管炎の所見を認めPBCと診断された.その後検査所見改善しないため,predonisolone 20mg投与したところ,胆道系酵素高値改善され,抗ミトコンドリア抗体価も低下した.その後predonisolone減量中止し,経過観察するも増悪傾向は認めていない.PBCと妊娠,出産との関連についての報告は少ないが,若年発症例も増加しているため,妊娠,出産のPBCに対する影響を検討する事は重要と思われる.
  • 前山 史朗, 宮川 正人, 中込 健郎, 岡部 和彦, 福田 護, 出月 康夫, 打越 敏之
    1987 年 28 巻 3 号 p. 363-368
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は53歳,女性で,なんら自覚症状なく,肝機能検査でAFPのみ10,140ng/mlと異常高値が持続し,各種画像診断法でAFP産生腫瘍発見出来ず経過観察していた.2年後画像診断にて肝左葉外側域に腫瘤を認め,肝細胞癌と診断し,外科的切除を施行した.病理組織学的には,sclerosing typeのhepato-cellular carcinoma(又はsclerosing hepatic carcinoma,以下SHC)の所見に一致しながらも,一部では腫瘍胞巣の周辺に層状の線維形成(lamellar fibrosis)がみられた.SHCは偽副甲状腺機能充進症の合併が高率といわれるが,本例ではその合併はみられなかった.SHCの予後は通常のHCCと同様で約6カ月であるといわれているが,本例は3年を経過した現在でも再発はみられていない.線維形成による腫瘍の増大阻止が大きく関与しているものと考えられた.
  • 併存した細小肝癌の1剖検例
    荒川 正博, 中原 俊尚, 鹿毛 政義, 杉原 茂孝, 木村 喜男, 久保 保彦
    1987 年 28 巻 3 号 p. 369-373
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は72歳の女性で,細小肝癌を伴う肝硬変の診断の下に治療を受けていたが,肝不全のため死亡した.肝は610gと萎縮し,硬変像を呈しており,割を入れると直径0.7~2.5cmの小腫瘤を4個認めた.2個はEdmondson II型の肝細胞癌(以後HCCと略す)であったが,他の2個はadenomatous hyperplasiaであり,組織学的にこの腫瘤内にclear cell typeのHCCが確認できた(nodule in nodule).これら2種類のHCCは形態学的にもAFPの染色態度にも相違がみられ,HCCの多中心性発生に示唆を与える症例と思い報告した.
  • 井辻 智美, 船津 和夫, 石井 真弓, 塚田 信廣, 水野 嘉夫, 宗像 良雄, 都築 俊治, 佐藤 逸朗, 森實 敏夫, 織田 正也, ...
    1987 年 28 巻 3 号 p. 374-380
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は52歳男性.40歳頃より肝機能障害を指摘されていた.52歳に胆石症と診断され,胆嚢摘出術施行時に肉眼的に肝硬変を認めた.7カ月後,AFP 410ng/mlと異常値を呈し,その3カ月後には血痰が出現したため入院した.入院後AFP値は32,000ng/mlまで上昇し,腹部超音波検査,血管造影,胸部CT検査より,多発性肺転移を伴う原発性肝癌と診断した.動脈塞栓術(以下TAE)およびMMC 16mgの動注療法を施行し,PSK(3g/日)の経口投与を開始したところ,AFP値は20ng/ml以下に低下し,肺転移陰影の消失を認めた.TAE後1年半を経た現在も全身状態良好であり,AFP値は正常範囲内に保たれ,胸部X線上異常陰影は認められていない.この機序に関しては,TAE後,原発巣の縮小即ち腫瘍量の減少に伴い宿主の免疫能が改善することにより,肺転移巣が消失したと推察された.
    以上より遠隔転移を有する肝癌に対してもTAEを行なうことは意味のあることと考えられる.
  • ことに肝細胞癌と劇症肝炎における差異について
    滝川 康裕, 柏原 紀文, 中舘 一郎, 村上 晶彦, 吉田 俊巳, 鈴木 一幸, 佐藤 俊一
    1987 年 28 巻 3 号 p. 381-382
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 今井 明彦, 清沢 研道, 古田 精市, 奥村 伸生, 熊谷 俊子, 金井 正光
    1987 年 28 巻 3 号 p. 383-385
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 境 祐二, 福田 善弘, 長谷 寛二, 国立 裕之, 平岩 望, 姫野 泰雄, 瀬古 修二, 小東 克次, 井村 裕夫, 山本 逸雄, 土光 ...
    1987 年 28 巻 3 号 p. 385
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 久保井 広志, 溝口 靖紘, 宮島 慶治, 阪上 吉秀, 関 守一, 小林 絢三, 森沢 成司, 山本 祐夫, 原 久子, 丹 羽允, 矢野 ...
    1987 年 28 巻 3 号 p. 386
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 星野 信, 片桐 健二, 竹島 彰彦, 早川 富博, 吉岡 宣夫, 蜂矢 仁, 大西 勇人, 川村 益生, 宮治 真, 武内 俊彦
    1987 年 28 巻 3 号 p. 387
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 正田 純一, 馬原 礼二郎, 大菅 俊明, 藤間 貞彦, 大西 正三
    1987 年 28 巻 3 号 p. 388
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 水野 元夫, 山田 剛太郎, 奥新 浩晃, 真鍋 康二, 藤木 茂篤, 長島 秀夫, 杉山 俊郎
    1987 年 28 巻 3 号 p. 389
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 金子 義保, 中山 利文, 浜崎 卓, 林田 憲正, 太田 裕彦, 遠藤 康夫, 戸田 剛太郎, 岡 博, 織田 敏次
    1987 年 28 巻 3 号 p. 390
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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