症例は49歳, 女性. B型肝炎の経過観察中に腹部超音波検査で肝右葉に径25mmの低エコー像を呈する腫瘤を指摘され, 精査目的入院となった. 血液生化学検査では肝機能異常, 炎症所見は認められず, AFP, PIVKA-IIはともに陰性であった. 腫瘤は造影CTにて早期相で濃染され, 後期相で wash out された. 血管造影では淡い腫瘍濃染像を呈し, CT arterioportography で腫瘤部は欠損像を示し, CT angiography では強く造影され, その後内部は wash out された. 肝細胞癌を疑い肝右葉切除を施行したが, 術中超音波検査では腫瘤は極めて不明瞭で縮小していた. 病変部は径15mmの境界不明瞭な黄白色結節で, 病理組織学的には, リンパ濾胞の形成を伴う著明なリンパ球浸潤の中に, 島状に正常肝細胞が残存していた. 浸潤したリンパ球に異型は認めず, T cell およびB cell の分布が正常リンパ節に類似していたことから肝の pseudolymphoma と診断された.
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