肝臓
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33 巻, 2 号
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  • 高田 伸夫, 高瀬 修二郎, 高田 昭, 伊達 孝保
    1992 年 33 巻 2 号 p. 121-126
    発行日: 1992/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    わが国でのC型肝炎ウイルス(HCV)は,その塩基配列の差から4型に分けられるが,HCV各型の意義については知られていない.そこで,HCV-RNA陽性の肝疾患患者71例にいて,その遺伝子型を2種類の方法で分析した.同時に,スペインの13例,中国の11例の非癌患者についても同様に分析した.非癌患者58例では,K1が44例(75.9%), K2aが9例(15.5%),K2bが4例(6.9%)であり,PTは輸入血液製剤で感染した1例(1.7%)のみであった.肝癌患者13例ではK1が11例(84.6%)と多く,特に大酒家では全例がK1であった.スペイン例ではK2は1例もなく,PTが5例(38.5%), K1が7例(53.8%)であった.一方,中国例ではPTは1例もなく,K1が6例(54.5%), K2aが4例(36.4%), K2bが1例(9.1%)であった.このように,HCVの型別頻度は国によって大きく異なるが,その頻度からみて,K1がHCVの原型で,PTは西洋型の,K2は東洋型の亜型であり,型別分布の差が,各国でのC型肝炎の病態の差に関係していると推定された.
  • 主として血管注入法による検討
    二上 玲子
    1992 年 33 巻 2 号 p. 127-138
    発行日: 1992/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    ラット肝2/3部分切除術(PH群)後の残存肝にみられる肝再生に伴う形態的変化を経時的に明らかにすべく,5週齢SD雄ラットを用い,血管注入法により血管樹と肝小葉の変化と,BrdU投与法による細胞増殖の推移について検索した.各血管末梢枝の伸長・分岐は術後3日目よりみられ,以後次第に顕著となり,術後28日目では,対照群の終末枝は第5次枝であったのに対し,PH群では第7次相当枝まで出現していた.PH群の肝小葉は大きさを増し,術後28日目でも対照群に比して明らかに大きかった.また,一定面積内にみられるGlisson鞘と肝小葉の大きさとの間に負の相関性を認めた.PH後,肝細胞の増殖能は肝小葉周辺帯で高く,labe-ling indexは術後24時間で最高値を示した.Glisson鞘の構成細胞と類洞壁細胞は術後3日目に最も多くのS期細胞を認めた.肝小葉の肥大と新生には肝細胞増殖後の末梢血管の伸長・分岐による血液循環路の新生が重要な役割を演じていると推定した.
  • 白崎 敬二, 渋谷 明隆
    1992 年 33 巻 2 号 p. 139-146
    発行日: 1992/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    慢性肝疾患の進行に伴う肝血管系の変貌とその病的意義を明らかにする目的で,拡大腹腔鏡を用いて肝表面血管の変化を観察し,肝生検像と対比検討した.対象はウイルス性慢性肝疾患247例で,門脈枝の数,大きさ,動脈枝の数,網目様構造の形成,蛇行の有無の各項目を各々3段階に分けて検討した.門脈枝の数は小葉改築傾向を伴う慢性肝炎活動型で最も多く,肝硬変になると減少したが,肝硬変で巨大な門脈枝が観察された.動脈枝の数は疾患の進展に伴って増生し,特に進行した肝硬変で著明であった.網目様構造の形成は肝硬変に特徴的であるが,病変の進行に従い顕著になった.動脈枝は小葉改築と共に蛇行し,病像の進行と軌を一つにしていた.さらに食道静脈瘤の形成・増悪に伴い門脈枝は減少し,動脈枝が増生した.以上,慢性肝疾患時の肝表面血管は病態により特徴的な所見を示したが,これは組織像と一致しており,内部の状態をよく反映するものであった.
  • 急性肝不全を中心として
    森 健治, 白沢 宏幸, 奥田 道有, 萱野 幸三, 山下 仰, 久保田 政文, 竹中 一行, 山下 智省, 坂井 田功, 佐貫 和俊, 安 ...
    1992 年 33 巻 2 号 p. 147-152
    発行日: 1992/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    急性肝不全(ALF)を中心として各種肝疾患において,血管内皮細胞の障害のマーカーであるThrombomodulin (TM)を測定し,臨床的意義を検討した.急性肝不全では,血清中TM濃度は急性肝炎に比し有意に上昇していた.また血清中TM濃度は血清クレアチニン濃度と有意の相関を示していた.そこで腎不全のない時点での急性肝疾患の血清中TM濃度を比較すると,やはり急性肝不全では,急性肝炎に比し有意に上昇していた.しかし播種性血管内凝固症候群(DIC)のマーカーであるトロンビン・アンチトロンビンIII複合体(Thrombin・Antithrombin III complex, TAT)とは相関はみられなかった.このことから,血清中TM濃度は急性肝不全の進展を把握するマーカーになりうると推定された.さらに今後,肝静脈血中のTMを測定しTATとの関連を検討することで,障害発現のメカニズムを解明していく必要があると考えられた.
  • 保里 恵一
    1992 年 33 巻 2 号 p. 153-160
    発行日: 1992/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    血漿揮発性脂肪酸(Volatile Fatty Acids: VFA, C2-C8)の測定をエーテル抽出法にて行い,肝不全及び肝切除前後におけるVFAの変動,肝への影響を臨床的および実験的に検討した.末梢血総VFA値(μmol/l)は,健康若年者110.9±20.1 (n=10),肝硬変症例124.5±32.9(n=6),肝不全症例250.6±131.7 (n=6)と肝不全時に高値であり,特にプロピナン酸(C3),カプロン酸(C6),カプリル酸(C8)が有意に高値を示した.硬変合併肝切除例では,術中門脈血総VFA値は術前末梢血総VFA値の約2倍と有意(p<0.01)に高値を示し,末梢血VFA値は,術後早期にC8のみ有意(p<0.05)の増加が認められたが,それ以外は術後明らかな変動を示さない.またSDラット肝硬変モデルにおいて,血中C3, C6の上昇が認められた.以上より,肝不全時には血漿VFAのうちC3, C6, C8が増加し,肝不全との関連が推察された.
  • 堤 宣翁, 宮崎 耕治, 永渕 一光, 伊達 和彦
    1992 年 33 巻 2 号 p. 161-166
    発行日: 1992/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    化学発癌物質によるDNA一本鎖切断を検出するためのモデルとしてラット肝細胞を用いてin situニックトランスレーション法を試みた.対象化学物質として肝発癌物質であるdimethylnitrosamine (DMN)とaflatoxin B1 (AFB1)を,および発癌性未知物質としてlyso-phosphatidylcholine (LPC), phospholipase A2 (PLA2), lithocholic acid (LCA)を検討した.2×10-5M DMN, 1.6×10-7M AFB1, 5×10-7M LCA以上の濃度で,濃度依存的にDNA損傷を検出し得たが,LPC, PLA2はDNA一本鎖切断を認めなかった.ラット肝細胞/in situニックトランスレーション法は,不定期DNA合成法より約1,000倍程鋭敏であり,アルカリ溶出法と同程度に鋭敏であった.また,手技が簡便で多量のサンプルを扱えるので,様々な化学物質のDNA傷害性を検出するスクリーニングテストとして有用であると考えられる.
  • 畑 耕治郎, 長山 正四郎, 畠山 重秋, 大越 章吾, 波田野 徹, 早川 晃史, 野本 実, 市田 隆文, 青柳 豊, 上村 朝輝
    1992 年 33 巻 2 号 p. 167-173
    発行日: 1992/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    C型肝炎ウイルス(HCV)抗体陽性の原発性胆汁性肝硬変(PBC)の経過観察中に肝細胞癌(HCC)を合併した1例を報告する.症例は67歳,女性.35歳時,子宮筋腫の手術の際に輸血をうけた.1986年4月異常行動と記銘力低下がみられ当院を初診し,肝性脳症を伴う肝硬変と診断された.1987年12月より皮膚掻痒感がみられ,血清ALP値の持続高値とAMA陽性を認めPBCと診断し経過観察を行っていた.1990年3月倦怠感の出現ならびにAFPの上昇を認め入院となった.超音波検査とCTにて肝S6, S8に2.5cm大の腫瘍性病変と血管撮影で同部位に濃染像を認め,腫瘍生検にて高分化型HCCと診断した.非腫瘍部肝生検ではPBC(Scheuer 4期)と診断された.一方,HBs抗原,HBs抗体は陰性であったが,HCV抗体は陽性であり,さらにHCV core抗体の陽性ならびにPCR法にてHCV RNAが確認された.本例における基礎病変としての肝硬変はPBCに基づくものであったが,HCCの発症にはHCVの持続感染の関与が示唆された.
  • 伊部 敏雄, 松村 正保, 玉置 繁憲, 小島 裕治, 生駒 次朗, 垣内 雅彦, 馬場 優, 渡辺 省三, 鈴木 司郎
    1992 年 33 巻 2 号 p. 174-181
    発行日: 1992/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    特発性急性妊娠脂肪肝(Idiopathic acute fatty liver of pregnancy, IAFLP)の1救命例を経験し,その経時的な肝容積の変化と肝組織所見とを比較検討したので報告する.症例は36歳3回経妊3回経産婦.妊娠38週より黄疸,意識障害が出現.男児を分娩後,当科に緊急入院となった.CTスキャンによる肝容積は第2病日に約703cm3と減少を認めたが,肝機能の改善とともに第8病日には約1,390cm3と急速に正常化した.第12病日の肝組織所見では,肝細胞の壊死・脱落は軽微であり,肝容積の変化はおもに,個々の肝細胞の萎縮から腫大への変化に起因するものと考えられた.IAFLPの経過予後の判定に肝CTスキャンによる経時的な肝容積の測定は有用であった.
  • 竹村 茂一, 木下 博明, 広橋 一裕, 久保 正二, 藤尾 長久, 岩佐 隆太郎, 李光 春, 中田 浩二, 田中 宏, 塚本 忠司
    1992 年 33 巻 2 号 p. 182-186
    発行日: 1992/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    巨大な門脈下大静脈短絡路を有する肝硬変併存肝細胞癌の切除例を経験した.経皮経肝門脈造影像上,傍食道静脈への側副血行路は存在しなかったが,拡張蛇行した下腸間膜静脈から下大静脈への側副血行路が確認され,大部分の門脈血は遠肝性に逆流していた.門脈圧は26cmH2Oで,ICGR15値32.6%,血中アンモニア値141μg/dlと高値を示していたが,肝性脳症の既往はなかった.術中,電磁流量計を用いて門脈および下腸間膜静脈の血流を測定するとともに,S5亜区域切除を施行したが,側副血行路の遮断は行わなかった.術後,血中アンモニア値は上昇せず,肝性脳症の発症および食道静脈瘤の進展もみていない.以上より,巨大な側副血行路を有する肝硬変併存肝細胞癌症例の手術に際して,シャント遮断による門脈圧の亢進ひいては他の側副血行路の増悪も考慮し,肝性脳症や消化管出血の既往がなければ,肝切除のみでもよいと考えられる.
  • 大歳 健一, 大中 宣之, 岩田 信生, 原 正浩, 大岩 信之, 森 俊雄, 金丸 昭久, 垣下 榮三, 増本 晃一郎
    1992 年 33 巻 2 号 p. 187-190
    発行日: 1992/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    生着不全の同種骨髄移植後(BMT)にみられた急性移植片対宿主病(GVHD)を経験したので報告する.骨髄の生着不全は比較的稀であり,一般的にGVHDは生着がみられてから発症するが,今回の症例では生着のみられないまま,右季肋部痛と黄疸を伴った肝障害で発症した.臨床所見は肝中心静脈閉塞症と考えられるものであったが,組織学的な検索では肝GVHDであった.従って,BMT後生着のみられない場合でも,肝障害のみられる場合には,肝GVHDの可能性を考慮する必要がある.
  • 福田 一典, 神代 正道
    1992 年 33 巻 2 号 p. 191-192
    発行日: 1992/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 時田 元, 清水 勝, 小島 峯雄, 津田 文男
    1992 年 33 巻 2 号 p. 193-194
    発行日: 1992/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 周藤 裕治, 堀江 裕, 川崎 寛中
    1992 年 33 巻 2 号 p. 195
    発行日: 1992/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • HepG2細胞を用いた検討
    酒井 義法, 佐藤 千史, 泉 並木, 内原 正勝, 矢内 常人, 福間 淑子, 朝比奈 靖浩, 丸茂 文昭
    1992 年 33 巻 2 号 p. 196
    発行日: 1992/02/25
    公開日: 2010/01/19
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 33 巻 2 号 p. 197-211
    発行日: 1992/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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