肝臓
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32 巻, 10 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 昭和59~62年間の全国PBC剖検例
    円山 英昭, 岩崎 信二, 大西 三朗, 山本 泰猛, 原 弘
    1991 年 32 巻 10 号 p. 897-904
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    PBCの末期の病像を明らかにするため最近4年間(昭和59~62年)の日本病理剖検輯報に報告されたPBC例を集計し,統計的に観察した.PBCの剖検は,全剖検症例(159,190例)中,166例(0.10%)あり,男女比は1:7.3であった.剖検時の年齢は34~85歳,そのM±SDは57.6±11.1歳と男女とも50歳代が最も多く(32.9%),40~69歳の症例が82.3%を占める.大多数の症例は門脈圧亢進症や黄疸を合併した肝硬変期にある.肝重量は470~2,400gの間に分布し,萎縮型肝硬変像を呈する例が少くない.肝細胞癌の合併は,7例(4.22%)に見られる.その合併率は,この4年間,1年毎に上昇し,とくに男性PBC例は女性例に比して肝細胞癌合併率が高い.自己免疫疾患の合併は少い.PBC剖検例では,臨床診断と病理解剖学的診断の不一致例がなお相当数あり,末期PBCの病理解剖学的診断基準の確立が望まれる.
  • 河 相吉, 小島 通真, 田中 敬正, 北川 真一, 久保田 佳嗣, 井上 恭一
    1991 年 32 巻 10 号 p. 905-911
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    合成アシアロ糖タンパク99mTc-DTPA-galactosyl-human serum albumin (GSA)の臨床応用を行った.健常者3例,慢性肝障害19例を対象に,1mg/185MBq(5mCi)の99mTc-GSAを投与した.心の時間放射能曲線に対し非線形最小2乗法を用いて指数関数近似を行い,これに外挿法を応用することにより,99mTC-GSAの濃度曲線を算出した.この曲線より求めた投与60分後の血中99mTc-GSA量は,血清アルブミン値(r=-0.776, p<0.001), ICG 15分停滞率(r=0.883, p<0.001),ICG消失率(r=-0.809, p<0.001),プロトロンビン時間(r=-0.686, p<0.01),ヘパプラスチンテスト(r=-0.631, p<0.05),総ビリルビン値(r=0.608, p<0.005)と良好な相関関係を示した.採血によらず絶対量として99mTc-GSAの血中量を算定できる本法は,肝機能評価の指標として有用と考えられた.
  • 善方 淑子, 佐川 寛, 町田 洋太
    1991 年 32 巻 10 号 p. 912-918
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝疾患患者45例に3~4mg/kgのICGを静注し,90~120分間に5~30分間隔で採血して血清ICG濃度を測定した.Stoeckel法によりVm, Km, VP, b, hを計算し,a=Vm/Kmとして肝ICGの相対的分布容積equivalent liver volume (ELV)を求めた.また肝の色素分布容積VLを6つ目のparameterとして連立微分方程式に加え,computerで直接VLを計算させた.このVLとVPから計算したELVは,a/bとして計算したELVに一致した.血清ICG濃度曲線に対するStoeckelのmodelの適合性はAICで検定すると43例で良好であった.肝-胆汁移行率hは全例で0.04以下であったが,simulation programによる検討により,この範囲ではVL/VP=a/bの時,肝と血漿のICG濃度は一致し,ELV=a/bが妥当であることを示していた.ELVと血清albumin値,hepaplastin test,血清choline esterase値,ICG 15分停滞率,肝内glutathion S-transferase活性値との間には極めてよい相関関係が認められた.
  • 河野 通一, 林 紀夫, 佐々木 裕, 鈴木 都男, 笠原 彰紀, 房本 英之, 鎌田 武信
    1991 年 32 巻 10 号 p. 919-925
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    中心周波数10MHzの超音波探触子を用いた超音波組織性状診断システムを開発し,in vivoにて肝臓の周波数依存減衰率(FDA)を算出した.家兎脂肪肝モデルを用いた検討ではFDAは,単位肝湿重量当たりの総脂質量,および中性脂肪量と有意な正の相関関係を認めたが,総コレステロール量とは有意な相関関係を認めなかった.また,FDAは組織学的に評価した肝の脂肪沈着の程度とも,有意な正の相関関係を認めた.さらに,腹腔鏡下で測定したヒト肝のFDAは,肝の脂肪沈着の程度と有意な正の相関関係を認めたが,慢性肝疾患の病理学的分類とは明らかな関連を認めなかった.以上より,本システムを用いてFDAを測定することにより,肝の脂肪沈着の程度をin vivoで定量的に評価することが可能であると考えられた.
  • 渋谷 明隆, 白崎 敬二, 國分 茂博, 石井 公道, 柴田 久雄, 西元寺 克禮, 松木 茂樹, 杉本 政直, 中 英男, 奥平 雅彦
    1991 年 32 巻 10 号 p. 926-931
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    61歳女性のルポイド肝炎をoverlapしたPBC例を報告した.全身倦怠感と黄疸の既往があり,検査にてALPの著しい上昇とIgM高値,肝生検では肉芽腫形成と典型的なCNSDCを認め,AMA陰性であったがPBCと診断した.さらに,高γ-gl血症,IgGの上昇,抗核抗体陽性,抗平滑筋抗体陽性,LEテスト陽性,LE細胞現象陽性,肝組織で高度のリンパ球浸潤,濾胞形成,限界板破壊を認め,ルポイド肝炎のoverlappingが考えられた.UDCA投与により倦怠感など全身状態と,ALP, γグロブリンなど検査所見の改善を認めた.同様の報告例ではanti-M4が陰性であることからCAH-PBC mixed formとは異なる病態であることは推定されていたが,本例のようにAMA陰性,anti-M2陰性例の報告はこれまでなく,PBC-ルポイド肝炎overlap例の病態を考えるうえで興味深い1例である.
  • 桑原 直樹, 寺澤 総介, 中嶋 義記, 戸松 俊治, 北川 浩司, 川島 靖浩, 藤岡 均
    1991 年 32 巻 10 号 p. 932-938
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    生後6ヵ月より7年間に3回の黄疸発作を繰り返した良性再発性肝内胆汁うっ滞症の1女児例を経験した.
    黄疸の経過は3回ともほぼ同様であり,直接ビリルビン優位の高ビリルビン血症,軽度のトランスアミナーゼの上昇を伴っており,数ヵ月から1年の経過で軽快していた.3回目に発作はA型肝炎を契機に発症した.
    組織学的には,3回の黄疸発作を繰り返しているにもかかわらず胆管の増生や変性所見を認めなかった.
    患児の血清,尿,便の胆汁酸分析を行ったところ各検体において1次胆汁酸が優位に上昇していた.また非黄疸期より尿中,便中胆汁酸排泄量の増加を認め,2次胆汁酸の生成障害が非黄疸時よりみられることを示していた.このことは発症早期の幼児においてもすでに胆汁酸代謝の異常がみられ,発症に先天的要因が強く関与していることを疑わせるものと思われた.
  • 大平 基之, 谷口 雅人, 大田 人可, 吉田 行範, 大平 賀子, 村住 和彦, 幸田 弘信, 長谷部 千登美, 小野 稔, 矢崎 康幸, ...
    1991 年 32 巻 10 号 p. 939-946
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は59歳の女性.心窩部痛で近医を受診した際肝機能異常を指摘され,精査のため入院した.腹腔鏡下肝生検でScheuer I期の無症候性原発性胆汁性肝硬変症(PBC)と診断した.合併する膵嚢胞精査のため行った腹部血管造影検査で,下腸間膜静脈から左卵巣静脈に流入する複数の屈曲蛇行したシャント血管を偶然に認めた.下腸間膜静脈支配域からの静脈血流と脾静脈から下腸間膜静脈へ遠肝性に逆流する血流がこの側副血行路から下大静脈へ流入していた.肝性脳症はなく,無症候性の下腸間膜静脈大循環シャントと診断した.また膵頭部に膵石を認め,膵体部にみられた嚢胞は過形成であった.PBCは非硬変期でも門脈圧亢進症を,さらには側副血行路を合併することが知られている.本症例はそのような病態を呈するPBCの初期像を呈している可能性があり,きわめて貴重な症例である.また膵石を合併したPBCはいままで報告がなく本症例が第1例目である.
  • 小野田 尚佳, 西野 裕二, 池原 照幸, 鄭 容錫, 山下 隆史, 梅山 馨, 曽和 融生
    1991 年 32 巻 10 号 p. 947-954
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,女性.食道静脈瘤に対する手術後経過観察中,肝門部に直径4cm大の単房性,不整形嚢胞性病変を認め,血中CEA; 7.5ng/ml, CA19-9; 2,678U/ml, SPan-1; 860U/mlと高値を示した.画像診断上悪性所見はなく,嚢胞内容液の細胞診も陰性であったが,内容液のCRA; 7,220ng/ml, CA19-9; 154万U/ml, SPan-1; 54,000U/mlと高値を示した.嚢胞壁の穿刺生検を施行し,組織学的に肝嚢胞腺腫と診断,免疫組織化学的に嚢胞壁上皮細胞にCEA, CA19-9, SPan-1の局在が証明された.肝機能障害のため手術は施行せず,経過観察中であるが,20ヵ月目の現在も血中腫瘍マーカーは高値である.
    肝嚢胞腺腫は極めて稀な疾患で,本邦報告は15例にすぎない.血中や嚢胞液の腫瘍マーカーが高値を示す症例が多く,肝嚢胞性病変の診断には,血中や嚢胞液の腫瘍マーカーは決め手とはならず,画像診断や穿刺生検診等により総合的な診断が必要と考えられた.
  • 平田 泰彦, 永渕 正法, 島村 隆二, 工藤 二郎, 石橋 大海, 鬼塚 英雄
    1991 年 32 巻 10 号 p. 955-958
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝ヘルニアは乳児期に発見されることが多く,成人の報告例は極めて少ない.我々は検診を契機に初老期の肥満女性に発見された肝ヘルニアの1例を経験した.患者は61歳,女性.自覚症状はなし.検診にて腹部超音波検査で横隔膜上の腫瘤を指摘され入院.肝機能検査ではごく軽度のトランスアミナーゼの上昇をみた.胸部X線撮影側面像で胸腔内右横隔膜背側上部に腫瘤陰影を認めた.超音波検査,CT,MRIでは肝と同一の性質を示す腫瘤像が右後部横隔膜上に胸腔内に突出して認められた.肝血管造影では胸腔内腫瘤陰影に正常な肝血管像を認めた.SPECTでは矢状面にて肝後上部に肝と同一にRIの取り込みを示す突出する腫瘤像を得た.確定診断の為エコーガイド下に腫瘤生検を行ったが正常肝組織であった.以上より肝の横隔膜ヘルニアと診断した.原因としては右後部横隔膜の先天的欠損もしくは脆弱化が考えられ,さらに肥満,妊娠等の後天的要因が加わったものと考えられた.
  • 森山 淳子, 平賀 正治, 林 仲信, 林 敬一, 森山 光彦, 本橋 隆, 天木 秀一, 田中 直英, 鈴木 裕二, 大久保 仁, 石塚 ...
    1991 年 32 巻 10 号 p. 959-960
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • フローサイトメトリーによる新鮮試料を用いたprospectiveな検討
    岡田 周市, 岡崎 伸生, 野瀬 晴彦, 青木 一教, 山本 順司, 島田 和明, 高山 忠利, 小菅 智男, 山崎 晋, 坂元 亨宇, 津 ...
    1991 年 32 巻 10 号 p. 961-962
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 岡本 康幸, 松本 真, 中野 博, 辻井 正
    1991 年 32 巻 10 号 p. 963
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 大倉 靖史, 知久 律子, 竹田 茂文, 油田 正樹, 溝口 靖紘, 筒井 ひろ子, 小林 絢三, 森澤 成司
    1991 年 32 巻 10 号 p. 964
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 小橋 春彦, 山本 和秀, 吉岡 敏文, 冨田 稔, 辻 孝夫
    1991 年 32 巻 10 号 p. 965
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 松田 裕之, 大畑 裕之, 内藤 雅文, 奥野 敦史, 金 邦源, 東 正祥, 満谷 夏樹, 小泉 岳夫
    1991 年 32 巻 10 号 p. 966
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 波田野 徹, 市田 隆文, 畑 耕治郎, 山田 慎二, 松田 康伸, 宮崎 裕, 上村 朝輝, 朝倉 均
    1991 年 32 巻 10 号 p. 967
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 1991 年 32 巻 10 号 p. 968-981
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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