肝疾患領域の超音波診断は,1970年代から盛んに行われ,特にウイルス性肝疾患に合併する肝細胞癌の早期発見のスクリーニングにBモード診断が大変重要であることは言うまでもない.造影剤を用いる超音波診断は,1980年代に始まったCO
2動注による方法
1)により急速に発展した.1999年9月から経静脈性超音波造影剤であるLevovist
®が我が国で使用できるようになりさらに詳細に肝腫瘍の血流診断が行え,また肝癌においては,その分化度診断また発育過程も推測できるようになってきた.特に超音波は,CT, MRIと比較して空間分解能,時間分解能が高いこと,また一番の利点は,低侵襲かつ手軽に使えることである.
Levovist
®による造影超音波検査は,微小気泡からなる造影剤を使用し,気泡が超音波照射を受けると,共振(ふるえ)し,更に一定の閾値以上の音圧では崩壊,消失する現象を利用している.さらに崩壊に伴い発せられる信号は,いわゆる非線形成分を多く持ち,ハーモニック法などの造影剤に特異的な映像技術を使うことにより,より効率的に映像化される.これらの手法が,肝疾患の診断,治療のストラテジーをも変えてきた.しかし,欧米では本邦に先駆け次世代超音波造影剤が発売され,さらに詳細な検討が報告されてきている
2).本稿では,肝疾患における造影超音波検査の現状と次世代造影剤の将来展望について概説する.
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