肝臓
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46 巻, 1 号
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Editorial
症例報告
  • 矢倉 道泰, 田中 晃久, 時田 元, 上司 裕史, 原田 英治
    原稿種別: 症例報告
    2005 年 46 巻 1 号 p. 19-25
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/24
    ジャーナル フリー
    結婚後50年経ってHCVの夫婦間感染が成立した1例を報告した. 妻は72歳. 1955年出産時に輸血. 1989年に初めて肝機能異常を指摘され, 1992年より当院へ通院. 1992年4月, 肝生検はF1/A1, HCV-RNA8.7Meq/ml. 1992年9月よりIFN-α6MUを2週連投後, 週3回22週投与するも無効. 1994年6月, 肝生検はF1/A1. 同年8月よりIFN-α2b10MUを2週連投後, 週3回22週投与するも無効. 一方, 夫は77歳. 1981年より糖尿病で近医に通院. 1975年より毎年検診を受け, 飲酒による肝障害を指摘されていた. 2000年3月, HCV Ab(-). 2002年9月の検診でGOT358IU/l, GPT700IU/lと異常を指摘され当科受診. HBsAg(-), HCV Ab(+), HCV-RNA31.5KIU/ml. 2003年1月29日の肝生検は軽度の脂肪沈着を認めるalcoholic fibrosis with hemosiderosisの所見であった. 2003年2月より, 高齢で糖尿病があるためIFN-α3MUを週2回投与し9月にHCV-RNA陰性となる. 夫婦のHCV NS5B領域339塩基を増幅し, PCR産物をダイレクトシークエンスにより塩基配列を決定した結果, 夫婦間の配列はともにHCV genotype 1bで99.1%の高い相同性が得られた. 系統樹解析でも有意なクラスター (100%) を形成しており夫婦間の感染が強く示唆された. その後, 夫のHCV抗体価も上昇したことから妻から夫への初感染と診断した. 感染経路は性交渉によるものと推測した.
  • 木村 吉秀, 山内 学, 成田 真, 大谷 宣人, 鈴木 誠司, 折戸 悦朗, 溝上 雅史
    原稿種別: 症例報告
    2005 年 46 巻 1 号 p. 26-32
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/24
    ジャーナル フリー
    症例は50歳の女性. 黄疸を伴う急性肝炎にて入院し, 臨床経過, 肝組織検査, 診断基準より慢性肝障害に合併したウコンによる薬物性肝障害と診断した. ウコンの服用中止後も肝障害が遷延したためプレドニゾロンを使用. プレドニゾロンは奏効し肝障害改善後退院となった. 外来にてプレドニゾロンを中止したが, 中止後50日目に再び肝障害を認めたため2回目の入院となった. 肝組織検査, 診断基準に基づき検討したところ, 2回目の肝障害は自己免疫性肝炎であった. 1回目の肝障害と2回目の肝障害を再検討したが, ウコンによる薬物性肝障害がtriggerとなって自己免疫性肝炎が誘導された可能性と, もともと自己免疫性肝炎が存在しウコン内服によりなんらかの影響を受けて急性増悪した可能性が考えられた.
  • 福田 安伸, 四柳 宏, 片倉 芳樹, 石井 俊哉, 高橋 泰人, 鈴木 通博, 前山 史朗, 打越 敏之, 伊東 文生
    原稿種別: 症例報告
    2005 年 46 巻 1 号 p. 33-40
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/24
    ジャーナル フリー
    症例は56歳男性. 中枢原発性非ホジキンリンパ腫に対して化学療法を施行し, 緩解状態にあったが, 治療終了4カ月後に急性肝障害のため入院となった. AST, ALTの上昇に加え, 胆道系酵素及びIgMの上昇が認められ, 抗ミトコンドリア抗体陽性であった. 肝生検の結果はScheuer I~II期の原発性胆汁性肝硬変に慢性活動性肝炎を合併したCAH-PBC mixed typeの像であった. ウルソデオキシコール酸 (UDCA) とbezafibrateの投与で肝機能は正常化した. 化学療法により惹起された免疫状態の変化・投与された薬物に対する免疫応答と原発性胆汁性肝硬変の急性発症との関連が示唆された.
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