症例は58歳, 男性. 主訴は腹部腫瘤. CTで肝腫瘍を指摘され当院に入院した. 画像上, 肝左葉を占拠し, hypervascular で豊富な線維性間質を有する径15cmの腫瘍と近傍に副病変が認められた. 入院時検査成績では, 肝炎ウイルスマーカーは陰性であり, 腫瘍マーカーはDUPAN-2が4880U/m
l, AFP-L3分画が41.3%と異常高値を呈していたが, 他の腫瘍マーカーに有意な上昇は認められなかった. 術前確定診断には至らず, 拡大肝左葉切除術を施行し, 胆管細胞癌と診断された. 術後, 腫瘍マーカーはすべて正常値に復したが, 術後4カ月目にAFPおよびAFP-L3分画の再上昇と同時に残肝再発, 胸骨および肺転移が認められ, 術後9カ月目に死亡した. 自験例は病理組織学的に胆管細胞癌と診断されたが, 画像所見と腫瘍マーカーを勘案すると臨床的には非典型例であった.
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